ハルヤスミ句会 第百七十一回

2015年1月

《 句会報 》

01 数へ日や賞味期限は明くる年     第九(は・忠・益)

02 歳晩の惚けしごとく爪みがき     ぐり(タ)

03 道を掃く音のしてゐる大旦      海音(時・第)

04 湯気上がる餅にわずかな希望見え   はな(順)

05 ひとは皆乙甲や福笑         案山子(忠)

06 喰積や証拠写真は三枚に       順一

07 身じろぎもせぬ人影や初明り     第九(海・波・春)

08 初夢や羊何匹追いかける       益太郎

09 それからと言いかけ餅を頬張りぬ   遊介(は・時・海・佳・春)

10 福引の順番がもう鼻先に       波子(ぐ)

11 雨樋の水あふれだししが溶けり    ひろ子

12 初夢の鉄腕アトム吾の顔       時人(ぐ)

13 まゆみの実すつかり鳥に明けの春   つよし(春)

14 甲羅脱ぎおぼれる亀の初湯かな    益太郎

15 箱根駅伝見たか見たかのメール飛び  愛(鋼)

16 涸滝に拍手打つも御慶かな      タロー(案・愛・波)

17 初読の半端におはる電話かな     忠義(鋼)

18 初詣毎年同じ晴着にて        愛

19 いつの間に一粒もなし実万両     ひろ子(第・愛・順)

20 汁吸へばかまぼこ寄り来冬ごもり   春休(愛・タ・忠)

21 重ね着や指に噛みつく静電気     時人(は・奥・益・佳)

22 初遊び花いちもんめの勝名乗     案山子(第・波)

23 白鷺のゆつくり降りる淑気かな    ぐり(は・第・海・波)

24 初電話意識もどらぬ母のこと     つよし(海・益)

25 川鴨の病院過ぎる頃に見ゆ      順一

26 喜寿傘寿米寿卒寿と福寿草      益太郎(案・時・奥・順)

27 めばちこと口内炎と松明ける     タロー(ぐ)

28 寒蜆居間より稚児の声溢れ      波子(春)

29 湯たんぽを毎夜せっせと入れる夫   はな

30 日曜の土手を歩ける鴨の胸      海音

31 懸想文煎餅割ればあらはるる     忠義

32 障子戸を一寸開けて初日の出     遊介(は・案・奥)

33 一書いて筆のととのふ寒の雨     春休(第・海・佳)

34 突然に大きく現る冬の富士      遊介

35 冬晴れのどつかとせまる富士の山   ひろ子

36 人日の裏表なき杓文字かな      第九(忠・佳)

37 ぱんぱんと締込(まわし) たたくも淑気かな タロー(鋼)

38 三毛猫の畦を歩いて女正月      海音(時・奥)

39 抱かれてもよいと雪達磨は思ふ    佳子(益)

40 氷柱とる私にとつての宝物      つよし

41 初鏡取り急ぎこの顔でいく      佳子(◎案・タ・益・ぐ・波・鋼・春)

42 けふからは普段ぞよべの松納     案山子

43 火の番は無生物でも出来るかと    順一

44 大くさめ美女の誉を微塵とす     愛(案・奥)

45 人参の詰め放題に顔見知り      時人(愛・忠・順・鋼)

46 友の訃や雪積む夜を鬱々と      波子

47 宿の氷柱夕べの未練映しけり     はな

48 文鳥のためのはこべら取り分けて   ぐり(時・佳)

49 松明けに切らしてゐたりオロナイン  忠義(愛・タ・順)

50 裸木の瘤が痛々しく立派       佳子(タ)

51 日脚伸ぶ解凍すれば肉透けて     春休(ぐ)




 木村はな 選(は) 】
○01 数へ日や賞味期限は明くる年  たった何日かなのにもう新しい年に跨ってしまうのですね。
○09 それからと言いかけ餅を頬張りぬ  何を言いたかったのでしょうか?いいこと?悪いこと?
○21 重ね着や指に噛みつく静電気  よくあります。静電気はいやです。
○23 白鷺のゆつくり降りる淑気かな  美しい光景ですね。
○32 障子戸を一寸開けて初日の出  美しいものを見るのは好きですが何しろ寒いので。

