ハルヤスミ句会 第二十一回
2002年6月
《 句会報 》
01 山見ゆる青田のなかにひとり住み つよし 02 清水飲んで大いに胸を濡らすかな 春休(つ・む・阿・や) 03 夏帽やベンチの上で人まちぬ やすみ 04 鴎外忌背すじ伸ばして立ち読みす 阿昼(つ・む・春) 05 七分目に開く網戸や客を待つ つよし 06 青芒肥料袋になぎ伏せる むかご 07 体当たりされても落ちぬ青梅よ やすみ 08 落とすたび梅の行方を確かめて むかご(つ・春) 09 白南風や簾ふくらむ湯屋二階 阿昼 10 腹見せて飛行機とべる夏野かな 春休 11 笛の音の青水無月の校舎より むかご 12 瀧のすぢ夏風に吹きたはめられ 春休(阿・や) 13 らんちゅうの尾にあおがれてやすみけり やすみ(む・阿) 14 ポット苗朝顔蔓の揺れゐたり つよし 15 しじみ蝶とまるや風に倒さるる 阿昼(や・春) |
【 鋼つよし 選 】 02 清水飲んで 大いに胸を」はたまた「胸を大いに」かその他中七の言葉よいのがあればさらに良い句になる。 04 鴎外忌 立ち読みするが裏切り、ひねりとして成功しているのでは。 08 落とすたび 下五を「確かむる」のほうがよいのでは。 11 笛の音の 迷った句で、笛が祭りなどにある古来の日本のものかフルートのたぐいなのか、校舎よりで迷った。読み手としたらはっきりできたらと思う。 【 松尾むかご 選 】 02 清水飲んで・・・読み手までもが、どんどんと、渇きが癒えて、清々しい気分になってきます。 04 鴎外忌・・・背筋伸ばしてが、良い感じで季と響きあっている 只、立ち読みが、面白すぎないか?と思ってしまいます。 13 らんちゅうの・・・揺ら揺ら動くらんちゅうの尾をみていると催眠術のように、眠たくなりそう、頭のすぐ上に金魚、の部屋の狭さがまた良いです。 【その他】 12 瀧のすぢ・・・季重ねや、調べに気になる部分もあるが視点は面白いと思う、良い句になるような気がします。 【 中村阿昼 選 】 ○13 らんちゅうの らんちゅうの大きな尾びれがひらひらしているのを眺めるだけで涼しくなりそう。扇いでいるという見立てが成功していると思う。 ○12 瀧のすぢ 瀧といっても細い流れなんでしょうね。あまり雨が降らないからちょろちょろなのかも。「吹きたはめられ」がよく見ていると思う。「瀧」自体が夏の季語だから「夏風」がベストかが気になりますが。 ○02 清水飲んで 「大いに胸を濡らす」のが気持ちよさそう。清水の冷たさが伝わってくるようです。 以下の句も好感を持ちましたが、もうひとつ弱いかと。 07 体当たりされても落ちぬ青梅よ 08 落とすたび梅の行方を確かめて 10 腹見せて飛行機とべる夏野かな 14 ポット苗朝顔蔓の揺れゐたり 【 小川やすみ 選 】 ○02 清水飲んで 味わうのではなく乾きをいやすためごくごく飲んでるというのが伝わってきますね。 ○12 瀧のすぢ 瀧の下のひんやり感がでている。 ○15 しじみ蝶 繊細な感じが良いです。 【 小川春休 選 】 ○15 しじみ蝶 この切字「や」は、「○○するやいなや」というような意味も含ませた用法ですね。私もよく用いる句形です。瞬間をとらえていて良い句なのですが、「しじみ蝶」がベストかといえば、ちょっと疑問が残ります。もっと大柄な蝶の方が、「風に倒さ」れる感じがイメージしやすい気がする。 ○04 鴎外忌 ちょっとやりすぎかな、という感じもなきにしもあらずですが、おもしろかったです。 ○08 落とすたび なにげない行動をあっさりと描いていて好感を持ちました。 03 夏帽や 「や」「ぬ」と二つ切字が使われているのでまとまらない感じがします。「待ちて」など、いろいろと他の形も考えてみてください。 05 七分目に 「七分目に開く網戸」っていうところが、ちょっと読み切れませんでした。具体的ではあるんですが、そこからイメージが広がってこないというか。なかなか難しいところですね。 07 体当たり 「08落とすたび」とよく似たモチーフの句で、どちらの句も良い句なのですが、08の句には動きがあり、この句には動きがなかった。そこが採るか採らないかの分岐点になりました。 09 白南風や 中七下五、うまいなぁ、という感じなのですが、「白南風」がベストかという疑問が残ります。風の季語も山ほどありますからね。 11 笛の音の 個人的には、中七のあたり、ちょっとムードがありすぎかなぁ、と思います。個人的な好みですが、もっと具体的な句の方が好きですね。 13 らんちゅうの 句の内容に対して「けり」の切れが強すぎる感じがしました。「やすみおり」などとした方が句のまとまりが良いのではないでしょうか。 14 ポット苗 「ポット」に植えられていることと、「揺れ」ていることと。どちらかに焦点を絞らないと中途半端な感じがします。例えば、どんなポットにどんな風に植えられているのかとか、どんな風に揺れているのかとか、そういったところで句のイメージを膨らませてほしいところです。 【 中村阿昼さんからお知らせ 】 今年から、愛媛県で「芝不器男俳句新人賞」が設けられました。 応募資格は30代まで、100句(平成11年以降に既発表の句も可)で応募、 副賞30万円のほかに句集出版してもらえる、最終選考は松山で公開審査、 という画期的な賞です。 詳細は以下のホームページを参照して、ぜひチャレンジしてみてくださいませ。 http://www.ecf.or.jp/hukio/index.html |
来月の投句は、7月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら |
back. |
top. |