ハルヤスミ句会 第百九十七回

2017年3月

《 句会報 》

01 いぬふぐり一輪ごとに空の青     乃愛(順)

02 春泥をまだ知らぬ子の足裏かな    益太郎(草・時・タ・忠・海・ぐ・三・鋼)

03 耕しの済むやうがひに身を逸らし   春休(佳)

04 沖縄の越えられぬ壁春嵐       光太郎(ち)

05 春一番うがひ手洗ひ身に付かず    案山子(草・一)

06 落椿ひなた日陰を分かちたる     海音(さ・春)

07 涅槃西風訃報吉報同時にて      忠義(奥・春)

08 蠅生まる限界集落風となり      みなと(ぐ)

09 キャンディーズSMAP連れて内裏雛 さんきう

10 いつからか放せぬマスク依存症    益太郎(ち・奥・愛)

11 ぱさつくも楽し鰆の舌ざはり     忠義(時・三)

12 厠より梅見の一句父の声       愛

13 箱入りの雛世に出す町おこし     案山子(ち・一)

14 卒業の孫は答辞をとつとつと     愛(光・時)

15 後継ぎは無けれど確と麦を踏む    光太郎(忠)

16 バス待つ間これ三椏と得意げに    愛

17 春一番空き室ありの幟旗       第九(光・ち・奥)

18 角落ちの道広々と花粉症       みなと(益)

19 永き日のマクドナルドのレジの音   海音(順・鋼)

20 鉄橋の音遅れ来る朧かな       第九(さ・一・時・忠・佳)

21 花粉降る降らず雨音はじまりぬ    さんきう

22 雛納め伸びたるゴムを替へにけり   第九

23 鋤深くスギナ根絶やしとはゆかず   つよし(奥)

24 恋猫に水ぶち撒けて舌打ちす     春休

25 星雲の隣る星団しやぼん玉      一斗(忠)

26 春の波脳波覚えている津波      益太郎

27 春の雨やわく煙つバスを待つ     乃愛

28 酸味口中でこぽんどんとスムーズイー つよし

29 紙雛の重さはポップコーンほど    海音(一・順・益・ぐ・佳・三・春)

30 紅梅や老人施設説明会        つよし(佳)

31 びくびくと母は先制暖かし      順一

32 薄紙の皺を伸ばして雛納め      みなと(草・愛・タ)

33 春寒の講堂後頭部が揃ふ       佳子(光・さ・タ・海)

34 子育てのときの良かりしつばくらめ  ちあき(光)

35 天神の池に異国の亀鳴けり      時人(海・ぐ)

36 殺すこと蝶にピン刺しおぼえけり   草太(益・鋼)

37 子の背を空に押出し半仙戯      ちあき

38 山妻はエヴェレストかも山笑ふ    草太

39 針供養終りミシンが動き出す     光太郎(草)

40 赤々と空車のサイン夜半の春     忠義(さ・タ)

41 芝墓地の芝焼きこがし小さな芽    ひろ子

42 キャンバスのみどり鮮やか山笑う   乃愛(順)

43 方向音痴なれども蛇は穴を出づ    佳子(益)

44 富士の嶺光彩放ち冴返る       ひろ子

45 涙橋足の短き犬渡り         ぐり(佳)

46 村の子の数より多き春の鳶      草太(奥・海)

47 式台にスリッパ揃へ出替りぬ     タロー

48 燃えさしの束の文殻鳥曇       一斗(ち)

49 競馬場通りぞ松屋春メニュー     ぐり(愛)

50 品書は焼き鳥だけぞ目貼剥ぐ     タロー

51 川越は小江戸と呼ばれ亀鳴けり    時人(春)

52 門響く五月蠅いだけの暖かし     順一

53 ふらここや結婚願望ありやなし    ちあき(愛・海)

54 春塵をよく引き寄する画面かな    一斗(さ)

55 永き日やテニスコートにローラーを  タロー

56 ゴミ響き五月蠅がられて暖かし    順一

57 一日を声の録音夕霞         ひろ子

58 猿山のボスの座高し風光る      時人(光・草・タ・順・三・鋼)

