ハルヤスミ句会 第百四十九回

2013年3月

《 句会報 》

01 乳母車に春の霙の降り来るよ   てふこ

02 言葉まう費やしはせず抱卵期   ぐり(波)

03 むくむくと太くなりゆく雪柳   遊介(奥・ち・順)

04 紫陽花の冬芽の下に二つの目   ひろ子

05 春の宵着替えを入れた紙袋    ちこ(遊)

06 羊羹を食べたる春の深夜かな   順一(の・タ)

07 口の端に海苔つけてゐる春の風邪 ぐり(愛・遊・て・佳・波)

08 ホワイトデー必ず偏頗の父である 順一(益)

09 霾るや伸ばしつつ結ふ靴の紐   てふこ(土・タ・海・春)

10 同郷の語尾がいっしょや花水木  ちこ(愛・山・ぐ)

11 トラクタの轍につづく春の色   一斗(佳)

12 春の浦おほきな鳥は風に乗り   ひなこ(奥・ち・タ・順)

13 春陰やピンクの方の蜜を吸う   ちこ(タ)

14 道路鏡ばかり拒める雪女郎    波子

15 干し竿に絡むティシャツ春一番  遊介

16 デジタル化見送り春の風強し   順一

17 草臥れし足は足湯に花朧     ひなこ(一)

18 春野菜並ぶ市場に風通る     遊介(の)

19 ホットコーヒー春愁いくつ入れますか 佳子(土・順・て・益)

20 春塵に塞ぎたきもの目鼻口    ひろ子(愛)

21 菜の花や丘に十基の発電機    山渓(一・奥・愛・海・鋼・春)

22 ひなあられ千人分の給食の    春休(土・海・て・ぐ・鋼)

23 老幹の裂け目をいやす雨水かな  益太郎(第・鋼)

24 白日のその淋しさの雛かな    佳子(一・益)

25 鳥交る木でも川でも大地でも   タロー(益)

26 雛の宴まづは婆さま起こしきて  つよし(遊)

27 夕暮の新聞受けや沈丁花     山渓(ち・海)

28 人籠る煙霧の街や辛夷咲く    タロー(奥・愛・鋼)

29 認知症と下る母なりふきのたう  つよし

30 春めくやPM2.5の恐怖    益太郎

31 遠すぎて思ひ出せぬも朝寝覚   春休

32 どこまでが店の客だか草団子   一斗(遊・ぐ・波・鋼)

33 コンビニのうるんで見ゆる春灯し 杏(ち・順・山)

34 蛍烏賊魚津の沖を青く染め    のりひろ(奥・山)

35 バス待ちの列に加わる新社員   奈保(の・タ・山)

36 起こされて昨夜とおなじ雛の顔  一斗

37 雲の上を一羽過ぎゆく朝寝かな  海音(第・ぐ・佳)

38 自販機にコールド増えて春めける 奈保(の)

39 耳奥のあかるく木々の芽吹きけり 佳子(海・鋼・春)

40 青き眼の遍路にあひし花の下   海音(て)

41 マッコリの瓶の純白あたたかし  てふこ

42 梅桃甘え上手になりにけり    杏(の)

43 望遠鏡覗けば海や建国日     海音(一・第・土)

44 屋根替の屋根に座りて電話かな  タロー(一・土・て・春)

45 巣づくりのかなりちよこまかしてをりぬ ぐり(佳)

46 シャッフルの左脳右脳や大試験  波子(ぐ)

47 花の影踏みて城趾をのぼりゆく  ひなこ(第・波)

48 受験生深夜ラジオに齧り付き   のりひろ(第)

49 手向けたるもの倒し去る春嵐   ひろ子

50 一浪のちりちり背中犬ふぐり   波子(益)

51 リックには寿しや玉子や遠足児  山渓

52 フレームの青き眼鏡や春の空   奈保(ち)

53 半割りやはた三つ割りや薯を植う つよし(山・波・春)

