ハルヤスミ句会 第百五十回

2013年4月

《 句会報 》

01 新社員上目で時計確かめり      第九(愛・山)

02 春の風邪粉吹いてをる瞼かな     てふこ

03 亀鳴くや読経ようやく終わりけり   遊介(順)

04 狛犬の頭へ飛んで雀の子       タロー(万・海)

05 手の平にいくつもありし春のツボ   ぐり(鋼)

06 黒猫の様なブロック春うらら     順一

07 朝礼の着信メロディ新社員      第九(益)

08 黄身こはれひろがる花見うどんかな  春休(一・奥・タ・順・ぐ・佳・波)

09 散りながらひとひらがぶらんこに触れ 佳子(忠・ぐ・春)

10 夕東風や五分遅れて幕開き      ぐり

11 桜はや自律神経失調症        益太郎(海)

12 産土神の氏子3軒春まつり      タロー(一・鋼)

13 丸窓に花影宿る喫茶店        万里子

14 みたらしの焼き目を除けて灌仏会   忠義(一)

15 春雨や踏めばゆらぎて石だたみ    春休(一・愛・佳)

16 壷焼きやぬると出てくる青き肝    遊介

17 公園にゲームする子ら春休み     ひろ子(山)

18 春ショール昔小町と言われけり    遊介(愛・忠・山・波)

19 黄水仙一応標準家族です       益太郎(土・タ・海)

20 いっせいに駆け出す羊春夕焼     ひろ子(一)

21 春日傘から駈け出して戻りたる    一斗(佳・春)

22 この道は一方通行葱の花       万里子(タ・て)

23 春雨傘電車の床に突つ伏しぬ     春休

24 房総の太き鹿尾菜の軟らかし     ひろ子

25 緑色の定義うたがふ花筏       順一

26 シバ神に捧ぐ花輪や風光る      愛

27 春眠やキリンの首は長々と      一斗(万・海)

28 虚子の忌の朝寝起こされたくもなし  海音(波)

29 夕迫り白は白増す櫻かな       ひなこ(順)

30 有給を取りて虚子忌に参じけり    海音(土・て)

31 煤煙の空に溶けゆく養花天      てふこ(鋼)

32 春の日はゴリラのやうにやさしくて  佳子(万・奥・タ)

33 一山のうな垂れてゐし竹の秋     ひなこ(奥・て)

34 蜥蜴出ず恵比寿の魚籠の傾きて    タロー(益)

35 みどり立つ沖にぽつんと巡視船    ひなこ

36 ガンジスに流さる牛も涅槃西風    愛

37 朝寝して寡黙な吾とすれ違ふ     波子(佳)

38 パジャマとは同じ色なり春の雲    順一

39 ジャケ買ひのハンサムボーイ風生忌  波子

40 桜鯛歯を光らせて斬られけり     万里子(奥・愛・土・忠・波)

41 迷い事少し残して蕗の薹       益太郎(第)

42 地球語の耳懐かしき春の蠅      波子

43 花の名の聞かれることや杏です    つよし

44 トランプを切る指長し鳥の恋     海音(て・益・鋼)

45 花冷の横浜水上警察署        てふこ(海・春)

46 風車まわれば空の近くなり      一斗(万・第・順・て)

47 柿芽吹きて庭の物の芽出そろひぬ   つよし

48 秩父線皆桜草抱へゐる        忠義(奥・ぐ・春)

49 住む人の代れる家の糸桜       つよし(万・第・愛)

50 咲ききつて一片落つるチューチップ  山渓(土・て)

51 つばくらめ工事現場の土かすめ    ぐり(益)

52 鯉幟のからむ電線空青し       山渓(忠)

53 昭和の日白地に赤き「味の素」    佳子(第・土・忠・山・益・ぐ)

54 ぜんまいやゆるき傾斜の塩の道    山渓(タ・ぐ・波・鋼)

