ハルヤスミ句会 第三十七回

2003年10月

《 句会報 》

01 爽やかにかけつこの子のうしろかな じゅん(ど)

02 秋うらら日向のすこしひんやりと  まどひ

03 釜の底浚ひ上げたり栗の飯     つよし

04 新米の出来はどうかと蔵の中    やすみ

05 新粕の入荷と下げて掃き清め    むかご

06 秋祭り恵比寿撒く餌は飴玉で    どんぐり

07 秋祭とてぐいのみを持参かな    春休

08 掌にのせて細(こま)しや今年米  つよし(じ・む・春)

09 坂道は自転車降りて梅もどき    じゅん(ど・春)

10 おつかいの月白の坂あがりけり   まどひ(つ・じ)

11 蓑虫が蓑曳いてゆく軒端かな    どんぐり(じ・む)

12 本陣や新酒十樽積み上げて     春休(ど)

13 杉玉をあおいで新酒のみほせり   やすみ(春)

14 間引菜にモンゴルの塩ふりにけり  どんぐり(つ・ま・や)

15 太梁のうねりうねりて夜の長き   春休(や)

16 おじさんの口から新酒匂ひけり   やすみ

17 鴨鳴いて刈田走りて池の面へ    どんぐり

18 干し布団同じ模様で赤と青     むかご(つ・ま・や)

19 童顔の職人なりや松手入れ     つよし(む)

20 狂ひ咲うなぎの寝床てふ商家    むかご

21 億劫と言はず障子を洗ひをり    つよし

22 床のべて月の光を迎えけり     まどひ

23 陶磁器の重きがうれし暮の秋    じゅん(ま)



【 鋼つよし 選 】
○10 おつかいの  おつかいのとあるから子供を想像するけれど良い景色とおもう。
○14 間引菜に  生で食べるのか茹で上げてたべるのか、相伴にあずかりたい。
○18 干し布団  俳句では、同じ模様でとは言わず同じ模様の言ったほうが報告的でなくと良いと思う。秋空の下、青と赤が綺麗。
*16 おじさんの口から  もうすこし表現を変えたら俳味のある句になったのでは。原句だと新酒の良い匂いとは感じられない。

【 じゅん 選 】
○08 掌にのせて  今年は冷夏で、米も盗難事件が頻発するほどの貧作である。何とか穫り入れた今年米だが、精米された粒は、やはり小さかった。「細(こま)し」はあまり見かけない語ですが、他の用例があれば教えて下さい。
○10 おつかいの  「月白の坂」は叙情的な光景だが、それ故、類想はまぬがれない。しかし、上に「おつかいの」と置いたことで、類想から一気に作者自身の句に昇華しました。「おつかい」は「おつかひ」でしょうか。
○11 蓑虫が  何の飾りもなく、ただ見たままを述べた客観写生句である。瑣末趣味と紙一重だが、「軒端かな」で、蓑虫が静かに蓑を曳く様子と、秋の日の南縁か窓際にいる作者の孤独感を表現できたと思います。 以上3句です。
頂かなかった句につきましても、自分の勉強のため講評させていただきます。
02 秋うらら  秋の日向がひんやりしているという発見は、句にするには新しくないと思います。
03 釜の底  起承転結の句になっていると思います。
04 新米の  起承転結の句になっていると思います。
05 新粕の  初め「入荷と下げて」の意味が解りませんでした。「入荷の札や」なら解ります。
06 秋祭り  「恵比寿撒く餌は」の景が浮かびませんでした。「秋祭り」は「秋祭」。漢字が続くのでしたら「秋まつり」でしょうか。
07 秋祭  「ぐいのみを持参」にはあまり新鮮味を感じませんでした。
12 本陣や  「本陣」の鮮明な景が浮かびませんでした。
13 杉玉を  「杉玉」の景が浮かびませんでした。「あおいで」は「あふいで」でしょうか。
14 間引菜に  「モンゴルの塩」は不勉強のため、ピンときません。
15 太梁の  「太梁」の「うねりうねりて」が生きていないように思いました。
16 おじさんの  「おじさんの口から」「匂ひけり」で臭気を感じてしまいました。
17 鴨鳴いて  「〜が」「〜して」「〜へ」は一連動作の説明ですね。
18 干し布団  「赤と青」と落して、報告になってしまいました。
19 童顔の  「童顔の職人」はよくあるパターンと思います。「松手入れ」は「松手入」でしょうか。
20 狂ひ咲  「うなぎの寝床」は使うに難しい比喩ですね。
21 億劫と  「億劫と言はず」なら、常識に落ちてしまいます。逆に「言ひ(う)て」なら良かったのですが・・。
22 床のべて  月の光を「迎え(へ)」るという叙述は、もう一工夫欲しいとおもいます。