54 雀の巣しづくほどなる花そこここ 春休(佳)

55 耳元の君のささやき梅三分    益太郎(遊)

56 女の子白酒呑んで頬染める    のりひろ

57 藻草生う金魚鉢に赤点々     杏  




【 のりひろ 選(の) 】
皆さんのような解説は初心者で出来ませんが、好きな句に票を入れさせていただきました。よろしくご査収くださいませ。
○06 羊羹を食べたる春の深夜かな
○18 春野菜並ぶ市場に風通る
○35 バス待ちの列に加わる新社員
○38 自販機にコールド増えて春めける
○42 梅桃甘え上手になりにけり

【 一斗 選(一) 】
○17 草臥れし足は足湯に花朧
○21 菜の花や丘に十基の発電機
○24 白日のその淋しさの雛かな
○43 望遠鏡覗けば海や建国日
○44 屋根替の屋根に座りて電話かな

【 土曜第九 選(第) 】
今回は選句のみの参加とさせていただきます。
○23 老幹の  自然の持つ雄大な力を感じます。
○37 雲の上を  休日のゆったりした朝をイメージしました。
○43 望遠鏡  海と国で寺山の短歌を思い浮かべました。
○47 花の影  満開の桜のトンネルを歩いているようです。
○48 手向けたる  穏やかな春に吹き荒れる嵐の無神経さを感じました。

【 奥寺ひろ子 選(奥) 】
○03 むくむくと  白い小さな花の開花とともにしなって倒れそうになるぐらい白いかたまりとなってきますね。
○12 春の浦  景色が目にみえてきます。 風に乗って優雅に飛んでいるように見えますが、、、、?
○21 菜の花や  これからこんな光景がふえていくのでしょう。
○28 人籠る  辛夷の白い花も息苦しかったにちがいありません。
○34 蛍烏賊  蛍烏賊の大群でにぎわったことでしょう。

【 遠藤ちこ 選(ち) 】
今日は選句だけですみません。
○03 むくむくと太くなりゆく雪柳
○12 春の浦おほきな鳥は風に乗り
○27 夕暮の新聞受けや沈丁花
○33 コンビニのうるんで見ゆる春灯し
○52 フレームの青き眼鏡や春の空

【 滝ノ川愛 選(愛) 】
○07 口の端に  海苔をつけているのは幼児でしょうね。まあ春の風邪なので軽いのでしょう。食欲もあり、早く治るといいですね。
○10 同郷の  私は方言のことは良くわからないのですが、同郷の方は初対面でも、すぐ分かるのでしょう。 花水木の季語がやさしい、ほっとするような気持ちを良く表しています。
○20 春塵に  煙霧やら黄砂やら、はた又PM2.5と。出入口はすべて塞いでしまいたい心境のこの頃です。
○21 菜の花や  のどかに菜の花が広がる丘に、何とまあ無粋な風力発電機が十基も。これも地球に人にやさしい環境作りの為なのですね。
○28 人籠る  先日多摩川を電車で渡っていた時に煙霧に取り囲まれました。でも辛夷は季節を忘れずに今年も咲いています。

【 土田ひなこ 選(土) 】
○09 霾るや  霾る頃はもうシューズですね。
○19 ホットコーヒー  コーヒーに春愁はいりませんが、この句はいいです。
○22 ひなあられ  千人分、どれくらいの量か想像できませんが、千がいいと思います。
○43 望遠鏡  海がいいですね。
○44 屋根替の  のどかさと暖かさを感じました。

【 小林タロー 選(タ) 】
○06 羊羹を  理由はわからないが、食べちゃった。食べなきゃならないわけがあったとも思えないのは「かな」止めの切迫感の無さでしょう。春の深夜ならそれも許すかと〜
○09 霾るや  伸ばしつつ が良くわからないが、こんがらかった自分と紐の状況は霾天のようだということ、かな。深読みしすぎか。
○12 春の浦  大きいものほどゆっくり動きます。
○13 春蔭や  春の曇空をバックでは明るい花が良い、鳥(虫?)には色はないというけど
○35 バス待ちの  バスに並ぶことで社会活動への参加も認識されようというもので
しょう。 

