ハルヤスミ句会 第百四十七回

2013年1月

《 句会報 》

01 靴に足ねぢ込む寒の鋪道蹴り    春休(タ・益・ぐ)

02 寒波来る岬の水仙ちぢに揺れ    遊介

03 初雪やいつもの人の置き薬     ちこ(一・タ・忠・順・鋼・春)

04 カーテンを開ける前から日向ぼこ  順一(第)

05 雪晴の二時より休むうどん屋よ   春休(て)

06 朝シャンの姉なり寒はゆっくりと  順一

07 黒猫の真上初空ありにけり     海音(遊・佳・鋼)

08 集ふ人一瞬の黙初日の出      ひろ子(ち)

09 御神鏡据えて鎮守の年支度     タロー

10 湯豆腐は後回しにして椅子を去る  順一

11 川風に尻を押さるる福詣      時人

12 焼芋が達磨の様な形かな      順一

13 飲み続け朝湯欠かさぬ三が日    山渓

14 こんとんの中へ顔出す初日かな   益太郎(第・遊)

15 かけ湯せぬ天罰足に極寒裡     順一(奥)

16 大寒の猫骨太の声出せり      ぐり(春)

17 駄菓子屋の大人買ひする初参    時人(奥・順)

18 凩や身の内過ぎて残るもの     益太郎(タ・波)

19 小走りに道路横切り寒に入る    第九

20 雪払ひたればサドルや濡れ濡れて  春休

21 大寒や女性車掌の声太し      第九(一・ち・山)

22 冴ゆる夜の馬油の瓶に馬の顔    ぐり(ち・て・佳)

23 野球部の五人乗り来し初電車    海音(佳・波・春)

24 おでん買ふ真白き足の女学生    山渓(第・奥・益)

25 稽古着のみるみる染みて冬の汗   ぐり(奥)

26 満腹と言えど差しだす雑煮椀    遊介

27 音立てて独楽のぶつかる弾き出る  ひなこ

28 買初や姉に土産の万華鏡      時人(山)

29 たつこんと大根を切る妻がゐる   一斗(て)

30 子供らに借金増やし雑煮餅     つよし(忠・海・益・春)

31 薺打つ百万石の囃し唄       ひなこ(一・山)

32 雪うさぎ呪ひ掛けて掌に載せる   波子(ち・益)

33 大門の扉軋みて寒の入り      遊介(◎山)

34 雪つむ夜隙無く函に入りし本    春休(タ)

35 ところどころラララで繋ぐ手鞠唄  ひなこ(忠・海・ぐ・佳・春)

36 雪明りバスじりじりと擦れ違ひ   忠義(奥・鋼)

37 g.u.のがらんと広き買初よ     てふこ

38 振袖の肩毛羽立つや裘       忠義(順)

39 一部屋に三つ掛けあり新暦     つよし(土・山・佳・波)

40 ここからのスカイツリーに冬の富士 ひろ子

41 リースから飾りになりて早四日   タロー

42 飽くまでも口にふくみし寒の水   遊介

43 どの年も気恥ずかしさの初仕事   第九

44 呉服屋のシャッター開かず雪達磨  忠義(一・海)

45 一箸に河豚は青磁の皿離る     山渓(ぐ)

46 手を磨りて息吹きかけて寒の入り  遊介

47 初芝居よく通る声のアナウンス   ちこ

48 背景に靜かな時計初写真      佳子(忠・順・波)

49 日面の雪の迫り出す大庇      山渓(土)

50 コロッケの湯気のぶつとき小正月  てふこ(遊)

51 恋の句を添へて届くきぬ皹薬    波子(鋼)

52 爬虫類館出でしマスクの尖りかな  佳子(遊・海・て・ぐ)

53 切株に座ればちくと日脚伸ぶ    春休(土・て)

54 小寒や日暈見あぐる老眼鏡     一斗

55 除雪車に燃料満たし次を待つ    つよし

56 蜜柑山メガソーラーが来るさうな  佳子(順)

