ハルヤスミ句会 第十七回

2002年2月

《 句会報 》

01 横たはりたるおととひの雪だるま 春休(夏・つ)

02 春浅く鏡のような琵琶湖かな   ふみ

03 春立つや太鼓橋より木のかをり  春休

04 春の雪とけゆく水のすきとほる  つよし(夏)

05 雪解田に広がり進む雲の影    ふみ(夏・む・春)

06 春水に金の腕輪を浸けにけり   むかご

07 春の川胸の黄色き小鳥群れ    つよし(春)

08 遠き雲近き雲より春の雪     ふみ

09 草萌や青銅の馬突つ立つてる   むかご(春)

10 地を嗅ぎつ春装犬のきたるなり  つよし

11 春風や角取れている硝子片    むかご(つ)

12 草餅のかたちに白き粉のこる   春休(つ・む)

13 強東風や歩くほかなきかへり道  つよし(む)

14 春の夜やうすれ消えつつ眉の縁  春休



【 かたぎり夏実 選 】
04 春の雪  春の雪は、泥だとか塵だとかが混じって汚いのに、解けて流れるときはきれいな水に戻っていくのですよね…。成仏していくように…?!
01 横たはり  三日も突っ立ってたら疲れてしまって雪だるまだって横になりたい…。今年は札幌も二月初旬は暖かくて雪像が悲惨な状態でした。
05 雪解田に  一面を覆っていた雪が解け、地面が現れる。水分をたっぷり吸った田に、まだすっきりと晴れ上がるとはいかない雲が、のろのろと動いているのが映っている。広くて静かな風景ですね!

【 鋼つよし 選 】
01 横たはり  旧かなでは「をととひ」では? それはそれとしてかなりひどい状態が浮かんできます。
11 春風や  角のとれている硝子片を見つけて軽い驚きと、ほほえましさが春風にたくされている。
12 草餅の  ほほえましさと懐かしさ。
 評  05 雪解田  09 草萌や この2句ひかれた句ですが。05は類似句があるので、09は視点が上と下↑、↓なのでどうかなと思いました。

【 松尾むかご 選 】
05 雪解田に・・・天と地が交信しあってる、ざくり、捉えるのもまたいいですね。
12 草餅の・・・「あーっ、私のがない」と声をあげたくなる様に景が、読んだ瞬間現れる。
13 強東風や・・家に帰らなければといふ思いに、読み手までも踏ん張ってしまいますね。
(その他)
01 おとといのがいらないのでは、
07 季が、どうなんでしょうか、下のフレーズは、良いと思います。
10 春装犬って、なんでしょうか?

【 小川春休 選 】
○07 春の川  景として好きだったので採りました。が、小鳥にはちょっと秋の季感がありますね。あと、中七は「黄色き胸の」とした方が良いかもしれません。あと、上五で切って「春水や黄色き胸の小鳥ども」などとしても良いかもしれません。
○05 雪解田に  まだ春先のさむざむとした感じ、そして見渡す限りの雪解田の広々とした感じ。余計なことを言ってないところが良いですね。
○09 草萌や  下五「突つ立てる」の間違いでしょうか? 若々しく牧歌的な感じで良いですね。
02 春浅く  「のような」という直喩は、俳句ではなかなか成功しにくいですね。かなり高いレベルでインパクトもあって独自性もあるような比喩になっていないと、言わずもがなのことになってしまいがちです。
04 春の雪  春の雪がとけて水になってゆく、その水が透き通っているのか、それとも春の雪が落ちてとけてゆく川などの流れが透き通っているのか、ちょっと読み切れないところがあるように思いました。
06 春水に  うーん、ちょっとうつくし過ぎるかな、という気がしました。
10 地を嗅ぎつ  「春装犬」という名詞化はなかなかおもしろいのですが、問題は上五。実際に地を嗅ぎながらやってきたのかもしれませんが、単なる状況説明になってる感じがします。
11 春風や  中七下五はなかなかリアルなのですが、どのような場所にそのガラス片があるのか、何のガラス片なのか、そういったところが全く読み取れないところが弱みになっていると思います。季語を変えて、そういった背景もなんとなく伝わり想像を広げてくれるようにできれば、もっと良い句になるのでは?


来月の投句は、3月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら

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