ハルヤスミ句会 第四十八回

2004年10月

《 句会報 》

01 秋簾しまふそこらのもの履いて   春休(山)

02 小鳥来るお堀の亀の甲羅干し    やすみ(鋼・春)

03 一箱の長十郎をもてあます     つよし
 (梨の品種長十郎)
04 薄紅葉手足バタバタ亀泳ぐ     やすみ(ま)

05 蟷螂はカラスの黒いくちばしに   つばな

06 赤い羽根つけいつまでも姉妹    まどひ(鋼・春)

07 月の客吊り玉葱をくぐり来し    春休(や・ど)

08 秋思かなちひさな嘘を混ぜもして  つばな

09 地にお辞儀月にハローや盆踊り   まどひ(ど)

10 とろろ汁これじゃ濃いとか薄いとか つばな(や・ま・春)

11 目の下に露の玉おき西郷どん    まどひ

12 虫喰ひのずたずたキャベツ露の玉  つよし(や)

13 取り込みしもの何もかも草の香に  春休(ど・山)

14 紅葉狩右だ左だ道まよひ      やすみ

15 間引き菜の鮮度よろしき噛みごごち つよし(ま)

16 蓮の実の沈みて残るあわぶくよ   春休(鋼・山)



【 小川やすみ 選 】
07 月の客  吊り玉葱というのが、田舎ならではというかんじでほのぼのして良いですね。
10 とろろ汁  親子か夫婦かそれとも嫁姑の間でかわされた会話でしょうか。日常がきりとられていておもしろいです。
12 虫喰ひの  実家の畑のキャベツがよくこうなっています。ずたずたという表現がぴったりですね。

【 鋼つよし 選 】
○02 小鳥くる  秋晴の明るい日差しを感じる。
○06 赤い羽根  まず思い浮かぶのは、老姉妹子供のことだったなら、分かるように工夫したら。
○16 蓮の実の  秋の一こまらしい。

【 舟まどひ 選 】
04 薄紅葉  ハハハなんだか面白い。上の方では、いろは紅葉が色ずきはじめて風にさわさわ揺れている。下の池では亀が水掻き全開のようにして必死のさまで泳いでいる。まるで幼子が紅葉を見て嬉しくなって万歳したり拍手したりしているよう。
10 とろろ汁  とろろ汁の独特の粘りを「濃いとか薄いとか」という人との遣り合いで表現しているいるのは面白いです。だしの濃さ薄さも表現されていると思います。でも私がとろろ汁というものを知っているからかもしれません。
15 間引き菜の  食べた事ありませんがきっとそうなのでしょうね。売るわけはないし、差し上げるわけにもいかないから、摘んだらすぐ湯がいて食べる。これ以上新鮮なものはないでしょう。「よろしき」がよろしいです。
 その他では
07 月の客吊り玉葱をくぐり来し
12 虫喰ひのずたずたキャベツ露の玉
13 取り込みしもの何もかも草の香に
がよかったです。

【 渋川どんぐり 選 】
○07 月の客  さて、お客の登場は、裏口からか、縁側からか。親しい人と一緒の月見。シアワセですね。
○09 地にお辞儀  すみません。大笑いしました。この句、大好きです。我が家にも一人いる、盆踊り好き。無我の境地、この通りの姿で踊ります。
○13 取り込みしもの  よく晴れた一日だったんでしょう。洗濯物もいいにおい。ふとんも気持ちいい。でも、なんだか、さみしい秋。
この他に面白かった句
11 目の下に  西郷どんの涙みたいですねー。きっと、大粒。
12 虫喰ひの  ずたずたキャベツには、露の玉がよく似合う・・・と、思います。
16 蓮の実の  思わぬ時に思わぬものに出会う事がある。一瞬のあわぶくとの遭遇。

【 山田つばな 選 】
01 秋簾、懐かしい情景がふっと目に浮かびました。
13 取り込みし、草の香りがこちらにまで伝わりました。
16 蓮の実の、静けさの中に、あぶくをとおして 奥深い何かが感じられる。
その他、面白いと思った句は、3 一箱の、9 地にお辞儀、14 紅葉狩、です。

【 小川春休 選 】
○02 小鳥来る  「小鳥来る」ならではの明るい景ですね。
○06 赤い羽根  年を取っても仲が良いのは姉妹でも夫婦でも良いものですよね。小道具としての「赤い羽根」が気が利いてます。
○10 とろろ汁  我が家も父が濃い味が好きで、誰の好みに合わせても、他の人には濃かったり薄かったり。そんなどこにでもある(?)家庭の雰囲気が感じられます。
03 一箱の  「もてあます」という状態が、視覚的にイメージしにくいのがちょっと弱い感じです。
04 薄紅葉  こちらの亀もなかなか良いのですが、「薄紅葉」より「小鳥来る」の方が季語が効いてるようです。
05 蟷螂は  残酷な景なんだけどちょっと軽い感じになっていて、その軽い感じにちょっと違和感を感じました。
09 地にお辞儀  とってもエネルギッシュな句ですね。なかなか良いと思います。
11 目の下に  「目の下に露の玉」だと「涙みたい」という見立てが見え隠れするのが気になります。他の場所の方が良かったような…。
15 間引き菜の  「鮮度」という語は、俳句に使う言葉としてはちょっと固いんじゃないかな。それに「鮮度」を言わなくても「よろしき噛みごこち」だけで十分伝わると思います。


来月の投句は、11月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら

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