ハルヤスミ句会 第二百十二回

2018年6月

《 句会報 》

01 捨て台詞無くして引けりジギタリス  高弘

02 紫陽花の押し寄せて来る母忌日    ひろ子(春)

03 山蕗を摘むはどこぞの御令室     愛

04 夜店建てをり噴水の右左       春休(一・佳・三・鋼)

05 夏至の夜シャンプー垂れて目を冒し  高弘

06 バナナ熟れ何処へでもゆく地下鉄よ  こげら(光・ぐ・佳)

07 蟻同士の挨拶みてる淋しき日     みなと

08 一杯の白湯の旨さよ走り梅雨     案山子(光・時・高・三・鋼・春)

09 南天の花浮かび立つ夕の闇      ひろ子(鋼)

10 靴底に炎帝のチューイングガム    こげら(ル・時・愛・益・三)

11 百合が咲き投稿数が増えました    順一(奥・愛)

12 はんざきや移植臓器の運搬車     益太郎(時・タ・順)

13 点き渋る白色灯や水中花       佳子(一・奥・益・ぐ)

14 公園の昼の喧騒燕の子        つよし

15 読み聞かせの幼き声や鉄線花     みなと

16 噴水に蜂のむくろの沈み浮き     春休(こ・ル・タ)

17 御茶うけに抹茶クッキー新茶汲む   時人(高)

18 新築の坪の前庭山法師        つよし

19 浮葉揺れ河骨の花揺れもせず     タロー(益)

20 父の日の父の指には煙草染み     愛(光・時・高)

21 せがまれて腹を締めるや親燕     愛

22 日の暮れのすこし恥づかし麦藁帽   タロー

23 常温にもどす肉塊梅雨の底      佳子(愛・ぐ)

24 五月雨や犬横抱きに泪橋       ぐり(奥・順・三)

25 各々が摘まんでみたる柿若葉     タロー(時)

26 凌霄の盛りと姉の誘ひかな      時人(ぐ)

27 甘噛みの牙の真白き涼しさよ     ぐり(こ・タ・佳)

28 手洗いと挨拶を社是衣替       案山子(光・高・春)

29 水無月を涙につつまれて目玉     春休(佳)

30 草の笛ビールケースは一人掛け    佳子(ル)

31 白蛇の腹は真っ黒かも知れず     益太郎

32 梅雨曇り母を攻めればエンジン音   順一

33 鉄橋を渡る列車や雲の峰       光太郎

34 螢籠止り木越しに君笑まひ      高弘

35 宝石のごとブランドの苺摘み     光太郎

36 たかし忌の机上に一輪挿しひとつ   ルカ

37 青鷺の真昼を低く飛びにけり     ぐり(タ・順・佳)

38 著莪群れて老人群れてあの話     益太郎(愛)

39 尾を踏みし猫に詫びるや麦の秋    時人

40 採血の青い静脈梅雨曇        ひろ子(一)

41 美しき断崖に佇つ多佳子の忌     ルカ(順)

42 満塁やラムネ泡吹く大ファール    こげら(光・ル・奥・高・春)

43 何一つ決まらぬ一日髪洗ふ      みなと(こ・ル・一・奥・愛・タ・益・ぐ・鋼・春)

44 鍵穴の深き扉よ不死男の忌      ルカ(こ・一・益・三)

45 対面の高速道路梅雨の雨       つよし

46 紫陽花や投稿用紙に悩みけり     順一

47 鮎釣の道具に凝つて坊主かな     光太郎(順・鋼)

48 田植機は夫苗箱を洗ふ妻       案山子(こ) 




【 こげら 選(こ) 】
○16 噴水に蜂のむくろの沈み浮き  「浮き沈み」でなく「沈み浮き」としたことで動きが出たと思います。
○27 甘噛みの牙の真白き涼しさよ  牙の白さに涼しさを感じた所がユニークで、飼い主の愛情を感じます。
○43 何一つ決まらぬ一日髪洗ふ  こんな日もありますね。せめて髪を洗ってさっぱりと。
○44 鍵穴の深き扉よ不死男の忌  投獄されたという不死男のイメージに重なります。
○48 田植機は夫苗箱を洗ふ妻  役割分担で手際が良さそう。リズムもいい。
 その他気になったのは、
 19 浮葉揺れ河骨の花揺れもせず
 23 常温にもどす肉塊梅雨の底
 39 尾を踏みし猫に詫びるや麦の秋
 よろしくお願いいたします。

