ハルヤスミ句会 第六十六回

2006年4月

《 句会報 》

01 雨音に覚めかけてゐる朝寝かな   春休(由・ま)

02 春や昔アンモナイトは美味かった  阿昼(あ)

03 花八分日差さしたり翳つたり    つよし

04 綿菓子に似て山桜の咲きにけり   あたみ

05 腰据わるとはこのことや夕桜    どんぐり(ま・春)

06 駅舎無き駅に坂道花いちご     どんぐり(あ)

07 花の村五穀豊穣幟立つ       つよし(ど)

08 花の昼おむつ替へし手嗅ぎもして  春休(阿・鋼)

09 風光る西郷どんの男ぶり      まどひ

10 春潮の川を逆るや太公望      由宇

11 いそぎんちやく何か食ひをる朝寝かな 春休(阿)

12 赤ちやんの鼻は空向く春の空    阿昼

13 たらの芽を求め背伸びすまだまだぞ あたみ(鋼)

14 好きなだけ八重桜をば塩漬けに   あたみ(ま)

15 親雀子雀すずめがくれより     春休(阿)

16 この道や菜の花の他なにもなく   まどひ(由)

17 菖蒲の芽ぐいと伸びるや啄木忌   つよし

18 鸛の巣に見らるるちぎりうららなり 由宇(春)

19 蓬餅焼きたて買うて傘さして    あたみ(春)

20 あと足で土かく子イヌ土筆坊    由宇

21 春興の顔そむけあふタンゴかな   まどひ(由・鋼・ど)

22 この浜につちふる小さき月かかり  どんぐり(あ)

23 夜明けまで踊りましょうよ紅しだれ 由宇(あ・ど)

24 さよならの葉書につもる春の塵   阿昼

25 花しだれ又兵衛桜の雨にぬれ    あたみ



【 中村阿昼 選 】
○11 いそぎんちやく  水槽の中のいそぎんちゃく?または夢の中の光景? 現実にしても夢にしても、朝寝の寝ぼけ眼にはなぜかお食事中のいそぎんちゃくが見えているのだ。
○08 花の昼  その気持ちわかります。いちいち手を洗えばよいんだけど、ついめんどくさいときも。季語は花でなくてもよいかも。
○15 親雀  雀の親子の散歩中なんでしょうか。「すずめ」の音の繰り返しも楽しい。

【 金子由宇 選 】
○01 雨音に  こんな朝のまどろみは春ならではです。春眠不覚暁 折折聞雨音と捩ってみました。
○16 この道や  黄色い花と柔らかい陽射しのひなびた風景が浮かびます。そこはかとなく寂しいこの道です。
○21 春興の  でもぴたりと寄り添って踊るダンス。ユーモアとお色気があって愉しいです。
その他
07 花の村  昔住んでいた飛騨の国を思い出します。桜も桃も他の花々も一斉に咲きました。はためく幟は寒さからの解放と耕の喜び。

【 梅原あたみ 選 】
○02 春や昔  本当に食したのでしょうか?余りにも羨ましい限り*
○06 駅舎無き  静かで穏かなほのぼのとした景色に心をうたれます。
○22 この浜に  浜辺と月、つちふるがゆえに月も小さく見えたのでしょうか? 春ならではの景色と思えますがいかがなものでしょう?
○23 夜明けまで  花見に気分良く踊るのです。日本舞踊、それとも社交ダンス、私ならダンスかも今年は京都の花見が出来ました。
24 さよならの  春の塵とは花びらの事で良いのでしょうか? 小川様お手数ですが私の質問にご指導下さい。大変助かりますので宜しくお願い致します。
(回答)「はるのほこり」。「春塵(しゅんじん)」とも。春風に舞い上がる砂塵のことです。春って何だかほこりっぽいですよね。ああいう感じだと思っていただければ結構です。例句「春塵の鏡はうつす人もなく」(山口青邨)