59 わしづかみして分け合ふや夏みかん  さんきう

60 歩くうち決意揺るるや辛夷の芽    ぐり(春)

61 水温む甕にめだかのおびただし    案山子

62 呼べども呼べども目覚めぬ亀よ卒業す 春休(愛・忠・鋼)

63 蜃気楼見にゆくプラトニックラブ   佳子(一・時・益・ぐ・三)  




【 森本光太郎 選(光) 】
○14 卒業の孫は答辞をとつとつと
○17 春一番空き室ありの幟旗
○33 春寒の講堂後頭部が揃ふ
○34 子育てのときの良かりしつばくらめ
○58 猿山のボスの座高し風光る

【 ちあき 選(ち) 】
○17 春一番空き室ありの幟旗
○10 いつからか放せぬマスク依存症
○48 燃えさしの束の文殻鳥曇
○13 箱入りの雛世に出す町おこし
○04 沖縄の越えられぬ壁春嵐
以上選句 のみです。
よろしくお願いします。

【 小中奈央 選(奈) 】
(今回はお休みです。)

【 さんきう 選(さ) 】
○06 落椿ひなた日陰を分かちたる  落椿の句はこれまで満足の行く句が作れてなかった。この句を見て「なるほどなぁ」と。
○20 鉄橋の音遅れ来る朧かな  おぼろというのはこういうことなんですよね。
○33 春寒の講堂後頭部が揃ふ  中学生の坊主頭でしょうか。朝礼とか、やたら寒かったですよね。
○40 赤々と空車のサイン夜半の春  このぐらいを言うのが俳句としてはイイ感じ。
○54 春塵をよく引き寄する画面かな  「引き寄せる」という表現がチョット良かったかも。

【 ルカ 選(ル) 】
(今回はお休みです。)

【 青野草太 選(草) 】
○02 春泥をまだ知らぬ子の足裏かな
○05 春一番うがひ手洗ひ身に付かず
○32 薄紙の皺を伸ばして雛納め
○39 針供養終りミシンが動き出す
○58 猿山のボスの座高し風光る
              以上です。

【 石黒案山子 選(案) 】
(今回は選句お休みです。)

【 一斗 選(一) 】
○05 春一番うがひ手洗ひ身に付かず
○13 箱入りの雛世に出す町おこし
○20 鉄橋の音遅れ来る朧かな
○29 紙雛の重さはポップコーンほど
○63 蜃気楼見にゆくプラトニックラブ

【 中村時人 選(時) 】
○02 春泥をまだ知らぬ子の足裏かな
○11 ぱさつくも楽し鰆の舌ざはり
○14 卒業の孫は答辞をとつとつと
○20 鉄橋の音遅れくる朧かな
○63 蜃気楼見にゆくプラトニックラブ
 他に気になった句は
 01 いぬふぐり一輪ごとの空の青
 26 春の波脳波覚えている津波
 39 針供養終りミシンが動き出す
 61 水温む甕にめだかのおびただし

【 土曜第九 選(第) 】
(今回は選句お休みです。)

【 奥寺ひろ子 選(奥) 】
○07 涅槃西風訃報吉報同時にて  そんな時もあります。
○10 いつからか放せぬマスク依存症  冬は温かく花粉症にも排気ガスにもマスクは、手放せません。
○17 春一番空き室ありの幟旗  これからの新生活を応援しています。
○23 鍬深くスギナ根絶やしとはいかず  根は強くはびこっていますが、来年また芽の出る楽しみがあります。
○46 村の子の数より多き春の鳶  日本中のいたるところでの現実。

【 滝ノ川愛 選(愛) 】
〇10 いつからか放せぬマスク依存症    
〇32 薄紙の皺を伸ばして雛納め      
〇49 競馬場通りぞ松屋春メニュー     
〇53 ふらここや結婚願望ありやなし    
〇62 呼べども呼べども目覚めぬ亀よ卒業す