【 森本光太郎 選(光) 】
○06 バナナ熟れ何処へでもゆく地下鉄よ  意味不明ですが、何となく面白い。
○08 一杯の白湯の旨さよ走り梅雨  何よりも白湯が旨い!天然水よりも。
○20 父の日の父の指には煙草染み  父親の人生を思う。子供は親の背中を見ている。
○28 手洗いと挨拶を社是衣替  手洗いと挨拶は、生活の基本ですね。
○42 満塁やラムネ泡吹く大ファール  ラムネ泡吹く!本当に残念でした。

【 さんきう 選(さ) 】
(今回はお休みです。)

【 ルカ 選(ル) 】
○10 靴底に炎帝のチューイングガム
○16 噴水に蜂のむくろの沈み浮き 
○30 草の笛ビールケースは一人掛け
○42 満塁やラムネ泡吹く大ファール
○43 何一つ決まらぬ一日髪洗ふ  

【 青野草太 選(草) 】
(今回はお休みです。)

【 石黒案山子 選(案) 】
(今回は選句お休みです。)

【 一斗 選(一) 】
○04 夜店建てをり噴水の右左
○13 点き渋る白色灯や水中花
○40 採血の青い静脈梅雨曇
○43 何一つ決まらぬ一日髪洗ふ
○44 鍵穴の深き扉よ不死男の忌

【 中村時人 選(時) 】
○08 一杯の白湯の旨さよ走り梅雨
○10 靴底に炎帝のチューイングガム
○12 はんざきや移植臓器の運搬車
○20 父の日の父の指には煙草染み
○25 各々が摘まんでみたる柿若葉
 他に気になった句は
 07 蟻同士の挨拶みてる淋しさよ
 19 浮葉揺れ河骨の花揺れもせず
 37 青鷺の真昼を低く飛びにけり

以上宜しくお願いいたします。

【 土曜第九 選(第) 】
(今回はお休みです。)

【 奥寺ひろ子 選(奥) 】
〇11 百合が咲き投稿数がふえました。
〇13 点き渋る白色灯や水中花
〇24 五月雨や犬横抱きに泪橋
〇42 満塁やラムネ泡吹く大ファール
〇43 何一つ決まらぬ一日髪洗ふ

【 滝ノ川愛 選(愛) 】
〇10 靴底に炎帝のチューイングガム  猛暑でチューインガムもべとべとに、暑さが伝わってきます。
〇11 百合が咲き投稿数が増えました  そうです、そうです。紫陽花の句もそうですね。
〇23 常温にもどす肉塊梅雨の底  実は私も冷凍庫の豚肉で角煮を作りました。
〇38 著莪群れて老人群れてあの話  「あの話」ですね。著莪との対比が面白いです。
〇43 何一つ決まらぬ一日髪洗ふ  よくある何気ない事を一句にする。上手ですね。

【 小林タロー 選(タ) 】
〇12 はんざきや移植臓器の運搬車  すこしあざとい感じもするが、グロテスクが良い。
〇16 噴水に蜂のむくろの沈み浮き  噴き上げられもせず漂い続けるむくろ、浮き沈みと言ったところが良かった。
〇27 甘噛みの牙の真白き涼しさよ  牙は大袈裟、白さと涼しさもつきすぎと思うが、甘噛みでよしとしました。
〇37 青鷺の真昼を低く飛びにけり  景が見えます。
〇43 何一つ決まらぬ一日髪洗ふ  一日の終りに、潔く髪を洗って新規まき直し

【 森高弘 選(高) 】
○08 一杯の白湯の旨さよ走り梅雨  飲み切ったころは五月晴れか。
○17 御茶うけに抹茶クッキー新茶汲む  おっちょこちょいなのか、本当に親しい身内なのか。ほんわかする。
○20 父の日の父の指には煙草染み  その指には作者しか凝視しない皺もきっとある。
○28 手洗いと挨拶を社是衣替  他愛のないことであっても安定した社風を築く基礎だったりする。
○42 満塁やラムネ泡吹く大ファール  飲みかけのラムネをいきなりバンと置けば!
 04 夜店建てをり噴水の右左  季重なりになるか。
 24 五月雨や犬横抱きに泪橋  明るいイメージの季語が良かったか。
 47 鮎釣の道具に凝つて坊主かな  かな留めでない方が良かったような。

