ハルヤスミ句会 第百九十回

2016年8月

《 句会報 》

01 梅雨明て南南西の風吹きぬ       時人

02 湖のひかりに夏花摘みにけり      海音(タ・春)

03 群鳩のうねり八月六日晴れ       佳子(草・タ・忠・ぐ)

04 ヘップバーン見てきし夜の水中花    草太(時・海・鋼)

05 今朝秋のぶるるととまる洗濯機     タロー(乃・草・一・時・愛・佳・三)

06 土手を来るバスに迫るや夏の雲     時人(え)

07 山肌に夏の日差しの影広し       ひろ子

08 日焼田や全裸の犬も連れていく     水玉(益)

09 アメンボの生死をにぎる水の張り    益太郎

10 遠花火菓子パンは翌日に取って置く   順一(一・ぐ)

11 夏の蝶ゆるりゆるりと次の花      乃愛

12 ターンして萩野公介宙泳ぐ       さんきう

13 椅子二脚晩夏の傷を重ね合ふ      佳子(乃・さ・一・時・奥)

14 這い出ればそこは天国蝉生まる     案山子

15 蚰蜒逃げるわさわさわさともつれざる  愛(時・忠)

16 天窓の日差しに向けて秋扇       タロー

17 白玉の脇腹ほどの柔らかさ       ぐり(乃・案・奥・愛・益・佳・三)

18 どくだみを天婦羅にして盛にけり    時人

19 空蝉はがらんどうではありません    益太郎

20 蝉の眼や初めて物の色かたち      案山子

21 そうめんの放射を崩す過去未来     水玉(さ・奥・愛)

22 ヨコシマな俺はシマウマ晩夏光     さんきう(益)

23 立秋や木乃伊みたいに疲れ臥し     忠義(三)

24 遠花火パックの顔が並び居て      ぐり(え・一・奥・忠)

25 湧き立てる入道雲の男振り       愛(◎案)

26 虹立つや海峡にいま船のなし      海音

27 客船の窓に夏日のあまねかり      みなと

28 新涼や質疑応答間を空けず       春休(さ・案)

29 風死すやあたり震はせヘリコプター   つよし(愛・春)

30 母の胸豊かな頃や麦こがし       草太(え・案・忠・佳)

31 天国に七日遊んで蝉落る        案山子(乃)

32 草いきれ熊出没の札の立つ       ひろ子

33 はつ秋の風靴ずれをさはりゆく     春休(佳)

34 オカリナの音のつまずき銀杏の実    えみこ(海・春)

35 微熱ある缶チューハイを飲みし後    順一

36 葵咲き姉の居さうな里の駅       みなと(え)

37 アイスティー両の素足を投げだして   乃愛(タ)

38 シャガールの恋人たちよ星月夜     ルカ

39 健闘を祈る垂れ幕夏休み        つよし(さ・奥・忠)

40 弾倉に銀玉詰めて夏氷         水玉(タ)

41 プール出てどつと出る汗きりもなや   愛

42 脇腹を伸ばし物取る今朝の秋      ぐり(草・愛・三・春)

43 踊り子号よりこぼれ出て秋袷      さんきう(草)

44 五輪旗は地球の真裏早稲の花      忠義

45 小川へと足滑らすや蝉時雨       つよし(海・ぐ・佳)

46 落蝉のまだ羽ばたくを烏咬み      タロー(ぐ)

47 青柿の落ちて雨後砂利瑞々し      順一

48 知恵の輪のつながつてゐる海月かな   佳子(乃・さ・案・一)

49 新涼や待ち針ひとつ落ちる音      えみこ(タ・益)

50 虫の闇ルオーのピエロ紛れ込む     ルカ(益)

51 見上ぐれば常に眉山や阿波踊      忠義(ぐ・三・鋼)

52 群れ飛べば鳩は光となる花野      えみこ(時・鋼)

53 銃の音三発聞こゆ草いきれ       ひろ子

54 木曜日色なき風が吹く日かな      草太

55 朝顔やラジオ体操の弾む声       みなと(鋼)

56 星涼し会いたい人に会いにゆく     乃愛(草・海)

57 鳥渡るさみしきときは寂しき詩     海音(春)

58 小鳥来るマティスの赤き部屋の窓    ルカ(え)

59 月夜茸北朝鮮の核弾頭         益太郎(海)

60 秋簾ことに雨音鋭けれ         春休(鋼)  




