ハルヤスミ句会 第百四十六回

2012年12月

《 句会報 》

01 うづたかき黄葉を水の曲がりゆく  はなの(第・愛・タ・忠)

02 味のある小声きかせる焼き芋屋   遊介(奥・愛・山)

03 コピーせし紙の乾きよ師走くる   てふこ(海・佳)

04 真夜中に冬の雨降り服のまま    順一

05 街コンのポスター見入る小春かな  第九(タ)

06 切り株にピザパイ熱く狩の宿    忠義

07 気心の知れた同士でココア吹く   万里子(奥・遊・は)

08 西へ西へハンドル握る神の留守   ひなこ(海・て)

09 初冬から青き画面に悩まされ    順一

10 生姜湯の身体の芯に届きたる    ぐり(タ・は)

11 冬将軍煙突を罅のぼりゆく     春休(て・佳)

12 恐竜の好きな園児と日向ぼこ    愛(土・タ・遊・て)

13 鳩尾のあたり擦りて漱石忌     遊介(忠・春)

14 大根の葉は干乾びて仕舞いけり   順一

15 国道の弁当殻も霜置きぬ      春休

16 雪降れりチャントを歌ふ唇に    てふこ

17 蒲団出たくなし歯医者に行きたくなし 春休(土・ね・益)

18 部屋干しのものみな垂るる冬夕焼  ぐり(忠・海)

19 十二月倍の値となる法蓮草     つよし

20 綿虫やよく会う人も地下道に    第九

21 深深とかぶる毛布や草枕      遊介

22 羽根付きの鯛焼を食ぶ神保町    波子(遊)

23 救急車音消し来るや枇杷の花    タロー(第・佳)

24 蜜柑畑くぐれば海に出会いけり   愛(ね)

25 相続に巻き込まれたる枯野かな   つよし(て・益・は・春)

26 大会へ向かふ早起き初氷      ひろ子

27 二日目のカレーの匂ひ冬籠     海音(遊・山・鋼)

28 雲の間の小さき青空冬もみぢ    ひなこ(山)

29 解像度低き画像よレノンの忌    てふこ(忠・春)

30 あっ雪 するりと落ちるボールペン 益太郎(土)

31 山眠る鎖二重の出入口       山渓(万・ね・は)

32 行く年の新宿にある雑貨店     万里子

33 人ごみに入るも嬉しや酉の市    遊介(愛)

34 地震止み力一杯聖樹かな      波子

35 凍豆腐主は来ませりと含み煮る   ぐり(忠・ね・鋼・春)

36 茶の花に鼻で口づけふっと妻    益太郎(奥)

37 冬日受け彫り深きかな今朝の君   第九

38 クリスマス・イルミネーションなる山家 はなの

39 路地といふ路地より落葉吹き出して はなの(第・万・遊)

40 滑空の鷹青空を切るやうに     ひなこ(鋼)

41 天満屋の天の字灯る時雨かな    海音(タ・て・佳)

42 数へ日や病める小鳥とふたりきり  万里子(第・鋼)

43 三代のふぐり潜りて煤湯かな    忠義(海・益・は・春)

44 願いごと風にさらわれ散紅葉    益太郎

45 手を入れろ握ってくれろ冬堆肥   タロー(奥・愛)

46 右巻きにタルトの餡や漱石忌    忠義(万・土・益)

47 土佐の柚子袋の密閉されしまま   順一

48 咲き誇る温室の花満ちてをり    ひろ子

49 句会あとの忘年会や終電車     山渓

50 それからを聞き出せぬままイブの夜 遊介(第・万・奥・土・益)

51 迎撃のミサイル配備冬寒し     ひろ子

52 落書のKILL・YOU赤し冬の星     海音(万・佳)

53 大賞の記念の筆や賀状書く     山渓(愛・鋼)

54 二波三波大雪降らせ寒気去る    つよし

55 壊さるる家の軋みや黄水仙     タロー(海)