【 石黒案山子 選(案) 】
◎41 初鏡取り急ぎこの顔でいく  今年も元旦の朝から主婦としては忙しい日が始まる。化粧もほどほどに、さあてがんばるとしよう。
○16 涸滝に柏手打つも御慶かな  お不動様のご信仰でしょうか。滝に打たれる行があるようです。滝は神聖な場所なんでしょうね。水が涸れればまあ滝はお休みなんでしょうが、、。
○26 喜寿傘寿米寿卒寿と福寿草  誠に新年にふさわしいおめでたいお句ですね。「と」でなくて「や」に代えたいと僕はおもいますが、、、。
○32 障子戸を一寸開けて初日の出  寒いですからねー。僕もそうですが、歳をとりますと、寒さに弱く(暑さにも)億劫になってしまいます。それでも、お日様に感謝感謝。
○44 大くさめ美女の誉を微塵とす  美人だって嚔は出ますが、若い頃は仕草もかわいいですよね。そして、美人も歳をとります。大いばりで嚔をするようにもなります。年齢が「微塵」のもとですね。
このほかにも楽しいお句を沢山頂きありがとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

【 一斗 選(一) 】
(今回はお休みです。)

【 中村時人 選(時) 】
○03 道を掃く音のしてゐる大旦
○09 それからと言いかけ餅を頬張りぬ
○26 喜寿傘寿米寿卒寿と福寿草
○38 三毛猫の畦を歩いて女正月
○48 文鳥のためのはこべら取り分けて
他に気になった句は
 01 数へ日や賞味期限は明くる年
 15 箱根駅伝見たか見たかのメール飛び
 29 湯たんぽを毎夜せっせと入れる夫
 33 一書いて筆のととのふ寒の雨
 42 けふからは普段ぞよべの松納

【 土曜第九 選(第) 】
○03 道を掃く音のしてゐる大旦  のんびりした元旦でも働き者のお母さんは門前の掃除をしているのでしょう。
○19 いつの間に一粒もなし実万両  日々の生活の忙しさに追われているとついつい身近な変化を見落としてしまいます。
○22 初遊び花いちもんめの勝名乗  子供たちが外で元気に遊んでいた昭和のお正月が思い浮かびます。
○23 白鷺のゆつくり降りる淑気かな  日本晴れの穏やかなお正月の風景です。
○33 一書いて筆のととのふ寒の雨  書に向かう精神が集中していく様子が感じられます。

【 奥寺ひろ子 選(奥) 】
○21 重ね着や指に噛みつく静電気  本当に噛みつかれたようにピリピリ感は困りものです。
○26 喜寿傘寿米寿卒寿と福寿草  こういう集まりも珍しくなくなってきましたね。めでたい。
○32 障子戸を一寸開けて初日の出  初日の出は見たいですね。
○38 三毛猫の畦を歩いて女正月  穏やかな一年でありますように。
○44 大くさめ美女の誉を微塵とす  がっかりですか?

【 滝ノ川愛 選(愛) 】
○16 涸滝に柏手打つも御慶かな
○19 いつの間に一粒もなし実万両
○20 汁吸えばかまぼこ寄り来冬ごもり
○45 人参の詰め放題に顔見知り
○49 松明けに切らしていたりオロナイン

【 小林タロー 選(タ) 】
○02 歳晩の惚けしごとく爪みがき  年末に爪磨いて何が悪いの、という開き直り感が呆けしでにじみ出ます。
○20 汁吸へばかまぼこ寄り来冬ごもり  まあそうだけど、平穏無事も極まれり、という感じです。
○41 初鏡取り急ぎこの顔でいく  年が変わるったって、1日しか違わないのですから。初鏡ととりあえず感の合わせ方が面白いです。
○49 松明けに切らしてゐたりオロナイン  さて仕事を、という時に無い!
○50 裸木の瘤が痛々しく立派  冬になって認識される幹の存在感です。

【 森田遊介 選(遊) 】
(今回は選句お休みです。)

