ハルヤスミ句会 第四回

2000年12月

《 投句 》

01 エンゼルトランペットちりちりと凍てにけり 九鈴

02 赤トンボ捕らえて放つ退院日     野草

03 風花の結晶のまま届きをり      桂香(つ)

04 綿虫の踊り呆けが蜘蛛の囲に     つよし

05 山茶花やはらはらひらりはらひらり  ねね

06 天気図にひとつ大きく雪だるま    夏実(桂)

07 吹く息にゆるくくぼめる葛湯かな
              春休(夏・ふ・ね・九・桂・阿)

08 着膨れて試着室より現はるる     夏実

09 鮫の歯のガラスケースで凍てており  ふみ(九)

10 雪蛍東京タワー一目見む       なつめ

11 洒落者の眼鏡くもらせ根深汁     桂香(ね)

12 客来たる落葉つむじの風の中     つよし

13 寒雷に続く時計の針の音       春休

14 親知らずぽろと抜けるや日記果つ   九鈴

15 白鳥や故国に愛す人おらず      なつめ

16 しかられて睫毛伏せたり林檎の子   ねね(つ)

17 手の跡に手の跡重ね飾り臼      春休

18 逆光にうち払われし冬の蜂      ねね

19 親知らず抜歯の穴と年越せり     九鈴

20 赤蕎麦の畑に群舞白き蝶       野草

21 雪降りそうねカステラを切り分けている ふみ(夏・九・阿)

22 音もなく詰め碁並べる夜の雪     野草(春)

23 バナナチョコパフェ崩しつつ12月  ふみ(春)

24 小上がりにくたばる黒のブーツかな  夏実(ね・阿)

25 蜘蛛の糸ゆるみゐしかば雪乗りぬ   つよし

26 オルガンの残響冬の月に向け     桂香(夏・ふ・つ)

27 指揮棒の先が第九を待つてをり    なつめ(ふ・桂・春)



【 かたぎり夏実 選 】
07__吹く息に…とろり感があったかそう…
21__雪降りそうね…しづかな語らいの時間*リズムが残念
26__オルガンの…パイプオルガンの静かな音が聞こえる
キーボードが死んで、これだけ入力するのに1時間もかかってしまったので今月はこれでご容赦を…

【 中村ふみ 選 】
07吹く息に この素直でありながら的確な描写に惹かれました。ただそれだけの句なのに、どこかたおやかな美しさを感じます。
26オルガンの あまりに耽美で夢想的すぎる気もしますが、私のロマンチスト心を刺激したのでとりました。やっぱり、俳句にも美と浪漫は必要ですよ。
27指揮棒の 待っており、と表現した点に感心しました。私はこういう凝った言葉使いができないので。勉強になります。

【 六本木ねね 選 】
*07 吹く息に  いいなあ、これ。寒い日がうれしい。
*11 洒落者の  のび太君、もしくは小池さん。
*24 小上がりに  たしかに、くたばっている。
気になり。
13 寒雷に  光った後、時間を数えてたなあ、と思い出す。
19 親知らず  いやでも気になる。
21 雪降りそうね  白いセーターを着た女のひとが目に浮んだ。

【 戸田九鈴 選 】
07○ 吹く息に 穏やかな感じがします。「くぼむ」は下五に持ってきてポイントをあてたい。
09○ 鮫の歯の 硬質感がいいです。ガラスケースに、でしょうかね。
21◎ 雪降りそうね 家の中の温かさ・団欒と外の寒さの対比がいいです。
03 風花の 届いたよという報告より、その結晶がどうだったのか、を知りたい。
08 着膨れて どんな衣装だったのでしょう。毛皮?春着?
23 バナナチョコパ 12月でなくてもいいかもしれない。「極月のバナナ・・・・」ならどうかしらなど、いろいろ考えました。他の方の選評が気になります。