【 水玉 選(水) 】
○05 今朝秋のぶるるととまる洗濯機
○17 白玉の脇腹ほどの柔らかさ
○33 はつ秋の風靴ずれをさはりゆく
○34 オカリナの音のつまずき銀杏の実
○49 新涼や待ち針ひとつ落ちる音

【 えみこ 選(え) 】
○06 土手を来るバスに迫るや夏の雲
○24 遠花火パックの顔が並び居て     
○30 母の胸豊かな頃や麦こがし  
○36 葵咲き姉の居さうな里の駅
○58 小鳥来るマティスの赤い部屋の窓

【 賢人 選(賢) 】
(今回はお休みです。)

【 乃愛 選(乃) 】
○05 今朝秋のぶるるととまる洗濯機
○13 椅子二脚晩夏の傷を重ね合ふ
○17 白玉の脇腹ほどの柔らかさ
○31 天国に七日遊んで蝉落る
○48 知恵の輪のつながつてゐる海月かな

【 さんきう 選(さ) 】
○13 椅子二脚晩夏の傷を重ね合ふ  静物画を見ているよう。「傷を重ね合ふ」はヘンじゃないかなあ。椅子を積んであることにして、「傷を重ねたり」などがいいような気がする…。
○21 そうめんの放射を崩す過去未来  なるほど。鍋に入れた時は放射状ですね。ただ、「過去未来」が何だかよく分からず、とって付けたようなのが残念。
○28 新涼や質疑応答間を空けず  題材が新鮮で良かったです。「質疑応答間を空けず」みたいな人間社会の変化は、もう少し時期的に後だと思いつつ…。
○39 健闘を祈る垂れ幕夏休み  応援に連れてってもらえない垂れ幕の「ぼっち」振りが伝わって来ます。
○48 知恵の輪のつながつてゐる海月かな  くらげ→知恵の輪という見立て(連想)もいいですが、「くらげ(IQ低そう)」と「知恵」の対比が感じられるところが面白いです。

【 ルカ 選(ル) 】
(今回は選句お休みです。)

【 青野草太 選(草) 】
○03 群鳩のうねり八月六日晴れ
○05 今朝秋のぶるるととまる洗濯機
○42 脇腹を伸ばし物取る今朝の秋
○43 踊り子号よりこぼれ出て秋袷
○56 星涼し会いたい人に会いにゆく
 以上です。

【 石黒案山子 選(案) 】
◎25 湧き立てる入道雲の男振り
〇17 白玉の脇腹ほどの柔らかさ
〇28 新涼や質疑応答間を空けず
〇30 母の胸豊かな頃や麦こがし
〇48 知恵の輪のつながつてゐる海月かな

【 一斗 選(一) 】
〇05 今朝秋のぶるるととまる洗濯機  
〇10 遠花火菓子パンは翌日に取って置く 
〇13 椅子二脚晩夏の傷を重ね合ふ 
〇24 遠花火パックの顔が並び居て
〇48 知恵の輪のつながつてゐる海月かな 

【 中村時人 選(時) 】
〇04 ヘップバーン見てきし夜の水中花
〇05 今朝秋のぷるるととまる洗濯機
〇13 椅子二脚晩夏の傷を重ね合ふ
〇15 蚰蜒逃げるわさわさわさともつれざる
〇52 群れ飛べば鳩は光となる花野
他に気になった句は
 45 小川へと足滑らすや蝉時雨
 51 見上ぐれば常に眉山や阿波踊

【 土曜第九 選(第) 】
(今回はお休みです。)

【 奥寺ひろ子 選(奥) 】
○13 椅子二脚晩夏の傷を重ね合ふ  夏に大活躍した椅子も出番が終わりました。
○17 白玉の脇腹ほどの柔らかさ  丁度よいかたさ。
○21 そうめんの放射を崩す過去未来  今はすばやく茹でるのみ。
○24 遠花火パックの顔が並び居て  面白いとりあわせです。
○39 健闘を祈る垂れ幕夏休み  オリンピックに高校野球に活躍を期待しました。

【 滝ノ川愛 選(愛) 】
○05 今朝秋のぶるるととまる洗濯機     
○17 白玉の脇腹ほどの柔らかさ       
○21 そうめんの放射を崩す過去未来     
○29 風死すやあたり震はせヘリコプター  
○42 脇腹を伸ばし物取る今朝の秋  