【 小早川忠義 選(忠) 】
○01 数へ日や賞味期限は明くる年  何気ない小さな日付にも年の終わりの自覚が。
○05 ひとは皆乙甲や福笑  「おっつかっつ」というリズムの良い言い回しは初めて聞いた。福笑は個性が出てる。うまくできなかった負け惜しみのようにも取れて面白い。
○20 汁吸へばかまぼこ寄り来冬ごもり  ぐっと飲み下さない描写が慎ましく暮らしているという背景に通じる。
○36 人日の裏表なき杓文字かな  七草までくればかしこまる機会もなくなり、普通の飯をよそうおしゃもじの出番だ。
○45 人参の詰め放題に顔見知り  ちらっと見えたけど一句詠む程度にとどめて見ない振りをしましょう、と取ったがもしかしたら類想があるかもしれない。

【 石川順一 選(順) 】
○04 湯気上がる餅にわずかな希望見え  季語は「餅」。情景鮮やかで、心象風景も窺える様でした。
○19 いつの間に一粒もなし実万両  季語は「実万両」。鳥に食べられたのか、それは分かりませんが「いつの間に」と言う措辞に軽い驚きが。
○26 喜寿傘寿米寿卒寿と福寿草  季語は「福寿草」。新年の気に合って居る上五下七の措辞だと思いました。
○45 人参の詰め放題に顔見知り  季語は「人参」。詰めるのに熱心なのでしょう。軽いユーモアが。
○49 松明けに切らしてゐたりオロナイン  季語は「松明け」。オロナイン軟膏でしょうか。具象の事実と仕来たり伝統の「松明け」、その対照の妙でしょうか。
他に注目した句に
 07 身じろぎもせぬ人影や初明り  季語は「初明かり」。静的な物に充満した動を感じました。
 12 初夢の鉄腕アトム吾の顔  季語は「初夢」。アニメの夢を見るとは新年早々縁起がいいかと。
 21 重ね着や指に噛みつく静電気  季語は「重ね着」。驚きと季語の「重ね着」
 31 懸想文煎餅割ればあらはるる  季語は「懸想文」。まさかと言う感覚が季語を研ぎ澄ませ
 40 氷柱とる私にとつての宝物  季語は「氷柱」。主観の勝った句も侮り難し。

【 涼野海音 選(海) 】
○07 身じろぎもせぬ人影や初明り  「初明り」の神聖さに身が引き締まります。
○09 それからと言いかけ餅を頬張りぬ  「それから」の後が気になりますね。食いしん坊俳句。
○23 白鷺のゆつくり降りる淑気かな  正月らしい景、「ゆつくり」に実感があり、的確。
○24 初電話意識もどらぬ母のこと  重い内容をさらりと読んでますが、それを「初電話」という季語が包み込むようです。
○33 一書いて筆のととのふ寒の雨  「一」の字を書いて筆の先を整えた、それだけのことでも静寂さがあります。

【 松本てふこ 選(て) 】
(今回はお休みです。)

【 川崎益太郎 選(益) 】
○01 数へ日や賞味期限は明くる年  数へ日と賞味期限の取り合わせが上手い。
○21 重ね着や指に噛みつく静電気  指に噛みつく、が面白い。
○24 初電話意識もどらぬ母のこと  初電話にしては暗すぎるが、これが現実。
○39 抱かれてもよいと雪達磨は思ふ  雪達磨(作者)も本当は抱かれたい。
○41 初鏡取り急ぎこの顔でいく  取り急ぎ、が面白い。

【 草野ぐり 選(ぐ) 】
○10 福引の順番がもう鼻先に
○12 初夢の鉄腕アトム吾の顔
○27 めばちこと口内炎と松明ける
○41 初鏡取り急ぎこの顔でいく
○51 日脚伸ぶ解凍すれば肉透けて