56 ねんねこの母を待ちをるお下げ髪  波子(山)

57 急かさるも腕組みしまま年の暮   愛(山)

58 柚子風呂を延ばし続けて銭湯へ   順一  




【 土曜第九 選(第) 】
○01 うづたかき  優雅な秋の風情が感じられます。
○23 救急車  不安な感じがよく伝わってきます。
○39 路地といふ  ボリューム感があると思います。
○42 数へ日や  もの悲しさがよく伝わってきます。
○50 それからを  若い頃のもどかしさや切なさを思い出します。

【 叶万里子 選(万) 】
○31 山眠る  冬の重たい雰囲気が、鎖二重で表現されていてよいと思いました。  
○39 路地といふ  落ち葉吹き出してという表現が面白いと思いました。
○46 右巻きに  取り合わせが面白くていただきました。   
○50 それからを  イヴの夜の不安な心が表現されていると思います。 
○52 落書の  落書き文字の意味と冬の星のとりあわせが面白いと思いました。

【 中村時人 選(時) 】
(今回はお休みです)

【 奥寺ひろ子 選(奥) 】
○02 味のある  焼き芋屋さんの声にひかれますね。つい焼き芋を買いにでてしまいます。
○07 気心の  ココアのおいしい季節になってきましたね。温かいココアとよくひびき合っていると思います。
○36 茶の花に  控えめでかつ美しい茶の花に心ひかれます。ふっと妻のことを思い出す、ユーモアも感じます。
○45 手を入れろ  手入れを怠っては、よい堆肥はできませんね。捉え方がおもしろいと思います。
○50 それからを  心情が伝わってきます。なかなか思い通りにはいきませんね。

【 遠藤ちこ 選(ち) 】
(今回はお休みです)

【 滝ノ川愛 選(愛) 】
○01 うづたかき  銀杏か岳樺の葉が水の上を流れてゆくという景でしょう。そこを水がそれらの黄葉を乗せて流れ、曲がってゆくと詠んだところが新鮮です。
○02 味のある  昔は冬になるとよく耳にしました。「ヤーキイモー、イモッ!」これだけのフレーズなのですが、小声でもよく聞こえました。小声きかせるとは只者ではありませんね。年季ですねー。
○33 人ごみに  待ちに待ったおとりさま。人に押されるのも、押すのも嬉しいものです。ウキウキした気持ちが伝わってきます。
○45 手を入れろ  春の作付けに大切な堆肥です。堆肥から湯気が昇っていることがありますね。ほんわかと、さあ中に手を入れて感触を確かめてくださいと。堆肥に対する愛情が伝わります。
○53 大賞の  大賞受賞おめでとうございます。童子25周年で頂いた筆でしょうか。素直に喜びが伝わってきます。

【 土田ひなこ 選(土) 】
○12 恐竜の  句全体の平易さが好きです。恐竜の話が聞こえてきます。ほのぼのとした感じが伝わ
ります。
○17 蒲団出たくなし  そうだと肯きました。
○30 あっ雪  瞬間を捉えたおもしろさを感じました。
○46 右巻きに 松山名物タルトは右巻きですか?見る方向で違うのでしょうか?それは兎も角、漱石
忌と合いますね。
○50 それからを  気になってしまう、内容ですね。

【 小林タロー 選(タ) 】
○01 うづたかき  「曲りゆく」で、情景は良くわからないけれども、水の生命感(?)のようなものが描かれていると思いました。背景の「うづたかき黄葉」も効いていると思います。
○05 街コンの  小春とつけた心理が微妙で面白いです。「街コン」を「街頭で行うコンサート」と思っておりました。ショック!
○10 生姜湯の  この感触わかります。胃カメラでもわかります。
○12 恐竜の  好きな句です。無垢な子供と幸せなひと時をもっていることが良くわかります。
○41 天満屋の  上の方は暗いのか---時雨気分ってそういうものかも