【 石川順一 選(順) 】
○12 はんざきや移植臓器の運搬車  季語は「はんざき」。移植臓器の運搬車とオオサンショウウオ。詩的妙があると思いました。
○24 五月雨や犬横抱きに泪橋  季語は「五月雨」。表現に現れて居ない、犬を抱いている人の人物像を想像させて興味深い句です。
○37 青鷺の真昼を低く飛びにけり  季語は「青鷺」。涼し気な感じも伝わって来ます。
○41 美しき断崖に佇つ多佳子の忌  季語は「多佳子忌」。五月末の多佳子忌。美しき断崖が詩的感興を掻き立てます。
○47 鮎釣の道具に凝つて坊主かな  季語は「鮎」。道具に凝る。道具に拘り鮎を釣る。

【 川崎益太郎 選(益) 】
〇10 靴底に炎帝のチューイングガム  靴底に知らぬうちについてくるチューインガム。炎帝が上手い。
〇13 点き渋る白色灯や水中花  古い蛍光管と水中花。どちらも意に反して取り扱われる。
〇19 浮葉揺れ河骨の花揺れもせず  河骨の花は、孤高の花である。
〇43 何一つ決まらぬ一日髪洗ふ  明日は元気を出そうと髪を洗っている句意。
〇44 鍵穴の深き扉よ不死男の忌  鍵穴の深き扉は、不死男の獄舎の扉か。

【 草野ぐり 選(ぐ) 】
○06 バナナ熟れ何処へでもゆく地下鉄よ  日本というよりどこか異国を感じさせる。ムッとする地下鉄に熟れたバナナの香りが漂う。
○13 点き渋る白色灯や水中花  点き渋るがいい。そんな侘しい白色灯と水中花は妙にあう。
○23 常温にもどす肉塊梅雨の底  ステーキ肉は常温に戻してから焼くと柔らかくなりますよね!肉塊と梅雨の底が重低音のように響きあう感じがする。
○26 凌霄の盛りと姉の誘ひかな  さりげないが仲の良い姉妹の関係が出ていて。羨ましい。
○43 何一つ決まらぬ一日髪洗ふ  そんな日ってある。だから気分を変えようとして髪を洗うのではなく、そんな日も淡々と髪を洗い終わる、と読んだ。

【 水口佳子 選(佳) 】
○04 夜店建てをり噴水の右左  「建てをり」でいいかどうか?まだ昼間、これから迎える賑わいと、昼も夜も変わらずそこにある噴水。
○06 バナナ熟れ何処へでもゆく地下鉄よ  「何処へでもゆく」のかどうか・・・でも何処へでも行けそうなほど巡らされている地下鉄。熟れたバナナでも齧りながら‥という気軽さが地下鉄とよく合う。
○27 甘噛みの牙の真白き涼しさよ  「真白き」と「涼しさ」はイメージとして近いかもしれない。犬だろうか、「牙」としか言っていないので猛獣かもしれない・・とも思う。  
○29 水無月を涙につつまれて目玉  「水無月」の字面と濡れた目玉、その辺がどうなのかと思いつつ、助詞「を」の使い方、中7、下5の表現に惹かれて。 
○37 青鷺の真昼を低く飛びにけり  これも助詞「を」が効いている。真昼という大きな空間を飛ぶ青鷺の重量感、影が感じられる。

【 三泊みなと 選(三) 】
〇04 夜店建てをり噴水の右左
〇08 一杯の白湯の旨さよ走り梅雨 
〇10 靴底に炎帝のチューイングガム 
〇24 五月雨や犬横抱きに泪橋  
〇44 鍵穴の深き扉よ不死男の忌 

【 鋼つよし 選(鋼) 】
〇04 夜店建てをり噴水の右左  季語は夜店、噴水だが店主にしたら客寄せに適してると考えたか。
〇08 一杯の白湯の旨さよ走梅雨  白湯のわけはわからないが旨いといわれると。
〇09 南天の花浮かび立つ夕の闇  通りにふと浮かぶ花が眼に浮かぶ。
〇43 何一つ決まらぬ一日髪洗ふ  考えても仕方がない。
〇47 鮎釣の道具に凝つて坊主かな  最近は庶民以上に熱心な僧がいる。

【 中村阿昼 選(阿) 】
(今回はお休みです。)

