ハルヤスミ句会 第百三回

2009年5月

《 句会報 》

01 昭和の日たゆとふ水の暗さかな   波子(阿)

02 メーデーのひくき天守が空の下   春休

03 三十円引きの牛乳夏に入る     つばな(ま)

04 兄逝つて二月(ふたつき)経るや櫻葉に つよし(山)

05 今朝とりしさやえんどうのお味噌汁 あたみ(山・ま)

06 花種蒔く何か違ふと思ひつつ    阿昼(山・波・春)

07 さつき咲く唐揚鷲掴みの子に    春休

08 振り向きし猫の笑ふや青葉風    つばな

09 数十の燕飛び交ふ通りかな     つよし

10 青嵐釣り人しぶしぶ帰宅かな    あたみ

11 真珠核入れ五月の昼を灯しつつ   阿昼(鋼・春)

12 暗き部屋の暗き鏡の夏蜜柑     春休(波)

13 万緑や細面なるデスマスク     まどひ(春)

14 繋ぐ手のはや湿りをる花芽時    波子

15 勲章に囲まれ涼しデスマスク    まどひ

16 一面に蜜柑の花の香りけり     あたみ

17 泣き喚きついでに汗の噴き出しぬ  春休

18 バス停に雨の匂ひの芥子の花    つばな

19 ひからかさ薔薇のアーチにつつかえて まどひ(あ)

20 茄子植ゑて夏の暑さを思ふなり   つよし(あ・阿)

21 母の日の母はひとりでバスの旅   阿昼(波)

22 母の日や感謝するのも私で     あたみ

23 母の日の母の野良着を着通せり   波子(鋼)

24 新しき畳に汗の引きにけり     春休(鋼・あ・ま・阿)



【 鋼つよし 選 】
○11 真珠核入れ  真珠の核入れは五月なのですか。背景に太平洋が うかびます
○23 母の日の  つきすぎかとも思いましたが、野良着でいただきました。
○24 新しき  涼しそうで良い

【 梅原あたみ 選 】
○19 ひからかさ薔薇のアーチにつつかえて
○20 茄子植ゑて夏の暑さを思ふなり
○24 新しき畳に汗の引きにけり
今月は選句のみにて失礼致しますが宜しくお願い致します。

【 山田つばな 選 】
○04 兄逝つて二月(ふたつき)経るや櫻葉に
○05 今朝とりしさやえんどうのお味噌汁
○06 花種蒔く何か違ふと思ひつつ
他に好きな句
01 昭和の日たゆとふ水の暗さかな
23 母の日の母の野良着を着通せり
24 新しき畳に汗の引きにけり
以上です。ここのところ忙しくって選だけで、ごめんなさい

【 舟まどひ 選 】
○03 三十円  理屈は付けないほうがいいでしょう。面白いところに目をつけ立夏を表現したとおもいます。ただちょっとまずそうかな?
○05 今朝とりし  星野立子の句のよう。なんでもないけどしみじみ「ああそうだなぁ」と思える句。さやゑんどうがいい。
○24 新しき  汗との取り合わせで畳のすがすがしさが強調されました。大きく開け放したお庭そして風まで感じられます。

【 喜多波子 選 】
皆様熟練の方ばかりで 全て選びたいくらいで 迷います
特に・・3句
○06 花種蒔く  種袋にしまっておいたが 何故か違うようだ 思案顔の作者が見えます
○12 暗き部屋の  日が燦々としていても暗い部屋が有る その暗い部屋に蜜柑が 鏡の中に 色が見えます
○21 母の日の  愉快な句です 母の日に旅行をプレゼントされたのか また、自分でさっつさと出かけたのか・・ この家の生活まで見える句です

【 中村阿昼 選 】
○01 昭和の日  昭和は64年と長かったから、いろんな顔を持っている。でも、平成となり、次の元号となった頃には、昭和は大きな戦争のあった暗い時代としてイメージされるのだろうか。
○20 茄子植ゑて  日差しが強くなってきたこの頃。茄子が実る頃はさぞかし。
○24 新しき  青畳の色や匂いが涼しげ。それだけで汗がひく思いがする、という気持ちがよくわかる。
他に好きな句
03 三十円  「三十円引き」がリアル。立夏はまだものが腐りやすい頃ではないけど、結構暑い日もあったりして。
17 泣き喚き  うちの子もそう。これからの季節、特にそう。
18 バス停に  雨に濡れた芥子や緑濃くなってきた木々。バスを待つ時間、ふっと季節がすっかり夏に変わっていることに気づく。

【 小川春休 選 】
○06 花種蒔く  「花種蒔く」という季語のイメージがうまく働いている句と思います。どんな花が咲くかという期待と不安と、「何か違ふと思ひつつ」という心情とが絡み合っています。
○11 真珠核入れ  珍しい場面をうまくまとめられています。
○13 万緑や  万緑といえば草田男の「吾子の歯」があまりにも有名ですが、万緑自体が生命力に溢れているため、人間の生死も浮き彫りにされるような働きがあります。デスマスクという形で結晶化した、死の静謐を思うばかり。
 01 昭和の日  季語と中七下五の描写の取り合わせという構成ですが、どちらとも具体的なことばではないため、ちょっと曖昧な句になっている気がします。
 03 三十円  面白い句材ですが、もっと合う季語がありそうな気も。単なる言い回しレベルの話をすれば、この句の場合「夏に入る」より「夏来たる」とした方が句に勢いが出るように思います。
 04 兄逝つて  「二月(ふたつき)経る」と「櫻葉に」がどちらも時間の経過を含んでいるので、そこが少し説明的になっています(特に「に」の一字が気になります)。「兄逝つて二月経たる葉櫻よ」などとすれば少し説明的な感じは消えそうです。推敲してみてください。
 05 今朝とりし  何とも素直で愛らしい句です。
 08 振り向きし  笑う猫、何やら永田耕衣翁のようなおもむきの句ですね。
 15 勲章に  この句もなかなかの出来ですが、13の「万緑や」には劣るようです。勲章に囲まれて「涼し」いというのが、感覚が繊細すぎるような気も少しします。
 19 ひからかさ  「日傘」ではなく「ひからかさ」(ひらがな表記)としたところなど、言葉の選択の確かさを感じさせる、きちっと出来た句です。
 20 茄子植ゑて  「今年の夏は暑くなりそうだ」という実感を、茄子を植えるという作業の中で感じたという句で、非常に共感を覚えました。今回良い句が多く、三句選には入りませんでしたが…。
 23 母の日の  ぶっきらぼうだけど憎めない母の姿が目に浮かびました。

来月の投句は、6月15日までに、3句お送り下さい
・・・・・・投句はこちら

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