【 小林タロー 選(タ) 】
〇02 春泥をまだ知らぬ子の足裏かな
〇32 薄紙の皺を伸ばして雛納め  代々受け継がれてきた雛を丁寧にしまう。
〇33 春寒の講堂後頭部が揃ふ  視点が良い。男子校、坊主頭だと思いたくなる。 
〇40 赤々と空車のサイン夜半の春  鋭い赤からぼわんとした赤へ、色合いが変わった。
〇58 猿山のボスの座高し風光る  季語が動くような気もするが、これはこれで「ボス」の表現。

【 小早川忠義 選(忠) 】
〇02 春泥をまだ知らぬ子の足裏かな  既視感があるにはあるのだけれど、春の温かくなりつつある中で穢れを知らない子どもに結びつけた綺麗さ。
〇15 後継ぎは無けれど確と麦を踏む  育てるという思いは万民共通。
〇20 鉄橋の音遅れ来る朧かな  いつでも遠くにいれば音が遅れることはあるけれど、季語から特化性が出てくる不思議。
〇25 星雲の隣る星団しやぼん玉  図鑑の中か望遠鏡の視界か、はたまた頭の中か。宇宙はしゃぼん玉のように膨らみ続けているんだとか。夢のある句。      
〇62 呼べども呼べども目覚めぬ亀よ卒業す  目覚めてもいないのに卒業してしまうのだろうか。将来の夢も決まっていないのにただ何となく受験して、を繰り返す現代っ子。 
 04 沖縄の越えられぬ壁春嵐  沖縄っていうだけで観念が先走っているような。
 33 春寒の講堂後頭部が揃ふ  「揃ふ」だけだと講堂の臨場感が伝わって来ない気がします。
 54 春塵をよく引き寄する画面かな  下五は「テレビかな」で通じると思われます。
 59 わしづかみして分け合ふや夏みかん一つの夏みかんを割って分けているのか、複数のものを一つずつ分けているのかどちらでしょう。

【 石川順一 選(順) 】
〇01 いぬふぐり一輪ごとに空の青  季語は「いぬふぐり」。あの空の星にもたとえられる、いぬふぐりならではの句だと思いました。
〇19 永き日のマクドナルドのレジの音  季語は「永き日」。レジの音と季語が合って居る様な気がしました。
〇29 紙雛の重さはポップコーンほど  季語は「紙雛」。キティーなどの体重をイチゴ何個分で譬えると言うのを思い出しました。
〇42 キャンバスのみどり鮮やか山笑う  季語は「山笑ふ」。キャンパスの色と春の山が上手く照応して居るような気がしました。
〇58 猿山のボスの座高し風光る  季語は「風光る」。ボスの座の高さと光る風とが上手くかみ合って居る様な気がしました。

【 涼野海音 選(海) 】
○02 春泥をまだ知らぬ子の足裏かな  まだ表で遊んでいない子どもでしょうか。これから元気に外へ。
○33 春寒の講堂後頭部が揃ふ   いかにも春寒の景でしょうか。集会か何かでしょうね。
○35 天神の池に異国の亀鳴けり  ミシシッピ・アカガメなどの外来の亀、鳴きそうだなと思わせるのが技なのでしょう。
○46 村の子の数より多き春の鳶  そんなに多く春の鳶がとんでいるのかなと思いつつ、でも迫力がある一句です。
○53 ふらここや結婚願望ありやなし  ふらここをこぎながら、将来のことを考えているのでしょうか。

【 川崎益太郎 選(益) 】
○18 角落ちの道広々と花粉症  将棋の角落ち、確かに道は広い。面白い視点。
○29 紙雛の重さはポップコーンほど  取り合わせが面白い。
○36 殺すこと蝶にピン刺しおぼえけり  昔の思い出した。なぜか、男は昆虫採集、女は植物採集と決められていた。
○43 方向音痴なれども蛇は穴を出づ  穴を出るのは本能。後は知らない。
○63 蜃気楼見にゆくプラトニックラブ  プラトニックラブなんて死語。蜃気楼と同じ。