【 小川春休 選(春) 】
○02 紫陽花の押し寄せて来る母忌日  紫陽花が一斉に咲く時期ということもありますが、亡母の墓の周囲にたくさん紫陽花が植えられているのだろうかなどと想像も広がる。「押し寄せて来る」という表現が力強く、紫陽花の様子も目に浮かぶ。下五が少し硬く感じるので「母の忌よ」などと優しい言い回しにしたい所です。
○08 一杯の白湯の旨さよ走り梅雨  走り梅雨の時期は、晴れると暑く、雨が降ると寒く、寒暖差がけっこうある。そんな雨の肌寒い日に、白湯の温かさがしみじみ旨い。
○28 手洗いと挨拶を社是衣替  手洗いや挨拶のような基本的なことを社是に定めているところから、社内の雰囲気が想像されます。これと決めた日に全員が揃って衣替えするのも、この社ならではと思わされる。
○42 満塁やラムネ泡吹く大ファール  満塁という盛り上がる場面で、あわやホームランという大ファール。思わず手に持ったラムネを振ってしまったのか、泡も噴き上げて。面白い場面を切り取っていると思います。ただ一点、漢字は「吹く」だと風のようなので、「噴く」ではないかと思いますが。
○43 何一つ決まらぬ一日髪洗ふ  鬱陶しく、くさくさしたような気持ちを思い切り洗い流す。共感を覚える句です。
 01 捨て台詞無くして引けりジギタリス  気分は良く分かる句ですが、「無くして」ではなく「言はずに」ぐらいの方が表現としては自然のような。
 06 バナナ熟れ何処へでもゆく地下鉄よ  南国での旅吟でしょうか。熟れたバナナのような自然がありながら、地下鉄が非常に発展している。どこの国かなと想像させる。
 13 点き渋る白色灯や水中花  私も〈みみず鳴く蛍光灯の点きしぶり〉という句を作ったことがあります(句集にも収録)。もしかすると、「水中花」の方が良い句かも知れませんね。
 14 公園の昼の喧騒燕の子  「喧騒」と言うと漠然としてしまう。何の声、何の音なのかが想像させるような表現にしてほしい所です。
 15 読み聞かせの幼き声や鉄線花  幼児は読み聞かせを「する側」ではなく「聞く側」のような気がするのですが、どういう状況でしょうか。読み聞かせを聞いた幼児が何らかの反応の声を挙げているということか。少々分かり難い。
 19 浮葉揺れ河骨の花揺れもせず  水辺の植物の様子を丁寧に詠み込まれています。
 21 せがまれて腹を締めるや親燕  「親燕」が「せがまれて腹を締める」とはどういうことでしょうか。それとも「や」で切れているから「親燕」が腹を締める訳ではないのか。状況がよく分かりません。
 24 五月雨や犬横抱きに泪橋  「五月雨」ということは、傘を差してさらに犬を横抱きにしているのでしょうか。犬のサイズによっては中々壮絶な状況のように見えます。
 30 草の笛ビールケースは一人掛け  中七下五は、ビールケースに一人で座ったということだと思うのですが、何だか回りくどい言い方。素直に「草笛やビールケースに腰掛けて」などとした方が気分の良さが引き立つと思うのですが。
 31 白蛇の腹は真っ黒かも知れず  言わんとすることは分かりますが、腹側が全く見えない状態で存在している蛇が想像できず…。蛇の姿を思い出しても、どこかしら腹側がちらっと見えるような気がします。腹側ということではなく、「腹の中」ということですかね?
 32 梅雨曇り母を攻めればエンジン音  ? 母はエンジン内蔵のサイボーグだったのでしょうか。SF? それと「攻め」だと軍勢を率いて攻撃しているような感じがしますので、「責め」の方が適当な気もします。
 35 宝石のごとブランドの苺摘み  発想が俗に過ぎるような気がします。
 36 たかし忌の机上に一輪挿しひとつ  内容は悪くないのですが、声に出して読むと少し締まらない印象。上五を「たかし忌や」と切りたい気もしますし、中七の字余りも気になりますし、「一輪挿し」の数え方は「ひとつ」で良いのかという点も気になる。
 38 著莪群れて老人群れてあの話  「あの話」が分からない。分かるか分からないかだけが俳句の価値の基準ではありませんが、読み手に「分からない」と思わせるよりも先に「面白い」と思わせるような句でないと、意味が分からないだけの句になってしまう。
 40 採血の青い静脈梅雨曇  上五中七、「採血の静脈青し」としたい所ですが、そうしたとしても、あまり季語が効いていないような印象も受けます。別の季語ならもっと印象的な句になるかも知れません。
 45 対面の高速道路梅雨の雨  毎日高速道路で通勤している者にとってはこの内容、全く何の感慨も受けないのですが、何を意図された句なのでしょうか。
 47 鮎釣の道具に凝つて坊主かな  中々人間味のある「坊主」で面白いのですが、「道具」が具体的に何か詠み込めるとなお良いような気もします。
 48 田植機は夫苗箱を洗ふ妻  対句のような表現で、景がよく見える句です。

 


次回の投句は、10月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら

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