ハルヤスミ句会 第二百一回

2017年7月

《 句会報 》

01 瘡蓋を剥がす指先不死男の忌      ルカ(草・益)

02 氷川丸入場券や青嵐          海音

03 手送りで届くコーヒー夏期講習     つよし(さ・一・三・春)

04 梅雨の蝶白さは葉々に吸ひ込まれ    順一(ル・三)

05 七回の裏やラムネのラッパ飲み     愛(奥)

06 濡れながら田の見回りや喜雨の中    光太郎(奥)

07 松に衣掛けてありけり雪解富士     一斗

08 増水に危うき堤梅雨晴間        つよし

09 鰻屋に近づく気配早足に        愛

10 助太刀は一切不要心太         益太郎(順)

11 冷房に冷えし光の鋏かな        春休(三)

12 婆様に結んで貰ふ一重帯        みなと(鋼)

13 赤シャツといふ名の喫茶夏つばめ    海音(光・愛・春)

14 公園の真中寂しき薄暑かな       ちあき(ル・草・佳)

15 暮れてゆく水に浮葉のあかるくて    春休(ル・順・佳)

16 人逝って残る切株風薫る        益太郎(ち・草・鋼)

17 茄子トマトドレッシングは直ぐ剥がれ  順一

18 楸邨忌指でなぞりし星座かな      ルカ

19 片陰のタオルを掛けてゐる頭      一斗

20 会社員田植に励む日曜日        光太郎

21 巨大なる胡瓜を残す夕餉かな      順一

22 注がるる水におののく水中花      佳子(草・一・奥・海・益・春)

23 返す返すそつぽを向かれ溽暑かな    忠義

24 夏掛を足でたぐりて腹の上に      愛(忠)

25 ちぐはぐな夫との会話アマリリス    ちあき(愛・海)

26 青芒割つて血色よき腕         佳子(草)

27 河鹿笛せせらぎに乗り風に乗り     案山子(順)

28 薄れゆく荼毘の煙や鳥渡る       時人(忠・益)

29 止む気配なきおしやべりや半夏生    つよし(愛)

30 壜砕け夜店の裏に泣く子供       佳子

31 灯取虫肩を並べて駅ホーム       みなと

32 緑陰の出口の投句ポストかな      さんきう(ち・時・海)

33 河童忌や引きちぎられしガムテープ   ルカ(一・順・益・佳)

34 うな垂れて信号待ちの炎天下      ひろ子(時)

35 炎帝はパントマイマーにあらずや    忠義

36 噴水や空の高さにマリア像       海音(さ)

37 草いきれ文字うねりたる文学碑     さんきう(ち・時・春)

38 校庭の誰かが虹と叫びをり       一斗(ち・海・佳・三)

39 蟻の列中の何匹かはずぼら       益太郎(鋼)

40 ササラ手に神を誘ふ祭足袋       みなと

41 流されてあはれ浮葉をあゆむ蟻     春休(益)

42 炎天やカルビ焼くほか手立てなし    さんきう(ち・愛・忠)

43 野良仕事麦湯たっぷり畦に置く     光太郎(さ・時・鋼)

44 水喧嘩の村にロミオとジュリエット   草太(奥・鋼)

45 夏草や壊したままの家の跡       ひろ子(時・順)

46 池渡る嚔が一つ半夏生         案山子

47 かき氷糸引くほどに蜜垂らし      忠義(さ)

48 迎火や昭和平成路地暮らし       時人(光・さ・奥)

49 湾に沿う岬への径枇杷熟るる      ちあき

50 綿あめのパステルカラー小鳥来る    時人(一)

51 夏風呂にほてりを浸す月の夜      ひろ子(ル)

52 自分史のはじめは敗戦日の正座     草太(光・忠・佳・三)

53 我が端居座して半畳寝て一畳      案山子(光)

54 敗戦日ガーデニングの軍手買ふ     草太(光・ル・一・愛・忠・海・春) 




【 えみこ 選(え) 】
(今回はお休みです。)

【 森本光太郎 選(光) 】
○13 赤シャツといふ名の喫茶夏つばめ
○48 迎火や昭和平成路地暮らし
○52 自分史のはじめは敗戦日の正座
○53 我が端居座して半畳寝て一畳
○54 敗戦日ガーデニングの軍手買ふ

