ハルヤスミ句会 第四十四回
2004年5月
《 句会報 》
01 ロシアへと船出航や遅桜 つよし 02 甲板に花茣蓙敷いて隠岐航路 どんぐり 03 夏立つやうすみどりなる薔薇の棘 春休 04 魂に卯の花吹き込む待ちぼうけ とう子 05 寝返りて乳房ごろんと青嵐 まどひ 06 草笛が鳴らぬ鳴らぬとお怒りに 春休(つ) 07 この紐は巻き上げ日除降ろす紐 まどひ(つ) 08 ニワトリの孵化明け方の五月風 とう子(春) 09 島見えてきて飛びそうな夏帽子 どんぐり(ま・春) 10 夏シャツのずらりとクリーニング店 春休(ま・ど) 11 失敬す塀に足かけさくらんぼ つよし(と) 12 万緑を大きく吸ひて吐き出せり まどひ(ど・と・春) 13 つかはれぬ線路であれば茂りけり 春休(ま・ど・つ) 14 島山の汽笛聞こゆる山開き どんぐり 15 梔子を嗅ひでかうすゐかうすゐと まどひ(と) 16 永訣の夏が一番寒かった とう子 17 スイートピー赤から白と剪つてやり つよし |
【 渋川どんぐり 選 】 ○10 夏シャツの シャツです。夏の象徴ですぞ。どこに行けばいっぱい見られるか。なんと、クリーニング店であった。 ○12 万緑を 万緑の中。筒鳥や不如帰が鳴き、足元には小さな花たち。深呼吸します。歯が生え変わるような気がします。(そりゃ、無いわな) ○13 つかはれぬ 茂り放題、お許しあれ。だってね、もともと、ここは、私たちの領分だったのだ。 この他に、面白かった句 06 草笛が 草笛は難しいのである。上手な人見ると、うらやましいのである。 11 失敬す こんなこと、やらかしてみたい。実は、小心者。 【 鋼つよし 選 】 ○06 草笛が 怒るというのがリアリテイあり。 ○07 この紐は 人を食ったようなところがいいのかも。 ○13 つかはれぬ こういう作り方もあるのだと戴きました。 02 に・・て・・が説明的で面白い句だがはずした。 05 乳房ごろりやとか「や」だと臨場感が出てよいと思う。 【 舟橋まどひ 選 】 ○09 島見えて 甲板から目的地の島を見ながら、手で必死に帽子を押さえている。その他、旗とか服とか船の上のものはすべて翻ってる。風、匂い、そしてこの島が通り過ぎる島なのではなく、これから降りる場所だというのが「とびそうな夏帽子」でわかります。逸る気持ち、嬉しさがよくでてると思います。 ○10 夏シャツの コートなんかが掛かっていてもなにも感じないけど、ほんと、夏シャツがずら〜〜だとワー夏がやってきたーという感じですよね。 ○13 つかはれぬ 「あれば」というのは、異論のある方もいるかもしれませんが、茂りが効果的になり、線路もくっきり見えてきて私は好きな句です。 【 多々野とう子 選 】 J失敬す 小学生の頃、桜の花のあとのさくらんぼを食べて喜んでいたのを思い出します。野いちごなんかも、好きだったなぁ K万緑を 吸い込むだけではなく、吐き出すところがいいと思いました。実際吐き出せたら・・・シュールだけど気持ちよいでしょうねぇ N梔子を これも幼い頃を思い出しました。香水にあこがれていたのが懐かしいです。ただ旧仮名でないと面白みがないのも確かですが、旧仮名にもちょっと違和感を感じました。 【 小川春休 選 】 ○12 万緑を 単純な言葉だけを使って、五七五を贅沢に使った句。その単純さも「万緑」という季語のイメージにぴったりで、大きな景色を感じさせてくれます。 ○09 島見えて 島と夏帽子のことだけ述べて、船の速さや風の強さまでありありと感じさせてくれます。とてもしっかりした句。 ○08 ニワトリの 五月風らしいところが良いと思ったのですが、「孵化/明け方の」と中七の途中で名詞で切ると、何だか言葉が詰め込まれているように感じます。「ニワトリの孵化は明け方五月風」と中七の最後で切った方が、五七五のリズムに自然に乗せられるのではないでしょうか。 01 ロシアへと 字数を合わせるためだろうな、とは思いつつ、「船出航」はちょっとおかしい気が…。意味は「出航」だけで十分伝わるので「船」が余計に感じられます。 02 甲板に これも「甲板」といえば船に乗っていることは分かるので「航路」がだぶっている感じです。「甲板に花茣蓙敷いて隠岐へかな」などではいかが? 05 寝返りて 田舎のおかんという感じで、とても好感を持ちました。3句選に入れるか最後まで悩んだ句。 07 この紐は いま一つどういう動作のことを詠んでいるのか読み取り切れませんでした。 11 失敬す ちょっと川柳っぽいような気がしました。 14 島山の 下五で「山開き」を言うのなら、上五にも「山」があるのはくどい感じがします。 |
来月の投句は、6月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら |
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