ハルヤスミ句会 第十五回
2001年12月
《 句会報 》
01 紅葉浮く みなも下には 錦鯉 真也 02 鉄塔の林立冬の朝日かな 阿昼(ふ・春) 03 猫の尾や小春の土をなぞりては 春休(ふ・つ) 04 手袋の落ちたるまるで手のごとく ふみ 05 ストーブの前にべそかく子供かな 阿昼 06 香りきく 垣根山茶花 君が髪 真也 07 マスクした人多し夜の映画館 ふみ 08 蛍火のやうなストーブでありにけり つよし(呂) 09 ずりずりと炬燵出づれば襖かな 阿昼 10 これもまた中国製やちゃんちゃんこ つよし(阿・呂) 11 雪の夜の電話の響く廊下かな 春休(つ) 12 子供等の歌はてもなく聖夜かな ふみ 13 団子屋の目は団子の目クリスマス 真也(阿・つ・春) 14 助手席の君の寝言も聖夜かな 春休(ふ) 15 泡盛に舌のしびるる年つまる つよし(阿・◎呂・春) |
【 中村ふみ 選 】 02 鉄塔の 鉄塔の無機質な感じと、冬の朝のきんと澄みきった空気とが響き合って、とても硬質な空間を生み出している。無駄なものを省いたストイックな美しさがあると思う。 03 猫の尾や 「猫の尾や」と切れている理由がちょっとわからなかった。土をなぞっているのは猫の尾ではないの?でも、猫の尾ってかわいいからとってしまった。もう少し表現を変えてみたらいいのではないかと思う。 14 助手席の ひえ〜、こんな句作るの誰?と思いながらもとってしまった。だって、こういう句作る人って、私の周りにあまりいないから。実はこういうのもわりかし好きです。 【 中村阿昼 選 】 ○10 これもまた ずっと昔ばあちゃんがちゃんちゃんこを縫ってくれたような気がするが、そんな手作りの物ってこれからどんどん少なくなってゆくんだろうな。 ○13 団子屋の 団子の目ってどんなんだろう。まんまる? 漫画チックで面白い句。町がクリスマスムード一色になっても便乗せず、昔ながらの団子一筋の団子屋さんなのかも。 ○15 泡盛に 忘年会かな。でも大騒ぎというより、親しい仲間でしみじみという感じがする。 03 猫の尾や 小春の土と猫の尾は好きなんだけど、「なぞる」という言い方がいまいち。ずっとなぞり続けているような感じがするからかなあ。 04 手袋の 「手のごとく」がわからない。手の形のまますっぽり抜けちゃったってことかなあ。 【 沼呂木 選 】 ◎15 泡盛に 舌と同じほどしびるる年でしたね。痺れたままでの継続だけは避けたいものです。「つまる」でけじめをつけたいとの願いでしょうか ○08 蛍火の ○10 これもまた 追伸:投句できませんでしたので選句だけ参加させて頂きます。 【 鋼つよし 選 】 03 猫の尾や 小春の土をという捉え方がなかなかのもの 11 雪の夜の 電話というイメージは、僕の場合はまだ黒色、雪の白、夜の黒、電話の黒、廊下の薄明りとが合成されているようで。 13 団子屋の 俳諧、滑稽という範疇に入る句だろうか、クリスマスを上五というのもあると思う。 *本年一年ありがとうございました。来年もよろしく。 良いお年をお迎えください。 【 小川春休 選 】 ○13 団子屋の 団子屋さんの目が団子のようである、という直喩ではなく、「団子屋の目は団子の目」と暗喩で断言したところにへんな力強さがある。いきなり下五に「クリスマス」が出て来るのもバカバカしくて好き。 ○15 泡盛に 下五の最後は動詞ではなく名詞で止めた方がきちんと感が出て良いと思いますが、なかなかいい雰囲気ですね。 ○02 鉄塔の 鉄塔と冬の朝日との取り合わせは良いと思いますが、「林立」という言葉のかたさがちょっと消化不良を起こさせてる感じがします。 01 紅葉浮く ちょっと景色がきれいすぎる気がしますね。 04 手袋の 「ごとく」と何かにたとえるのもなかなか難易度が高いですが、それはともかく、「たる」という助動詞がちょっと締まらないですね。「けり」などでここで切るべきではないでしょうか。 07 マスクした おもしろいところを見ているのだけれど、叙述が散文的な感じがしますね。「した人」「夜の」というのは省略できると思うし、「多し」と言ってしまうとそれまでという気もする。映画館でのマスクの見え方が伝わるように詠めると良いのだけれど…。 08 蛍火の 字余りは、そうしなくてはならない場合にだけ字余りにした方が効果的な気がします。たとえばこの句なら「蛍火のやうにストーブ灯りけり」と言い換えればきちんと五七五におさまります。 09 ずりずりと 爽波の「炬燵出て歩いてゆけば嵐山」にちょっと似てますが、ちょっと飛躍にとぼしいですね。擬音語ってついつい多用してしまいがちですけど、個人的にはけっこう難しい気がします。 |
来月の投句は、1月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら |
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