【 森田遊介 選(遊) 】
○05 春の宵  春の宵に旅行の準備をしているのでしょうか?それともいますぐに家を出なければならないのでしょうか?破れやすい「紙袋」がドラマチックな想像を掻き立てます。
○07 口の端に  年頃のお嬢さんを観ての一句なら面白いです。春の風邪なんか引いちゃって、もう嫌!と言いたげな。だらしなく一日家でごろごろしている様子が伺えます。
○26 雛の宴  ひな祭りを祝う家族の賑やかさが伝わります。何はともあれお婆様が居なくてはお祝いにはなりません。愛情豊かな一句です。
○32 どこまでが  団子屋の店先にはたくさん客がいるけれど、はたして皆が買っていくのだろうか?店主の心持ちなのかそれとも作者は買おうとしてどの人の後ろに並んでいいのか?
草団子でなく蓬餅を想像しました。
○55 耳元の ささやく君が若い人なら恋愛進行中の一句ですが、三分咲きの梅ですから多分熟年カップルでしょう。「もうちょっと大きい声で話して下さいよ」と思っていてもにっこり笑いながら二人で老木となった梅を鑑賞する熟年カップルの穏やかな気持ちがありそうです。

【 小早川忠義 選(忠) 】
(今回はお休みです)

【 石川順一 選(順) 】
○03 むくむくと  擬人化と言うのでしょうか、如何にも成長が楽しみなうきうきした気分が伝わってくる一句
○12 春の浦  まさに風に乗っている。春の海は鳥で満ちている
○19 ホットコーヒー  あまり説明の要の無い佳句かと。。
○33 コンビニの  コンビニは大景にも小景にもなり得る。潤んでいるのは我が眼では無くてコンビニではないか。

【 湯木ねね 選(ね) 】
(今回はお休みです)

【 涼野海音 選(海) 】
○09 霾るや  靴紐を結んでいる様子の細かな描写が巧い!
○21 菜の花や  発電機という現代的なものと菜の花が調和。
○22 ひなあられ  千人分のひなあられを大胆に詠んでいます。「千人分」に圧倒されました。
○27 夕暮の  誰かの手紙を待っているのでしょうか。沈丁花の香が人影を包んでいるようです。
○39 耳奥の  春の息吹が全体的に感じられる一句。耳までも芽吹きに反応しているようです。

【 松本てふこ 選(て) 】
○07 口の端に  ちょっと微笑ましいレベルで隙があるところが「春の風邪」ですね。「海苔」というのも春らしくて、でもつきすぎな感じが無くて。
○19 ホットコーヒー  コーヒークリームを春愁とダブらせる発想、すごくよく分かります。疑問形の使い方がちょっと川柳っぽい気もしましたけど。
○22 ひなあられ  人数を詠み込む句って作ると楽しいんですよね。吟行でその日の人数の句を作って出すとちょっと内輪ノリで楽しめるし。この句の千人は人数が動かなくて確かな印象。
○40 青き眼の  外国人なのにこんなことを、っていう内容の句ってよくあると思うのですが、ここまで真っ正面からやると逆に新鮮。ただ「あひし」とわざわざ言う必要があるかな? とも思うのだけど。下五からこの西洋から来たお遍路さんの人物像を想像しても面白い。話しかけたら「サイギョウ、スバラシイ。ワタシ、トテモ、リスペクトシテル」と、少しぎこちない日本語が返ってきそう。
○44 屋根替の  建売ばかりの住宅街で育ったので自分は馴染みのあまりない季語なのですが、ああ、こういうこともあるのかな、と思わされました。こんなところで電話! というのもよくありますが、開放感と若々しさでさわやかに読ませてますね。

