ハルヤスミ句会 第二十七回

2002年12月

《 句会報 》

01 山道にかかるや熟れて烏瓜    つよし(拓)

02 川靄のまつすぐ立つや浮寝鳥   九鈴

03 とじ込めた松葉の厚さ初氷    むかご

04 垣根ごし触れて隣の枇杷の花   阿昼

05 硝子窓くもりただよふ風邪の菌  春休(九)

06 温き日に忘れ花見る帰り道    拓

07 どぶろくを乙姫さまとまわし呑み 阿昼(拓)

08 秘めたるは凍凪通る気持ちかな  拓

09 カーテンをぢやつと開くや冷えわたる 春休(む・阿)

10 絨毯や稽古すつぽかされしかな  むかご(九)

11 雪中の靴跡踏んで厠まで     つよし

12 神仏や笑顔の果ては冬菫     拓

13 討入の義士行列に句敵も     阿昼(つ)

14 冬虹の突つ込んでゐる日本海   むかご(つ・春)

15 ダンサーの手拍子響く寒ざらへ  九鈴(む・つ・春)

16 図書室の少年眠る冬日かな    つよし(拓)

17 大いなる水母の浮かぶ海に雪   春休

18 剪定の高枝に移る雪の中     つよし(阿・春)

19 やはらかき肉団子汁年の暮    九鈴

20 行く年の箸浮かびゐる洗ひ物   春休(む・◎阿・九)



【 松尾むかご 選 】
○09 カーテンを  一瞬にして、音、光、温度と五感に入ってくるのが面白い
○15 ダンサーの  フラメンコを思いましたあの、情熱的な色の衣装と寒ざらえ、の季が、響き合っている
○20 行く年の  何にも言ってないのに今年もあんまり良いことなかったよな なんて、侘しく感じてしまう 物って、強いですね
(その他)
17 大いなる水母の浮かぶ、で、海は、いらない(読み手によっては、水母は頭の中や、水槽、夢うつつや、胸の内に浮くかもしれないから限定しないほうが広がると思える) 水母と雪は面白いけど
19 やわらかき肉団子、これが面白い これだけでなんかできそう、年の暮れでないほうが

【 中村阿昼 選 】
◎20 行く年の  今年もこうやって毎日毎日ご飯を食べて箸を洗って生きてきたんだなあ、と感慨深いです。
○18 剪定の  「高枝に移る」が鳥みたい。職人さんは慣れているのだろうけど、素人目には危うい感じ。
○09 カーテンを  寒そうなんだけど、「ぢやつ」に一日を始める気合を感じる。私はこの季節いつまでも蒲団にしがみついているほうです。
14 冬虹の  突っ込むという見立てがどうかとは思うが、日本海の冬虹見てみたい!
来年もよろしくお願いします。よいお年を!

【 鋼つよし 選 】
○13 討入の  討ち入りの句、句敵の句はちょいちょいお目にかかるが、敵がこんがらがる感じがあって良い。
○14 冬虹の  日本海に突きこんでゐるが巧く言えている。
○15 ダンサーの  ダンサーは薄着の衣装だから、寒さが2乗3乗の感あり。
?17大いなる水母、どれだけぐらいなのか具体的の方がよい。

【 戸田九鈴 選 】
○05 硝子窓くもり・・・くもりとただよふの間で切れているのでしょうね。
○10 絨毯や稽古・・・疑問形ではなくて、断定なら◎をつけたいです。
○20 行く年の箸・・・箸が浮かんでいる洗い物なんて、何でもない日常の生活そのものですけれど、行く年がついて、とても深い感慨に誘われてしまうのは、私が感激屋さんだからでしょうか。そう言えば、我が家の流しにもほら・・・・。
03 とじ込めた松葉・・・おもしろいです。「松葉厚くて初氷」ではどうでしょうか。
07 どぶろくを・・・ななな何なんだ!気軽な挨拶句のようで笑います。
09 カーテンをぢやつと・・・本当に寒いです。冷えわたる、はかっこよすぎ。
11 雪中の靴跡・・・寒いトイレですね。考えるだけで辛くて取れません。
16 図書室の少年眠る・・・風邪ひかないかなあ。心配です。
17 大いなる水母・・・クラゲは冷たい海にもいるのですか?
18 剪定の高枝に移る・・・雪の中で剪定?状況が理解できなかったです。

【 拓 選 】
○16 図書室の  自分は少年なんですがこの句は情景がすぐ浮かぶ 図書室にはだめですかね
○1  山道に  山道と烏瓜結構あたりまえっぽい気がするけれどそのあたりまえがいいですね  「かかり熟れたる」はどうでしょう
○7  どぶろくを  乙姫は誰だろう恋人?奥さん?と考える自分ですがなんだかあったかい句に聞こえます

【 小川春休 選 】
○14 冬虹の  すっきりしていて良いのですが、「突つ込んでをり」として中七で切った方が、句がより引き締まるのでは?   
○15 ダンサーの  これもすっきりしていて良いですね。体育館とかって、手拍子がよく響きますよね。
○18 剪定の  上五中七、良いと思います。ただ、11「雪中の」の句もそうですが、「中」とわざわざ言わずに下五を雪を指す名詞だけにした方が、雪そのものの存在感が出てくるのではないかと思いました。
 02 川靄の  川靄ってそんなにはっきりかたちが見えるかなぁ。輪郭のぼんやりしたもののように思うのですが…。
 03 とじ込めた  「とじ込めし」の方が引き締まった感じではないですか? 作者がもし文語でなく口語で書きたいのなら別ですけど。それと、「厚さ」というと、あんまり見えてこない気がしました。もっと良い言い方がありそう。
 06 温き日に  忘れ花自体が、冬の割りには温かいときに咲くものなので、上五は言わずもがなという感じがしました。
 07 どぶろくを  「乙姫さま」っていうのが、どう取ったものやら…。もっと身近でありながら意外な人物の方が面白い気がしますけど。しかし、「身近でありながら意外な人物」って言ってもそんなのぱっと出てきませんよね。難しい。 
 10 絨毯や  「や」「かな」で二つ切れてますね。個人的には、下五の切れを残して上五を直した方が良いように思います。
 11 雪中の  「雪中」という言い方がちょっとこなれてない感じを受けました。素直に「雪の中」でも良い気がするのですが。
 12 神仏や  「果て」というところがちょっとよく分かりませんでした。神仏(仏像?)と冬菫との取り合わせは合っていると思うのですが。
 13 討入の  面白くなりそうなんですが、言い方が報告っぽいというか、散文的な感じがします。たとえば、「句敵や討入の義士行列に」だったら○にしたかもしれない。


来月の投句は、?月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら

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