57 雪片の白といふには昏き色     てふこ(一)

58 登校児の集合場所や雪降りて    山渓

59 松過ぎや名字の変わる知らせあり  ちこ(益)

60 堀端を白鳥一羽冬日差し      ひろ子

61 秘め事の有るかに寄り来寒鴉    波子

62 くしゃみして園児の列の止まりたる タロー(第・ち・土・遊・忠・海・波・鋼)

63 辞書になき言葉を探す冬の旅    益太郎(第)

64 人日の夜につけかえる靴の紐    一斗(土・タ・ぐ)

65 午後の日の差す白鳥の翼かな    海音  




【 一斗 選(一) 】
○03 初雪やいつもの人の置き薬 
○21 大寒や女性車掌の声太し  
○31 薺打つ百万石の囃し唄 
○44 呉服屋のシャッター開かず雪達磨
○57 雪片の白といふには昏き色

【 土曜第九 選(第) 】
○04 カーテンを  今年は特に寒いので、こういう感覚分かります。
○14 こんとんの  去年も色々あったし今年も大変そうな一年の初日の出なのでしょう。
○24 おでん買ふ  大根がすぐ連想され楽しい句です。
○62 くしゃみして  子供達の可愛らしい姿が目に浮かびます。
○63 辞書になき  厳しい中にも新鮮な発見がある北国の旅路でしょうか。

【 叶万里子 選(万) 】
(今回はお休みです)

【 中村時人 選(時) 】
(今回は選句お休みです)

【 奥寺ひろ子 選(奥) 】
○15 かけ湯せぬ  一年の始まりそうそうたいへんでしたね。私まで寒さがびしびしつたわってきました。他に天罰がありませんように。
○17 駄菓子屋の  十円を手に握り締めて、駄菓子屋に走った子供の頃を思い出します。今日だけは、好きなだけ買ってみたかったんですね。
○24 おでん屋に  味の浸みた濃いおでんと初々しい女学生の対比がおもしろいとおもいます。
○25 稽古着の  稽古に熱が入っている様子が伝わってきます。体はぽかぽかですが、稽古の後は、汗はよく拭いて、風邪をひかないようにね。
○36 雪明り  一月十四日の雪の日の出来事を思い出します。雪に戸惑いながらも雪明りが命綱ですね。

【 遠藤ちこ 選(ち) 】
○08 集ふ人  海に人が集まっているのでしょうか。初日の出が出る瞬間に静かになる様子が浮かびます。
○21 大寒や  声の太い車掌が女性というところが面白いと思いました。
○22 冴ゆる夜の  乾燥しているからわたしも年末から馬油を使いはじめました。瓶に馬の絵がかいてあります。
○32 雪うさぎ  かわいい雪うさぎに呪いを掛けるとはどういうことだろうと興味となんとも恐ろしい光景でとってしまいました。
○62 くしゃみして  これはかわいい。一人がくしゃみして列が止まってしまったのですね。

【 滝ノ川愛 選(愛) 】
(今回はお休みです)

【 土田ひなこ 選(土) 】
○39 一部屋に  三つも!捨てがたかったのでしょうか?
○49 日面の  日面がいい。
○53 切株に  少しづつですが確実に伸びます、ちくちくと。
○62 くしゃみして  止まった後のにぎやかさも想像されます。
○64 人日の  新しくして、頑張られるのでしょうか?刑事さんとか、営業の方でしょうか?などと。

【 小林タロー 選(タ) 】
○01 靴に足  冬山で朝、登山靴を履くときの感じですね。「舗道」を蹴りながらねぢこむのは急いで家を出たからでしょう。寒い朝、せわしい朝が良く出ています。
○03 初雪や  「いつもの人」があいまいととる人と そこが解釈の幅が広がって面白いととる人がいるでしょうね。私は後者ですが、彼(彼女)をいつもの人と呼ぶはずもないので、いつもくるけどそう親しくないだれか(いつもの富山の置き薬売りだったりして)が来た、と解釈しましたが、穿ちすぎか?
○18 凩や  自分ではこういう句は作れませんし作らないようにしているのですが、人のこういう句は気になるんです。中七下五のリズム感がいいのでしょうかね。
○34 雪つむ夜  ダンボール箱に徐々にだけれども終わってみればぴったり入りそうな気がするのは雪のせいです。
○64 人日の  おとそ気分もあけて、いよいよ人の世に打って出るぞ、と