55 霞む日や象牛駱駝西を指し      愛(佳)

56 行く春や浚へ切れずにヨーグルト   忠義(順・春)  




【 叶万里子 選(万) 】
○04 狛犬の  狛犬の頭に乗ってる様子が、雀の子を更に可愛くしています。
○27 春眠や  確かにあれだけ長い首を持ってると疲れてすぐ眠くなるかもしれません。
○32 春の日は  ゴリラの目って意外と優しいので、それと春の日差しの優しさの取り合わせが良いと思いました。
○46 風車  春の空が風車が起こす空気と一緒に近づいてくる様子がいいと思いました。
○49 住む人の  代替わりしても大事にされている糸桜、美しいのでしょうね。

【 のりひろ 選(の) 】
(今回はお休みです。)

【 一斗 選(一) 】
○08 黄身こはれひろがる花見うどんかな  
○12 産土神の氏子3軒春まつり
○14 みたらしの焼き目を除けて灌仏会 
○15 春雨や踏めばゆらぎて石だたみ
○20 いっせいに駆け出す羊春夕焼

【 土曜第九 選(第) 】
○41 迷い事  ままならない人生ではありますが春は確実にやってくるという喜びが感じられます。
○46 風車  風や空気や雲が引き寄せられてくるような感じがあります。
○49 住む人の  枝垂桜は大地に根をはり世の移ろいを静かに見守っている様子が感じられます。
○53 昭和の日  味の素のロゴは、確かに昭和をイメージさせてくれます。

【 奥寺ひろ子 選(奥) 】
○08 黄身こはれ  日本中を北上しながら開花していく桜花の様子が浮かびます。
○32 春の日は  春の日の捉え方が、いいなあと思います。
○33 一山の  風景が目に浮かびます。これから竹の子がいっぱい出てくるでしょう。
○40 桜鯛  きらきら光る鱗の輝きと桜鯛の潔さと無念さも感じます。
○48 秩父線  情景が目に浮かびます。平和でいいですね。

【 遠藤ちこ 選(ち) 】
(今回はお休みです。)

【 滝ノ川愛 選(愛) 】
〇01 新社員  新入社員です。早く退社時間にならないかなと。先輩のように堂々と腕時計や携帯を見る勇気はない。そっと壁の時計を盗み見た。何とも初々しいです。
〇15 春雨や  昔はこういう事が良くありました。今ではきっとどこかのお屋敷の庭でしょうか。雨でゆるんでいます、足元に気をつけてください。
〇18 春ショール  着膨れた冬も去り、春ショールをかけて外出です。昔小町なんてご謙遜、どうしてどうして今も美しいですよ。
〇40 桜鯛  包丁を入れられたとたんにカッと口を開き、そこから光る歯が見えた。細かい描写です。無念かな。
〇49 住む人の  毎春このお宅の見事な枝垂桜が咲くのを楽しみにしていたのでしょう。でもその家が代替わりをした。心配無用、今年もきれいに咲いています。作者のほっとした心情が伝わります。

【 土田ひなこ 選(土) 】
○19 黄水仙  こども二人が標準なのでしょうか?一応がきいていますね。
○30 有給を  有給だから、いいかと思う。家族は、勿体ないと思うかも。
○40 桜鯛  桜鯛の美しさと無念さが伝わりました。
○53 昭和の日  日の丸いろですね。味の素も食卓から消えたのはいつだったっけ?
○50 咲ききつて  いつの間にか芯だけにと気づきます。よく観察されていますね。

【 小林タロー 選(タ) 】
○08 黄身こはれ  花見茶屋でほっと一息花疲れですね、じわじわっと広がっていくのは疲れでもありましょうか。
○19 黄水仙  一応が良い、そもそも標準家族とは何?という疑問もみえるし、平凡こそ至福という諦観も見えるような
○22 この道は  ずら〜っと並んだ葱の花で決まりです。
○32 春の日は  ゴリラはほんとうにやさしいのだそうですが、春の日が良かったです。
○54 ぜんまいや  塩を運ぶような生活の道はゆるいのです。よく見ました。

