ハルヤスミ句会 第五十八回
2005年8月
《 句会報 》
01 片陰のとぎれ舗装の白さかな 由宇(春) 02 前脚の爪より朽ちて空蝉よ どんぐり 03 白き糞青田に落としゆく燕 春休 04 月球儀触れて冷たき夏休み どんぐり(山) 05 夏布団ごと這つて来る赤ん坊 春休(ど・山) 06 夏痩せがくわえタバコで摩る頬 由宇 07 初秋のすすむ時計をもどしけり つばな(由・鋼・ど・春) 08 今朝の秋強がり者の逝きにけり つよし 09 土色のぢつとしてをる蝗かな つばな 10 盆の雨畑の敷き藁打つばかり つよし 11 赤ん坊に鼻を掴まれ生身魂 春休(由・鋼・山) 12 港へと入り込む波や稲光 つよし(由) 13 かなかなや寄せては返す波のごと 由宇(鋼・春) 14 FAXの真白で届く蝉時雨 どんぐり 15 稲妻にならぶ人形顔同じ 春休(鋼) 16 さつきまで子の座りたる秋の部屋 つばな(ど) |
【 金子由宇 選 】 ○07 初秋の 時計の針は戻せても、過ぎにし時は戻るはずもなく・・・・。取り合わせの妙に一も二もなく飛びつきました。ところで、時計は常温を高低どちらに過ぎてもくるうそうですね。 ○11 赤ん坊に 孫それともひ孫?ほほえましい触れ合いの光景。生きてるって嬉しい。 ○12 港へと まるで映画の鮮明なワンシーン、不安な夜を演出しています。 次も好きな句です。 05 夏布団ごと 両手を差し伸べ、抱きしめます。 14 FAXの なんだかイライラがつのるようで。 【 鋼つよし 選 】 ○07 初秋の 日常の一こまだけどすうと読めて良い。 ○11 赤ん坊に 報告的なのが難か。 ○13 かなかなや 「かなかなは波のごと」がよいと思う。 ○15 稲妻に 人形の顔が同じというのもまたそれに稲妻が突き刺さるというのもすごい景色だ。 【 渋川どんぐり 選 】 ○05 夏布団 あまりの可愛らしさに、とってしまいました!!赤ん坊の背におわれるのは夏の蒲団なればこそ。 ○07 初秋の 大きな柱時計ですな。脚立に乗って時計を合わせるって結構、億劫。まあ、やっとくか。秋が来たから。 ○16 さつきまで 帰省した子が都会へ帰ったんでしょうか。寂しくて、しばらく、ぼんやり。 他にとりたかった句 08 今朝の秋 暑い暑い夏を頑張って乗り越えたのに・・・・・。 11 赤ん坊に 生身魂様の鼻を掴んで許されるのは、あなただけですよ。 ※ハルヤスミ句会に投句した後、秋の季語を勉強しようと、辻桃子編実用俳句歳時記を読んでいたら、「ファックスにのっぺらばうが出て九月 水無月直」という句を見つけました。私のFAXの句ですが、似たものを投句してすみません。(もちろん、水無月さんの句の方がずっと面白いですが。) 今後は、なるべく沢山の句を読むようにして、気をつけます。 【 山田つばな 選 】 ○04 月球儀 月球儀のことは知らなかったけど、音のない世界、硬質な過去確かにあった時間を思い出す。 ○05 夏布団 そうでした。後ろずさりをしたり、・・・ひととき、ひとときを大切にしている愛情を感じます。 ○11 赤ん坊に 映像が見える句。無心な赤ちゃんの表情、生身魂さまの驚き、嬉しさ、周囲の笑い声を感じます。 他に好きな句 01 片陰の 絵を見ているような、そう、昔こんな絵を見た気がします。 02 前肢の 私が見たのは背中の割れ目から朽ちていました。 13 かなかなや 本当にそうですね。 【 小川春休 選 】 ○01 片陰の 片陰がとぎれた途端、本当は黒っぽい色のアスファルト舗装まで白く見せるほど強い日差しが目に飛び込む。そんな感じがよく出てます。 ○07 初秋の 夏が終わって、さあ、これから新しい季節だ、という軽い心の張りのようなものを感じました。さりげなさが良いです。 ○13 かなかなや 「〜のごと」などの「ごとし俳句」は難しいですが、この句は素直に共感できました。 02 前脚の 目の付け所は良いのですが、言い方がちょっと報告っぽくなっているのが残念。「空蝉や朽ちたる爪で幹つかみ」などとすると、もっと空蝉の存在感が出てくるのでは? 06 夏痩せが 五七五がずーっとつながっていて、散文的な感じがしました。 12 港へと 景が大きくて良いと思うのですが、「入り込む」がちょっと普通かな。この描写をもう一歩踏み込めると迫力が出そうです。 16 さつきまで なかなか良い雰囲気なのですが、「秋の部屋」がちょっと大雑把な気がしました。「秋団扇」とか「秋簾」とか、もっと具体的なモノの方が、それを手がかりにしてイメージを広げられるのではないでしょうか? |
来月の投句は、9月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら |
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