【 ちあき 選(ち) 】
○16 人逝って残る切株風薫る
○32 緑陰の出口の投句ポストかな
○37 草いきれ文字うねりたる文学碑
○38 校庭の誰かが虹と叫びをり
○42 炎天やカルビ焼くほか手立てなし
 選句のみで、すみません。

【 さんきう 選(さ) 】
○03 手送りで届くコーヒー夏期講習  人件費を節約した、小規模なセミナーなんでしょうね。描写が手慣れていると思いました。
○36 噴水や空の高さにマリア像  噴水は単独で詠まれることが多そうですが、マリア像と組み合わせてイイ感じになっています。ただ、「空の高さ」がアバウト過ぎる感じはしました。
○43 野良仕事麦湯たっぷり畦に置く  「野良仕事」という淳朴な言葉の響きが麦湯とマッチしていて良かったです。
○47 かき氷糸引くほどに蜜垂らし  普通はかき氷=シャリシャリ的な句なんですけど、ねっちょり系を持ってきたのが珍しい。高級かき氷の食材の組み合わせに通じます。
○48 迎火や昭和平成路地暮らし  迂闊なことに、路地に人が住んでいることは知っていましたが、そこにずっと住んでいる人がいるとは思いませんでした。

【 ルカ 選(ル) 】
○04 梅雨の蝶白さは葉々に吸ひ込まれ  梅雨の蝶の白さ、いかにも吸い込まれそうです。
○14 公園の真中寂しき薄暑かな  子供がいない公園、イマドキの風景。
○15 暮れてゆく水に浮葉のあかるくて  情景が目に浮かびます。
○51 夏風呂にほてりを浸す月の夜  月の幻想にほてりをひたしているよう。いいですね。
○54 敗戦日ガーデニングの軍手買ふ  軍手の有り様が時を感じさせます。

【 青野草太 選(草) 】
○01 瘡蓋を剥がす指先不死男の忌 
○14 公園の真中寂しき薄暑かな
○16 人逝って残る切株風薫る
○22 注がるる水におののく水中花
○26 青芒割つて血色よき腕
            以上です。

【 石黒案山子 選(案) 】
(今回は選句お休みです。)

【 一斗 選(一) 】
○03 手送りで届くコーヒー夏期講習  
○22 注がるる水におののく水中花    
○33 河童忌や引きちぎられしガムテープ
○50 綿あめのパステルカラー小鳥来る
○54 敗戦日ガーデニングの軍手買ふ 

【 中村時人 選(時) 】
○32 緑陰の出口の投句ポストかな
○34 うな垂れて信号待ちの炎天下
○37 草いきれ文字うねりたる文学碑
○43 野良仕事麦湯たっぷり畔に置く
○45 夏草や壊したままの家の跡
 他に気になった句は
 01 瘡蓋を剥がす指先不死男の忌  (私なら)古傷の瘡蓋剥がす不死男の忌 
 18 楸邨忌指でなぞりし星座かな
 39 蟻の列中の何匹かはずぼら  (私なら)蟻の列なかにずぼらの何匹か(二三匹)
 49 湾に沿う岬への径枇杷熟るる
 以上宜しくお願いいたします。

【 土曜第九 選(第) 】
(今回はお休みです。)

【 奥寺ひろ子 選(奥) 】
○05 七回の裏やラムネのラッパ飲み   さあ、ここで逆転か?
○06 濡れながら田の見回りや喜雨の中  やっと降った雨、すくすく育ちますように。
○22 注がるる水におののく水中花    突然に水を注がれては。おののくの表現が的を得ている。
○44 水喧嘩の村にロミオとジュリエット ロミオとジュリエットを持ってきたところがおもしろい。
○48 迎え火や昭和平成路地暮らし    受け継いできた慣習を守り続けてきた暮らし。

