ハルヤスミ句会 第五十九回

2005年9月

《 句会報 》

01 浜涼し赤子ゆんゆん抱かれをり   かんや(由)

02 塵ほこりくつつけ名残の扇風機   由宇

03 朝顔や淡くなったる傷の色     かんや(山・春)

04 秋風とみやまあかねとつかみけり  まどひ

05 潮上の方より蜻蛉飛んで来る    どんぐり

06 銀やんま翔ぶや雨粒はね飛ばし   春休(か・佐・ま)

07 大空の風は強いか鰯雲       由宇(佐)

08 葉から身を乗り出しているくつわむし つばな(ど)

09 つまべにの茎を蟻んこ見え隠れ   春休

10 この家の何処にをっても虫時雨   どんぐり(佐・ま)

11 蟲すだく今宵の店主磯釣りに    佐津子

12 鈴蟲の鳴いて停電続きをり     春休(か・鋼)

13 金賭けて禁煙中や秋袷       つよし

14 干し物の辺りひやりと貝割菜    春休

15 月白や荷台に鮮魚積み上げて    どんぐり(か・ま・山)

16 一遍忌紅さしあげて姉の笑み    佐津子(由)

17 踊り子は踊り櫓を放れゆく     まどひ(ど・山・春)

18 苦瓜の花くしゃくしゃの寝起き髪  かんや(鋼)

19 いくたびも生れて忘れて天の川   まどひ

20 駄賃とてジュース一缶藷を掘る   つよし(由)

21 ちんちろりんと闇の石段鈴虫も   佐津子

22 こと言へば父母の情けや十三夜   由宇

23 気の利いた言葉が出ない月夜かな  つばな(鋼・ど・春)

24 ネクタイの家紋花菱吾亦紅     つよし

25 何か出るまで歩こうか秋の暮    つばな



【 中原かんや 選 】
○06 銀やんま  力強さに惹かれます。
○12 鈴蟲の  暗闇に響く命の存在がいいと思います。
○15 月白や  独特な雰囲気があっていいと思います。

【 金子由宇 選 】
○01 浜涼し  ゆんゆんが非凡で素晴らしいです。この言葉で赤ん坊のやわらかさ、抱かれている様子が浮き彫りです。
○16 一遍忌  利他の教え、小さな功徳からですね。
○20 駄賃とて  今の時期こんな光景よく見られます。土の匂いを感じます。
次の句も好きです。 
18 苦瓜の花  よじれた苦瓜の花をくしゃくしゃの髪とは。
24 ネクタイの  めずらしい家紋ですね。見たことありませんが、声に出して歯切れがよいです。

【 梅原佐津子 選 】
○06 銀やんま  今年は台風の多い年でした。雨粒はねとばしつつ大きな銀やんまの姿を、たくましくとらえたのでしょう
○07 大空の  大空に鰯雲、気持ち良い景、風の強さを知りたいのはなぜかしら?鰯雲の流れが速すぎたのですか?
○10 この家の  本当にそうですネ*我が家も賑やかです。毎年の事ながら秋は虫と果物、食べ物が美味しい事この季節が大好きな私です。

【 舟まどひ 選 】
○06 銀やんま  ぎんやんまの跳びたつときの動きが、雨粒によって美しく表現されていると思います。羽と雨の銀色がぱらぱら散らばってとても綺麗です。 
○10 この家の  こんなに単純かつリアルに虫時雨を描けるなんて。こんな家に住んでみたい。
○15 月白や  魚が積んであるというだけなのに月白の働きでまったく別の世界になりました。

【 鋼つよし 選 】
○12 鈴蟲の  真っ暗な闇に虫の声が際立つ。「をり」がどうだろうか。
○18 苦瓜の  リズムの破調がくしゃくしゃにマッチしている。
○23 気の利いた  上五,中七の措辞が良い。

【 渋川どんぐり 選 】
○08 葉から身を   次の瞬間、くつわむしは、何をしたのか、何処へ行ったのか。ちょっとどきどき。
○17 踊り子は   櫓のまわりには、たくさんの人がいるはずなのに、たった一人の姿が浮かびました。
○23 気の利いた   大丈夫。きっと、言葉はいらないでしょう。綺麗な月だもの。
この他に面白かった句
06 銀やんま    やっぱり、やんまだな。この力強さは。
16 一遍忌   お姉さんにお会いしたくなりました。

【 山田つばな 選 】
○03 朝顔や  傷は朝顔か、自分の腕とかについたものか?もしかしたら、心の傷?秋ですね。
○15 月白や  物語の挿し絵を見ているようです。不思議な感じがします。
○17 踊り子は  大人の感じですね。さて・・・。
他に気になった句
01 浜涼し  ゆんゆんが、わからなかったのが、ザンネン!
04 秋風と  風も掴んだのでしょうか?
05 潮上の  潮上・・?海の潮?
10 この家の  本当にそう。
16 一遍忌  紅さしあげてが、よくわかりませんでした。

【 小川春休 選 】
○03 朝顔や  私は純粋に「朝顔の傷」として読みましたが、日を経てだんだんと淡くなってきた傷の色がぱっと浮かんで来る良い句だと思います。他の花ではなくて朝顔だったのが良かった。鮮やかな朝顔なればこそ、傷の色もまた鮮明に目に飛び込んできます。
○17 踊り子は  何かこう、叙情を感じました。上手く言えませんが。ちなみに「放れ」は「離れ」が正しかろうと思います。
○23 気の利いた  上五中七、ほんとに何でもないのですが、だからこそ「月夜かな」が生きるのかなぁ。
01 浜涼し  中原中也の「ゆやーんゆよーん ゆやゆよん」を連想させる、独特の擬音(擬態)語ですね。
02 塵ほこり  なかなか良いと思うのですが、中八が気になります。「つけて名残の」「くつつけ名残」のどちらかなら七字で収まりますが、いかが?
05 潮上の  「潮上」がちょっと分かりにくいかなぁ。「潮風」とか「潮騒」の方がすんなりイメージできるように思います。
08 葉から身を  いわゆる写生句ですが、「ている」の部分が余分な気がします。
10 この家の  「この家や」とやや大げさに驚いてみせた方が、この場合は面白いのでは?
11 蟲すだく  虫すだく夜の、主のない店。なかなか雰囲気があるのですが、何の店か読み取る手がかりがないのが、句の弱さになっているような…。たとえば上五を「蟲の夜や」などとすれば、店主をもっと詳しく描写することもできます。いろいろと推敲してみてください。
13 金賭けて  これまたなかなか飄逸な味わいですね。上五中七だけだと川柳っぽいですが、「秋袷」でちょっと複雑な味わいになるんですよね。
15 月白や  この句を○にしようか、迷いました。姿勢の正しい句だと思います。強いて言えば、「鮮魚」という用語が硬い。「はまち」とか具体的な名前の方が、景がより鮮明になるのでは?
16 一遍忌  「一遍忌」という季語、落ち着いた句の調子から、ある程度お年を召された姉妹と読みました。こういう姉妹の関係、良いですね。

来月の投句は、10月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら

back
back.
top
top.