ハルヤスミ句会 第二十九回

2003年2月

《 句会報 》

01 腰に雪つきたるままに上がりをり  つよし(九・麻)

02 ストーブや願書の清書してをりぬ  麻貴

03 早口の看護婦の来る春隣      九鈴(つ)

04 春浅し遊具で遊ぶ鴉かな      むかご

05 寒明けを籠もりて第五手術室    九鈴(春)

06 春はあけぼの納豆の糸渦巻いて   春休(九・む・阿)

07 バレンタインデー明るきナースステーション 九鈴

08 盆梅のつと伸びた枝に花少な    むかご(つ)

09 水温むからおけ席を詰めあひて   つよし(阿・春)

10 春の泥夫より三歩先行けり     麻貴

11 初蝶や坊ちやん列車大揺れに    阿昼(麻)

12 春塵の額に先代駅長が       春休(◎九・む)

13 降りつづく建国記念の日が大安   阿昼

14 猫抱いていま春眠の只中に     春休

15 日脚伸ぶ読めぬと言わる我のメモ  麻貴(む・春)

16 観梅や厠にありぬ忘れ物      つよし

17 伊予柑や湯屋の障子の暮れつつに  阿昼(つ)

18 蕗の薹づくし土曜の夕餉かな    むかご(麻)

19 ちかよれば春のともしにあるぬくさ 春休(阿)



【 松尾むかご 選 】
○06 春はあけぼの・・・小学生に、「納豆ずーっとまぜると糸ばっかりに、なるんだよ知ってた?」って、言われたけどどうだろう? この話し試みようかなっと思った句
○12 春塵の・・・先代さんが、いっつも見守ってくれてるって ねえ、ありがたいんだか、どうだか、春塵、がいいですね
○15 日脚伸ぶ・・・いつも、そう言われてるから、思わずいただきましたが 季が、どうなんでしょうか

【 中村阿昼 選 】
○06 春はあけぼの  納豆嫌いの私には、なんであけぼのから納豆?と信じられないですが、その意外性が面白かった。まずは目覚めの納豆(?)という人なのかな。
○19 ちかよれば  ともしは漢字のほうがよいと思うけど、明るさではなく温度に注目した句は珍しいのでは。まだ肌寒い早春の感じがします。
○09 水温む  からおけはやっぱりカタカナでしょう。水温むは動くかなとも思ったけど、やはり早春の感じで、詰め合っても暑苦しくないからいいかな。
01 腰に雪  雪国ですねえ。中七までとてもいいのにどこに上がるのかがはっきりしないのが惜しい。
12 春塵の  ひたい?と読んでしまったので、例えば「春塵や額は先代駅長ぞ」など、もっとわかりやくしたら面白い句になると思う。

【 鋼つよし 選 】
○03 早口の看護婦の来る春隣
○08 盆梅のつとのびた枝に花少な
○17 伊予柑や湯屋の障子の暮れつつに
 03、早口の、08盆梅の、俳諧味は充分だけど 読み下したときのするするとくる調子がよいともっと良い句になると思う。
 17 伊予柑や、障子のある湯屋だから趣のある風情をうかがわせる。
 選に入れなっかたなかで、10春の泥、13降りつづく、18蕗の薹、も俳味はあるけれどもうひとつと思いました。10の「けり」が強すぎる気もします。

【 戸田九鈴 選 】
○01 腰に雪  難儀してきた感じがします。
○06 春はあけぼの  少しあたたかくなったから、糸に力がみなぎってきているのです。
わっしゃわっしゃと朝ご飯で食べよう。
◎12 春塵の  「先代校長が」「先代店長が」「先代番頭が」とかいくらでも作れそうですけれど、どれもおもしろい。

【 麻貴 選 】
○01 腰に雪  足とかではなく、”腰に”という事は雪深き地でしょうか。気心の知れ合った訪問客と迎える側の関係がいいですね。
○11 初蝶や  坊ちやん列車が成功していると思います。大揺れでも楽し、という感じがいいですね。季語も響いていると思いました。
○18 蕗の薹  食卓を預かるお母さんの優しさを感じます。

【 小川春休 選 】
○05 寒明けを  具体的な句はなんだか力がありますね。「第五」っていうところもリアリティを感じさせてくれてます。
○09 水温む  カラオケの席を詰め合い、っていうだけだと何だか窮屈な感じもしますが、やや離れた季語のおかげで窮屈な感じが消えて、ユーモラスな感じが出ていると思います。「カラオケ」とカタカナにした方が良いでしょうね。
○15 日脚伸ぶ  とぼけた味わいが乙ですね。季語が良いです。「わがメモの読めぬと言われ日脚伸ぶ」などとした方が言葉の運びが自然かもしれません。
03 早口の  「早口の婦長来にけり春隣」などとして中七で切った方がメリハリが付きそうです。
04 春浅し  「遊具」と言っても、ぶらんこ・シーソー・すべり台・鉄棒などなど、いろんな種類があり、あまり具体的でありません。もっと具体的な言葉を使った方が読み手にはイメージしやすいのでは?
08 盆梅の  切れ・語順等もっと推敲すると良い句になりそうなのですが…。内容が盛り込みすぎな感じがするので、思い切って、二句に分けたりしても良いかもしれません。
13 降りつづく  中八下六の字余り、ともに気になります。「つづく」もいつから降っているのかあまり明確でないし…。
16 観梅や  中七下五、なかなか良いと思うのですが、上五があまり利いていないような気がしました。「観」じゃなくて「寒」だったらもうすこしわかりやすいかなぁ、という気もします。
17 伊予柑や  「つつに」の使い方など、なかなかのテダレですね。上手い句です。
18 蕗の薹  良い雰囲気ではあるのですが、「土曜」が曖昧な感じがしました。


来月の投句は、3月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら

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