ハルヤスミ句会 第四十五回
2004年6月
《 句会報 》
01 風にやや遅れ葉音や夏木立 春休(ま・と) 02 追悼の涙や紫陽花となりぬ とう子 03 三色のほたるぶくろを畑の縁 つよし(ど) 04 紫陽花や葬列に首たれており とう子(春) 05 緑蔭や冷えし薬缶の汗かきて 春休(と) 06 哀悼の色は紫陽花抱きしめよ とう子 07 炎昼に回しきたるや岩魚酒 つよし(ど・ま・春) 08 もうすこしあとすこしだけと草を引く まどひ 09 蛍見や学芸員の声のよき どんぐり(春) 10 さあ腐草蛍となりて道しるせ とう子 11 あぶないよあぶないよとて蛍見は どんぐり(ま) 12 西東端居と端居だんまりと まどひ(ど・つ) 13 口よりも祭の飴の大いなる 春休(つ) 14 香水や自信満々若き人 まどひ 15 打水のみるみる乾く神輿かな 春休(つ) 16 すててこが海を見ている夕間暮れ どんぐり(と) 17 歩こう会はた老人会や夏の海 つよし 18 おもふさま髪を洗ひてかなしかり まどひ |
【 渋川どんぐり 選 】 ○07 炎昼に 岩魚酒なんて、貴重!!みんなで、ちょびっとずつ、回し飲まないとね。しかし、炎昼との取り合せにはびっくりです。 ○12 西東 日の暮れの涼しい縁側。この二人の関係や如何?うんと、涼しい関係か?その逆か?気になります。 ○03 三色の 蛍袋ってなんか、さびしい。でも、3色あれば・・・・・・よけい、さびしいかな。私、二色しか、知らないんだけども。 この他に面白かった句 14 香水や 肌もあらわな若い人。やっぱり、綺麗だもんねー。その子、二十歳・・・? 05 緑蔭や これは、もう、文句なく、涼しい。 【 鋼つよし 選 】 ○12 西東端居と ○13 口よりも祭り ○15 打ち水のみるみる 評 あぢさゐと言えば雨。葬列、哀悼、追悼とはやや近すぎる趣で選ぶのを躊躇した。 端居、祭り飴、打ち水 作者の主観をさっと一句にしてあるところが良い。 【 舟まどひ 選 】 @ 風にやや 渋くて俳句のお手本のような句。これ近くの公園で風を感じながら注意していたら本当でした。でも台風6号の時はもうなにがなんだか分からなかった。 F 炎昼に うわーおいしそう。炎昼という貧乏くさいものに清浄で高級っぽい岩魚酒。まってましたという感じ。実は岩魚酒とはどんなものか知らないのですが。 Jあぶないよ 恥ずかしながら蛍をみたことがありません。でもとても私の想像を刺激します。土手、畦、谷、足元は暗いし手を繋ぎながら行くんでしょうね。 その他では L口よりも が祭り全体が見えてきていいと思いました。 【 多々野とう子 選 】 ○01 風にやや 我が家は城跡に隣接したマンションで、とてもよく分かります。ざざあっという葉音は、思考をしばし静かにします。 ○05 緑蔭や 暑さがひしひしと伝わってきます。ああっその薬缶を手にとってぐびぐびと!とつい・・・ ○16 すててこが なんとはなしにファニーな一場面。なごみます。 いたらないツッコミになりそうですが・・・ 18 おもふさま これは思うように、なのでしょうか、お父さん、なのでしょうか・・・? 【 小川春休 選 】 ○04 紫陽花や 花をたくさんつけた紫陽花も、花の重みで首を垂れているかのような…。とても雰囲気のある句だと思います。 ○07 炎昼に 岩魚酒って飲んだことがないのですが、なかなかきつそうな感じですね。「炎昼」がよく合っています。 ○09 蛍見や 「暗くて姿は良く見えないけれど、どんな方なのかしら」と感じさせます。学芸員っていうところがなかなか面白いですね。 03 三色の 何でもない句で好感を持ちましたが、ちょっとインパクトが弱すぎるきらいがあります。 08 もうすこし 気持ちはよく分かるのですが、字余りが気になります。会話調の句のときは、五七五に収めてリズムを生かしたいですね。 11 あぶないよ 蛍見をするときというと当然暗い時間帯で、場所も水辺だったりするので、気をつけないと危ないのは当たり前のことかなぁ、と思いました。 12 西東 端居している人の位置関係がいまいちよく分かりませんでした。話は変わりますが、「両断の西瓜倒るる東西に」という句がありましたね。好きな句です。草城だったかな? 16 すててこが 「すててこが海を見ている」は面白いのですが、下五がちょっとありがちかなぁ、という感じです。 17 歩こう会 これも、上五中七は面白いのですが、下五の季語があんまり利いてない感じです。単なる背景になってしまっているというか…。もっとイメージを広げてくれるような、夏の海に関する季語があれば良いのですが。考えてみてください。 18 おもふさま ずばり「かなしかり」と言ってしまうと、その句に表される感情は「かなしさ」以外の何物でもなくなってしまいます。でも、実際の感情は、かなしいときでも、かなしさオンリーではなく、喜怒哀楽愛憎恩怨その他もろもろ、まざり合っているものだと思うのです。そういった「実際の感情」を、五七五で伝えられたらどんなにかすばらしいでしょう。そのためには、直接的に言うのではなく、季語やいろいろな言葉の力を生かすことを考えなくてはならないように思うのです。 |
来月の投句は、7月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら |
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