ハルヤスミ句会 第百五十六回

2013年10月

《 句会報 》

01 淡々と手足ありけり天高し     てふこ

02 みづうみを月待つ灯囲みをり    春休(一・ぐ)

03 広沢の水澄むころの話しかな    遊介

04 句会果て机動かす月夜かな     ぐり(て・山・春)

05 満月を追ふて島へと渡りけり    ひなこ(一・タ・山)

06 駅長がそろばん使ふ秋暑かな    てふこ(案・遊・順・海・ぐ・波・春)

07 刑務所の塀にきちきちぶつかりぬ  海音(時・て)

08 秋霖や笑ふ等身大写真       佳子(忠・海・て)

09 団栗や昼寝園児の掌        案山子(奥・タ・鋼)

10 珈琲の余り湯けむる月夜かな    春休

11 飼ひ犬も鳥も好物庭の柿      ひろ子

12 言い訳もそろそろ尽きぬ穴まどひ  遊介(奥・益・鋼)

13 空耳にはいと答へし夜長かな    ぐり(時・愛・土・タ・遊・忠・佳)

14 正面に平らな雲や運動会      海音(佳)

15 忍び寄る金木犀の香に酔ひし    ひろ子

16 檻にあるキリン見上ぐる天高し   一斗(奥・山)

17 里人と声合わせては蔓たぐる    タロー

18 ゆくりなくぱちんと爆ぜて鳳仙花  波子(時)

19 月代の互ひにぎこちなき会釈    ぐり(案・佳・波)

20 死角から誰かが覗く石榴かな    佳子(忠・順・益・波)

21 トラウマの仕掛人かも曼珠沙華   益太郎

22 てのひらの浸透即と秋の日に    順一

23 蓮の実の飛んで少女はボクと言ふ  佳子(愛・タ・順・益・ぐ・春)

24 卵割る台風の進路図をみて     海音(一・て・春)

25 落としみづ井堰に乾くところなし  忠義

26 月見酒まずは小芋を炊いてから   愛(案・タ・ぐ)

27 月今宵ことに麗し大地かな     ひなこ(遊)

28 秋光を弾き返すやグライダー    山渓(案)

29 秋冷や大腸検査の日なりけり    案山子

30 目を閉じて金木犀の風の中     時人(山)

31 新米を電車乗継ぎ持ち帰る     つよし(奥・愛・土・順・波)

32 寺多き犬山城下秋明菊       案山子

33 翼下には蛇行する川秋闌くる    ひなこ

34 登高やみな鍔広の帽子のせ     忠義(海)

35 名月の裏で餅搗く兎かな      益太郎(奥)

36 身に入むや鯵の押寿し乾びゆく   タロー(海)

37 別れては帯をひとりで秋の装    愛

38 木犀は金の十字花降らせをり    時人(愛)

39 早々と粉々にされ初ごおり     忠義(益)

40 献血車空高ければ血の聖者     順一

41 木曽路きて釣瓶落しの奈良井宿   山渓

42 曼珠沙華合理主義には成り切れず  時人(鋼)

43 種ありの方が甘しと葡萄狩     愛(遊)

44 木犀の畝一面に散りこみぬ     つよし(土)

45 一キロの直線競馬秋日照      一斗

46 飼ひ犬の塚に手向けし杜鵑草    ひろ子

47 左翼犬迷路をなして秋の声     順一

48 秋冷のホームに小倉行き来たる   てふこ(鋼)

49 後の月白きビニール袋飛び     春休(忠・佳)

50 しばらくは天動説を星月夜     益太郎(案・一・愛)

51 結局は秋の木陰に休みたる     タロー

52 宵闇の街へと続く映画館      一斗

53 突堤にかもめの壁画鮭おろし    波子(時・土)

54 浮かぶ句のどれも類想芋の秋    つよし(山・益・波)

55 こくわ熟る蝦夷(えみし)の空は雲ばかり 波子(一・時・ぐ・佳)

