ハルヤスミ句会 第十八回

2002年3月

《 句会報 》

01 地虫出て古本屋から茶の香り     ふみ(や・春)

02 芝青む「いちにつさん」と消防士   むかご(つ・や・春)

03 まぶしきはむかうの岸も萌ゆるらん  春休

04 釣人が気づかぬままのふきのとう   やすみ(つ・春)

05 水底を走る影ある花の奥       ふみ

06 水浴びの小鳥がそこに弥生かな    むかご(ふ)

07 においしてふと見上げれば木の芽あり やすみ

08 春川の濁りに緋鯉にじむかな     むかご(ふ)

09 霞より島のてつぺん二つ三つ     春休

10 うたた寝の手よりこぼるるねこやなぎ やすみ(つ・む)

11 紅梅の大胆に折れ曲がりたる     ふみ(む)

12 その先に夜の来てあれば梅まばら   春休(む・ふ・や)



【 鋼つよし 選 】
02 芝青む
04 釣人が  この「が」は誰かといえば釣り人がという強調が感じられました。
10 うたた寝の
*選評
09 霞より  この句は、霞んでいるけれど風の切れ間などのときに島が見えたということなのだと理解したが、上五うまい表現がないかと思います。
 先日、県立図書館にて『俳句研究』2月号拝読してきました。本屋さんにはまず置いてないです。図書館でも、寄贈本なので送られてくるのを待つだけでなのだそうで、早くて一月遅れです。

【 松尾むかご 選 】
10 うたたねの  童画を見ているよう小さな手に握られていたのはねこやなぎの穂先ですね、枝ごとではない
11 紅梅の  紅梅白梅図のよう、梅って清楚な花に対して幹は荒々しいその質感が感じられる
12 その先に  部屋の窓から梅の木が見える私としては感じとしてわかる。
01 地虫出て  下の句がとってもいいと思います 地虫、古本、茶、と並ぶとごちゃつくのては

【 中村ふみ 選 】
06 水浴びの  今の時期って妙に小鳥ばっかり気になってしまう。そんな季節の感じが良く出てます。
08 春川の  句全体のスモ−キーな色彩が、3月の生暖かさと響き合っている。
12 その先に  春夜らしい美しい句です。それにしても、私の勉強不足かもしれないけど、「夜が来る」という表現をする句はちらほらあるのに、「朝が来る」と詠った句ってあまりなくないですか。

【 小川やすみ 選 】
01 地虫出て  のんびりして、ほのぼのした感じが良いと思いました。
02 芝青む  読んだ時の音も良いし、芝の新鮮さ、かけ声からは勢いややる気が感じられました。
12 その先に  句の中で使われている材料は少ないのに、せつない感じがあらわれてますね。

【 小川春休 選 】
○01 地虫出て  春の訪れは、土の匂いやら空の色やら様々なものから感じられますが、「古本屋から茶の香り」はちょっと意外性があります。上五の季語との響き合いも面白いですね。視覚以外の、嗅覚や触角にも訴えかける句はリアルです。
○02 芝青む  非常に春らしい句。やっぱり消防士にも、火事のシーズン・冬が終わった安心感みたいなものがあるんでしょうね。訓練にも、どこかなごやかさが感じられます。
○04 釣人が  蕗の薹のさりげない在り方が、釣人との関係性から浮かび上がってきます。「釣人の」とした方が読んだ感じもなだらかで、より良くなるのではないでしょうか。
05 水底を  「水底を走る影」と「花の奥」とがうまく働き合ってない感じがしました。何の影なのかを読む手がかりがないんですよね。
06 水浴びの  「弥生」という漠然とした季語よりも、「水」に関する春の季語を用いた方が、句が具体的になると思います。「そこに」もちょっとわかりにくい気がします。
08 春川の  面白いところを見ていると思います。「春川の濁りににじみゆく緋鯉」などとした方が動きが出てくるのでは?
10 うたた寝の  春らしい句。「子」という言葉を出してませんが、この「手」が子供の手だとなんとなく伝わってきます。「子」という言葉を出してしまうと句があまーくなってしまいますからね。


来月の投句は、3月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら

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