【 小林タロー 選(タ) 】
○02 湖のひかりに夏花摘みにけり  「夏花摘」という季語に実感が湧かないのは、やったことが無いからだろうが、安吾中のお寺さんへの夏花を湖の見えるところで摘んでいる、という景はわかる。
○03 群鳩のうねり八月六日晴れ  テレビで見る景ではあるが、「うねり」が効いていて実感がある。
○37 アイスティー両の素足を投げだして  素足を投げ出せる場所とはどこか?縁側しかない、それもお寺の本堂かな〜、庭を見ながらという景か?
○40 弾倉に銀玉詰めて夏氷  意味不明の句とおもったが、氷あずきなどをつくる器械のことなんだ、とわかってうれしくて頂きました。
○49 新涼や待ち針ひとつ落ちる音  聞こえたような気がした、そうだろうと納得。

【 小早川忠義 選(忠) 】
○03 群鳩のうねり八月六日晴れ  今年もこの日を迎える意味を平和の象徴といわれる鳥の姿と共に追う。
○15 蚰蜒逃げるわさわさわさともつれざる  気持ち悪いはずのげじげじをあっさりかつしっかりと見ている。
○24 遠花火パックの顔が並び居て  女子会の旅行の風景か。傍目から見ると不気味だが本人たちはどこ吹く風。
○30 母の胸豊かな頃や麦こがし  推敲の余地はありそうだが、素朴な麦こがしと母の若々しき時代に思いをはせる。女性の句ならばライバル心なども思われ自然に思える。男性だとどうだろうか。マザコン?
○39 健闘を祈る垂れ幕夏休み  試合が終わっても始業式まで出たまんまの垂れ幕が夏休みの長閑さを際立たせる。
 01 梅雨明て南南西の風吹きぬ  ある意味季重なりでそこから何が見えてくるかが知りたい。
 11 夏の蝶ゆるりゆるりと次の花  落ちてしまいそうで蝶の生命力がわかりにくい。
 17 白玉の脇腹ほどの柔らかさ  途中に切れが入れば良い。
 55 朝顔やラジオ体操の弾む声  夏の季語と秋の季語の暦における認識の違いが出てしまう。
 59 月夜茸北朝鮮の核弾頭  ここは北朝鮮と言わずにまとめてみたいところ。言い過ぎの感。

【 石川順一 選(順) 】
(今回は選句お休みです。)

【 涼野海音 選(海) 】
○04 ヘップバーン見てきし夜の水中花  ヘップバーンの雰囲気と「水中花」という季語がよく合っている。
○34 オカリナの音のつまずき銀杏の実  聴覚(オカリナの音)と視覚(銀杏の実)の取り合わせが見事。
○45 小川へと足滑らすや蝉時雨  「滑らすや」の「や」に、足を滑らせた時の驚きが出ている。
○56 星涼し会いたい人に会いにゆく  「会いたい人に会いにゆく」のは、「星涼し」時が良さそう。
○59 月夜茸北朝鮮の核弾頭  月夜茸の形から「核弾頭」まで飛躍するとは。

【 川崎益太郎 選(益) 】
○08 日焼田や全裸の犬も連れていく  全裸の犬が、面白い。季重ねっぽいのも気にならない。
○17 白玉の脇腹ほどの柔らかさ  メタボの脇腹を連想。取り合わせが諧謔。
○22 ヨコシマな俺はシマウマ晩夏光  ヨコシマとシマウマの取り合わせが面白い。
○49 新涼や待ち針ひとつ落ちる音  待ち針の落ちる音に感じる新涼。取り合わせが上手い。
○50 虫の闇ルオーのピエロ紛れ込む  虫の闇とルオーのピエロの取り合わせが上手い。

【 草野ぐり 選(ぐ) 】
○03 群鳩のうねり八月六日晴れ  鳩の群れが原爆忌の青空を飛ぶ様をうねりとしたのが印象的だ。八月六日晴れは高橋優の歌詞にあるので少し引っ張られてしまった。
○10 遠花火菓子パンは翌日に取って置く  破調だが、家で遠花火を見ながらもこの菓子パンは明日に取っておこうというささやかな行動と気持ちにとても共感した。
○45 小川へと足滑らすや蝉時雨  蝉時雨の中、小川に足を滑らして呆然としている姿が。
○46 落蝉のまだ羽ばたくを烏咬み  あっと思う間もなく烏は蝉を咥えて飛んで行ったのだろう。その一瞬。
○51 見上ぐれば常に眉山や阿波踊  きっと毎年の実感なのだろう。包まれるようは思いで踊っているように感じられる。