【 松尾むかご 選 】
○11 蓑虫が   山頭火のような蓑虫ですね 
○08 掌に   掌のせた感じで、今年の米の出来具合を計っているのだろう、不作だった今年をさりげなく、句にしているのがよい
○19 童顔の   幹のごつごつした、老木の手入れだろうか、若い職人さんとの取り合せが面白い

【 舟橋まどひ 選 】

14、18、23
18の干し布団は新婚さんでしょうかね。布団も二人も古びて、買い替えの頃には「半端物大バーゲン」などで買うので柄もバラバラ。心もバラバラ。

【 渋川どんぐり 選 】
○01 自分は10メートルも走ると息切れするのに、子どもたちが走るのを見るのは、気持ちが良い。「胸のすくような・・・」という感じです。
○09 上り坂ってしんどいんだな。すぐに自転車を降りてしまう。いえいえ、降りたのはね、梅もどきがあんまり赤かったから、なのでした。
○12 旅。古い町並みをゆく。うだつの上がる本陣の跡。近くには、老舗の造り酒屋なんぞあり、鮎の炊ける甘い匂いがしたりする。誰か、あの樽をあけてくれー!!!。

【 小川やすみ 選 】
○14 間引菜に  畑でとれた間引菜にしょっぱいけど甘みもあるモンゴルの岩塩をかけて……おいしそうですね。
○15 太梁の  日本家屋の梁、最近見かけませんね。うねりうねりてが雰囲気出てて良いと思います。
○18 干し布団  先日の我が家のご近所さんがまさしくこうでした!

【 小川春休 選 】
○08 掌にのせて  たとえ小粒の米でも、それをいとおしむ気持ちが伝わってきます。「や」の詠嘆が利いている。
○09 坂道は  何でもないようでいて、景色がよく見える句です。落ち着いていて好きです。「自転車降りて」より「自転車押して」の方がイメージしやすいかな。
○13 杉玉を  青々した杉玉が目に浮かぶようです。気分の良い句。
01 爽やかに  かけっこの子の後ろ姿が見えるのか、かけっこの子の後ろに自分が立っているということなのか、「うしろかな」の五文字だけでは読みきれませんでした。
02 秋うらら  中七下五、良い雰囲気なのですが、この上五だとすこし対照の仕方がストレートすぎるようです。たとえば下五、「梅もどき」などとするとよりイメージが具体的になりそう。あくまで一例ですが。
06 秋祭り  最後の「で」の言い回し等、ちょっと不自然な窮屈な印象です。「恵比寿撒く餌の飴玉や秋祭」と上五と下五を入れ替えた方がおさまりが良いようです。
10 おつかいの  気分の良い句。
14 間引菜に  何だかとてもおいしそうです。
17 鴨鳴いて  「鳴く」と「走る」と動詞が二つ入っているためピントがうまく絞りきれないようです。自分の言いたい方に絞ってすっきりさせると良さそう。
19 童顔の  顔が童顔だっただけでは、ちょっとインパクトに欠けるような。職人さんがとても若い(高校生ぐらいとか)だったりすると、そこそこ驚きがありますが。
23 陶磁器の  陶磁器の重さと暮の秋の取り合わせはとても良い雰囲気です。しかし、「うれし」が率直すぎて、一句としての調和を崩している気がしました。


来月の投句は、10月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら

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