【 森田遊介 選(遊) 】
○07 気心の  お互い判っているからもうそんなに会話が弾む仲でもない二人。でも一緒にいる幸せを感じている。下五のココアが響きます。
○12 恐竜の  日向の中では誰でもじっとしていたくなるものです。やんちゃ盛りな幼子とて同じ事。傍に座る人の暖かな目線が下五と重なります。
○22 羽根付きの  わざわざ神保町まで鯛焼きを求めてお出かけでしょうか?特別ですぞと言わんばかりの気持ちが感じられます。それにしも美味しそうな鯛焼きです。
○27 二日目の  二日目の煮込み料理は美味しいものです。でも季語から読めばもう台所で立ち働きたくない心情が感じられます。寒いから今夜はあるものを食べましょうという感じです。二日目のお味はどうでしょうか?
○39 路地といふ  落葉は吹く時は天の手でかき回されているような気がします。一斉に舞い上がる落葉の情景が見えます。

【 小早川忠義 選(忠) 】
○01 うづたかき  ホースから出たような勢いのある水も流し切れないような落葉の山。
○13 鳩尾の  この時期って胃が気になりますね。お互いに体を大切にしましょう。
○18 部屋干しの  夕焼けが見える前はきっと天気が悪かったんでしょうね。為す術のない様子とくたくたの洗濯物とが良く合ってます。
○29 解像度  デジカメの解像度が高くなってきたのも、写真を獲る人が解像度にこだわり始めたのもつい最近のこと。ジョン・レノンの凶弾に斃れたことも遠くなりつつあります。
○35 凍豆腐  「含め煮に」で取ります。それぞれの家庭にクリスマスが定着していることを示してはいますが、凍み豆腐をメイン季語に据えたのが良かったです。
 02 味のある  「味のある」のはどう味があったのかが知りたかったです。
 03 コピーせし  確かに冬場って物の乾きは速いです。コピーしたのが紙であるのは解るので他に何か言葉が入りますね。
 09 初冬から  悩むことより、何の青い画面なのかを掘り下げた方が。
 11 冬将軍  「冬将軍」ってことばが「のぼりゆく」に掛かっているようにも見えます。季語を変えたら良いかも知れません。
 19 十二月  ほうれん草は春の季語。実感はこもってますがそのほうれん草を手に入れてから一句詠んでみると違ってきますよ、きっと。
 20 綿虫や  助詞を変えれば、また感覚が違ってきそうです。
 22 羽根付きの  地名が効いていますでしょうか...。
 41 天満屋の  天の字も、「西濃運輸」の西の字も、多分時雨に映えるでしょうね。

【 石川順一 選(順) 】
(今回は選句お休みです。)

【 湯木ねね 選(ね) 】
○31 山眠る鎖二重の出入口
○24 蜜柑畑くぐれば海に出会いけり
○17 蒲団出たくなし歯医者に行きたくなし
○35 凍豆腐主は来ませりと含み煮る

【 涼野海音 選(海) 】
○03 コピーせし  乾燥した紙に師走を実感、なるほどなあと頷くばかり。
○08 西へ西へ  まるで旅立った神を追うようなハンドルさばき!
○18 部屋干しの  「部屋干しのもの」と少しぼかしたところがやはり技でしょう。
○43 三代の  「三代のふぐり」、どこからか家族の話し声が聞こえてきそうな句。
○55 壊さるる  一読して軋みがまるで家の悲鳴のような印象を受けました。黄水仙のさりげなさがいいですね。