56 落しても割れぬ器や芋煮会     山渓(土・遊・忠・順・海・て・鋼・春




【 石黒案山子 選(案) 】
○06 駅長がそろばん使ふ秋暑かな
○19 月代の互ひにぎこちなき会釈
○26 月見酒まずは小芋を炊いてから
○28 秋光を弾き返すやグライダー
○50 しばらくは天動説を星月夜

【 一斗 選(一) 】
○02 みづうみを月待つ灯囲みをり
○05 満月を追ふて島へと渡りけり
○24 卵割る台風の進路図をみて
○50 しばらくは天動説を星月夜
○55 こくわ熟る蝦夷(えみし)の空は雲ばかり

【 中村時人 選(時) 】
○07 刑務所の  刑務所の塀の外を歩くと足もとからきちきちが映画のワンシーンのような光景ですね。
○13 空耳に  秋の夜長は人恋しく色々な声が聞こえてきますよね。
○18 ゆくりなく  ゆくりなくとは、思い掛けずと、辞書にありました。鳳仙花の爆ぜを偶然に見るとは、心掛けが良いのですね。
○53 突堤に  かもめの絵と鮭おろしの防波堤、北国の寒々した景が見えます。
○55 こくわ熟る  この句も 53 と同じ作者か北国の重い空が目に浮かびます
 他に気になった句は
 09 団栗や昼寝園児の掌
 11 飼犬も鳥も好物庭の柿
 17 里人と声を合わせて蔓たぐる
 33 翼下には蛇行する川秋闌くる

【 土曜第九 選(第) 】
(今回はお休みです。)

【 奥寺ひろ子 選(奥) 】
○09 団栗や  しっかりと握られていた団栗、どんな夢をみているのでしょう。かわいらしさが伝わってきます。
○12 言い訳も  さあ、覚悟を決めてください。
○16 檻にある  檻から出る日のことを夢見ていることでしょう。
○31 新米を  貴重な新米なのでしょう。炊きたてを充分味わってください。
○35 名月の  ゆかいな句、笑ってしまいました。

【 滝ノ川愛 選(愛) 】
〇13 空耳に  もしかするとご主人を亡くされたのでは。呼ぶはずのない「おい」という声が聞こえたのでしょうか、思わず「はい」と答えてしまった。夜長が切ないですね。
〇23 蓮の実の  きっとボーイッシュな少女なのでしょう。うちの孫娘もそう言っていました。お兄ちゃんの学生服をこっそり着たりして。それが今では制服のスカートを二段もたくし上げて母親に怒られています。蓮の実は外は真っ黒ですが、中は白くて甘いです。もうじき弾け飛ぶことでしょう。
〇31 新米を  わざわざ電車を乗り継いで行ったというからには遠かったのでしょう。新米の入手先はご実家でしょうか。丹精込めて作られた新米です。網棚に乗せたりせずに膝の上に大事に抱えている景が目に浮かびます。
〇38 木犀は  金木犀の句が四句ありました。この季節には思わず作りたくなる句材です。中でもこの句の「金の十字花」とは素敵な表現ですね。思わず取らせていただきました。
〇50 しばらくは  秋になり空気が澄んで、特に風の強かった日の夜など、こんなに星があったのかと思います。分かっているのです。500年も前にコペルニクスが地動説を唱えたことは、でも空を見上げていると、どうしても天が回っているとしか思えません。「しばらくは」の表現がその心情を表しています。

【 土田ひなこ 選(土) 】
○13 空耳に  こんなことありますね。
○31 新米を  大事そうに持ち帰る様子が伝わります。
○44 木犀の  大根とか小松菜の間を埋めて、綺麗ですね。
○53 突堤に  どこかで見たことがある景、季語もぴったり。
○56 落しても  アルミとか、プラスチックとか、気兼ねなく楽しめます。