【 森田遊介 選(遊) 】
(今回選句お休みです。)

【 小早川忠義 選(忠) 】
○09 散りながら  一句にこれだけ盛り込もうとしたのに脱帽した。
○18 春ショール  小町とまで言われた人がおしゃれ心を忘れずにいる。見栄の要素も含まれて面白い。
○40 桜鯛  まだ、切られている段階で生きていたかと思わせる臨場感。
○52 鯉幟の  電線に絡むほど大きな鯉幟も見なくなった。本当は大変なことなのに下五の長閑さが効いている。
○53 昭和の日  最近になって古いマークだった川崎の工場も句のようになった。昔と比べて多角化しても食を支える企業。
 04 狛犬の  頭まで飛べるのっていうのは雀の子といえるのかどうかが疑問。
 08 黄身こはれ  月見うどんではなしに「花見うどん」としたが楽屋落ちに過ぎる。
 16 壷焼きや  あんまり美味しそうに感じられない。
 38 パジャマとは  パジャマって白ばかりとは限らないのでは?
 50 咲ききつて  チューリップって一気に落ちない。切れがあったら良い。

【 石川順一 選(順) 】
○03 亀鳴くや  雌を慕って雄が鳴くそうですが、読経は浄土真宗のお経だと推察しました。
○08 黄身こはれ  当たり前の現象を描写する以上そこには感動があると思います。そこに季語の「花見」と連動した良さがあると思います
○29 夕迫り  洗濯物の白だろうか。違うものでも面白いと思いました。この場合「櫻」は従では無い。あくまで季語として作者の感動と拮抗した「櫻」であり季語である。
○56 行く春や  私は「ヨーグルト」が季語だと思って仕舞った。と言う印象です。「惜春」の情を詠んだ佳句かと。
○46 風車  空が落ちて来ると思った訳ではあるまい。杞憂では無いと思う。もっと仄々とした感情。

【 涼野海音 選(海) 】
○04 狛犬の  狛犬の頭って、雀の子にしてみれば、かなり大きいという当たり前のことを分からせてくれる句。
○19 黄水仙  作者自身の家族が標準的な人数なのでしょうか、あるいは黄水仙の並んでいる様子を家族のように見たのかも。
○11 桜はや  「はや」が「桜」と「自律神経失調症」の両方にかかっていると思いました。そうなると異質な「桜」と「自律神経失調症」とを「はや」が巧く結びつけているのではないかなと。
○27 春眠や  キリンの首が長いのは当然ですが、そこに「春眠」が登場すると不思議な世界になっています。
○45 花冷の  「花冷」の横浜水上警察、行ったことはないけど何故かその場所の雰囲気が伝わる句。

【 松本てふこ 選(て) 】
○30 有給を  赤星水竹居など、ホトトギスに集った多くの企業人を思い出させる句。
○33 一山の  大げさに言い切ったところが面白い。項垂れて、としないのも功を奏したか。
○44 トランプを  指から視点が一気に高くなるところが痛快。指と恋の相性もいい。
○46 風車  発想は平凡なんですが、強引でなく読ませてて巧いと思って。
○50 咲ききつて  (これは原句もチューチップなんでしょうか…)もう何もかも全て終わってしまったかのような詠みぶり(まあ、花にしてみればそうなのですが)がすごくおかしかったので取りました。