【 松本てふこ 選(て) 】
○08 西へ西へ  出雲に向かった神様を追跡しているかのような、性急な上五が印象的。どこへ向かおうとしているのだろう。「握る」に代わる、もうちょっとスピード感のある表現がないものかなあとも思います。
○11 冬将軍  漠然とした上五でばさっと切れているのが面白い。季語もその後も擬人化めいた比喩なのでちょっとうるさいのかもしれませんが、
○12 恐竜の  他愛も無いのですがひかれました。その子との会話には、恐竜の名前がぽんぽん出てきたりするんでしょうね。詳しくなければ呪文のようで、よくわからない。そんな不思議さが日向ぼことよく合っている気がします。
○25 相続に  遺産相続で殺人か!? などと二時間ドラマの見過ぎのような発想をしてしまいます。枯野のベタさが面白い。
○41 天満屋の  天満屋って陸上が強いスーパーですよね…。関東ではほとんど見かけないので、お客目線での企業イメージなどを把握しきれないのが鑑賞にはちょっと痛手なのですが、「天」だけが時雨にかすかにけぶりつつ灯る光景というのはなかなかオツだなあと。
その他気になった句
 24 蜜柑畑くぐれば海に出会いけり 
 46 右巻きにタルトの餡や漱石忌

【 足立山渓 選(山) 】
○02 味のある  「早く来ないと行っちゃうよ」と声が聞こえそう。
○27 二日目の  寒くて動きたくない。そんな時の昼飯は昨日のカレーが最適。上五の「二日目の」このフレーズー実感あり。
○28 雲の間の  雲の間からのわずかな日差しによって 、冬紅葉が一段と鮮やかに見える。そんな一瞬を上手く詠まれた。
○56 ねんねこの  そんな母を待っていたこともあったなと、60年前にタイムスリップ。
○57 急かさるも  奥さんにあれこれ指図されているが・・・・・。腕組みのまま。自分のことを詠まれているようだ。

【 川崎益太郎 選(益) 】
〇17 蒲団出たくなし  一読俳句かな?と思ったが、八・九=十七と考え、俳諧味もあり、いただいた。
〇25 相続に  枯野は、作者?遺産?被相続人? いろいろ想像できる面白い句。
〇43 三代の  ふぐり、一発で決まった句。三代も上手い。煤逃げでなくてよかった。
〇46 右巻きに  タルトと漱石、やや付き過ぎの感もあるが、忌日俳句は付き過ぎくらいがいいという考えもある。
〇50 それからを  意味深な句。聞かなくても分かる?

【 草野ぐり 選(ぐ) 】
(今回は選句お休みです。)

【 二川はなの 選(は) 】
○07 気心の  「気心の知れた同士」とは、どのような関係か、家族か学内の寮か?想像がふくらむが。「ココア吹く気心知れた者同士」でも。
○10 生姜湯の  これは手放しで共感できる。
○25 相続に  発想に新しさを感じる。
○31 山眠る  「鎖二重の出入口」が面白い。まるで山が「起こさないで・・・」と云って鎖の雨戸を立てているよう。
○43 三代の  お家安泰。
*他に良いと思った句
 32 行く年の
 50 それからを  想像がふくらむが、下五「イブの夜」は季語として通るのでしょうか?

【 水口佳子 選(佳) 】
○03 コピーせし  コピー機を潜ってきたときの紙に残るぬくもり…確かに乾燥している。コピー機の前に立つことも増えるこの時期、いつもはごく当たり前のこととしてやり過ごしていたことにふっと気付くのである。ぬくもりと言わず乾きと言ったところが師走の忙しさ(心を亡くす)なんですよね。
○11 冬将軍  煙突の罅が動き出したかのような表現に、冬将軍の厳しさを感じる。 
○23 救急車  音を消し来る救急車に事の重大さを感じる。季語がよく効いている。 
○41 天満屋の  天の字だけ灯っているのだろうか?ほかの字は?と妙な気もするが・・・ 
○52 落書の  赤い文字のKILL・YOUが怖いようにも悲しいようにも。冬の星が静か。
 ほかに気になる句
 01 うづたかき  観察の目のしっかりした句。 
 25 相続に  面白い句と思いましたが季語がややつき過ぎかとも 
 27 二日目の  美味しそう
 36 茶の花に  よくもまあぬけぬけと(笑)

【 喜多波子 選(波) 】
(今回は選句お休みです。)