【 足立山渓 選(山) 】
○10 同郷の  常套句の「国訛」ではなく、「語尾がいっしょ」このフレーズに感服。
○33 コンビニの  中七の措辞が季語とよくマッチしており、一読景が浮かぶ。
○34 蛍烏賊  テレビで見る「蛍烏賊漁」の景そのまま。一度見てみたい。下五を連用形で…。上手い技法だ。
○35 バス待ちの  約50年前を思い出します。報告書ですね。
○53 半割りや  上五に助詞の「や」そして切れ字の中七の「や」。技法に感心。馬鈴薯は確かに半分に切ったり三つにきったりしますよね。屋敷畑で家内が植える用意をしている景そのままだが、句はできなかった。

【 川崎益太郎 選(益) 】
○08 ホワイトデー  ホワイトデーは、バレンタインデーに比べて何となく落ち着かない立ち位置にある。それを偏波という難しい言葉で表現した。
○19 ホットコーヒー  コーヒーに砂糖の替りに春愁を入れる。春愁を癒すコーヒーに春愁を入れるという発想に感心。
○24 白日の  きれいな雛に浮かぶ淋しさ。白日の中にこそ、その淋しさが際立つ。
○25 鳥交る  木、川、大地と3つ並べた。当たり前のことだが、なぜかおかしみを感じる。
○50 一浪の  ちりちりと犬ふぐりと取り合わせが上手い。一浪の心境がよく出ている。「一浪の背中ちりちり犬ふぐリ」とした方が、リズムが良いと感じた。

【 草野ぐり 選(ぐ) 】
○10 同郷の  花水木の取り合わせで同郷の懐かしさやほっとした感がより出ていると思う。
○22 ひなあられ  小学校の3月3日の給食に、きっと小さなひなあられの小袋がついたのだろう。千人分が豪快でいい。
○32 どこまでが  桜の頃、こんな光景よくみかける。お店の人もそっちに気を取られていられないほど忙しい、かきいれどきだ。
○37 雲の上を  至福の時間です。布団にはいってぼんやりとしたまま窓から見る空。大きな鳥がゆっくりと飛んで行く。
○46 シャッフルの  試験の緊張感をこんな風に表現できるんだ。面白いです。

【 二川はなの 選(は) 】
(今回はお休みです)

【 水口佳子 選(佳) 】
○07 口の端に  春の風邪のけだるい感じ。ダラーっと過ごしている作者の姿が見える。〈つけてゐる〉でいいのかなあと思いつつ。(ついてゐるでもいいような)
○11 トラクタの  トラクタは農作業をしているのか、或いは牧場あたりの景かもしれない。その轍の先に芽吹き始めた木々や青々とした草が広がっているのだろう。トラクタが春に向かってゆっくりと進んでいくような。
○37 雲の上を  朝寝だから室内にいるのだろうが、そこから屋外が見えているのだろうか。ゆっくりと雲の上をいく鳥に思いをはせているのか、それともこの一羽は夢の中の光景なのかもしれない。不思議な感覚を覚えた。
○45 巣作りの  ちょこまかという表現が何だか俳句らしくなくていいなあと。〈巣〉以外の文字がすべて平仮名なののも小枝や雑多なものが入り混じった鳥の巣のようすを表わしているようでおかしい。〈かなり〉という言葉がやや気にはなった。
○54 雀の巣  〈しずくほどなる花そこここ〉がちょっとまどろっこしいなあとも思ったが、〈そこここ〉という言葉が、雀が巣を出たり入ったりする様子まで想像させる。
ほかに気になる句
 01 乳母車に  乳母車という言葉ももう最近はあまり聞かなくなったなあとちょっと懐かしい感じ。〈に〉がなくても良いかなあとも。
 12 春の浦  ゆったり感がいいですね。
 22 ひなあられ  視点がいいけど語順はこれでいいのかなあ。
 32 どこまでが  評判の団子屋さんで狭い間口に人が溢れている様子でしょうか。とぼけた感じが面白いなあと。