【 足立山渓 選(山) 】
○01 新社員  時間がなかなか過ぎなくて、幾たびも時計を眺める新入社員の心情が上手く詠まれている。   
○17 公園に  宿題もない春休み、遊びに夢中のなっているこどもの姿が目に浮かぶ。
○22 この道は  すくっと伸びた葱坊主、措辞の「一方通行」がじつに上手く適合している。
○18 春ショール  春ショールを纏ったご婦人。昔小町と言われたからに今も・・・。いやいや、今はもう昔の面影は・・・。いろいろ想像できて楽しい句。
○53 昭和の日  「白地に赤く日の丸染めて、ああ美しい日本の旗は」こんな唱歌を思い出されます。ぱっぱ とふり掛けた「味の素」もじつに懐かしく、季語と12文字の措辞がぴったり。

【 川崎益太郎 選(益) 】
○07 朝礼の  朝礼のとき、ケータイを切り忘れた。よく見る何でもない風景だが、新入社員が効いている。
○34 蜥蜴出ず  恵比寿様の魚籠から蜥蜴が出るというという意外性が面白い。出ず、は出づとしないと「でず」と読まれる。
○44 トランプの  指長し、から女性占師の妖しげな指遣いを連想。鳥の恋が効いている。
○51 つばくらめ  何でもない景であるが、かすめ、が燕の飛ぶ姿でなく、掠め取ると読んで面白い句。
○53 昭和の日  白地に赤くと言えば、日の丸を連想。味の素という、意外性と妙な納得感が上手い。昭和の日、との取り合せもぴったり。

【 草野ぐり 選(ぐ) 】
○08 黄身こはれ  美味しそうです。菜の花のおひたしとかものっていそう。花見うどんって季語ですよね。
○09 散りながら  まだ桜がそんなに散らない時期なのだろう、だからこそひとひらの行方を追ってしまった視線をリアルに感じる。
○48 秩父線  皆知り合いなのだろうか、どこかから桜草を分けてもらった帰り道なのだろうか。可愛らしい風景。秩父線がきいている。
○53 昭和の日  つき過ぎかもしれないが、余りにも実感なので。味の素は万能調味料で今よりずっと存在感があったなあ。
○54 ぜんまいや  かつて塩を運ぶ為のルートとしてつくられた塩の道、ゆるき傾斜ではあるが長い道のりなのだろう、ぜんまいとの取り合わせがいい。

【 二川はなの 選(は) 】
(今回はお休みです)

【 水口佳子 選(佳) 】
○08 黄身こはれ  〈黄身〉が載っているのだから月見うどんでしょ・・・と思わず突っ込みたくなる。こわれた黄身が花のようになったのか。〈ひろがる〉という言葉によって満開の桜の景へと導いている。
○15 春雨や  思いがけず石畳のひとつがゆらいだ、その一瞬を捉えて季語〈春雨〉に心情を語らせている。
○21 春日傘から  母親の春日傘の中から幼子が駆けだし、しばらくして戻って来る・・・そんな子を母親はやさしい眼差しで受けとめているのだろう。〈春日傘〉でそれが窺える。
○37 朝寝して  妙に醒めた部分と混沌とした部分が入り混じった、夢ともうつつともわからぬ状態で別の自分が見えた・・・?〈朝寝〉の春らしさとは少し違っているようにも思うけど。
○55 霞む日や  一読して平山郁夫のボーっとした絵を思い出した。西とはつまり西方浄土のことなのか。黙々と列をなしている様子が目に浮かぶ。
 ほかに気になる句
 17 公園に  今どきの風景。季語があまりに素直すぎるかなあと・・・
 38 パジャマとは  パジャマと春の雲が同じ色だというのは面白い発見だと思います。「とは」でいいかどうか?
 45 花冷の  簡潔な句。
 50 咲ききつて  爽波の「花びら外れかけてをり」の1日後に作ったような。並べると面白いかも。

【 喜多波子 選(波) 】
○08 黄身こはれひろがる花見うどんかな
○18 春ショール昔小町と言われけり
○28 虚子の忌の朝寝起こされたくもなし
○40 桜鯛歯を光らせて斬られけり
○54 ぜんまいやゆるき傾斜の塩の道