【 鋼つよし 選(鋼) 】
○27 二日目の  冬籠とマッチしておかしみがある。
○35 凍豆腐  凍豆腐と主との意外な取り合わせが面白い。
○40 滑空の  景がきれいで雄大
○42 数へ日や  アニメにでも登場しそうな主人公と小鳥を思い浮かべた。
○53 大賞の  記念の筆をとる作者の気持の高鳴りを感じる。
 選句外での佳句
 12 恐竜の好きな園児
 17 蒲団出たくなし
 22 羽根つきの鯛焼
 23 救急車音消し
 55 壊さるる家の軋み

【 中村阿昼 選(阿) 】
(今回はお休みです)

【 小川春休 選(春) 】
○13 鳩尾の  太宰治の忌の句で頬杖の句がありましたが、漱石の忌にはみぞおちをさする様子がいかにも似つかわしい。
○25 相続に  砂を噛むような気持ちとはこの句のような状況を言うのでしょうが、「枯野かな」と五七五にまとめると、そこはかとなくウィットとユーモアを感じさせてくれます。〈大金を持ちて茅の輪をくぐりけり〉〈凍鶴に立ちて出世の胸算用〉など俗世の金絡みの事柄も厭わず句に詠み込んだ爽波の句に通じる味わいを感じる句です。
○29 解像度  映像機器などの進歩はめまぐるしく、解像度の低さが時代の変遷を感じさせます。変わり行くものもあれば、変わらず残り続けるものもある…。そんなことを思わせる句です。
○35 凍豆腐  作っている料理も和食、きっとクリスマスでもクリスマスイブでもない冬の一日。しかし心の中は、来たるべきクリスマスのことで弾んでいる。生活感と実感のある句です。
○43 三代の  この「三代」からどことなく、煤払いをしたのがどんな家か想像されます。かなり大きな日本家屋でしょうか。めでたい句ですね。
 01 うづたかき  「うずたかい」とは「積み重なって高く盛り上がっている」という意味。川のほとり擦れ擦れに黄葉がうずたかく積もり、その脇をおそらくそれほど大きくない川(私の印象では「小流れ」という語がふさわしい)がカーブしながら流れている。景の鮮明な句です。
 03 コピーせし  なかなか繊細なところを捉えていますが、それを一句の表現に定着させる上では、もう少し単純というか簡潔な方が良いのではないかとも思います。個人的には、例えば「コピーせし紙の乾きも師走かな」などという形の方が読み手が自由に読み込んでいけるような気がします。
 04 真夜中に  「服のまま」とはどういうことでしょうか。いわゆる外出着のまま寝ているということなのかな、とも推測しますが、「真夜中」とあっても寝ているとは限らないですし、室内か屋外かも不明です。私自身は具体的な描写の句を好みますが、抽象的な句も良いものは良いと思っています。この句は具体性が乏しく、抽象性の面でも中途半端な印象を受けました。
 05 街コンの  「街コン」とは街ぐるみの大規模なコンパのことだそうです。現代的な素材ですが、「見入る小春かな」では踏み込み不十分だと思います。
 06 切り株に  切り株に座ったのでしょうか、それとも切り株が机になっているのでしょうか。字数的にあまり細かく描写する余裕はありませんが、もう少し読みの手がかりになる要素が欲しいところです。もっと良くなりそうな気のする句です。
 07 気心の  「吹く」にココアのあつあつぶりが窺われ、何とも愛らしい句なのですが、中七の「で」がいかにも説明的なのが惜しいです。例えば「知れた同士や」「知れたる同士」など、「で」を使わない句形を御検討ください。
 09 初冬から  いわゆるブルー・スクリーンと呼ばれるWindowsの異常終了後の「青き画面」のことでしょう。「悩まされ」から十分推測できます。ただ、惜しむらくは上五、季語が単なる時期の説明になっています。冬の訪れを感じさせる別の季語で、もっと良いものがあるのではないでしょうか。ぜひ再考を!
 12 恐竜の  「恐竜を好きである」というのは状態。「恐竜の話ばかりする」「恐竜の真似をする」というのは動作。どちらかと言えば、状態よりも動作として描写する方が、より具体的かつ活き活きとした句になるように思います。