【 草野ぐり 選(ぐ) 】
○02 春泥をまだ知らぬ子の足裏かな  柔らかくて、すべすべの足裏。これから何を経験していくのか。希望に満ちた足裏でもあります。 
○08 蠅生まる限界集落風となり  切なさのある光景。ただ 風 ではなくもっと具体的な何かであった方がより迫ってくる気がします。
○29 紙雛の重さはポップコーンほど  ポップコーンがいいです。紙雛が愛おしくなります。  
○35 天神の池に異国の亀鳴けり  ミドリガメでしょうか。今や日本はミドリガメ天国ですが異国の亀と言われるとお伽話めいてきて、イメージが広がります。
○63 蜃気楼見にゆくプラトニックラブ  ひょっとしたらつきすぎなのかもしれませんが短編映画のようです。 

【 水口佳子 選(佳) 】
○03 耕しの済むやうがひに身を逸らし
(身を反らし?)
○20 鉄橋の音遅れ来る朧かな
○29 紙雛の重さはポップコーンほど
○30 紅梅や老人施設説明会
○45 涙橋足の短き犬渡り

【 三泊みなと 選(三) 】
○02 春泥をまだ知らぬ子の足裏かな  
○11 ぱさつくも楽し鰆の舌ざはり 
○29 紙雛の重さはポップコーンほど 
○58 猿山のボスの座高し風光る
○63 蜃気楼見にゆくプラトニックラブ
 佳句が沢山有り、5句選が大変でした。

【 鋼つよし 選(鋼) 】
○02 春泥をまだ知らぬ子の足裏かな  春泥の季語はなかなか良い。
○19 永き日のマクドナルドのレジの音  想像してみるにゆっくりなのかな。
○36 殺すこと蝶にピン刺しおぼえけり  不気味な句であえて選びました
○58 猿山のボスの座高し風光る  人間社会と似ています。
○62 呼べども呼べども目覚めぬ亀よ卒業す  卒業との離れ具合が良い。

【 中村阿昼 選(阿) 】
(今回はお休みです。)