【 鋼つよし 選(鋼) 】
○05 手のひらに  なんとなく滑稽味がありお目にかかったことがない句。
○12 産土神の  氏子はわずかだが春祭りが救っている。
○31 煤煙の  養花天を上手に句にしている。
○44 トランプを  鳥の恋で綺麗な句になっている。
○54 ぜんまいや  山の細道を踏みつつ進む景色が浮かぶ。
 そのほか、
 40 桜鯛歯を光らせて
 50 咲ききって一片の
句も採りたい句です。

【 中村阿昼 選(阿) 】
(今回はお休みです)

【 小川春休 選(春) 】
○09 散りながら  ぶらんこが主たる季語の句ですが、当然この「ひとひら」は桜。「散りながら」から枝を離れた花が地にたどり着くまでの過程を、「ひとひら」ががぶらんこに触れ 
○21 春日傘  主人の春日傘のもとにいたのが、ぱっと駆け出してすぐに戻ってくる。母と子とも読めるし、飼主と小型犬とも読める。はっきりしているのは、春の日差しの強さと駆け出すスピード感だけ。でもそれで充分と感じる。
○45 花冷の  通常の防犯・交通違反の他に船舶の取締りも行う横浜水上警察署。花冷えも、海からの冷たい風が感じられる。
○48 秩父線  何か来場者に桜草を配るようなイベントがあったのでしょう。車両内の明るい様子が目に浮かびます。
○56 行く春や  久保田万太郎の〈パンにバタたつぷりつけて春惜む〉を少し思い出しますが、久保万のバターといいこの句のヨーグルトといい、溢れんばかりのボリューム感が惜春の気分に良く合っている。
 02 春の風邪  中七下五の描写はとても具体的で面白いと思いますが、季語とセットになると、季語の説明に収まってしまうような印象です。もったいない気がします。
 03 亀鳴くや  「や」「けり」の併用が気になります。
 05 手の平に  最初、ツボを「春の」とは少々乱暴なような、と思いましたが、もしかしていやらし系と言いますか、「回春のツボ」という意味が含まれているのでしょうか。だとしたら、ちょっと可笑しい句。
 07 朝礼の  本来静粛にしておくべき厳粛な朝礼の場で着信メロディを鳴らすとは、新社員の奴め…、という句でしょうか(近頃の若者どもと来たら、わしらの若い頃は云々…のパターン?)。ただ、朝礼の途中でもクライアントからの電話には出なくてはならない職種の方もいるでしょうし、何とも言えない面もあるかなぁ。
 11 桜はや  この時期、自律神経失調症のような変調はよく起こると聞きますね。あまり嬉しくはありませんが、これも春を実感する一場面。
 12 産土神の  過疎、限界集落などという言葉も聞かれますが、元々が規模の大きくない産土神は氏子が三軒に…。ただ、産土神と春祭とはツキスギと思いますし、ホームページの句会での横書き表記とは言え「3」は気になります。
13 丸窓に花影宿る喫茶店        
 14 みたらしの  「焼き目を除けて」とはどういうことでしょうか。焦げてたのでしょうか。程好くついた焼き目は香ばしくて美味しいと思うのですが…。
 16 壷焼きや  しっかり描写しようとする意志は感じるのですが、何か一つ足りないような気もします。「ぬると」があれば、「出てくる」は動きの描写としては少し冗長な感じもします。
 17 公園に  最後で「今春休みだからねぇ」という理屈でまとめられているように感じますが、俳句に理屈はあんまり必要ないのではないでしょうか。
 19 黄水仙  夫婦二人に子供二人というのが所謂標準家族でしょうか。「一応」というエクスキューズから、いろいろと家族関係に
 20 いっせいに  牧羊犬に追われて駆け出したのでしょう。丘の上の春の夕焼けが大きく見えます。景が大きくて気分の良い句。
 22 この道は  畑の間の、細い道が見えてきます。出来ている句。
 24 房総の  あまりごちゃごちゃしていないところに好感を持ちましたが、句の仕立て方がやや散文的な印象。わが師辻桃子風の言い回しになりますが「房総の鹿尾菜の太し軟らかし」とした方が生き生きとした印象になると思います。