【 水口佳子 選(佳) 】
○09 それからと言いかけ餅を頬張りぬ  何を言いかけたのだろう。たいして重要ではなかったのかもしれない。「頬張りぬ」と言う食べっぷりにそれを感じる。
○21 重ね着や指に噛みつく静電気  「重ね着」をしたので静電気がおこった・・・という因果が少し感じられるが、静電気を皮膚に感じた時の予期しない驚きを「噛みつく」と、うまく表現した。
○33 一書いて筆のととのふ寒の雨  「一」という最もシンプルな漢字を書くことによって筆が整ったという。シンプルでありながら深い「一」。寒の雨も冷たくて心が清められる思い。中七は「ととのひぬ」がいいか。
○36 人日の裏表なき杓文字かな  「人日」には一年間の人事を占うという。一年間、無事であってほしいという思いが「裏表なき」なのか。あるいは少し皮肉を込めての「裏表なき」なのかもしれない。機智の句。
○48 文鳥のためのはこべら取り分けて  七草粥のためのはこべらなのだろうか。文鳥にも少しおすそ分け・・・文鳥も家族の一員として大切にされているのだろう。心温まる句。

【 喜多波子 選(波) 】
○07 身じろぎもせぬ人影や初明り  
○16 涸滝に拍手打つも御慶かな 
○22 初遊び花いちもんめの勝名乗
○23 白鷺のゆつくり降りる淑気かな
○41 初鏡取り急ぎこの顔でいく 

【 鋼つよし 選(鋼) 】
○15 箱根駅伝見たか見たかのメール飛び  母校の活躍に興奮している。
○17 初読の半端におはる電話かな  今の世相を表している。
○37 ぱんぱんと締込(まわし)たたくも淑気かな  初稽古の風景なるか。
○41 初鏡取り急ぎこの顔でいく  ユーモラスな句でグッド。
○45 人参の詰め放題に顔見知り  庶民的な句でよいと思う。
選外でよいと思う句。
 14 甲羅脱ぎおぼれる亀の初湯かな
 16 涸滝に拍手打つも御慶かな
 35 冬晴れのどつかとせまる富士の山 