【 水口佳子 選(佳) 】
○05 今朝秋のぶるるととまる洗濯機  洗濯機は季節に関係なくぶるると止まるもの。しかし今朝秋の洗濯機であれば、夏の間ご苦労さん、お疲れさま・・と言いたくもなる。
○17 白玉の脇腹ほどの柔らかさ  脇腹ほど・・という具体性が良い。女性の肌を思う。
○30 母の胸豊かな頃や麦こがし  私の胸が豊かな頃はなかったけれど。少しばかり老いた母を見ての複雑な作者の心境が感じられる。麦こがしが懐かしさを呼ぶ。少しつきすぎか?
○33 はつ秋の風靴ずれをさはりゆく  靴擦れの少し熱を持った足、そこだけ敏感になっているのだろう。靴擦れに触れる風から秋を感じた作者。微妙なところをうまく句にした。
○45 小川へと足滑らすや蝉時雨  よくありそうな場面をうまく切り取っている。滑らないように神経を使っているときにはあまり聞こえなかった蝉しぐれが足を滑らせたときふいに耳に入ってきたのだろう。季語によって景が広がった。

【 三泊みなと(喜多波子 改め) 選(三) 】
○05 今朝秋のぶるるととまる洗濯機 
○17 白玉の脇腹ほどの柔らかさ  
○23 立秋や木乃伊みたいに疲れ臥し  
○42 脇腹を伸ばし物取る今朝の秋 
○51 見上ぐれば常に眉山や阿波踊 

【 鋼つよし 選(鋼) 】
○04 ヘップバーン見てきし夜の水中花  夜の水中花が独創的で良い
○51 見上ぐれば常に眉山や阿波踊  臨場感がある
○52 群れ飛べば鳩は光となる花野  花野の美しさがよくわかる
○55 朝顔やラジオ体操の弾む声  体操の**体操だけでよいのでは、中八が効いていない。
○60 秋簾ことに雨音鋭けれ  秋を感じさせる。
 以上 お願いします。

【 中村阿昼 選(阿) 】
(今回はお休みです。)