【 小林タロー 選(タ) 】
○05 満月を  夜、島へ渡るのはどういうシチュエーションだろうか?しかも満月。慶事による帰郷と読み取りました。
○09 団栗や   握っていた掌が昼寝で開いてなかからちっちゃな団栗がでてきた。
○13 空耳に  秋の夜も深まり、仕事に集中しているとこういうことも起こります。
○23 蓮の実の  からからに乾いた蓮の実の現実感のなさと、少女以下が微妙にマッチしていると思いました。切れがほしいところです。
○26 月見酒  説明っぽいけど、景が良いと思います。

【 森田遊介 選(遊) 】
○06 駅長が  きっと単線の駅の一景なのでしょう。季語によりうんざり感が漂っていますがそれだけでなく長閑な情景です。
○13 空耳に  しんと静まりかえった夜の一景をよく捉えていると思います。季語の持つ静けさが響きます。
○27 月今宵  見事な月夜を素直に詠んでいると思います。この場に居なくてもその夜の情景がよく判ります。
○43 種ありの  「せっかく葡萄狩りに連れて来たのにおじいちゃんったら・・」と孫が不平を言っているです。これが本当かどうかは真偽のほどは判りませんがなにやら長老の一言のように思われます。
○56 おとしても  河原で手渡された芋にの椀。つくづく観ればなんだプラスチックか!それでも楽しい芋煮会なんでしょう。

【 小早川忠義 選(忠) 】
○08 秋霖や  恐らく色褪せてもスマイルが変わることはない。
○13 空耳に  呼んだ可能性のある人が近くにいるのかいないのか。
○20 死角から  不気味で心に掛かる句。いろいろありましたがこれ一句だけ取ります。
○49 後の月  月が綺麗なのは風に飛ばされて雲が無いって言うのもありますね。
○56 落しても  ばたばたしている様子も見えるようです。
 16 檻にある  キリンは「麒麟」でしょう。
 41 木曽路きて  上五、下五どちらかが要らないような気も。
 42 曼珠沙華  心に掛かるがどう関係してくるのだろうかという掛かり方。
 45 一キロの  アイビスサマーダッシュ以外に8月以降に行われる直線競馬ってあるのでしょうか。

【 石川順一 選(順) 】
○06 駅長が  季語は「秋暑」。今の世に「そろばん」とは。私としては、細長いそろばんでは無くて、幅の狭い太めに見えるそろばんだったのではないかと推測しています。
○20 死角から  季語は「石榴」。あまり深刻な状況を詠んだのではないと思いました。多分作者の錯覚。不気味さを詠んで居るととっても季語と相乗効果を発揮していると思いました。
○23 蓮の実の  季語は「蓮の実」。多分思春期ぐらいの時期の少女なのでしょう。仮に小学生ぐらいだとしてもそうたいした違いはなかろうかと思いますが、通常「少女」が「ボク」と言っても、世間的にはそんなに驚くべきことではないのだろうが、私ははっとしたと。そんな事情を詠んだのだと思いました。 
○31 新米を  季語は「新米」。「持ち帰る」苦労が俳句になったと思いました。「電車乗継ぎ」にそれが表れて居る。 
○56 落しても  季語は「芋煮会」。強化「器」だったのか、「落とし」方が割れぬ程度のものだったのか。分かりませんが作者の驚きが素直に句になったかと。
 以上5句選でした。他に取れませんでしたが、注目した句に
 04 句会果て  季語は「月夜」。動の「机」にある意味取りようによっては不動の「月」。そのコントラストが佳句と思わせる原因かと。
 13 空耳に  季語は「夜長」。滑稽味だけが俳句の神髄だとは思いませんが、矢張り重要な一要素だとは思いますので、「空耳にはいと答へし」はこの句をむしろ引き締めていると思いました。
 42 曼珠沙華  季語は「曼珠沙華」。作者の苦渋を察しました。「合理主義」に悩む作者。が、ありました。

【 涼野海音 選(海) 】
○06 駅長が  駅長がそろばんという古めかしいものを使っているところが、いかにも「秋暑し」
○08 秋霖や  「秋霖」という季語に再考の余地がありそうですが、「等身大写真」の着眼は面白いと思いました。
○34 登高や  「のせ」という表現に面白みがあります。
○36 身に入むや  「乾びゆく」まで言えたところに感服。
○56 落しても  「落しても割れぬ器」、確かにあるけど、今までこの句のように詠めませんでした。