【 小川春休 選(春) 】
○06 落椿ひなた日陰を分かちたる  景としては、日向と日陰を分けている一線の上の落椿。ただ、「落椿が分けているのだ」と言い切ったとき、落椿の存在感が強調され、景の鮮度、コントラストが一気に上がる。素晴らしい写生句。
○07 涅槃西風訃報吉報同時にて  禍福はあざなえる縄の如く。時を同じくして訪れた訃報と吉報に戸惑う気持ちと、それさえも流れ去っていくことなのだ、という印象も秘めており、なかなか複雑な味わいの句。下五「同時にて」は少し硬い印象なので、「いつときに」とか「たてつづけ」の方が余韻がある気がしました。
○29 紙雛の重さはポップコーンほど  面白い発想の句ですが、面白いだけではなくて、どこか紙雛というもののせつなさのようなものも感じられる句です。
○51 川越は小江戸と呼ばれ亀鳴けり  初めて調べてみましたが、川越の街並みは味がありますね。亀の鳴く声が聞こえてきたら、昔の川越に戻ったような感じがするかもしれませんね。
○60 歩くうち決意揺るるや辛夷の芽  選択が、YESかNOかの二択ならまだ良いのです。三つも四つも、あるいはもっと沢山選択肢があると、悩みますよね。辛夷の芽は、あっちへ進め、こっちへ進め、いやこっちだ、とでも言うかのように、いろんな方向へ芽を出しています。
 01 いぬふぐり一輪ごとに空の青  蕪村の「朝がほや一輪深き淵の色」を少し思い出しますね。一輪ごと、とたくさんの花が広がっているところがいぬふぐりならではでしょうか。
 02 春泥をまだ知らぬ子の足裏かな  そう言われると、私も裸足で春泥を踏んだことはないなぁ…。
 04 沖縄の越えられぬ壁春嵐  沖縄「にある」壁という意味なのか、沖縄「にとって」越えられない壁という意味なのか。要するに米軍基地の外周のフェンスということでしょうか。言い方が回りくどくて、よく分からない。季語もどう働いているのかよく分かりませんでした。
 05 春一番うがひ手洗ひ身に付かず  句の中に具体的なことが「春一番」しかなく、そこが弱い。中七下五のようなことを詠み込みたいとしたら、季語でそれをフォローしてやる必要があると思います。
 08 蠅生まる限界集落風となり  「限界集落」とはなかなか詠み込むのが難しいテーマですが、果敢に挑んでおられます。一句で見たときには、下五があまり効果的でない印象。例えば「蠅あまた生まれ限界集落よ」などとした方が、自然の豊かさと人間の集落の衰退がシンプルに対比されるような気がします。
 11 ぱさつくも楽し鰆の舌ざはり  軽妙な詠みぶりが楽しい句です。
 12 厠より梅見の一句父の声  厳密に言うと、厠から梅見の句が聞こえても、それは季語として成立しているか疑問です。私の例で言うと、夏でも秋でも「なごり雪」を歌うことがあります。この「なごり雪」は季語にはならないでしょう。それと同じです。
 13 箱入りの雛世に出す町おこし  「町おこし」というのもなかなか難しいテーマです。一句通して見ても、上五中七の種明かしを下五でしているような感じで、余韻がない。もっと具体的なポイントに絞って描写してほしいところです。
 16 バス待つ間これ三椏と得意げに  上五の内容が、あまり効果的ではないように感じます。中七下五だけで、もっとしっかり描写して、一句にすることができるのではないでしょうか。
 18 角落ちの道広々と花粉症  上五中七は面白いのですが、下五が季語としてどう働いているのかがよく分からない。
 19 永き日のマクドナルドのレジの音  そういえば長いことマクドナルドに行っておらず、どんな雰囲気だったか思い出せず…。店内にずっとラジオのような音楽が流れているのはミスドでしたかね…。
 20 鉄橋の音遅れ来る朧かな  いかにも朧らしい。周囲全てがぼんやりと、時間の感覚もずれてしまうような、記憶の中の景のような、そんな感じが出ています。採りたかった句。
 25 星雲の隣る星団しやぼん玉  上五中七、面白い着想だとは思いますが、しゃぼん玉を吹くのは普通は日中。夜空が見えないと星雲や星団も印象が弱いような気がします。夜を連想させる季語の方が
 27 春の雨やわく煙つバスを待つ  「煙つ」はどのように読めば良いのでしょうか。この書き方だと、バスが「煙つ」のか何が「煙つ」のか、よく分かりません。
 28 酸味口中でこぽんどんとスムーズイー  面白い内容を句にされていますが、中七は「でこぽんどんと」より「どんとでこぽん」として、「でこぽんスムーズィー」とつなげないと、でこぽんとスムージーが別物のようにも読めてしまいます。
 33 春寒の講堂後頭部が揃ふ  ずらっと講堂に人が並んでいますが、一人もこちらを向いていないことにも精神的な寒さを感じる。
 35 天神の池に異国の亀鳴けり  亀の種類は分かりませんが、こう書かれると、中国か天竺(インド)の亀かなぁ、という感じがしますね。なかなか雰囲気のある句。
 37 子の背を空に押出し半仙戯  「空に」より「空へ」の方が良いでしょうね。
 40 赤々と空車のサイン夜半の春  「空車サインや」と切った方が、印象も強くなるかと思います。
 45 涙橋足の短き犬渡り  私の2002年の句「薄暑かな足の短き犬怒り」を思い出しましたが、犬の足が短い所以外は全然別の句ですね。ところで季語は何でしょうか。無季の句?
 46 村の子の数より多き春の鳶  これもまた「限界集落」か、その一歩手前か。明るいけれど、少し寂しいような景です。
 48 燃えさしの束の文殻鳥曇  文殻は、誰かからの手紙だったのでしょうか。
 50 品書は焼き鳥だけぞ目貼剥ぐ  後はビールぐらいですかね。古くて狭そうな店構えが見えてきます。
 57 一日を声の録音夕霞  「歌」ではなく「声」とあるので、ナレーションか何かでしょうか。その辺りが分かると良かった。あと、季語もあまり効いていないようです。
 58 猿山のボスの座高し風光る  誇らしく、威厳のあるボス猿の様子が目に浮かびます。
 61 水温む甕にめだかのおびただし  「水温む」は春、「めだか」は夏、季重ねですね。「めだか」は春の季語かと思って調べたら夏の季語だったので少し驚きました。違和感ありますよね。

 


来月の投句は、4月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら

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