【 森田遊介 選(遊) 】
○07 黒猫の  初空なんて知ったこっちゃない黒猫との対比がよいです。黒猫の黒と空の青がこの一句を鮮やかな景を与えています。(私事ですが、昨年まで黒猫と一緒でした。)
○14 こんとんの  上五によって現実の世界が実感されました。それによって更に季語の初日が効いています。全く今の世はコントンです。
○50 コロッケの  下五にうまく響いている上五です。小正月に食卓にのった庶民の味のコロッケ。コロッケで日常へリセットしたと言う感じでしょうか。しかも「ぶとき湯気の立つコロッケ」ですから、愛溢れる情景を思い浮かべました。
○52 爬虫類館  思わずクスリとしてしまいました。確かに博物館で多くの尖んがり面をみてきた後のマスク顔。面白い取り合わせです。マスクをしているのは作者なのかそれとも道行く人なのかも想像させます。
○62 くしゃみして  たぶん物凄いくしゃみを道中でしたのでしょう。立ち止まってしまった園児の顔を思い浮かべます。日常の一瞬(くしゃみは一瞬です)を捉えた情景が伝わります。

【 小早川忠義 選(忠) 】
○03 初雪や  恐らく置き薬業者の営業さんが過剰なくらいに謙ってらっしゃるのでしょう。そんな人が立ち去った後には静寂も一際といった感じで、初雪と響 いていま
す。
○30 子供らに  お金はあるところにはある、とはいっても血の繋がった子どもの方が金持ちであったとは。子どもの方がお餅を食べる数が多いし。「子供」は 「子ども」と書いて欲しいところ。
○35 ところどころ  言葉が無くったって歌が歌えます。それで楽しめるのだから手鞠歌が耳に残るのです。
○48 背景に  実を言うと写真の背景に静かな時計なんていうのはぎくしゃくした言い回しだと思うのですが、止まった時計でも機械音のしない時計でもない。 「静かな時計」を背景に据えるから面白いんです。写真なら時計の音なんか心配することも無いのに。
○62 くしゃみして  遅めに朝刊でも郵便受けに取りに行ったおじさんが大声を出してくしゃみをしたんでしょう。あるいは一列に並んでいた園児たちの一人がくしゃみをしたか。どちらに取られても面白い句。
 07 黒猫の  空の下とはよく言われますが、対象物の真上の空もよく言われるのでは。よほど猫が好きな方か。
 10 湯豆腐は  限定の「は」や、中八にわざわざ詠んで湯豆腐以外の何かがあったのか。人の心に引っかからせるつもりならもう少し調べを良くしておかない と。
 17 駄菓子屋の  大人買いって、まだ辞書に登録される言葉じゃないですね。もっと大切にするべき言葉がこのニュアンスでありそうです。
 50 コロッケの  一個だけじゃなくて複数個あるのでしょう。それがもっとありありと解るようにできれば良かったです。 

【 石川順一 選(順) 】
○03 初雪や  「いつもの人」に労りが感じられます。季語は「初雪」
○17 駄菓子屋の  季語は「初参」。「大人買ひ」に剛毅な感じが。
○38 振袖の  季語は「振袖」。「毛羽立っ」てどう感じたのでしょう、興味のある所です。
○48 背景に  季語は「初写真」。「静かな時計」に静謐感が感じられた。
○56 蜜柑山  季語は「蜜柑」あるいは「蜜柑山」。「メガソーラー」とは今風な。エコを思い浮かべました。プリウスとか。

【 湯木ねね 選(ね) 】
(今回はお休みです)

