ハルヤスミ句会 第二十六回
2002年11月
《 句会報 》
01 手入せし松のかたちを撫でにけり 春休 02 紅葉かつ散り大福餅を賜りぬ つよし(春) 03 取り込むや釣瓶落しの干蒲団 春休 04 枯菊の支の棒の青々と むかご(つ・夏・春) 05 暖房の床やひたひた蜘蛛歩む つよし(む・光) 06 帽とれば小春の空を指して髪 春休(阿) 07 マフラーを畳むや尻に敷いてをり つよし(◎夏・む・阿・春) 08 真四角に埃の積むや十二月 むかご(夏) 09 干されある蒲団にすこし畳み癖 春休(つ) 10 眠る山に紙鍵盤をひろげたる むかご(光) 11 花八つ手雨の上がるや半月で つよし 12 よく眠る嚔出さうな顔のまま 春休(む・阿・つ・光) |
【 松尾むかご 選 】 05 暖房の・・・室温24度なんて、部屋では蜘蛛も動くしかないですね 冬眠なんて季も、使いにくくなるのだろうか 07 マフラーを・・・あるときは、マフラー、あるときは座布団、そしてあるときは、と物は多角的に捉えなくてはね 12 よく眠る・・・・よく眠るの言い方は、どうだろうと思うがスケッチとして面白い場面を捉えている熟睡や、切って見たらどうでしょう 【 中村阿昼 選 】 ○12 よく眠る お風邪でしょうか。眉間に皺、口は半開きなのかも。「よく」があいまいな表現なのがちょっと惜しい。 ○06 帽とれば 髪が立っちゃったんでしょうね。静電気かな。「小春」のほのぼの感が嫌味がなくて、こういうとぼけた味わいは好き。「空を指す」と見立てたところがちょっとわかりにくくなったかも。 ○07 マフラーを そんなに冷え冷えとした部屋だったんでしょうか? マフラーに折皺がつきそう。 02 紅葉かつ散り 色合いがきれい。賜った「こと」ではなくて大福餅自体を描写したほうがよかったかな。 03 取り込むや 「取り込む」が夕方だからって理屈になったかも。「釣瓶落しの干布団」は夕日の色が蒲団に移りそうでよいですね。 【 鋼つよし 選 】 ○04 枯菊の・・「菊枯るる」も良いのでは。多分盛りのときから支えてあったのでは。 ○09 干されある・・・・「すこし」が説明的かな。 ○12 嚏のでさうな顔どこかで見たような気がする。 03 取り込める釣瓶落しの・・・湿っぽい句ではずしました。私の読みでは、日が落ちて後蒲団を取り込んだと理解しましたが。釣瓶落しの頃の日暮れないうちになのかとも。 【 坂本光世 選 】 ★春休さん、ご無沙汰です。ご参加の皆様、闖入申し訳ございません。自分が投句していないのに選だけお送りするのは気が引けるのですが、このような無礼は今回限りにしますのでご了承くださいませ。凡作・寡作のワタクシですが、今後は投句と選句セットで不定期に(毎月は無理っぽいです。ごめんなさい!)参加したいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。 ★今回はチャレンジングな句を選んでみました。 05 暖房の…「ありがち」な景は、「ありがち」な句にあらず。「ひたひた」の擬音は評価の分かれるところだけれど、ほかほか暖まった部屋の暖色系のカーペットの上なんかにひょっこりいそうな気がする、こんな蜘蛛。あ、床だとカーペットの感触はないのかな。 10 眠る山に…懐かしいですね。子供のころの風景。ひとりあそびの感じがよく出ています。ただ、上六にしてまで「眠る山」と言ったほうがいいのかどうかは疑問。「冬山に」ではいけないのでしょうか。 12 よく眠る…この句の「嚔」は季題として通用するぎりぎりの線だと思う。でも、眠りこけている人の顔が浮かんできて好きな句です。私の寝顔もこんなふうに詠んでもらえたら幸せだよなあ。 【 かたぎり夏実 選 】 ◎07 マフラーを 外から入ってきて、寒い寒いと取り敢えず炬燵に座り込んだ人のしぐさとともに、外の風の匂いまで感じさせる。 ○08 真四角に 片付けようと物をどけたらそのなにもなかった所が真四角に埃が積もっていた。埃の跡でいままであったであろう『モノ』の姿が浮かび上がってきた。 ○04 枯菊の 菊が元気なときは、影で人知れず支えていた棒も、いまや枯菊よりも鮮やかに目立っている。支えるべき相手も今はもういない…。 【 小川春休 選 】 ○02 紅葉かつ散り あかるくて良いですね。上五を「紅葉散り」にするときっちり五七五に収まるわけですが、そうしてしまうとこのあかるさが台無しになってしまうので、このままの方が良いかもしれませんね。 ○04 枯菊の 菊が咲き誇っていたときには見えなかったものが、枯れることによって表れてくる。なかなか深い句ですね。「枯菊や」と切った方が良いかもしれません。 ○07 マフラーを 床がつめたくて寒かったんでしょうね。面白い場面を切り取っています。 05 暖房の 句の内容はなかなか面白いのですが、「ひたひた」という擬音が効果的かというと、あんまり効果的でないような。 08 真四角に 真四角な埃というのが、どういうところにどのようにして積もることになったのか、ちょっとよく分かりませんでした。下五がもう少しイメージしやすい季語だと良かったかもしれません。 10 眠る山に 「紙鍵盤」とはどんなものなのでしょうか? 11 花八つ手 中七下五がちょっと時間の流れを詰め込み過ぎのような感じがします。 |
来月の投句は、12月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら |
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