【 叶万里子 選(万) 】
○04
秋高し 山羊のチーズと赤ワインという着想に惹かれました。
○08
長き夜の 秋の夜長に愛犬が側にいて寛いでいる様子が伝わってきます。そば、がひらがななのもいい。
○09
新涼や 刺繍の小鳥を縫い止めるという仕草が可愛らしい句だと思います。
○30 教会の 教会と秋刀魚の取り合わせが楽しいです。
○64
名月を 普通の風景をうまく見つけて切り取ってあると思います。
△26 飛び箱の 小鳥好きとしてはこの句が気に入りました。次点で。
【 伊藤笛吹 選(笛) 】
(今回はお休みです。)
【 中村時人 選(時) 】
○03
箸箱に 中七の箸をかちりとに、竹の春の青々とした勢いが感じられます。
○07
秋の夕 期限の間際のパン自分も良く買いますが、半額とは安い、秋の夕がいい
○15
かりんの実 健康のために、一駅手前の駅で降り歩く、落ちている句材を拾いながら
○19
首筋の そうですね!今年の残暑は厳しいハンカチ何枚有っても足りゃしない。
○25
ひとしきり 女同士、添水のある庭園で食事して亭主の愚痴を言っている(男はつらいね)
他に下の四点も気になりました。
04
秋高し山羊のチーズと赤ワイン
05 かなかなや生きる証の爪を切り
08 長き夜のいつでもそばに雑種犬
09
新涼や刺繍の鳥を玉留めす
【 奥寺ひろ子 選(奥) 】
○03
秋高し 私も晴れわたる高原で、気分よく赤ワインを飲みながら山羊のチーズをつまみたいですね。
○04
星祭 現代とのギャップがおもしろいと思います。
○12
種有りと 両方あるから迷ってしまいますね。最近は種なし葡萄に私は決めました。
○25
ひとしきり 言いたいだけ話せばすっきり、気分新たにできますね。ばったんこの季語が効いていると思います。
○64
名月を こんな日だけは、夜勤もいいですね。
【 遠藤ちこ 選(ち) 】
○06
星祭 スカイプは現実的な感じがしますが、星祭とさやうならがロマンチックにしています。
○09
新涼や 鳥の刺繍と玉留めという言葉の懐かしさと手芸好きな素敵な女性を想像して。普段針と糸は全く使わないので。
○12
種有りと 種ありと種なしは買うとき迷います。種なしの方が食べやすいけれど、種ありの方が美味しそうだったりして。
○49
探すもの 探すものを探すと繰り返していて、それが何なのかは明かさない。何を探しているのだろう。
○66
私しか 私しか入れぬ扉を小さな扉で小人が扉を通っているところを想像してしまいました。もっと内面的なことなんだろうけれど。
【 滝ノ川愛 選(愛) 】
○09
新涼や 猛暑の間は手に取る気にもならなかった日本刺繍でしょうか。やっと涼しくなり、鳥の刺繍が刺し終わり、玉留めしました。爽やかな気持ちが感じられます。
○16
すかんぽの 高原かどこかでの夏合宿でしょう。青少年が爽やかに走っている、その脇にすかんぽが生えている。すかんぽの酸味が良く効いています。
○26
飛び箱の 夏休みも終わり体育の授業も始まりました。うわ〜今日からは八段重ねの飛び箱だ。小鳥来るの季語が可愛いですね。
○42
気の利かぬ ”気の利かぬ”に実は飼い主の愛情を感じます。きっとの〜んびりした猫ちゃんなのでしょう。猫はお腹にもたくさん毛が生えているので、大の字になると涼しいです。タイルの床にはうつ伏せ大の字も気持ちいいです。
○55
ねこじゃらし こういう句は初めてです。辞書によれば「観念的とは、現実を無視して抽象的・空想的に考えるさま」とありました。きっと深い意味があるのでしょうね。同じく「高さは20センチから40センチ」とありました。その高さであれば他にもたくさんありそうなのに。猫ならそう思うということでしょうか。