【 涼野海音 選(海) 】
○30 子供らに  俳句で経済問題が詠めるとは!雑煮餅という季語も決まっています。
○35 ところどころ  「ラララ」に納得。手鞠唄という季語が現代に生かされました。
○44 呉服屋の  閉店したのか、開店前か・・・。そんな呉服屋を見守るような雪だるま、いいですねー。
○52 爬虫類館  「マスクの尖り」という立体的な把握、なかなか出来ません。
○62 くしゃみして  「よく見るんだけど、なかなか詠めずにいたなあー」という一瞬を見事に捉えています。

【 松本てふこ 選(て) 】
○05 雪晴の  光景として気持ちがいい。休んじゃうの、勿体ない、みたいなニュアンスも感じさせつつ、うどん屋もきっと適度に古い店構えなんだろうな、美味しそうだなあなどと妄想が膨らみます。青空と雪の鮮やかなコントラストが豊かな景を呼び起こします。
○22 冴ゆる夜の  不思議な怖さがあります。使ったらお前も馬になってしまうよ…と話しかけてくるような馬の顔。そんなわけないのに。上五がファンタジックな要素や怖さをこの句に加えたんだな、と。いい季語の斡旋。
○29 たつこんと  個性的なのに説得力のあるオノマトペ、テンポ良い構成。大根も妻も互いに譲らぬ存在感。風景を詠み切っている。
○52 爬虫類館  マスクを取れば爬虫類顔が出てくる!? そんなわくわく。
○53 切株に  春先取りですね。春浅い頃の感じだな、と思います。ちく、のオノマトペがいじらしいというかかわいらしい。

【 足立山渓 選(山) 】
○21 大寒や  車掌さん風邪を引いたのだろうか。俳諧味ある一句なり。
○28 買初や  兄弟愛が羨ましい。
○31 薺打つ  昭和20年代、祖母が薺を打つ時、歌った頃のことが懐かしく思い出された。  
◎33 大門の  寒さが厳しくなってくると、木造建築の梁などが縮む際に音が発せられる。細かい点をよく観察されている。
○39 一部屋に  物が豊富な現代。どこの家庭でもいくつかのカレンダーを貰い、大半は押し入れに仕舞ってしまうが、仕舞わずに三つも掛けたということは、きっと素敵なカレンダーでしょうね。

【 川崎益太郎 選(益) 】
○01 靴に足  足をねじ込むが面白い。
○24 おでん買ふ  一昔前はおでんと言えば、屋台を連想したが、最近はコンビニを連想する。コンビニでおでんを選ぶ女子学生、その足が白いと。大根でも買うのかな?
○30 子供らに  新年早々、次世代に借金を負担させようとしている自民党。下五は、「お年玉」の方が面白いかとも思った。
○32 雪うさぎ  この呪いは他愛もない呪いであろう。雪うさぎと呪いの取り合わせが上手い。
○59 松過ぎや  名字が変わるケースは2通りある。結婚と離婚(死別を含む)である。いろいろ連想させて面白い。

【 草野ぐり 選(ぐ) 】
○01 靴に足  ねぢ込むがいかにも寒そう。 こつこつ舗道を蹴るたびに足がじんじんとしびれる様な寒さなのだろう。
○35 ところどころ  ところどころラララのちょっとひっかかるようなリズムがおそらくうろ覚えであろう手毬唄の感じが出ている。
○45 一箸に  薄く切られた河豚は青磁の皿に透け、それを一箸でざっと取って豪快に食す。うらやましい。河豚刺が皿を離れる場面がストップモーションのよう。
○52 爬虫類館  単純に風邪予防のためのマスクなのだが今さっきまでみていた爬虫類のあの顔と自分がなんとなく似てきているんじゃ、、。尖りがいいです。
○64 人日の  一月七日、正月気分も抜け、仕事も始まった。いつもの日常のさりげない一こま。背中を丸めて紐をつけかえている姿が浮ぶ。

【 二川はなの 選(は) 】
(今回はお休みです)