【 喜多波子 選(波) 】
○02 言葉まう  抱卵期が季語だとは知りませんでした。勉強になりました。
○07 口の端に  症状も軽そうで、なんだか有りそうでくすっとしました。
○32 どこまでが  行列の好きな国民性を句にして 上手です。
○47 花の影  どこの城址なのかと思い巡らした好きな句です。
○53 半割りや  もう薯種を植えれる事が羨ましい!楽しい句です。

【 鋼つよし 選(鋼) 】
○21 菜の花や  菜の花の措辞で巨大な機器も絵になっている。
○22 ひなあられ  ひなあられという小さな菓子も千人分ともなると大きな景色をイメージする。
○23 老幹の  この句も大きな景と雨水の取り合わせが良いと思います。
○28 人籠る  小高いところから町を俯瞰している様子が良い。
○32 どこまでが  行楽地の景色だろうか、客だか通行人だか、おかしみがある。

【 中村阿昼 選(阿) 】
(今回はお休みです)

【 小川春休 選(春) 】
○09 霾るや  中七下五、動作の描写として優れているばかりでなく、ゆったりとした言葉の運びが、せかせかした毎朝の出勤風景などとは別の、例えば旅の出発などを思わせる。そうした想像を支えているのが、上五で打ち出された景の大きさ。
○21 菜の花や  以前、メガソーラーが来るそうな、という句もありましたが、こちらは発電機の句。現代の景であり、同時に景が大きいのが良いですね。菜の花も良い。海の見える、見晴らしの良い場所でしょうか。
○39 耳奥の  光に溢れた感じ、芽吹きが聴覚的に聞こえてきそうな感じ。感覚的な句ですが、すとんと胸に落ちる句です。上五、「耳の奥」とした方が好みです(「みみおくの」が少し窮屈なのと、「おく」「るく」の脚韻が生まれるので。しかしそれを言い出すと下五も「芽吹くかな」などとしたくなる…)。
○44 屋根替の  電話としか書かれていませんが、明らかに携帯電話の句。固定電話の時には考えられなかった身軽さが身上ですが、そんな見晴らしの良い場所で電話をしたら、ついつい声が大きくなりそうですね。
○53 半割りや  実際に植える人でないと気付きそうにない事柄が読まれていて、臨場感があります。「や」を連ねた言い回しも勢いがあって良いです。
 01 乳母車に  確かにこの語順では、上五に「に」は有った方が良く、必然性のある字余りとも言えるのですが、語順を変えて下五に乳母車を持ってきた方が句が安定するように思います。例えば「降り来るは春の霙よ乳母車」などなど。
 02 言葉まう  求愛の時期を過ぎ抱卵期となると、鳴くことが少なくなるのでしょう。着眼点は非常に良いと思うのですが、鳥の鳴き声を「言葉」と言い換えるのには少し抵抗があります。優れた着眼点を活かすには、こうした見立てのような表現は用いず、「あまり鳴かない」ということを具体的に述べた方が良いのではないでしょうか。
 03 むくむくと  気分としてはよく分かるのですが、「なりゆく」という部分に、不用意に長い時間の経過が詠み込まれているように感じます。「太くなりゆく」ではなく「太い」と瞬間の景として言い切った方が印象が強いのではないかと思います。
 04 紫陽花の  紫陽花の芽の下から人の目が覗いていたということ? どんな目だったかを形容するのに「二つの」より良い表現があるように感じます。その部分によって、もっと句が生き生きとしてくる可能性を秘めている。
 05 春の宵  さてこの着替え、旅行か入院か、それとも…。紙袋というところから、どうも入院かなぁという気がします。せっかくの春の宵なのに、入院とはさみしいですね…。
 07 口の端に  おにぎりか、お茶漬けか雑炊の海苔でしょうか。何とも母性本能をくすぐられます。
 10 同郷の  花水木、少し気が早い気もしますが、今ぐらいになると花の咲くのが待たれますね。同郷というからには、やはり都会に出た人。郷里の花水木のことも、念頭にあるのかもしれません。
