ハルヤスミ句会 第五十七回
2005年7月
《 句会報 》
01 五月雨や牛蒡洗ひし水黒く 春休(ま) 02 成田より梅雨の晴れ間の五七五 佐津子(ま) 03 西瓜畑拳ほどにぞなりており つよし 04 釣り人の瞬きひとつ翡翠ぞ 由宇 05 馬券買うこの片陰に列なして まどひ(鋼・春) 06 夏暖簾くぐるやソースにほひ立つ 春休(山) 07 ひるがほの刈られて強くなるにほひ つばな(鋼) 08 百均の夏手袋とかざしけり つよし 09 寝返りて布団を落ちてまだ昼寝 春休(由) 10 明易の吾子寝て起きて寝て起きて 春休(佐・由・山) 11 湯煙の木立に昇り蝉しぐれ 由宇 12 弔ひの蝉時雨なり鳥の墓 まどひ 13 蛍の夜みんな別れてゆく人か つばな 14 ほうたるの沈んでゆきし沢の音 つばな(由・鋼・春) 15 しゃりしゃりと髪切られゆくパリー祭 まどひ 16 梅雨もなく露西亜で誕生迎えけり 佐津子 17 露民謡にさくら歌のおまけ白夜かな 佐津子 18 夕立を逃げてやしろのがらんどう 由宇(佐・ま・山・春) 19 祇園から戻りし髪を洗ひけり まどひ(佐・鋼) 20 水虫ややつけしまつた筈なのに つよし |
【 梅原佐津子 選 】 ○10 明易の 寝て起きての繰り返しが、子供への愛情を物語っています。と同時にパパもママも大変な短夜 ○19 祇園から 祭りの賑わい、本人は見物人ではなさそうに思いますが? 髪を洗いお疲れ様 ○18 夕立を 笑えます。このような場面確かに有りました。身に憶えの有る事が、がらんどうの言い回しが好きでした。 【 金子由宇 選 】 ○09 寝返りて 暑さ疲れ?それとも遊び疲れ?眠りこけているのは誰でしょうか。昔、泳ぎ疲れて午睡をむさぼった自分を思い出しました。 ○10 明易の 「短夜や乳ぜり泣く児を須可捨焉乎」 竹下しづの女の句に触れた時、なんと激しい句かと衝撃を受けました。「明易の・・・」は、ソフトでやさしく、♪こんにちは赤ちゃんのメロディが聞こえてきそうです。 ○14 ほうたるの 暗闇に蛍火がすーと落ちていった、あとは水音のみ聞こえて。情趣があって清涼です。 【 鋼つよし 選 】 ○05 馬券買う 片陰と馬券の取り合わせが良い。 ○07 ひるがほの ひるがおの匂いは知らないが、惹かれる句。 ○14 ほうたるの 沢の音のひねりが良い。 ○19 祇園から 祇園と髪洗う、思わせぶりな取り合わせで良い。 【 舟まどひ 選 】 ○01 五月雨や あたりまえといえばあたりまえなのですが、牛蒡を洗った水とは関係ない五月雨が強く池などに強く降り込んで濁っている様子が見えてきます。 ○02 湯煙の なにか、蝉時雨に煙が吸い込まれていくような。 ○18 夕立を 逃げてがうまい。人気のないやしろの独特な雰囲気が出てます。 【 山田つばな 選 】 ○06 夏暖簾 おいしそうです。 ○10 明易の 可愛らしい・こんな時期があったことを思い出しました。 ○18 夕立を 急に音のない、ぽっかりした空間に迷い込んだようです。 他に好きな句 01 五月雨や 水の濁りが見えるようです。 04 釣り人の ぎゅうっと焦点が絞られる感じがいいです。 09 寝返りて 寝汗をかきながら、熟睡? 15 しゃりしゃりと ハイカラですね。 19 祇園から 物語の始まりを感じます。 【 小川春休 選 】 ○05 馬券買う 写生の技の冴えですね。さりげないようですが「片陰」の使い方がうまい。情景が目に浮かびます。 ○14 ほうたるの 抑制が効いていて好感を持ちました。何より、口に出して読んだときの響きのよろしさが○ ○18 夕立を 一言で言えば「雨宿り」なのですが、十七音を贅沢に使った、のびのびとした句。ついついいろんなことを言おうとして十七音に詰め込みすぎてしまいますが、「言わないで良いこと」「言わなくてはいけないこと」をしっかり見据えて、こういうゆったりした句を作りたいものですね。 03 西瓜畑 素朴ですがなかなかに味わいある句。ただし、「畑」は言わずに「西瓜」だけで十分だと思います。「なりており」から「畑」だということは分かりますから。 13 蛍の夜 確かにそうなのですが…。「別れ」に「蛍」、ちょっときれいすぎという気がします。 16 梅雨もなく 「迎えけり」は言わずもがな。「梅雨のなき露西亜の地にて誕生日」で良いのでは? 17 露民謡に 詰め込みすぎのようです。この句に盛り込もうとした内容を2句か3句に分けたら、それぞれ良い旅吟になりそう。ぜひ推敲を。 19 祇園から まどひさんは感覚が鋭いんでしょうね。最小限の言葉で、うまく読者の想像・連想を引き出す句になってます。 20 水虫や 「やつけしまつた」はちょっとつづめすぎでは? 「やつつけて仕舞つた筈の水虫が」ときっちり言っても五七五に収まります。 |
来月の投句は、8月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら |
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