ハルヤスミ句会 第三十五回

2004年4月

《 句会報 》

01 ストーブを未だしまはず峡の駅   春休

02 花杏のやうな子とはどんな顔    つよし

03 気持ちより水やはらかくとどまらず とう子(春)

04 花びらのまぶされている泥団子   まどひ(む・つ・春)

05 花過ぎの昼の列車のうす暗く    春休(ま・と)

06 犀星忌私の船はまだですか     とう子

07 芽柳に待てば芽柳色の雨      まどひ(つ・と)

08 一人だけ花見会食ベジタリアン   つよし

09 たんぽぽを跨いで裾を直しけり   まどひ(つ)

10 土のよく肥たる色や菊若葉     つよし

11 山道の曲り細りて残花へと     春休(ま・む・と)

12 春尽くや湧水のはやつめたくて   まどひ(む)

13 アネモネのずいぶん出でて赤ばかり つよし(ま・春)

14 私にナイフを頂戴春の月      とう子(つ)



【 松尾むかご 選 】
04 花びらの  泥団子と花びらの取り合せの意外さ、と懐かしさにいただきました。
11 山道の  知らない道が、曲がり、だんだん細っていく心細さに、残花がせまる
12 春尽くや  湧き水の 思わぬ冷たさに、季節の移り変わりがをビビっと感じる。

【 鋼つよし 選 】
04 花びらの  中七のまぶされているが説明的なのが気になった。
07 芽柳に  目がなれてくるとそんな感覚になります。
09 たんぽぽを  踏みつけても罪悪感が無くなったら俳人としてはどうも。
14 私に  春の月、夏の月、秋の月、冬の月、春の月が一番穏やか。

【 舟橋まどひ 選 】
取り敢えず選句D、J、Lです。
今後このような頓馬なことのないよう重々気を付けますので、どうぞお見捨てなく。

【 多々野とう子 選 】
5)花過ぎの  575がいまいちしっくり来ないのですが、確かに昼の列車は薄暗い。その中から見る桜に、少し思いをはせました。
7)芽柳に  良い意味悪い意味両方でひっかかりました。
11)山道の  ぱあっと視界が開けて、まだ花の残っている明るい桜が目に飛び込む。そんな情景を思い浮かべました。

【 小川春休 選 】
○04 花びらの  子供ながらに桜もちをまねてみたのか、はたまたただ単に土に落花が紛れ込んだだけなのか。泥団子だけを描写していますが、いろいろと想像が広がります。
○13 アネモネの  良い意味でバカバカしい句。そのバカバカしさ加減も、春らしさをうまく演出し得ているようです。
○03 気持ちより  雰囲気が好きで○にしたのですが、よく考えたら季語がないですよね。「水やはらか」は何となく春っぽいけど…。個人的には、「気持ちより」というところから「春愁」のようなイメージで読んでいました。
02 花杏の  「はなあんず のようなことは」は、五七のリズムに乗っていないような気がします。普通は六六で読んでしまう。「花杏の やうなる子とは」と、上五を一字字余りにしてしまった方が、なだらかなようです。
07 芽柳に  雰囲気は何となく好きなんですが、「待てば」というところがちょっとぴんと来ません。誰が(何が)何を待ってるのか、気になります。
08 一人だけ  ちょっと川柳っぽいかな、と思います。
10 土の  上五中七は好きなのですが、下五にもっと離れたものをもって来た方が、句に広がりが出そうです。
12 春尽くや  春の尽きるころにはそろそろ湧水もぬるくなってきていそうなものですが…。「はや」のせいで読みが難しくなっているような気がします。


来月の投句は、5月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら

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