 11 トラクタの  春になると生い出る草の緑、散る桜のうすもも色、霞んだ空のぼんやりした青、いずれも「春の色」と言えるかと思います。ちょっとこの句での使われ方では、漠然とした印象です。
 12 春の浦  景が大きくて、気分の良い句です。
 14 道路鏡  「ばかり」で読みがぶれます。「だけは」という意味にも取れますし、「たくさんある」という意味にも取れる。こうした曖昧さは解消したいところですが、雪女が鏡を避ける、という筋自体も少し理屈っぽいような気もします。
 15 干し竿に  上五中七で強い風が吹いていることは充分に伝わります。「春一番」ではその内容とダブる。風ではない季語で、もっと良い季語があるのではないでしょうか。
 17 草臥れし  花朧と足湯の取り合わせは良いと思うのですが、中七の足と足湯の重複も気になりますし、草臥れたから足湯にというのも少し理屈っぽく感じます。どんな足湯だったか、どんな風に足湯に入ったか、そういう所から観察を深めていってほしいです。
 19 ホットコーヒー  例えば母と娘。コーヒーを淹れても、物思いにふけって心ここにあらずの娘に、母からの、心の中の一言。そんな風に想像してみたりしました。
 20 春塵に  これも気分は非常によく分かる句。理屈と言えば理屈の句なのですが、中七下五の畳み掛けるような詠みぶりがなかなか面白く、一句を成立させているのではないでしょうか。
 23 老幹の  「雨水(うすい)」は「二十四節気の一。2月19日ごろ。水ぬるみ、草木の芽が出始めるころ」の意。どうもこの句では、これに雨の意味をも併せ持たせようとしているようですが、それはちょっと無理なのではないでしょうか。
 24 白日の  「その淋しさ」が一句の答えになっている感ありです。
 25 鳥交る  句のリズムの楽しさはあるのですが、少し視点がばらけてしまっている感じもします。
 26 雛の宴  何でもない一場面をさりげなく詠んだようでいて、「まづは」からいろいろと想像が拡がります。
 30 春めくや  こうした時事の句材も詠み込む積極性は買いたいところですが、「恐怖」というまとめ方は少々乱暴なのでは?
 32 どこまでが  常連客、馴染みの客というものは、一見客なのか店員の家族なのか、見分けが付きませんね。観察眼が活きている句です。
 35 バス待ちの  通勤などの移動手段を把握し、慣れるのも仕事のうち。新社員のまだ不慣れな様子が見えます。遅刻などしなければ良いのですが…。
 37 雲の上を  この世ならざる感に引かれます。
 40 青き眼の  こういう内容の句の場合、大きな物から詠み始めて、どんどん焦点を絞っていって、最後に一点にピントを絞る。そうした方が強い句になるのではないかと思います。例えば「花の下にあひし遍路や眼の青き」のような感じに。
 43 望遠鏡  景としても、季語の気分としても、出来ている句だと思うのですが、もう一つ踏み込みが足りない気もします。
 45 巣づくりの  巣作りの様子をあっけらかんと詠まれていて好感を持ちましたが、「かなり」が曖昧なせいで句がぼんやりしているような。中七が字余りになりますが、「巣づくりのちよこまかちよこまかしてをりぬ」で良いと思います。
 46 シャッフルの  試験の緊張で頭が混乱しているということでしょうか。
 49 手向けたる  「手向けたるもの」という言い方が良いですね。「春嵐」を上五に持ってきて、「春嵐手向けたるもの倒し去る」とするのも、余韻があって良いかと。
 52 フレームの  シンプルですが、気分の良い句です。
 57 藻草生う  この「赤点々」は金魚のことでしょうか。それとも他の何か?

 


来月の投句は、4月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら

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