【 土田ひなこ 選(土) 】
○08 笠とりて 見てみたいと感じさせる笠、同感です。
○45
通草とる ちょっと危なっかしい感じるところ、いい感じです。
○48
だらし無く だらしなく、棕櫚にも九月尽にも合っていると思います。
○54
これは又 これは又、と、ゆったりした上五が季語の敬老会に響いているように感じました。
○64
名月を 仕事も捗り、楽しかったことでしょう。気持ちが伝わりました。
【 小林タロー 選(タ) 】
○02
露草や さしづめオスプレーでいらだつ岩国周辺でしょう。掲句は風ですが、音を詠んだ句では 軍用のヘリに吹かれて吾亦紅 佐藤信 という句もあります。
○09
新涼や 涼しさに刺繍も進みます。玉留めが実感でよかったです。
○17
何もかも 「何もかも中途半端で」という措辞が好きか嫌いか、林檎があっているか ということでしょうけど 私は好きであっていると思いました。
○41
重陽や うん、そんな雰囲気ですね棋士さんは。重陽が良いです。
○51 虫篭に 虫は死んじゃったんでしょうね、秋ですね。
【 森田遊介 選(遊) 】
○10
この家の 「この家」と限定しているところでさてどんな女主なのかと好奇心を掻き立てられます。そして下五でストンと納得したりして、読者の心理を刺激する一句です。
○12
種有りと もっと重大な事に決心がつかない作者ではないのかと想像しました。が、実は種なし種ありの葡萄を迷う平穏な日常の幸せを詠んだ一句なのではないかとも思います。
○17
何もかも とりあえず何か行動するか・・・で傍に有った林檎をとりあえず齧る。もやもやとした心の中に林檎の酸味がほとばしります。
○42
気の利かぬ 気のきく猫なんていないとは判っているものを下五の「熱帯夜」で愛猫すら腹立たしくなる。誠に暑さ伝わる一句です。
○64
名月を 月をまして名月を観ながら夜勤に向かう姿を想像します。夜勤などしたくないのに名月を楽しめる詠み手のセンスが素晴らしいと思いました。
【 小早川忠義 選(忠) 】
○10
この家の 一日で自ら栄を成す、ではありませんが、比較的大きな庭とかくしゃくとした女主人が連想されます。
○14
西班牙の そのトマトはラグビーボールのような楕円形だったのでしょう。蔕でもほんのおしるし程度にしか付いておらずパツンパツンなトマト。
○19
首筋の いくらタオルで拭いても首筋が湿っている間は気持ち悪くて仕方がない。ここの汗が引かなければ残暑も終わりじゃないです。
○26
飛び箱の 夏が過ぎていささか体操服姿も男の子女の子らしくなった子ども達を小鳥も冷やかしに来ているのでしょうか。
37
虫すだく これは順番が逆なら入っていけるかもしれません。
○41
重陽や 菊酒を片手に風流な。棋士の師系は男中心だから、という意味合いもあり?
06
星祭 現代の天の川は電脳の向こうに流れるんでしょうか。スカイプが俳句に「乗る」ほどに一般化するかどうかはまだ答えが見えない気がします。
15
かりんの実 諏訪湖周りの並木道でしょうか。遠目でもかりんが実っているのはよく見えるものです。
22
手を握り そこまで敏捷でなくとも片手で握ればはまってしまうほどにのろまになった蚊。「握り締め開けば・・・」で一気に下まで詠んでしまっても良
かったかもしれません。
60
あかときの 厄日を季語として使う場合、どこがどう繋がるか唸るところですが、何か引っかかる句でした。
63
人去りて もしかしたら塵取りだけが残るという句は先人にあったのかな、と感じてしまいます。萩でなくとも桜とかは?