 16 雪降れり  チャントとはサッカーの応援歌のことだそうです。なるほど。野球メインの自分にとっては、確かにサッカーは寒い時期でもやっているスポーツという印象があります、当然雪の日も。句としては、「唇に」で少しロマンチックな感じになっているのがそぐわないような気もします。なお、プロ野球にて攻撃中にランナーが出た時の応援歌をチャンテ(チャンステーマ)と呼びます(今年知りました…)。
 18 部屋干しの  上五中七の描写、洗濯物がみんな垂れるのは、当然のことのような気がしてしまうのですが…。夕焼けの頃になっても乾き切っていないということでしょうか。
 19 十二月  先日「童子」の安部元気副主宰から、ある句について「このままでは単なる事柄の説明。『そういう発言をした誰か』を描写すればその場の臨場感も出せる」という趣旨の評がありました。この句の場合にも当てはまるのではないでしょうか。
 22 羽根付きの  神保町と言えば古書の街。鯛焼もよく似合います。
 24 蜜柑畑  気分の良い句ですが、「出会いけり」が大掴みすぎるような気もします。
 27 二日目の  「匂ひ」や「音」という言葉を直接使わずに匂いや音が感じられるように作られた方が、句に深みが増すように思います。例えば、「二日目のカレー煮はじむ冬籠」「二日目のカレー煮立てて冬籠」などなど、どちらも匂いは読み手に伝わると思いますよ。
 31 山眠る  「出入口」がどのような建物・施設の出入口か読み取る手がかりがあれば、もっと景がくっきりしてくると思うのですが。
 32 行く年の  鄙びた土地の地名ならともかく、「新宿」には広い意味での雑貨店は何十・何百とあるのではないでしょうか。そしてそれらも店によってテイストが違う。ちょっと具体性が乏しいです。
 34 地震止み  「力一杯聖樹」がよく分かりません。
 36 茶の花に  「鼻で口づけ」「ふっと妻」どちらも作者は意図した上でのことと思いますが、違和感のある表現です。
 38 クリスマス  山家といえば古くは西行などの隠棲する場所を思ったものですが、現代ではそんな場所にもクリスマスのイルミネーションが。なかなかに面白い句ですが、「なる」が正確かどうか。日本語としておかしいように感じます。
 40 滑空の  中七以降の描写、滑空の言い換えに過ぎないのでは? 例えば「青空を切るやうに鷹」と言えば、滑空であることは分かります。表現が重複しています。
 42 数へ日や  何ともさみしい歳末です。
 45 手を入れろ  「春手錠」ほど極端ではないにせよ、「冬堆肥」という季語はちょっと無理があるのではないでしょうか。手を入れて握る、というところなど内容的には面白いと思うのですが。
 46 右巻きに  どこかピントのずれたような句ですが、そこが漂々としていて、味になっています。
 51 迎撃の  まあ実際には迎撃どころかあっさり上空を通過されてしまった訳ですが…。余計に寒さの身に沁みることです。
 52 落書の  この落書の主が実際に「KILL・YOU」つまり人を殺したかというと、きっと殺してはいないのでしょう。死というものへの関心と、言葉の上だけでも他者の生死を自在にしたいという衝動は、思春期特有のもの。句の書き手はそこから少し距離をおいて眺めている訳です。中々に味わい深い句です。
 53 大賞の  何かご利益のありそうな賀状ですね。
 55 壊さるる  「黄水仙」とは少し気が早すぎるような…。気分はもう「春を待つ」なのでしょうか。
 58 柚子風呂を  「柚子風呂を延ばす」というのは、柚子風呂に入ろうと思っていたが果たせずにいるまま日を過ごしてしまうこと? それとも、冬至の日一日で終わらずにその後も続けて何日も柚子風呂に入ること? どちらでしょう?

 


来月の投句は、1月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら

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