【 小川春休 選(春) 】
○02 湖のひかりに夏花摘みにけり  線は少なくても、色彩で景が見えてくる水彩画のような。「に」でつなぐ叙述が自然で巧みです。
○29 風死すやあたり震はせヘリコプター  酷暑の無風状態の中を行く、爆音のヘリコプターの存在感が出ています。
○34 オカリナの音のつまずき銀杏の実  今はまだまだ残暑が厳しいですが、銀杏の実が生る頃はだいぶ過ごしやすくなっていることでしょう。まだあまり上手くないオカリナを、つまりながら吹いているのも微笑ましいですね。
○42 脇腹を伸ばし物取る今朝の秋  自分がというより、人が物を取ろうとしているところを横から見ている感じ。まだ暑く薄着の時期であればこそ、ふとした瞬間にすらりとした身体の線が意識される。
○57 鳥渡るさみしきときは寂しき詩  どこか田中裕明を思わせるような、ささやかながら率直な心情の吐露と季語との響き合いが好ましいです。
 03 群鳩のうねり八月六日晴れ  活き活きとした生命力を感じさせる句です。ただ、少し句末の「晴れ」がダメ押しというか言い過ぎのような感じもします(「八月六日」と言われただけで、私は天気の良い夏の朝を想像するので…)。かと言って、「かな」だと少し間延びしてしまう感じもする。「八月六日朝」はどうかとちょっと考えてみましたが、これも言わずもがなかも知れませんね…。
 04 ヘップバーン見てきし夜の水中花  ちょっとレトロ、でもビビッドな句です。
 05 今朝秋のぶるるととまる洗濯機  早朝の景でしょうか。何でもない家事の一こまなどでも、立秋ということを感じる瞬間がありますね。ただ、上五を「の」でつなげるのではなく、きっちり切った方がきりっとした句になりそうな気が
 08 日焼田や全裸の犬も連れていく  服を着ていないという意味では犬も裸と言えるのかも知れませんが、全身を毛に覆われているので、「全裸」という表現はぴんと来ないです。
 12 ターンして萩野公介宙泳ぐ  オリンピック、今回は日本勢の成績も良く、盛り上がりましたね。
 13 椅子二脚晩夏の傷を重ね合ふ  ムードたっぷりの句なのですが、どんな椅子なのか、「傷を重ね合ふ」とは具体的にはどういう状態なのか、今一つ具体性に欠けるように感じます。
 15 蚰蜒逃げるわさわさわさともつれざる  長い肢をたくさん動かして逃げる蚰蜒の様が見えてきます。
 16 天窓の日差しに向けて秋扇  天窓からの日差しを秋扇でさえぎったということでしょうか。ちょっと表現が正確ではない感じです。
 17 白玉の脇腹ほどの柔らかさ  白玉の柔らかさ・質感を人の肌に例える句自体は結構よくあります。この句は「脇腹」とポイントを絞っているところが少し面白い。
 20 蝉の眼や初めて物の色かたち  蝉になりかわって詠んだような句ですが、入り込み方が少し浅いです。これだと、蝉でも蝶でも同じように句が成り立ってしまう。中七下五の内容が漠然としているので、どういう場面で何を見たか、そういうシチュエーションが分かる
 22 ヨコシマな俺はシマウマ晩夏光  ヨコシマと言われても、シマウマなどの動物は大体自らの欲求に忠実なのが普通だと思いますが…。季語も特に働いてはいない感じです。
 23 立秋や木乃伊みたいに疲れ臥し  夏の間にかなり消耗したのでしょうか、目が窪み、頬がこけ、ぴくりとも動かない。まだしばらく残暑が続くかと思うと、心配になってくる句です。
 26 虹立つや海峡にいま船のなし  中七下五もう少しすっきりした方が、景がもっとくっきりと見えてくるように感じます。
 27 客船の窓に夏日のあまねかり  かなり大きな客船を詠んだ句だとは思いますが、「夏日あまねし客船の百の窓」などと窓の数を出した方がより具体的に見えてくると思います。
 31 天国に七日遊んで蝉落る  蝉が成虫になって七日しか生きられないというのは俗説のようで、実際には数週間、長ければひと月近く生きるそうです。もっと実景、実際に見たもの触れたものを詠んだ、驚きのある句が読みたいです。
 36 葵咲き姉の居さうな里の駅  「母」であれば結構よくある感じですが、「姉」というところが微妙な味わい。どういう関係の姉妹(もしくは姉弟)なのか、姉はどういう人生を歩んでいるのか。葵が景と姉のイメージの両方を想像させます。
 37 アイスティー両の素足を投げだして  畳の上かフローリングの上か、それとも縁側か。いかにも涼しそうですが、アイスティーと素足とが季重ねのような。
 40 弾倉に銀玉詰めて夏氷  いかにも遊びの途中の少年といった様子が目に浮かびます。
 41 プール出てどつと出る汗きりもなや  プール出てすぐに汗はあまり出ないような気がするのですが。体質によって個人差があるのかも知れませんが…。
 46 落蝉のまだ羽ばたくを烏咬み  動きのある、ダイナミックな句ですが、
 47 青柿の落ちて雨後砂利瑞々し  景としては悪くないと思うのですが、句の後半にかけて言葉がごちゃごちゃしています。「瑞々し」と言わずに瑞々しさを感じさせるようにまとめられれば、句がもっと活き活きしてくるのではないかと思います。
 49 新涼や待ち針ひとつ落ちる音  待ち針の落ちた音、その小さな音が辺りの静かさをうかがわせます。「落ちる音」ではなく「落ちし音」の方が内容に合っているような気もします。
 51 見上ぐれば常に眉山や阿波踊  しっかり一句に仕立てられていますが、ちょっと観光俳句っぽい印象も受けます。
 53 銃の音三発聞こゆ草いきれ  戦時中の記憶でしょうか。敵に見つからないように、草むらに潜んでいなくてはなりませんね。
 54 木曜日色なき風が吹く日かな  作者は木曜日という日にどのようなイメージを持っているのでしょうか。私には特にこれといって木曜日のイメージがないので、漠然とした句という印象になってしまいます。
 55 朝顔やラジオ体操の弾む声  朝顔とラジオ体操の取り合わせにはあまり意外性を感じません。
 56 星涼し会いたい人に会いにゆく  私の師・辻桃子の〈小鳥くる会ひたき人に会ふべかり〉に少し似過ぎているような気がします

 


来月の投句は、9月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら

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