【 小川春休 選(春) 】
○07 身じろぎもせぬ人影や初明り  初明りの逆光で真っ黒になり、表情の分からぬまま立ち尽くしている人影。恐らく、書き手と同じく、初明りの方を見やっているのでしょう。動きのない句でありながら力強さを感じる、確かな句です。
○09 それからと言いかけ餅を頬張りぬ  何を言いかけたのか気になるところですが、もし言っていたとしても余計な一言かも知れないなぁ、などと想像してみたり。いろいろと想像の広がる楽しい句です。
○13 まゆみの実すつかり鳥に明けの春  「19 いつの間に一粒もなし実万両」と趣向としては近い句なのですが、この句では、すっかり実のなくなった様子を見て、すぐに鳥の仕業だとピンと来ている。こういう所に、その場所で暮らしている者ならではの生活感が色濃く出ている。「明けの春」は中々難しい季語ですが、これもあっけらかんと明るく使いこなしている。言い回しも軽妙で、かなり巧みな句です。
○28 寒蜆居間より稚児の声溢れ  寒蜆も書き手も、恐らく静かな台所にいるのでしょう。そこに、居間から賑やかな声が聞こえてくる。その対比から、家自体やそこに住まう人々の存在感まで感じる句です。
○41 初鏡取り急ぎこの顔でいく  波多野爽波に〈妻と我いちどきになり初鏡〉の句もありますが、一般に初鏡の句には、どこか慌しいものが多いような印象を持っています(初鏡という季語への裏切り、という要素もあるのでしょう)。この句でもゆったり鏡の前に座って、というのには程遠い状況ですが、言い回しがビジネスっぽい事務的な感じであるところにもウィットを感じます。
 02 歳晩の惚けしごとく爪みがき  歳晩という時間は、何か二つの年に挟まれたエアポケットのような感じがしますね。そんな時間に惚けたように一心に爪を磨いている様子は、どこか実感があります。ただ、上五は「の」よりも「を」か「や」の方が良いようにも感じます。
 03 道を掃く音のしてゐる大旦  現代は元旦でも営業している店舗も多く、またけたたましいテレビ番組なども多いですが、この句からは心地良い静寂を感じます。こういう正月、良いですね。
 04 湯気上がる餅にわずかな希望見え  気持ちは分からなくもないのですが、そのものずばり「希望」と表現されてしまうと、一句の答えが先に出てしまっているようで、味気ない気がします。
 08 初夢や羊何匹追いかける  眠れないときに羊を数えるというのはよく聞きますが、初夢の中で羊をたくさん追いかけるというのは珍しいですね。
 10 福引の順番がもう鼻先に  福引といっても私は大抵一番下等な賞ぐらいしか当たらないので、思い返してみれば、今か今かと順番を待っている時間が一番楽しく幸せな時間なのかも知れない。この句を読んでそんなことを思いました。
 11 雨樋の水あふれだししが溶けり  さて、この句の季語は何でしょう。雪解けの句とも言えないし、雨樋の水があふれただけでは季語とは言えない。「溶けり」という所から暗に氷っていたと表現する意図なのでしょうか。ちょっとよく分からない。
 15 箱根駅伝見たか見たかのメール飛び  今年は青学が初優勝したんですよね。青学OBの間ではこんなふうにメールが飛び交ったことでしょう。
 18 初詣毎年同じ晴着にて  初詣の句で晴着が出てくるのは、ツキスギというか、初詣という季語の説明に過ぎないと思います。これでは句に広がりや奥行きが出ません。
 21 重ね着や指に噛みつく静電気  「噛みつく」という軽い擬人化がちょっと面白い句です。
 23 白鷺のゆつくり降りる淑気かな  一応出来ている句ではあるのですが、そっくりな句を自分も作ったことがあるので、発想としてはよくある句なのかも知れません。
 24 初電話意識もどらぬ母のこと  数え日、大晦日とずっと気がかりだったことでしょう。年が変わっても快復を願いつつ…。
 26 喜寿傘寿米寿卒寿と福寿草  揃いも揃ったり、ですね。いろいろと大変なこともあるのでしょうが、こうして皆で新年を迎えられたのはめでたいめでたい。
 30 日曜の土手を歩ける鴨の胸  対象を描写するときにポイントを絞るのは効果的な手法ではありますが、この句の「胸」はいかにも最後に唐突に出てきたような印象が強いです。音が近いから思い浮かんだだけですが、「胸」よりも「群」の方が良いような気もします。
 31 懸想文煎餅割ればあらはるる  寡聞にして知らないのですが、そういう商品があるのかな。おみくじ入り煎餅のような感じなのでしょうか…。
 34 突然に大きく現る冬の富士  新幹線の車窓から見えた富士山が、ちょうどこういう感じでした。
 37 ぱんぱんと締込(まわし)たたくも淑気かな  身の引き締まるような句ですが、ぱんぱんと二度叩くより、ぱーん!と一度叩く方が、より強く淑気を感じるかも知れません。
 40 氷柱とる私にとつての宝物  氷柱が宝物、という気持ちを率直に句にされること自体は良いと思うのですが、俳句の限られた音数の中で「私にとつての」という部分はほとんど意味がなく、無駄のように感じました。例えば、宝物である氷柱を大切に扱う手さばきなど、描写すべき点は他にもあると思います。
 43 火の番は無生物でも出来るかと  そう言えば、火災センサーと言うのでしょうか、高温や煙に反応する室内用の機械がありますね。
 44 大くさめ美女の誉を微塵とす  そうかなぁ、大くさめで微塵になるかなぁ…。くしゃみをするときにも澄ましているような人より、美人なのにくしゃみはダイナミック!みたいな方がギャップもあるし親しみも持てる気がするのですが、私の好みが変わっているのかもしれませんね。
 46 友の訃や雪積む夜を鬱々と  「友の訃」に「雪積む夜」と来れば、それだけで、気持ちが落ち込んでいることは読み手には充分伝わります。「鬱々と」は言わずもがななのです。虚子の句に〈子規逝くや十七日の月明に〉がありますが、これぐらい抑制された表現でも、人を悼む気持ちは充分句に表れてくる。むしろ、抑制された表現の方が、言葉に出来ない諸々を読み手は想像する。
 48 文鳥のためのはこべら取り分けて  可愛らしい句なのですが、ちょっと散文的な印象も受けます。「文鳥のためはこべらを取り分けて」とすればそういう印象も少し薄れるかな、とも思います。
 49 松明けに切らしてゐたりオロナイン  年始から忙しく、手が荒れるような仕事をされていたのでしょうね。ただ、助詞・切れがちょっと不自然な感じもします。素直に「松明けや切らしてゐたるオロナイン」で良いのではないかとも思います。

 


来月の投句は、2月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら

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