【 滝ノ川愛 選(愛) 】
〇13 赤シャツといふ名の喫茶夏つばめ  このような名前の喫茶店「夏つばめ」ならずとも”ス−イ”と入ってみたくなります。
〇25 ちぐはぐな夫との会話アマリリス  上五、中七で大丈夫なのかなと思いましたが、「アマリリス」の季語でほっとしました。
〇29 止む気配なきおしやべりや半夏生  おそらくおしゃべりに夢中なのはご婦人たちでしょう。「半夏」ならずともでしょうが、お元気で何よりです。
〇42 炎天やカルビ焼くほか手立てなし  そうです、そうです。寿司や天ぷらではダメです。汗だくでカルビ焼かなくっちゃ。
〇54 敗戦日ガーデニングの軍手買ふ  「敗戦日」という重い季題に対して「ガーデニング」とは。この離れ具合がいい。

【 小林タロー 選(タ) 】
(今回はお休みです。)

【 小早川忠義 選(忠) 】
○24 夏掛を足でたぐりて腹の上に  格好悪さも俳味の一つ。
○28 薄れゆく荼毘の煙や鳥渡る  渡る鳥に乗って亡き人の思いも御霊も彼方へ薄れていくのだろうか。
○42 炎天やカルビ焼くほか手立てなし  手立てなしと言いながらそれが一番おいしいという反語的なものか。それが手立てっていうのも馬鹿々々しいが却って面白い。
○52 自分史のはじめは敗戦日の正座  敗戦日を境に口に出し耳に入る自らの言葉が許される。戦乱の世に戻ってはいけないことを思い知る。  
○54 敗戦日ガーデニングの軍手買ふ  何もないところから新しい命を育む。花豊かな春を目指して。
 11 冷房に冷えし光の鋏かな  何と矛盾があるような、としか思えないのは暗喩がうまくいってないせいだろうか。
 16 人逝って残る切株風薫る  切り株にもう少し焦点を当ててみて欲しかったような。
 21 巨大なる胡瓜を残す夕餉かな  残す以前にそれが出される食卓はどうなんだろうかと。
 33 河童忌や引きちぎられしガムテープ  あんまり離れていても......。

【 石川順一 選(順) 】
○10 助太刀は一切不要心太  季語は「心太」。何か時代劇めいた雰囲気に心太。想像力が膨らみました。
○15 暮れてゆく水に浮葉のあかるくて  季語は「浮葉」。蓮の葉の明るさ。暮れて行く情景。それらが混然一体となった効果。
○27 河鹿笛せせらぎに乗り風に乗り  季語は「河鹿笛」。カエルの鳴き声がせせらぎに、風に乗り、抒情詩が聞こえて来た。
○33 河童忌や引きちぎられしガムテープ  季語は「河童忌」。7月24日に何があったのか。何かインパクトのある句でした。
○45 夏草や壊したままの家の跡  季語は「夏草」。「まま」の状態に句味が。破壊の後の廃墟の魅力。
 以上5句選でした。他に注目した句に
 01 瘡蓋を剥がす指先不死男の忌   季語は「不死男の忌」。7月25日に指の瘡蓋を剥がした。
 42 炎天やカルビ焼くほか手立てなし 季語は「炎天」。状況がちょっと把握できませんでした。カルビは肉。
 52 自分史のはじめは敗戦日の正座  季語は「敗戦日」。8月15日に玉音放送の重さ。

【 涼野海音 選(海) 】
○22 注がるる水におののく水中花  水中花がおののくという表現がユニーク。
○25 ちぐはぐな夫との会話アマリリス  アマリリスがいかにも「ちぐはぐ」に合っている。
○32 緑陰の出口の投句ポストかな  これもよく見る景だが、句にするのを忘れていた感じである。
○54 敗戦日ガーデニングの軍手買ふ  敗戦日に現代の「軍手」をもってきたところが、意味深長。
○38 校庭の誰かが虹と叫びをり  「誰か」がややアイマイだが、虹を見た瞬間が端的に表現されている。

【 川崎益太郎 選(益) 】
○01 瘡蓋を剥がす指先不死男の忌  不死男の波乱の時代の再来の予感。
○22 注がるる水におののく水中花  水中花が水におののくという不思議。
○28 薄れゆく荼毘の煙や鳥渡る  人は死に、鳥が来る、という輪廻。
○33 河童忌や引きちぎられしガムテープ  「引きちぎられし」が、象徴的。
○41 流されてあはれ浮葉をあゆむ蟻  ヒアリでないことを祈る。