【 鋼つよし 選 】
03 風花の  結晶のまま手に受けた驚きがそのままの表現で良かつたのでは。
16 しかられて  「睫毛伏せたり」が発見
26 オルガンの  残響と冬の月との取り合わせがあっている。
そのほかに
01 エンゼルトランペツト・23 バナナチョコパフエ この2句も選に入れたき句
02 赤とんぼ  目出度い日だから放すのかも、俳句はものが言えない文学とも、退院日がない方が読み手としたら想像の幅が広がる。
24 小上がりに  リズムは申し分ないけれど「黒の」が説明文になっている。小上がりにくたばりゐたるブーツかな でどうでしょうか。
 それでは皆様良いお年を。来年もよろしくお願いします。(^0^)/^

【 北村桂香 選 】
06 天気図に・・日本列島に今冬最初の降雪予報がでたのは北海道の何処だったでしょう。大きな・・ではなく、大きく・・が良かったと思います。
07 吹く息に・・いかにも身体が温まりそうな熱々の葛湯。「さみどりの吹けば窪みてなずな粥」という鷹羽狩行の句を想起いたしました。
27 指揮棒が・・折りしもテレビで第九を放映しています。タクトの先にエネルギーが集まり ミューズの神がゴーサインを出すのを待っているような緊張を感じます。

【 中村阿昼 選 】
それでは、今回忙しくて投句できなかったので、選句だけ参加させてもらいます。
○07 吹く息に  このあいだ初めて葛湯を食べました。「くぼむ」というところがまさに葛湯という感じ。「湯」というから液体と思ってたのに、もっとどろっとした食べ応えのあるものだった。
○21 雪降りそうね  短歌っぽい詠み振り。雪催の空とカステラのしっとりした感じは合うかと。
○24 小上がりに  玄関なんて言わずに「小上がり」と言ったしたところが景がはっきり見えてよい。K音の韻も気持ちはよいが「黒」の必然性はないかも。
以上です。来年もよろしくお願いします。よいお年を。

【 小川春休 選 】
○27 指揮棒の  「指揮棒の先」とびしっと断定した所が良い。難しいとされる擬人法も成功してると思う。好きな句。
○22 音もなく  穏やかで良いですね。句が安定してる感じがします。
○23 バナナチョコ  取り合わせの妙。勢いもある。中七、「パフェの崩れる」などにして、パフェを崩す作者の姿をはぶいた方がすっきりして良いのでは?
03 風花の  瞬間の感動を伝えたいなら「届きけり」の方が良いでしょう。また「まま」という語もなるべくなら使わずに読み取らせたい言葉。「届きけり雪の結晶あきらかに」や「届きしはこの風花の結晶よ」など、考えられる限り言い換えをして、考えてみてください。
04 綿虫の  すでに蜘蛛の囲に掛かってるのか、今まさに掛からんとしてるのかが曖昧。
05 山茶花や  中七下五を全部擬音に費やした大胆さは買うけど、その擬音自体に意外性がないのであまりおもしろくない。表現に必要なのは、意外性と説得力、およびそのバランス。
06 天気図に  惜しい。中七がゆるい。もっと天気図における雪だるまの在り方を明確に示せたら良いんだけど。参考までに。「颱風の眼つついてをりぬ予報官」(中原道夫)
09 鮫の歯の  「ガラスケースに凍てにけり」とした方が引き締まると思う。「塩鯛の歯ぐきも寒し魚の棚」(芭蕉)を踏まえたのかな?
11 洒落者の  洒落者と言われても、洋装か和装かもわからないし、ちょっと漠然としている。
14 親知らず  親知らずが「ぽろ」と抜けるなんてシアワセモノだ。私の親知らずは、細かく砕いて少しずつひっこ抜くしかないらしい…。
15 白鳥や  寺山修司っぽいですね。「おらず」がちょっと方言っぽいので、「愛する人のなき故国」などとした方がかっこいいかも。
19 親知らず  「頭が頭痛」のように、「親知らず」と「歯」がダブっている。
21 雪降りそうね  カステラと雪催の取り合わせはおもしろいけど、句がだらーっとしてる感じが…。
24 小上がりに  「黒」であることが機能してないように思う。余計な要素は削りたい。


来月の投句は、1月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら

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