【 水口佳子 選(佳) 】
○07 黒猫の  この〈黒猫〉は野良だろうか。〈黒〉に妙に存在感がある。黒猫の真上の初空はもちろんそれ以外のものたちの上にも広がっていている。一つの黒い点から空間へと視点が広がっていくところがよい。(大悪人虚子の頭上に・・・という句もありましたっけ)
○22 冴ゆる夜の  〈馬油の瓶に馬の顔〉が描かれているのは当り前の事なのであるが、冷え冷えとした夜、その馬油を塗ろうとしたときにその顔にみられているようで、おかしいような怖いような。馬の舌がペロンと出てきそうで・・・
○23 野球部の 正月気分の抜けきらないうちに野球部は練習開始。大きな荷物を抱えて乗り込んできたところか。五人という数が多すぎず少なすぎずちょうど良い。その会話が聞こえてきそう。
○35 ところどころ  昔よく遊んだ手鞠。私は「あんたがたどこさ〜」などと歌っていましたが・・・それは全部歌えるけど〈ラララ〉でごまかさないと歌えないものもある。共感できていただいた。今どきの子は鞠つきなどしなくなった。 
○39 一部屋に  うちのリビングにも三つ掛けてある。ひとつひとつに違った役割がある。日常の何でもないことを、でも見逃しがちなところをとらえてあって、しかも笑える。
 ほかに気になる句
 34 雪つむ夜  好きな句です。動詞を整理するといいと思いますが。
 44 呉服屋の  開店していれば雪かきもしてあるだろうはずの場所に、誰かが作った雪達磨が寂しい。   
 57 雪片の  きれいな句だけどやや観念的かとも。
 65 午後の日の  白鳥の白さの際立つ句。でも何か物足りない感じです。

【 喜多波子 選(波) 】
○18 凩や身の内過ぎて残るもの  
○23 野球部の五人乗り来し初電車 
○39 一部屋に三つ掛けあり新暦 
○48 背景に靜かな時計初写真 
○62 くしゃみして園児の列の止まりたる 

【 鋼つよし 選(鋼) 】
○03 初雪や  03 初雪や、07 黒猫 二句とも言葉が簡潔で無駄がないところ良い
○07 黒猫の真上初空ありにけり
○36 雪明り  乗客がはらはら見つめている様が読み取れる。
○51 恋の句を  季題との落差が大きくて良い
○62 くしゃみして  引率の先生も列を止めて様子を見るんですね。
 選句のほかの佳句
 26 満腹と言えど差しだす雑煮椀
 31 薺打つ百万石の囃し唄
 44 呉服屋のシャッター開かず雪達磨
 53 切株に座ればちくと日脚伸ぶ
 56 蜜柑山メガソーラーが来るさうな
 以上よろしくお願いします。今回は沢山佳句があり、どれも良い句に思われました。

【 中村阿昼 選(阿) 】
(今回はお休みです)