【 草野ぐり 選(ぐ) 】
(今回はお休みです。)

【 水口佳子 選(佳) 】
○14 公園の真中寂しき薄暑かな  人も犬も木陰にいる。日の当たる公園の真ん中がやけに広く見える。〈寂しき〉と捉えたところが良い。 
○15 暮れてゆく水に浮葉のあかるくて  水の暗さと蓮の葉のつややかさその質感の対比。
○33 河童忌や引きちぎられしガムテープ  ガムテープのべたべた感が蜘蛛の糸の粘着力とどこか通じているような。
○38 校庭の誰かが虹と叫びをり  その声につられていっせいに空を見上げる生徒、景がよく見える。 
○52 自分史のはじめは敗戦日の正座  戦争を記憶から抹殺したいとの思いか。一度死んで生まれ変わったとの思いかもしれない。

【 三泊みなと 選(三) 】
○03 手送りで届くコーヒー夏期講習  
○04 梅雨の蝶白さは葉々に吸ひ込まれ 
○11 冷房に冷えし光の鋏かな
○38 校庭の誰かが虹と叫びをり 
○52 自分史のはじめは敗戦日の正座 

【 鋼つよし 選(鋼) 】
○12 婆様に結んで貰ふ一重帯  ご年配の婆様をイメージします。
○16 人逝って残る切株風薫る  まだ切り倒して日の浅いのでしょうか。
○39 蟻の列中の何匹かはずぼら  蟻にしては意味があるのだろうが。
○43 野良仕事麦湯たっぷり畦に置く  夏の労働の景色
○44 水喧嘩の村にロミオとジュリエット  夏芝居でも見てるよう。
 以上 お願いします。
 力作が多く、皆さんどんな句を採るのか、注目したい

【 中村阿昼 選(阿) 】
(今回はお休みです。)