【 石川順一 選(順) 】
○06 星祭 情感こもる俳句である。
○08
長き夜の 情の移った犬である。
○27 節水と ユーモラスな句である。
○31 稲の穂の 「なはて」とは古い語だ。
○39
海指呼に 松浦武四郎の事であろう。
【 湯木ねね 選(ね) 】
(今回はお休みです)
【 涼野海音 選(海) 】
○03 箸箱に 生活感が「かちり」ににじみ出ている。
○06
星祭 「スカイプ」というツールが俳句に詠まれたことがあったでしょうか。「さよなら」は切ない。
○09
新涼や 刺繍の鳥が詩的でいかにも「新涼」。「玉留め」と細かく言っているところも良い。
○26
飛び箱の 八段って結構とぶの難しい高さ。励ましのように「小鳥来る」。
○27
節水と 「腹に書かれあり」の生々しさ。現場感覚が伝わりました。
【 松本てふこ 選(て) 】
○09
新涼や まとまり過ぎてるところもあるのですが、詠いぶりや素材の美しさ、その上に下五でほんの少し嗜虐的な感性を匂わせるところに惹かれました。飛び立たせはしないよ、とでも言いたげな不敵さ。
○14
西班牙の スペイン産のトマト、ということでしょうか。実際に食べたことはないのですが、トマトを投げる祭りのイメージもありますし、スペイン料理でもよく使われてますし、美味しくて濃い味がしそうです。国名の漢字表記ととまと、というひらがな表記のコンビネーションはあざといように思いましたが、そういうあざとさもトマトを美味しく見せるため。本来なら青くさいはずの蔕のあたりまで熟しているなんて、美味しくないはずがない!食欲をそそる句。
○23
提灯に 何かにちょっとした違和感を感じ、その違和感を詳らかにすることなく違和感の存在だけを提示して終わる句。変だけど気になる。季語の選択が渋くて過不足無くて心憎い。
○27
節水と 案山子のお腹なんて考えたこともなかった。クローズアップの仕方に不思議な生々しさがあって案山子の存在感を面白くしている。お腹に書かれてるというシチュエーションはバカバカしいけれど、節水という言葉が暗に示す状況は笑えない、その対比も面白い。
○59
順路2を 素材一つ一つが持つリアリティ。女郎花のけっしてしゃしゃり出ない存在感が、実は句全体の均衡を取っている。
【 足立山渓 選(山) 】
○24
蜩や 蜩の鳴くのは夕方が多い。中七下五のフレーズが素敵。
○32
アイドルは いくつになってもアイドルに熱中するのは若さの秘訣。敬老会での一コマが目に浮かぶ。
○41
重陽や 今ではあまり聞かれなくなった季語と「師系の話」との組み合わせががグー。
○43
新涼や 季語と俳諧味のある措辞の取り合わせ、抜群。
○64 名月を 夜勤の苦しさを「名月を独り占め」と心豊かに表した措辞に感服。
【 川崎益太郎 選(益) 】
○01
青蜜柑 膝の裏は、風呂で体を洗うときも一番忘れやすいところである。青蜜柑と取り合わされると、森田公一の「青春時代」を連想した。
○05
かなかなや 爪は死んでからも伸びると言われている。自分で爪を切れるということは生の証しであろう。かなかな、が効いている。
○35
月代や 片思いの人の爪はどんな色であろうか。やはり月代のように儚い、つかみどころのない色であろうか。官能的な句。
○42
気の利かぬ 猫も大の字に寝るほどの熱帯夜。気の利かぬ、が俳諧。気の利いた猫はどうするのだろう。
○55
猫じゃらし 観念的な高さ、とはどんな高さなのか。それこそ観念的なものか。禅問答のような句であるが、猫じゃらし、が面白く効いている。
【 草野ぐり 選(ぐ) 】
今月は選句のみでお願いします。
○09
新涼や刺繍の鳥を玉留めす
○20 サングラス外す磐井氏を見たり
○41 重陽や棋士の師系の話など
○60
あかときの指紋認証厄日ぶじ
○65 割れ鉢を門扉によせて望の月
【 二川はなの 選(は) 】
(今回は選句お休みです。)
【 水口佳子 選(佳) 】
○27
節水と 本来案山子は鳥や獣が稲を荒らさないように脅すために立てられているもの。イマドキはこんなお役目もあるのか。水不足は深刻だがユーモラスに描かれているのがいい。
○37
虫すだく 5分の通過待ちは待つ身にとっては長く感じられる時間かもしれない。虫の声が聞こえるホームは町中ではなく少し郊外なのであろう。夜か、〈虫すだく〉に闇の深まりを感じる。
○57
表向き どんな場面なんだろう。表向き笑うているのは作者か、別の人か、その辺が分からないのであるが、〈表向き〉という言葉が妙に冷めていて気になる。傷一つない完璧な桃という気がする。
○58
白桃に 皮を剥いて丸まま〈白桃〉を食べているところ。〈手と鼻と唇と〉に余韻を残しているところなど心憎いなあと思う。エロティックで好き。
○66
私しか 「どこでもドアー」私も欲しい。その扉は烏瓜の向う側にあって他の人には見えない。不思議の国へと通じる扉?それとも根の国へ?