【 小川春休 選(春) 】
○03 初雪や  置き薬のセールスマンの年に何度かの訪問、もう何年もおなじみの相手なのでしょう。今年の初雪は早いですね遅いですねなどといくらか言葉も交したことでしょうね。さりげない温かみを感じる句です。
○16 大寒の  寒いとちぢこまるのが猫というイメージがありますが、ちぢこまってばかりでは猫も生きていけません。寒くても、寒いからこそ声を出して主張せねばならないときもある。腹の据わった猫の姿が目に浮かびます。ただ太いのではなく「骨太」であるところも良いです。
○23 野球部の  新年早々練習でもあったのでしょうか、ぱっと見てすぐ野球部と分かるいでたちの五人が電車に乗り込んできた。折目正しい野球少年たちであれば電車の中で騒いだりはしないでしょうが、さてこの子たちはどうだったのでしょう。いずれにせよ、溌剌とした初電車の気分がよく伝わります。
○30 子供らに  この子供、何歳ぐらいを想定するかですが、けっこういい歳なんではないでしょうか、五十代とか。親の方は年金暮らしで余裕がない。子供の方では親に「あまり気にしないでよ」などと言うが、それでもやはり気になるものは気になる…。そんな家族関係を想像しました。
○35 ところどころ  歌詞が分からなくて歌を止めたりするのは何とも味気ない。分からない箇所は大らかにラララなりフンフンなりで繋ぐのが良い。個人的には「ラララ」はひらがなの方が、それと「繋ぐ」ではなく「つなぎ」とひらがなで言い流した形の方が、好印象という気がします。
 02 寒波来る  いかにも「寒波」らしい句ではありますが、水仙を揺らす風という要素は、寒波に含まれているものではないでしょうか。重複する部分、言わずもがなの部分はなるべく省略し、広がりのある句にしてほしいところです。
 04 カーテンを  カーテンを開けるのは誰か、日向ぼこしているのは誰か、今一つはっきりしない句です。
 06 朝シャンの  夏場はぱぱっと済ませ、冬は寒いからじっくりシャワーを浴びる。それも道理ではありますが、句としては面白味に欠けます。
 07 黒猫の  当たり前のことを言って成功する句もない訳ではありませんが、初空が真上なのは当たり前だと思います。「ありにけり」も詠嘆するばかりで特に意味は持っていない。もう少し、黒猫と初空の取り合わせをフォローする言葉や要素が必要でしょう。
 08 集ふ人  日の出の瞬間を詠まれているのだと思うのですが、「集ふ人」という表現だと今まさに集まってきている人という感じがします。また「集ふ」と「黙」の二つの動作があることで、焦点がばらけている感もなきにしもあらず。例えば「一同の一瞬の黙初日の出」のような表現の方が安定するのではないでしょうか。
 10 湯豆腐は  「後回し」ということは後で戻ってきて冷えた湯豆腐を食べるつもりなのでしょうが、それではいかにも不味そう。やはり美味しいものは美味しい時に、湯豆腐はあつあつの時にこそ食べるべき。
 12 焼芋が  こういう見立てを楽しむのは、やはり一緒に食べる相手があればこそ、という感じがし、あたたかな雰囲気まで伝わってきます。好感を持った句です。
 13 飲み続け  報告になってしまっています。
 14 こんとんの  敢えて漢字で書かず「こんとん」と書いたところに微妙な味わいがあります。浮世という混沌の中に現れ出る初日、とても印象的ですが、「顔出す」という見立ては少々安易ではありませんか。そのような見立ては用いずとも、ストレートに「こんとんの中へ初日ののぼり来る」などで充分だと思うのですが。
 17 駄菓子屋の  「大人買ひ」という語は慣用句的(猫の額ほどとか烏の行水とかと同様)で、意味は分かりますが景としてはあまり具体的でない。他にもっと描写すべきポイントがあるのではないでしょうか。
 19 小走りに  道路と言ってもいろいろあります。これがどんな場所の道路か読み取れるように作られていれば、句の輪郭がよりしっかりして来ると思います。
 21 大寒や  先ほどは猫、今度は女性車掌が太い声を出しています。ただ、季語の効き方で言えば、猫に軍配を上げたいと思います。
 22 冴ゆる夜の  馬油の瓶に馬の顔とはいかにも効果のありそうな馬油ですが、原材料がはっきり分かると、何やら複雑な心境にもなります。このようにされると、食にまつわる罪悪感のようなものが、馬油でも湧いてきます。不思議な実感のある句です。
 24 おでん買ふ  もしかしてこの女学生、神野紗希さんでしょうか。