【 舟まどひ 選 】
01 雨音に  ああこの感じわかりますね。気持ちのいいような、つらいような。そして目覚めているのか、覚めてないのかわからないような感じなのに、何かの音だけははっきりわかる。この季節ならではの感覚だとおもいます。
05 腰据わる  枝先はいつもゆれているのに、さくらの幹のどっしり微動だにしない、どうどうとしたかんじ。まして夕桜ともなればなおさら
14 好きなだけ  「好きなだけ」でわーっと桜の素晴らしい香りがただよってきます。そして「をば」にとても俳味を感じます。沢山作ってご近所に配ったりして、そんな暮らし、してみたいです。

【 鋼つよし 選 】
○08 花の昼  見かけたことあるような写生句としていただきました。
○13 たらの芽を  同感です。
○21 春興の  ユーモアのある句で愉快です。
三選の他の次選句
22 この浜につちふる小さき月かかり
24 さよならの葉書につもる春の塵
16 この道や菜の花の他なにもなく

【 渋川どんぐり 選 】
〇07 花の村  気がついたら、花いっぱいの村の真中に立っているような。幸せな気分です。
〇21 春興の  春の弾み心は、タンゴのリズムかと妙に納得。「そむけあふ」の響きが、何故か、「春興」に合いますね。
〇23 夜明けまで  数ある桜のなかでも、ドキドキさせられる枝垂桜。返事はOKだったと思いたい。自分には出来ないだけに。・・・動悸息切れ。
この他に面白かった句です。
02 春や昔  アンモナイトを食する貴方って、一体、何物?と思いつつ、私も食った事があるような気がしてきました。大昔だけどねー。
12 赤ちやんの  いいなあ。空向いてても、いえ、空向いてるから、可愛いんだなあ。いっぱい、呼吸してください。
24 さよならの  え?なんと!「葉書」でさよなら、とな?!塵積もるほど、とっとくこたあ、ありません。次行ってみよう。春だし。な〜んて、思えればいいけど。

【 小川春休 選 】
○05 腰据わる  何だかよくわからないが、こう言われると納得してしまう。昼から花の宴を催していて、夕方に腰が据わってきたのか。満開の桜の華やぎが、夕暮れ時になってどっしり腰が据わった感じになったのか。どちらとも取れますが、こういう謎の残してある句は良いですね。読者へのサービス精神・遊びごころだと思います。
○18 鸛の巣に  「見らるる」という言葉一つで、コウノトリのあっけらかんとした営みと、それを見ている作者の姿が見えてきます。
○19 蓬餅  はっきりと書かれてはいませんが、やわらかな雨の感じ、見えてきます。「焼きたて買うて傘さして」の「て」のリズムで、句が生き生きしてます。
02 春や昔  強烈な句ですが、「美味かった」という食後の感想よりも、「焼いて食ひ」などと具体的な描写にした方が、「アンモナイト」の存在感がもっと活きてくるのではないでしょうか?
03 花八分  中七下五のもやっとした感じを活かすには、上五がちょっと中途半端な気がします。「花盛り」くらい思い切っても良いのでは?
04 綿菓子に  「○○に似て」という句は難しいです。意外性が出しにくいのです。この句の場合もそう。あと、桜の句で「咲きにけり」は言わずもがな。「咲きにけり」の代わりに「綿菓子に似て山桜ふくらめり」など、もっとイメージの広がる言葉がないか、じっくり考えてみるのも楽しいですよ。
06 駅舎無き  「駅に坂道」というのが、どういう地形なのか、よく分かりませんでした。
09 風光る  ちょっと据わりが良すぎるのが難点か。上五でもっと読者を裏切って、楽しませてほしい。
12 赤ちやんの  ストレートな良さのある句ですが、「空」の重複はやはり気になる。下五の季語はもう少し離したものにしたいところ。
13 たらの芽を  書かれてはいませんが、子どもの姿を詠んだ句でしょうか。口調が自然で親しみが持てます。
14 好きなだけ  思い切りの良い、素直な句。こういう句、大事にしたいですね。
22 この浜に  これも良い句ですね。「この浜」という把握が的確。 ―――今回も、3句選はたいへんでした!

来月の投句は、5月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら

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