ハルヤスミ句会 第三十一回

2003年4月

《 句会報 》

01 春嵐やちぎれちぎれに飛ぶ会話 つよし(む)

02 春水に洗ふやぴんと猫の髭   春休(つ・九)

03 苗代の水の面の平らかな    九鈴(む)

04 夕べには活けたる椿もう落ちて つよし

05 牧開くひとかたまりの牛の群  むかご

06 猫の恋トンネル二つ並びけり  九鈴(つ・春)

07 亀鳴くや伏せて置かれし洗面器 むかご(◎九・春)

08 低気圧うずまきゐたる桜かな  つよし

09 花冷の肩をさすりて指の腹   九鈴

10 行く春やほろと煙草を落つる灰 春休

11 春尽くや一気に剥すサロンパス むかご(春)

12 青嵐ジープにドアのなかりけり 春休(む・つ)



【 松尾むかご 選 】
01 春嵐  会話もぶっちぎる程の風、ありましたね 桜は、あっさり、花を落し、湖は、波立ち こんな日は、 大事な、告白なんて、止めときましょうね
03 苗代の  苗代にとっての水の管理は、とっても、大切、ピンと張った水面に苗を見守る人の緊張まで伝わる
12 青嵐  ドアのなかりけり、と投げかけられると読み手の体にも、風が突き抜ける感覚が面白い 季と、フレーズを繋げている、スピード感も気持ちよい

【 鋼つよし 選 】
 02 春水に  春水といえば寒の水より暖かいので 猫の髭が張るのは暖かいほうがよいのか 作者の驚きとしていただいた。
 06 猫の恋  この句も、わかりづらい句である。よなよな出かけるのに細工でもしてあるのか 猫を飼っている人だとよく解るのかも。
 12 春嵐  開放型のジープに乗った災難。

【 戸田九鈴 選 】
◎07 亀鳴くや  バカバカしくて、実にいいと思いました。
○02 春水に  猫の髭なんか、あまり見たことないです。
01 春嵐や  風が強くて、切れ切れにしか聞けないということでしょうか?
05 牧開く  この季語でない方がいいように思います。
10 行く春や  動詞を二つ使うからには、もっと効果がほしい。

【 小川春休 選 】
○06 猫の恋  天国と地獄、どっちのトンネルを選ぶか?という感じでしょうか。ちょっと読むのが難しいけど、面白いです。
○07 亀鳴くや  物音に、これが亀鳴くというやつかな、とあたりを見回してみれば、亀ではなく、亀の甲羅のような洗面器が―――というちょっと変わった句。
○11 春尽くや  春の情趣を裏切っていて面白いのですが、個人的には、「春尽くや」より「花散るや」などの方が思い切りが良い感じがして、気分に合ってる気がしますね。
01 春嵐や  上五がちょっと説明っぽくなっているようです。中七下五から風が強いことは何となく推測できるので、上五を推敲されてみてはいかがでしょうか。
04 夕べには  理がついている感じがしますし、時間の流れも盛り込みすぎているようです。
08 低気圧  渦巻いているのは桜? それとも低気圧? 低気圧だとしたら、渦を巻くような立派な低気圧は、台風の時期にならないと出てこない気がするのですが…(違っていたらごめんなさい)。渦巻いているのが桜だとしたら、「桜が渦を巻いている」という見方だけで十分面白いので、それだけで一句にされたらいかがかと思います。


来月の投句は、5月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら

back
back.
top
top.