【 松本てふこ 選(て) 】
○04 句会果て  偶然かも知れませんが、「た」行がさりげなく効いてます。下五の「て」から「机」の「つ」、「月夜」の「つ」。気持ちよく音読出来る。意味のない動作に思わぬ奥行きを与える「月夜」がいいですね。
○07 刑務所の  擬人化して読んでしまうのは作者の本意ではないかもしれませんが、やはりどうしても塀の中の人に心を寄せる誰か、に思いを馳せてしまいます。「ぶつかりぬ」というこなれて表現や「きちきち」の語感も切なく響きました。あのひたむきな跳ねぶりを思い出すと説得力が増します。
○08 秋霖や  なんで秋霖とこの内容を取り合わせたんだろう…取り合わせは少し謎がある方が好みなので、取らされてしまいました^^; パネルのようなものを想像したのですが(だとしたら写真という表現でいいのかどうか、という問題はさておいて)、ちょっと不気味なんですよね。パネルだったら何かしらの宣伝として作られてるわけで、だったら笑ってて当然なのでは、と思うのですが、作者はそこに着目してて、その着目がこの句の解釈をしにくくしている。「笑ってるから何なんだろう」って。でも私はこの句のそういうところが好きです。
○24 卵割る  上五と中七下五の内容・文法両方の面での切れぶりが面白い。何か食事を作りながら見ているから片手間なんでしょうね。ふーんという気分がよく伝わってきます。でも正直、このいかにも取り合わせ、という構成がちょっとあざといような気もしますね…
○56 落しても  プラスチックだとか、器の素材が割れないように出来てるから、とも読めますが、割れるほどかたいところで催されてないから、と個人的には読みたいです。作者の心のささやかな安らぎを芋煮会という季語の素朴さが受け止める、という風に解釈しました。落としても割れない器という人工的と言えなくもないイメージを重視して読む解釈の可能性も大いにあると思います。

【 足立山渓 選(山) 】
○04 句会果て  句会後の月見。句友と見上げる月は殊にきれいでしょうね。羨ましい。     
○05 満月を  「あの島では特に綺麗に見える」 と言われると、ついつい行ってみたくなるものですね。
○16 檻にある  キリンの長い首を見て、ふと、目を上げれば真っ青に晴渡った空。気持ち良いですね。 
○30 目を閉じて  馥郁とした金木犀の香り。目を閉じるとなおさらのこと。「金木犀の風の中」このフレーズに感服。
○54 浮かぶ句の  季語の5文字は決まっている。人間考えることはだいたい同じだ。したがって、類想は已むをえない。面白い。

【 川崎益太郎 選(益) 】
〇12 言訳も  付き過ぎの感もあるが、穴まどひ、に引導を渡す。
〇20 死角から  死角から覗かれる無気味さ。季語が効いている。
〇23 蓮の実の  自由奔放な少女。後が心配。ボクが効いている。
〇39 早々と  こおりはどうしても割られる運命。初ごおりならなお更。
〇54 浮かぶ句の  全くご同慶の至り。芋の秋、が面白い。

【 草野ぐり 選(ぐ) 】
○02 みづうみを  幻想的な風景。みづうみというひらがなのせいか、月待つ人はこの世のものではないような。印象的だ。
○06 駅長が  年配の駅長は電卓よりもそろばん派。思わぬ暑さに参ったなーと言いつつそろばんをはじく実直そうな姿が浮かんでくる。
○23 蓮の実の  中学の頃、自分をボクと言う女友だちがいた。僕ではなくボク。蓮の実は飛び秋は深まって行く。彼女はいつボクと言わなくなったのだろう。
○26 月見酒  まず美味しそう。月見酒のあてが小芋。いいな。関東ではあまり小芋を炊くという言い方はしないが煮っころがしのことでしょうか。
○55 こくわ熟る  雲ばかりに、かつての蝦夷の朝廷に反旗を翻していた頃を思った。こくわ、初めて知りました。綺麗な実ですね。

