ハルヤスミ句会 第三十三回

2003年6月

《 句会報 》

01 御社の四方八方草いきれ     春休(つ)

02 石段や青大将はじつとして    むかご(九)

03 ぷつくりとブルーベリーのふくれたる 九鈴

04 梅漬ける街に来たれり街宣車   つよし

05 青葉して狛犬の歯の欠けてをり  春休

06 蟻地獄の寺にお掃除奉仕団    むかご(春)

07 ひとまはり山ふくらませ栗の花  九鈴(◎む・つ・春)

08 枝払ふ十時指しゐる時計台    つよし

09 狛犬や巻毛巻毛に苔むして    春休(九)

10 痛点を刺してくれたるやぶ蚊かな つよし(む)

11 一枚を羽織る暑さや梅雨の入   九鈴(つ)

12 空瓶を数多並べて五月闇     むかご(◎九・春)

13 降り出すにすこし遅れて昼寝覚  春休(む)




【 松尾むかご 選 】
◎07 ひとまはり・・・内側から高まり満ちてくるものを感じる◎
○10 痛点を・・・刺してくれたるに、大げさに蚊と向き合って強がっている、可笑さがある。
○13 降りだすに・・・さっきまで、あんなに晴れていたのに昼寝から、覚めれば、雨、どんより感が体まで、伝わる。

【 鋼つよし 選 】

○01 御社の  足を踏み入れたとたん感じたことそのままが出たような句。
○07 ひとまはり  私見ではふくらませよりふくらみのほが良い。
○11 一枚を  季感が出ているので、戴いたが「暑さ」が気になる。

【 戸田九鈴 選 】
○02 石段や  じっとしているのは蛇、ぎょっとしたのは作者。
○09 狛犬や  狛犬がナマケモノになっている?
◎12 空瓶を  これは酒瓶?香水瓶?どっちも怖いですねえ。

【 小川春休 選 】
○06 蟻地獄の  「蟻地獄の寺」と「お掃除奉仕団」という取り合わせが面白いので採ったのですが、その取り合わせ方はもっと工夫できそうです。
○07 ひとまはり  「ひとまわり山をふくらませ(るように)栗の花(が咲いている)」という、切れ目のない一つの文章になってしまっているので、インパクトが弱くなっているようです。中七を「山ふくらめる」「山のふくらむ」などとすると、ここに少し切れが出てくるのではないでしょうか。
○12 空瓶を  雨夜の酒宴も果てて、という感じでしょうか。「空瓶の数多並びて」と即物的に詠んだ方が「五月闇」が生きてくるかもしれません。
03 ぷつくりと  「ぷつくりと」と言えば、「ふくれたる」は言わずもがな。これを言わずに、もっとブルーベリーにせまりたいところ。
10 痛点を  「痛点」がちょっと説明的かな、という感じです。
11 一枚を  「暑さ」と「梅雨の入」との季重ねなわけですが、ちょっと説明的な感じがしますね。


来月の投句は、6月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら

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