 26 シバ神に  上五中七、力があります。しかし「風光る」は綺麗すぎてあまり実感がない。個人的には、この上五中七に相応しいのは、虫や鳥などの動物のように思います。
 27 春眠や  キリンにも春眠はあるのでしょうか。キリンはほとんど立ったまま眠るのだとか。地に伏せて寝るときは、背中の上に首を曲げて乗せるそうです。
 31 煤煙の  現代的でもあり、いかにも養花天らしい景です。
 32 春の日は  あの大きな身体につぶらな瞳、いかにも優しいゴリラの風貌と春の日を結び付けています。感覚的な句。
 34 蜥蜴出ず  他の方も指摘されていましたが、「出ず」は「でず」と読み、「出てこない」という意味になり、景としてもよく分からないことになってしまっています。
 35 みどり立つ  「緑立つ」は松の新芽が勢いよく芽吹くさまの意。海近くに松がよく植えられていることもあり、自然に景が見えてきます。
 36 ガンジスに  日本で言う「涅槃西風」がそのまま当地でも当てはまるかはともかく、スケールの大きな句です。「流さる牛」というつながり方は文法的に正しくないので(終止形+名詞になっています)、「流さるる牛」(連体形+名詞)とするか、「牛流さるる」とするのも良いのではないかと思います。
 39 ジャケ買ひの  富安風生との係わりがよくつかめないのですが…。風生さんってお偉いさんだったイメージしかないんですが、ハンサムだったのかな。
 42 地球語の  蠅の翅音を「地球語」と呼んでいるのでしょうか。
 43 花の名の  何かすんなりと読めない句。助詞などが上手く繋がっていないように感じます。上五の最後の「の」、中七の「ことや」が特に気になる。
 44 トランプを  静かな色気のある句。句の姿もすっきりとしています。
 46 風車  気分の良い句で、青々とした空の広がりが感じられる句ですが、下五「近くなり」では少し坦々とした印象。「近まれる」としたいところです。
 47 柿芽吹きて  上五の字余りの必然性があまり感じられません。「柿芽吹き」で充分という気がするし、「柿の芽に」としても句意は通ると思います。
 49 住む人の  芭蕉の〈草の戸も住替る代ぞひなの家〉、さらに遡って唐詩選の〈年年歳歳花相似たり/歳歳年年人同じからず〉と、やはり人の世の移り変わりと自然の変化とのギャップは、今の世でも物思いの種のようですね。
 50 咲ききつて  「チューチップ」という可愛らしい誤字はともかく。爽波の〈チューリップ花びら外れかけてをり〉を思い起こさせる句ですが、爽波の極端なまでに単純化されたドライと言っても良い描写に較べると、「咲ききつて一片落つる」という描写はやるべきことをやった後花びらが落ちる、という頭の中のストーリーをなぞっている感なきにしもあらず、です。
 51 つばくらめ  臨場感がありますが、どんな工事の現場か読み取れるともっと良いですね。
 52 鯉幟の  感電等の怖れがあり、単純に危険なのではないかと思いますが…。電線に届きそうなところには鯉幟は設置しない、○○電力からのお願いです。
 53 昭和の日  白と赤のシンプルさを活かしたデザインを見ると、昭和という時代を思い出します。淘汰されるものもありますが、良いもの、良いデザインは残ってほしいですね。
 54 ぜんまいや  季語から景が実感を持って想像される句で、好感を持ちましたが、「傾斜」という語の固さがひっかかります。のぼり、くだり、かたむき、かしぎ、何か良い言い換えはないものでしょうか。
 

 


来月の投句は、5月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら

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