【 小川春休 選(春) 】
○03 手送りで届くコーヒー夏期講習  横に長い机に、ずらりと夏期講習の参加者が座っているのでしょう。休憩時間にはコーヒーが手送りで送られてくる。ポイントを押さえた描写から、臨場感を持って場面が見えてきます。
○13 赤シャツといふ名の喫茶夏つばめ  『坊っちゃん』の世界の雰囲気を、「赤シャツ」という喫茶店名が感じさせてくれる。「夏つばめ」もまた、その街並みの雰囲気を実感のあるものにしてくれています。
○22 注がるる水におののく水中花  擬人化が非常に的確で、水中花の様子がありありと目に浮かんできます。「注がるる」と受身で表現されている所も、一貫して句の主役を水中花にする上で、しっかり機能しています。
○37 草いきれ文字うねりたる文学碑  文字のうねりに、文学の訴えかけてくるものの勢いや熱を感じます。草いきれの中、文学碑と向き合う人との間に熱い何かが通い合っているような。
○54 敗戦日ガーデニングの軍手買ふ  「軍手」は元々「軍用手袋」の略で、旧日本軍の兵士が用いたことに由来しています。そんな軍手も現代では、ガーデニングという、個人の楽しみのようなことに使われている。軍手というものが辿ってきた歴史を考えると、いろいろと考えさせられる句です。
 02 氷川丸入場券や青嵐  氷川丸というと、昭和五年に建造された日本郵船の大型船。様々な歴史を持った船です。内部観覧の入場券でしょうか。青嵐が、はるかな歴史まで想像を広げさせてくれます。
 05 七回の裏やラムネのラッパ飲み  野球観戦の一場面というのはよく分かるのですが、「七回の裏」というタイミングを、どういう意味のある場面と読むか。試合によって状況はまちまちですし、けっこう曖昧な感じがします。これが「九回の裏」であれば、後攻のチームは同点か負けている状況、点を取らねば勝てない、追い詰められた状況と分かります。そんな中ラッパを飲み干していれば、最後まで諦めずに応援するぞ、という気概も伝わってくる。
 07 松に衣掛けてありけり雪解富士  景としては非常に綺麗ですが、少々クラシカルな感じがします。
 08 増水に危うき堤梅雨晴間  意味はよく分かりますが、その分、説明っぽくなってしまっているようにも感じます。
 10 助太刀は一切不要心太  「一切不要心太」から何となく一心太助を思い出しました。
 14 公園の真中寂しき薄暑かな  雰囲気はよく分かる。惹かれる所のある句ですが、少し淡いような気もします。
 19 片陰のタオルを掛けてゐる頭  「片陰の」ではなく「片陰に」でしょうね、句の意味からすると。
 21 巨大なる胡瓜を残す夕餉かな  大きい物は大味で美味しくない、ということでしょうか。
 23 返す返すそつぽを向かれ溽暑かな  心情としてはよく分かるのですが、「返す返す」というよりも、何に対してそっぽを向かれたのか想像できる手がかりがある方が良いようにも感じます。もしくは、どんな事柄かほのめかすような季語にするか。
 24 夏掛を足でたぐりて腹の上に  「夏掛」という物と、「足」「腹」という身体のパーツがテンポ良く出てきて、動きのよく見える句です。採りたかった句ですが、下五の「に」は不要のようにも感じます。
 25 ちぐはぐな夫との会話アマリリス  こういう「感慨12音プラス季語5音」という句は、季語に何を持って来るかでトーンががらっと変わってきます。アマリリスという季語からは、会話はちぐはぐな夫婦でも、それなりに上手くやってるのかな、という感じが読み取れて、なかなか面白い。
 26 青芒割つて血色よき腕  道具立ては良いと思うのですが、もう少しメリハリというか、インパクトのある「腕」の登場の仕方がないものか、と思います。
 28 薄れゆく荼毘の煙や鳥渡る  永久の別れに、渡ってゆく鳥。印象に残る景です。
 31 灯取虫肩を並べて駅ホーム  上五下五ともに名詞という形は、句中の主語が分かりにくくなる等の弊害が多いので、出来れば避けたい。この句も、灯取虫と人が肩を並べたのか、人と人が肩を並べたのか、よく分からなくなっています。
 32 緑陰の出口の投句ポストかな  何となく雰囲気は分かるのですが、緑陰に入口・出口があるというのがちょっとよく分かりませんでした。
 36 噴水や空の高さにマリア像  マリア像が実際にどのような場所にあるのか、少々曖昧に感じました。
 38 校庭の誰かが虹と叫びをり  「虹!」という叫び声が聞こえてから、校庭を見ると虹を見上げている「誰か」がいる、その上空には虹が見える、というのが本来の認識の順序でしょう。臨場感のある句を作るための手段の一つとして、この認識の順序を活かした形に仕立てるという方法が有効なのではないかと思っています。逆に、認識の順序を無視した、物事を俯瞰的に見渡したような句に仕立てると、メリハリや盛り上がりのない句になりがちな気がしています。
 42 炎天やカルビ焼くほか手立てなし  この暑さを乗り切るには、カルビを食って体力つける他に術はない、という意味でしょうか。仰々しい言い方がちょっと面白いですね。
 44 水喧嘩の村にロミオとジュリエット  水喧嘩の村の若い男女が恋の末に自殺したというのであれば非常に重い内容なのですが、詠みぶりからして恐らくそうではなく、単なる見立てなのでしょう。だとすれば、非常に軽い句。
 47 かき氷糸引くほどに蜜垂らし  「ほどに」が説明っぽく、まわりくどく感じます。「かき氷蜜を垂らせば糸引いて」のように、「ほどに」を使わずに、多少誇張でも糸を引いたと言い切ってしまった方が、句に勢いも出ると思います。
 50 綿あめのパステルカラー小鳥来る  内容如何に関わらず、句会に出す句はタイムリーな方が読み手に届きやすい。秋の季語の句は気分的にはちょっとまだ早いな、と感じます。
 51 夏風呂にほてりを浸す月の夜  なかなかに実感のある内容ではあるのですが、「夏風呂」という季語に無理がある。「夏風呂」だけでなく、他の季節の「春風呂」や「秋風呂」、「冬風呂」も見たことがないです。前に「夏」を付ければ何でも夏の季語として機能するというものではないと思います。
 53 我が端居座して半畳寝て一畳  中七下五のような慣用句を俳句に使うと、非常に陳腐に感じます。

 


来月の投句は、8月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら

back
back.
top
top.