ハルヤスミ句会 第三十二回

2003年5月

《 句会報 》

01 朝一番鉢の苺のすつぱさよ    九鈴

02 春水や石乗せられて笹の舟    夏実

03 草笛を吹くやくちびるむずがゆく 春休

04 甲板の船人せはし暮かねる    つよし

05 目には青葉父朝酒を飲んでをる  むかご

06 沢蟹の流されて来る流れかな   春休(◎九・む)

07 雑草の茂みに薔薇の盛りかな   つよし

08 豆飯や二晩のちはまるい月    つよし(春)

09 蝌蚪生まる原生林の水溜まり   夏実(む・つ・九)

10 難問で頭一杯南瓜の芽      九鈴(つ・春)

11 捕らはれのざりがに同士いさかへる 春休

12 あまりにも頭重たきアマリリス  むかご

13 緑蔭にさつと化粧を直しけり   春休(つ)

14 ひろびろと天を仰ぎて南瓜の芽  九鈴

15 凹凸を地面に沿ふて朝の虻    夏実(九)

16 高きより鯵の開きに塩ふりぬ   むかご

17 灯れるは祭り前夜の舞稽古    つよし(む・春)



【 松尾むかご 選 】
○06 沢蟹の・・・清流をなんとはなくに、見ていたのだろうか 沢蟹の出現で、流れを、意識しているのだ 水の清さ、速さ、冷たさなどを
○09 蝌蚪生る・・・原生林の水溜り、で決まり
○17 灯れるは・・・作者は暗いほうから見ているのだろう 灯れる場所は、既に、祭りの空間となって闇に浮かび上がっているのだ。

【 鋼つよし 選 】
○09 昨年、田んぼでおたまじゃくしを観察していたけれどその田んぼが今年は休耕していてがっかり。おたまじゃくしを見るとほっとするよね。
○10 難問と南瓜の芽がどうぶつかるのかこちらが頭一杯。
○13 しばらく前までは、人が見ていなくてもおてんとう様が見ていると躾されたものだが、世は末法の時代にいるんだと思えば。
 24日、阿昼さん出演のTVを観ていたが、選句が一極集中で先生も含めて三句無選というのも珍しいことだった。年配の諸氏の中ご苦労様でした。

【 戸田九鈴 選 】
◎06 沢蟹の  豊かで急な沢、まだ育ちきっていない蟹、いい感じです。
○09 蝌蚪生まる  原生林がかっこよく決まりました。
○15 凹凸を  低空飛行。もしかして低血圧?

【 小川春休 選 】
○17 灯れるは  わざわざ「灯れるは」と打ち出した上五によって、他に灯をともしている家とてない田舎の闇が見えてきます。
○10 難問で  何とも微笑ましい句。難問に頭を悩ませていたら、何だか頭のてっぺんから南瓜の芽が生えてきたような。
○08 豆飯や  何かもっと良い言いようがある気もしますが、不思議な魅力のある句です。「満月は二晩先よ豆ごはん」とかでしょうか…。うーん。これだと元の方が良いようですね。
04 甲板の  「甲板」「船人」と、ちょっと言葉を詰め込みすぎの感があります。「甲板の」と言えば、わざわざ「船人」と言わなくても「人」とだけ言えば伝わるはずです。
05 目には青葉  山ほととぎす、のあの句を口にしながら、お父さんは朝から酒を飲んでいるんですね。目に浮かびます。
07 雑草の  前半部分がちょっと説明的な気がしました。
14 ひろびろと  気分の良い句なのですが、似たような句があったような気もします。
15 凹凸を  「凸凹を」ではなく「凸凹に」「凸凹の」ではないでしょうか? 
もっと虻の飛び様が目に見えるような言い方があるはずです。「朝の」も特に言う必要がなさそうなので、その分も使って描写してみてください。
16 高きより  良い雰囲気なのですが、ちょっと普通すぎる気もしました。


来月の投句は、6月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら

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