【 水口佳子 選(佳) 】
○13 空耳に  なんだかおかしいような、ちょっと寂しいような。
○14 正面に  雲が正面に見えるのは、その雲がはるか向こうにあるということなのか、やや疑問に思いながら、しかし〈平らな雲〉と躍動する〈運動会〉との取り合わせは良いと思う。
○19 月代の  相手が誰であるかはっきりと分からない時のあいさつ・・・とりあえず会釈しておきましょう、という感じ。〈互ひに〉というのがおかしい。〈月代〉という季語で詩になった。
○49 後の月  〈白いビニール袋〉の俗っぽさが〈後の月〉に過剰な情緒を与えず、成功したのではないか。〈飛び〉という言葉にどことなく寂しさも感じられる。
○55 こくわ熟る  〈こくわ〉はサルナシのことで、熊が好んで食べるらしい。〈蝦夷〉という一見古い言葉が開拓の歴史など想起させ、〈雲ばかり〉の空へと自然にイメージがつながっていく。
 ほかに好きな句
 01 淡々と 「たんたん」か「あわあわ」か・・・やっぱりたんたんでしょうね。
 06 駅長が ほかの季語の方がよさそう。
 24 卵割る 心惹かれた句ですが、リズムが少し悪いかと。

【 喜多波子 選(波) 】
○06 駅長がそろばん使ふ秋暑かな
○19 月代の互ひにぎこちなき会釈
○20 死角から誰かが覗く石榴かな
○31 新米を電車乗継ぎ持ち帰る
○54 浮かぶ句のどれも類想芋の秋

【 鋼つよし 選(鋼) 】
○09 団栗や  目が覚めたらまた一語りありそうとおもう。
○12 言い訳も  場面はよくわからないが今年も終わりが近いことを窺わせる。
○42 曼珠沙華  曼珠沙華の強烈な赤に触発されたような句。
○48 秋冷の  ローカル線の雰囲気にとりました。
○56 落しても  作者の驚きにユーモアがあり。