他に気になる句
08
長き夜の いつでもそばにいるのが〈雑種犬〉なのがいいなあと思います。ただ季語が他のものの方がいいようにも。
31
稲の穂の きっちりとできた俳句らしい句だと思いました。
32
アイドルは そうだよねーと思わず笑ってしまいましたが、こういうことも俳句になるんだと感心。
51
虫籠に もう虫はいなくなったのでしょうか?とても惹かれた句でしたが〈失せた〉の〈た〉がどうも気になりました。「失せたる」とか「失せ」しとか。
【 喜多波子 選(波) 】
○05 かなかなや生きる証の爪を切り
○47
傷ありの梨はおまけの一袋
○59 順路2を往くや手水と女郎花
○61 箸置に短き箸や年尾の忌
○65
割れ鉢を門扉によせて望の月
選句だけで・
【 鋼つよし 選(鋼) 】
○07
秋の夕 年中求める機会はあるのだろうが秋の夕が良い。半額の:のを省いて中七にされたらと思う。
○20
サングラス 稀有な出来事に遭遇した。私も見てみたい。
○26 飛び箱の 小鳥くるの季語で明るい句になった。
○44
稲刈を 若夫婦がよいと思う。
○51
虫籠に 敢て虫籠に美を詠わない構図も俳句でないか。
佳句が沢山あるので、番号だけ記す。
15,16,17,25,28,29,34,46,55,64 以上です。
以上よろしくお願いします。
今回はどの句も味わいがあり外すのに苦労しました。
【 中村阿昼 選(阿) 】
(今回はお休みです)
【 小川春休 選(春) 】
○09
新涼や 「刺繍の鳥」という美々しくなりそうな対象を、「玉留め」という描写が具体性を持つものとしています。上五と中七の「し」、句末の「す」が響きも爽やかにしています。
○27
節水と 案山子は鳥獣の害を防ぐためのものなので、「節水」と書くのは本来の趣旨からは外れます。しかしよく目立つので、ついでにそこに書かれている。その辺りの雑さを伴った現実のふてぶてしさがあって、良い句だと思います。
○30
教会の 今は少々貧しくても浪費して贅沢をしたりする世の中ですが、とんがり屋根の教会はどことなくつつましやかな暮らしを思わせます。教会で焼いているのではなくて、教会のすぐ近くの家で焼いているのかもしれませんね。
○41
重陽や 師系というとまず詩歌や学問を想像しますが、将棋の世界にもそういうものがあるんですね。師系が云々される世界というのは、プレイヤーもファンも、長い時間の中で愛情を持って文化を作っている。そこに「重陽」という伝統を感じさせる季語がよく効いている。好きな句です。
○59
順路2を 登山コースでしょうか。「順路2」のリアリティが効いてますね。「順路2」「手水」「女郎花」と物を並べて景を描き出しています。
01
青蜜柑 「膝の裏だけ忘れをり」とはどういうことでしょう。入浴時に洗うのを忘れがちな場所ではありますが、そう読んだ場合季語のつながりが不明です。
03
箸箱に 秋の行楽でしょうか。響きの明るさも相俟って、気分の良い句です。
04
秋高し これは…。ぜひご相伴にあずかりたいです。
07
秋の夕 中七の字余りもしんどいですし、この内容ですと、季語が「夕方になったから」という理屈に読めてしまい、味気ない感じを受けます。
08
長き夜の 彼は雑種犬ではありませんが、スヌーピーとチャーリー・ブラウンが目に浮かびました。ただ、「長き夜」と「いつでも」は内容的に近いような…、少しもったいない気がしました。
10
この家の 「この家」と言われてもそれだけではどのような家か分からないところですが、「女主と白木槿」から、家の佇まいまでも見えてくるような、雰囲気のある句です。採りたかった句。
14
西班牙の シンプルながら「蔕まで」に力のある句ですね。
15