 28 買初や  「姉に土産の万華鏡」というフレーズは無駄なく素直で良いと思うのですが、「買初」は理が付くように感じます(「買」の字と「土産」の組み合わせ)。新年の季語には他に良いものが沢山あると思うのですが。      
 29 たつこんと  独特ながらすんなりイメージさせてくれるオノマトペが秀逸。句全体の佇まいも好ましいですが、少しゆったりし過ぎのような気がしないでもない。例えば「たつこんと大根(だいこ)切る妻」と言えば下五が丸々空く。ただここに何か加えると原句の佇まいは崩れてしまいそう。やっぱり原句が良いのかなぁ、といろいろ考えさせられた句です。
 32 雪うさぎ  「呪ひ」、おまじないですね。語順は「掌に載せて呪ひ掛けて雪うさぎ」の方が自然で語呂も良いようです。「載」「呪」「掛」が漢字で「うさぎ」がひらがなという表記の使い分け、少し印象が硬い気もします。「載」「掛」はひらがなで良いのではないでしょうか。
 37 g.u.の  「g.u.」に縁がない私は早速ネット検索してみましたが、UNIQLOとダイエーが業務提携して作った低価格衣料品店とのこと。UNIQLOでも大概低価格だと思うのですがさらに安いのでしょうか。しかしお客さんも少なそうで、品質に問題あるのかな、と心配になる句です。
 39 一部屋に  貰い物のカレンダーがあると、こういう状況になってしまうことがありますよね。
 40 ここからの  スカイツリーと富士山とが同時に拝めるとは絶景ですね。個人的な好みもあるでしょうが、こういう内容の句は上五にびしっと切れを入れたいですし、中七の「に」も少し緩いような気がします。例えば「ここからやスカイツリーと冬の富士」でしょうか(「や」は「ぞ」でもありかな)。
 41 リースから  句意はおおよそ分かりますが、厳密には「リース」も「飾り」なのではありませんか。
 42 飽くまでも  何が「飽くまで」なのかよく分からないのですが、寒の水は冷たいけど頑張って口に入れたよ!ということなのでしょうか。
 43 どの年も  例外がない訳ではありませんが、「毎年こうですよね」という内容の句は、読み手をはっとさせるものに欠ける。「気恥ずかしさ」という一語で片付けてしまわないで、そうした心の動きを窺わせる仕草や振る舞いを描写した方が、より実感のある句になるのではないでしょうか。
 45 一箸に  しっかりと物が見えてくる句ですが、それだけに、切れを入れるなど言い回しに工夫の余地がありそうな気がしてなりません。もっと鮮やかな句になりそうな気がします。
 46 手を磨りて  うーん、この上五中七、直接書いてはいませんが「かじかむ」という季語そのものです。本格的に寒くなる寒の入りに手がかじかむのは当然のこと、そこからさらに深く踏み込んで、何かを見つけ出してほしいところです。
 47 初芝居  うーん、中八なのも苦しいですが、アナウンスとはそもそも「よく通る声」でするのが基本なのではないでしょうか。もっと初芝居を観に行った人しか気付かないようなポイントをつかんで句にしてほしいです。
 48 背景に  「背景」というぐらいですから、それなりに大きな時計なのでしょう。この句のポイントは「靜かな」だと思いますが、個人的には、初写真の中の時計が静かなのは当然という気がして、共感できませんでした。それよりどのような時計かを具体的に描写してほしいです。
 50 コロッケの  何とも美味しそう。いわゆる正月にはおせち料理などが幅を利かせていますが、小正月にはいつもの家庭的な料理なども食卓を賑わせます。
 51 恋の句を  皹薬を送ってくれたこの御仁、なかなか粋ですね。採りたかった句です。
 52 爬虫類館  マスクの尖りが爬虫類の流線型の横顔と重なる、面白い句ですね。
 55 除雪車に  「次」とは次の積雪でしょうか。それとも次の給油でしょうか。
 56 蜜柑山  後継者がいない蜜柑山か、それとも蜜柑山に隣接する土地か、メガソーラー設置予定との情報を聞きつける。下五の「来るさうな」にそこに暮らす人の素朴な驚きのようなものが滲んでいて、なかなか味のある句です。これも採りたかった。
 60 堀端を  白鳥は冬の季語、冬日との季重ねは効果的ではありません。
 64 人日の  正月休み明け、翌日から仕事始めだから靴紐を替えるということでしょうか。それだと少し理屈っぽい気がしますが…。

 


来月の投句は、2月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら

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