【 小川春休 選(春) 】
○04 句会果て  句会は選句などの用紙を回覧するために机を丸く並べます。句会が終わって机を動かす、何でもないようなところですが、景がよく見えます。句会仲間と見る名月、また良い句が生まれそうですね。
○06 駅長が  そろばんを使うということは、かなり年配の駅長でもあるでしょうし、駅舎もそれほど新しくはない。間違っても山手線だとか新幹線が停車するような駅ではなく、山間の小さな駅に違いありません。そういうところまで想像させる句。
○23 蓮の実の  ボクっ娘とは、一人称に「ボク」を用いる女性のこと。女性であるということに何らかの反発や拒絶があるのかなぁ、と想像します。ただ、反発・拒絶しても生物的には女性として成熟していく訳です、蓮が実をつけて飛ばすように。この子もある日突然「ボク」を使うのを止める日が来るのかも知れないなぁ、などと思ったり。
○24 卵割る  直撃するほどではないが、台風の進路次第では影響の出るような場所に住んでいる者の気分がよく出ています。「卵割る」というところに日常生活の中での実感があります。倒置法のような叙述の順序になっていますが、すんなりと「台風の進路図をみて卵割る」としても面白いのではないかと思いました。
○56 落しても  キャンプなどでも使う、アルミやプラスチックの皿や器を思います。言外に、屋外で大人数でわいわいと進められる芋煮会の様子が想像されるところが良いですね。
 01 淡々と  立っているのか座っているのか寝転がっているのか、具体的には書かれていませんが、雰囲気からも読み取るのは難しかったです。
 03 広沢の  雰囲気は悪くないのですが、これも少々漠然とし過ぎのような気がします。
 05 満月を  細かいようですが「追ふて」は表記誤り。「追うて」もしくは「追ひて」が正しい。「追ひて」が基本形で、「追うて」「追つて」は音便。音便の場合、元のは行表記ではなくなります。
 07 刑務所の  去年脱獄事件のあった刑務所が近くにあるのですが、外周は全くの住宅地で、きちきちなどいそうにありません。内部にはある程度の広さのあるグラウンドがありますので、内部の景色と読んだ方が自然に景が見えてきます。受刑者の多くは刑期を終えて出て行くのでしょうが、きちきちはきっとその一生を刑務所の中で終えるのでしょう。そのことに不平不満を持つでもなく。
 08 秋霖や  以前はもっと等身大パネルがいろんな店先にありましたね。今はそれもあまり見なくなりました。この「等身大写真」も       
 09 団栗や  私もこういう句作ったことがあります…。
 13 空耳に  空耳に自然に返答しているところから、よく聞き慣れた人の声を空耳で聞いたのでしょう。しんみりする句です。
 15 忍び寄る  「忍び寄る」というとかすかな香を思いますが、「酔ひし」というと濃密な香を想像します。あまり句の中で理路が整然としているのも面白くない場合もありますが、どうも矛盾しているようですんなり読めません。
 17 里人と  「と」とあることから、作中主体は里人ではない者、ということでしょう。どういう経緯で蔓たぐりに参加したのでしょうか。少し気になる句。
 20 死角から  上五中七のサスペンス感を「石榴」の鮮やかな色合いが盛り立てます。
 21 トラウマの  「トラウマの仕掛人」だけでも読み解くのが難しいのに、それを「かも」でさらにぼやけさせられては、正直お手上げです。
 26 月見酒  小芋を炊くのと酒を飲むのと順序はどうなっているんでしょうか。上五に「月見酒」とあれば普通は当然もう飲んでいるものと読みますが、中七下五で「まずは小芋を炊いてから」とあると飲むのは小芋が炊けるまで待つようにも読める。ここがどうもすんなり読めない。
 29 秋冷や  「や」「けり」と二つ切れ字を使うとまとまりがなくなります。
 31 新米を  田舎ではそもそも電車が走っていないこともあり、これは結構街中の景かも知れません。苦労はしますが、それだけにその旨さも格別でしょう。
 32 寺多き  個人的には、上下入れ替えて「秋明菊犬山城下寺多き」とした方が座りが良いのではないかと思います。
 33 翼下には  「翼」「蛇」という字から、飛行機と川とが、大きな鳥と大蛇のように感じられてきます。「秋闌くる」という季語がどこまで効果的かという点については疑問が残ります。
 36 身に入むや  うーん、美味しくなさそう…。早く食べた方が良かったのではないでしょうか。
 37 別れては  少し理がつきますが上五中七にはなかなか味があります。しかし「秋の装」という季語はいただけない。上五中七だけで着物を着ている景と分かるのですから、もっと句に広がりや奥行きを与えてくれる季語があるのではないでしょうか。
 41 木曽路きて  地名を二つ詠み込んだことが成功しているかどうか。上五に「木曽路」とあることで、下五の「奈良井宿」の印象が弱くなっている気がします。上五を「山路」とすれば、その弊害も避けられるのではないでしょうか。
 45 一キロの  競馬に詳しくないのですが、何だかちょっとのんびりした感じですね。「秋日照」で景が広々としているのも良いです。
 46 飼ひ犬の  派手なところはない句ですが、杜鵑草のたたずまいと良い、味のある句です。
 48 秋冷の  「秋冷」を見るといつも「あきびえ」「しゅうれい」のどちらで読むか気になる私です。いわゆる観光地らしい観光地ではない、「小倉」という行き先が味わい深い。
 52 宵闇の  こういう、雰囲気のある映画館は、広島の街にはほとんどなくなってしまいました。もっと都会ならこういう映画館が残っているんですかね。少し羨ましい。
 54 浮かぶ句の  類想しか浮かばない時もあります。その徒労感も、「芋の秋」のおかげで深刻さがなく、明るいところが救いですね。
 55 こくわ熟る  やはり秋が深まるのも早いのでしょうね。重々しい雲に実感があります。

 


来月の投句は、11月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら

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