ハルヤスミ句会 第四十六回

2004年7月

《 句会報 》

01 五月雨や墨吸うて紙ふくらめる   春休(ま)

02 羅や縫い代しるく流れけり     まどひ

03 幻滅の多面体して夏の蝶      とう子

04 形代のたぶん男の沈みけり     まどひ(つ)

05 蛍火を黒いお椀に閉じ込めた    とう子(つ・春)

06 記帳せんこの方蔭に列なして    まどひ

07 ぬくもりの消えし師の手や雲の峰  とう子

08 夏燕郵便局に集まりゐ       つよし(ま・と・春)

09 素麺を茹でてにはかにつはりかな  春休(つ・と)

10 クラス会やるぞとありぬ夏見舞   つよし

11 いさかいや朝顔のまだとんがりて  まどひ

12 婆の手のすたすたすたと辣韮掘る  つよし(春)

13 きしみつつ極暑の門の開きけり   春休(つ・ま・と)



【 鋼つよし 選 】
4 形代
5 蛍火
9 素麺
13 きしみつつ
評 今月の14句、どれも私好みの句。形代・・沈んでいるのが男という発見。 蛍火をお椀に・・素麺につわり・・他の作者が言わないようなことを句にしているのが良い。 きしみつつ・・・音だけでも暑いのに・・極暑があっている。 7のぬくもり・・雲の峰  11 いさかい・・・朝顔のとんがり 良い表現と思う。

【 舟まどひ 選 】
@ 五月雨や  書をかくとぶよぶよっとなるその感じをきれいに表現できていると思いました。
08 夏燕  童話か唱歌か「燕の郵便屋さん」とかあったような〜〜あれっ、やぎさん郵便かな。でもとにかく燕と郵便ってスイスイっといい感じ。
13 きしみつつ  ほんとにすごく暑そう。草ぼうぼうで何年も開けなかったような門とその周りの雰囲気もよく出ていると思います。

【 多々野とう子 選 】
08:夏燕  中央郵便局ではなく、お得意様の顔と名前を覚えていてくれる小さな郵便局。民営化されてもそうであってくれるのでしょうか。
09:素麺を  
13:きしみつつ  寒くてもきしみそうですが、確かに暑い中きしむ音を聞くのも、暑さを増しますね。

【 小川春休 選 】
○05 蛍火を  詠みぶりは童謡のような趣ですが、どこかプリミティブな怖さがありますねー。手毬唄のような。
○08 夏燕  「郵便局」というところにリアリティ。日常の中のひとときのにぎわいですね。
○12 婆の手の  「すたすたすた」は普通歩く音に用いる擬音語ですが、この使い方もはまってますね。むだのない、迷いのない婆の手の動きが見えてきます。
02 羅や  いわゆる「や・けり」ですね。切れが二つになってしまっています。
04 形代の  中々面白い句ですね、含みがあって。
06 記帳せん  「方蔭」は、「片蔭」ですかね?
07 ぬくもりの  悲しいけれど、明るい悲しさですね。師の人柄が何となくしのばれます。
10 クラス会  上五と中七が「夏見舞」の説明になってしまってる感じです。
11 いさかいや  「朝顔のまだとんが」っている時間帯から諍いとは…。私は毎朝6時に起きるのでもいっぱいいっぱいですが、朝顔はその時間にはもう開いてますね…。


来月の投句は、8月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら

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