かりんの実 気分は分かりますが、中七の字余りも気になりますし、「一駅分だけ歩く」に対して「道」は蛇足ではないかと思います。
19
首筋の 汗で濡れている、という意味でしょうか。そうだとすると、季語の使われ方が理屈っぽい感じがしてしまいます。暑いからずーっと汗をかいている、というような。
20
サングラス こういう句、けっこう好きです。即吟っぽいところが良いですね。
22
手を握り 「握り」と「開く」の二つの動詞、両方は必要ないのではないでしょうか。上五「手のひらを」「握り拳」など、言い換えた方が「開く」の方に焦点が絞られるように思います。
23
提灯に このカタカナで社名を書かれた会社はどのような会社でしょうか。元々カタカナ社名だったようにも読めますし、本当は漢字で書くべきところをカタカナで書かれたようにも読めます。遠まわしに言わずに、具体的な社名を句に直接詠み込んだ方が臨場感があるのではないでしょうか(それとも何か具体的な社名を出すのは支障がある?)。
25
ひとしきり 言わんとする所は分かりますが、「愚痴して」は日本語として違和感があります。「愚痴」は名詞もしくは形容動詞であり、このようにさ変動詞としては使いません。
33
あてもなく 蕪村の〈門を出れば我も行く人秋のくれ〉を思い出しますね。
34
残照の 良い所に着目しているとは思いますが、せっかくの着目を活かすメリハリというか、句の仕立てにもう一工夫欲しい。「月の面にある残照の赤みかな」など。
35
月代や 非常にムードのある句で、若き日の日野草城の句のような趣ですね。中七の字余りが気になるのですが、「片恋びとの」とつなげてはいかがでしょう。
38
秋刀魚食べ とぼけた味わいが良いですね。見るつもりではなかったが、たまたま放水演技の日に居合わせたんでしょう。
40
踊り子の シンプルな内容ですが、黒い帯が様々な連想を誘う句になっています。
42
気の利かぬ 面白い句なのですが、上五が一句の答えになってしまっているのではないでしょうか。上五「わが床を」ぐらいで良いのでは?
43
新涼や孫の着替へに手間取りて
44
稲刈を 「若夫婦」という下五は「若い者はそんなものを食べるのか」という感慨でしょうか。そう読むと少し理屈っぽい気もします。
45
通草とる 景としては分かりますが、語りすぎというか散文的というか、語順・言い回しなどにもう少しメリハリが欲しいところです。
47
傷ありの 気持ちは分かりますが、説明になってしまっています。
48
だらし無く 「九月尽」という感慨を受けるには、上五中七の描写が少し淡いような気がします。描写の切れ味が欲しい。
50
聞こえるは ほんと、急に秋らしくなりましたね。この句のとおりに実感させられる今日この頃です。
51
虫籠に 中七の口語的な叙述、必ずしも効果的でないように思います。「水気失せたる西瓜かな」とするのも、「西瓜の水気失せてけり」などとするのも有りだと思います(個人的には後者が好みです)。検討してみてください。
58
白桃に 白桃に対して、こういう詠み方は少しパターンかな、という印象です。
60
あかときの 「指紋認証」という材料自体は面白いのですが、下五が理屈になってしまっているような感じです。もっとすっとぼけた季語で良いような気もします。
62
複眼一対と 昆虫図鑑的に蜻蛉を描かれていますが、その分「とぶ」が取ってつけたような感じになっているようです。
65
割れ鉢を 着眼良いと思いますが、叙述に検討の余地があるように思います。「望月や門扉によせし割れ鉢も」などの句形の方が月の明るさが引き立つと思いますが、いかがでしょう。御検討ください。
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