ハルヤスミ句会 第五十回

2004年12月

《 句会報 》

01 立冬のだいだらぼっちが胸の中   とう子

02 三匹の猫に一匹日向ぼこ      つよし

03 日のあたる一本道を毛糸屋へ    どんぐり

04 毛衣や冷や冷や歩むハイヒール   まどひ

05 日向ぼこバリウム飲みし腹重く   春休

06 やり過ごす雀の数も寒の猫     夏実(春)

07 冬の蠅電気の紐と共に揺れ     むかご(夏・鋼・
                   ま・ど・山・春)
08 休田のままに休耕しさうなり    つよし

09 砂浜の助走は三歩冬かもめ     どんぐり(夏)

10 恋人の有無聞かずとも冬帽子    とう子

11 マフラーをはづしあんみつ頼みけり 夏実(ま)

12 かきまぜし渦消えのこる葛湯かな  春休(む・鋼)

13 クリスマスハローキティは横向いて むかご

14 ご挨拶ご遠慮します冬桜      まどひ

15 葬送の列や冬日の暖かし      つよし

16 生きおれば父は還暦笹子鳴く    とう子(山)

17 黄身あおく茹だりて寒の玉子かな  夏実(む・ま・山・春)

18 吠えられつ花柊の門にをり     どんぐり(夏)

19 ほっとしてやがて滅入りて炬燵かな まどひ(む・ど)

20 熱燗のコップの縁のぎりぎりに   むかご(鋼・ど)

21 噛みしめし牛蒡に土のにほひかな  春休

22 熱燗のすすみて紅き眦ぞ      春休



【 かたぎり夏実 選 】
○07 冬の蠅  面白いのですが、電気の紐って照明器具の紐のこと? もう少し分かりやすくこなれた言い方はないでしょうか。最初電線かと思った。
○09 砂浜の  間近で見ると意外と大きい鴎。飛んでいるときとはうらはらな重たそうな助走の様子との対比がおもしろい。
○18 吠えられつ   お歳暮を持ってきたのか、それとも配達のバイトかも。待っている人の間の悪そうな表情が浮かぶ。

【 松尾むかご 選 】
○12 かきまぜし  かきまぜてだんだん透明になってきた中に残る渦、写生とはこのように見るものなんですね
○17 黄味あおく  ほったらかして置くから青くなちゃったのよっと寒の玉子は怒っているのです
○19 ほっとして とりあえずはほっとしてが良いね

【 鋼つよし 選 】
○07 冬の蠅  半分眠っているのだろうか どこからともなく現れて止まっている。
○12 かきまぜし  たしかにそうかも知れない。最近は食べなくなりました。
○20 熱燗の  酒好きの人には、これでなくてはならない。
*04 毛衣の句。ハイヒールとの取り合わせが実に良いのだが、「冷や冷や」でない表現だったら選句したい句。
*11 おなじく、マフラーも、取り合わせは良いのだがはづしては当たり前だから、はずさないとか、ETC 嘘でも良いから、ひねりを入れたらよい句でないか。

【 舟まどひ 選 】
○07 冬の蠅  共に揺れがうまい。冬蝿なればこそのだらけたしがみつき、もう面倒くさいから
ここから離れないのでしょう。
○11 マフラーを  この感じよく分かります。お汁粉でないところがいいのです。しぐさ、顔、お店の雰囲気までよくわかります。 
○17 黄身あおく  そうそう昔よくあおい黄身のゆで卵がありました。新鮮だからなのか、このごろ見ないと思っていましたが、寒卵だったのですか。

【 渋川どんぐり 選 】
○07 冬の蠅 あー、長生しちゃったなあ。次は、どこ、止まろうかな。電気の紐。ここも、なかなか、楽しいねえ。
○19 ほっとして 炬燵とは、どんなものか・・・。ずばり言い当ててますね。というか、まるで、冬のわたくしを見られたような。 
○20 熱燗の 手をもっていくか。口をもっていくか。やっぱり口かな。待てよ。ちょっと、熱いかも。後の展開が気になる句です。   
 この他に面白かった句
04 毛衣や ぬくぬくの毛衣のはずが、冷や冷やとは、レディって、大変。
10 恋人の 恋人がいたらショックだし、いないからといって、どうなるわけでも無し。これは、強気のようで、案外弱気の人と見た。ハズレだといいけど。

【 山田つばな 選 】
○ 7 かすかに生きている冬の蠅に、はっとしました。
○16 せつないです。
○17 そういわれて見るとあおく見えますね。
他に好きな句 3,8,11,12,21

【 小川春休 選 】
○06 やり過ごす  「数」の使い方が決まってますね。下五の名詞止めもとても収まりが良いです。
○07 冬の蠅  上手いですね。「共に揺れ」と流した感じの言い方も、句の内容にマッチしてます。
○17 黄身あおく  「あおく」が見事。無駄な言葉が一つもない、引き締まった句ですね。
04 毛衣や  「冷や冷や歩む」というのが、ちょっと分かりにくかったです。
09 砂浜の  このままの形だと、上五中七がちょっと説明的な感じです。「砂浜を助走三歩や冬かもめ」とした方が動きが出そう。
11 マフラーを  茶店の中は暖かかったんでしょうね。「あんみつ」からもその感じが伝わってきます。
13 クリスマス  もっと意外性のある季語の方が面白くなりそう。
18 吠えられつ  内容はなかなか良いと思うのですが、「つ」と「をり」が両方切れになってしまっているような感じがして、落ち着きません。「吠えられ」と「をり」とで動詞が二つになっているのも、まとまりがない感じがします。特に「をり」は言わずもがなの感がありますので、「をり」無しで一句にならないか、推敲の余地がありそうです。
19 ほっとして  芭蕉の「鵜」の句を思い出しますね〜。
20 熱燗の  良いですね。ただ、「熱燗を」かな〜という感じもちょっとしますが…。


来月の投句は、1月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら

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