ハルヤスミ句会 第六十七回

2006年5月

《 句会報 》

01 山里のあけっぱなしの春燈     まどひ(◎ど・阿・春)

02 おむつ換へしつつに春を惜しむなり 阿昼(山・鋼・春)

03 路地に向く掃きだし口も夏隣    まどひ

04 蛙の夜ただ一枚の田んぼから    どんぐり(由・阿・ま・鋼)

05 百もある鳥居抜けるや躑躅山    まどひ

06 初夏の入らぬ服を捨てかねる    つばな(あ・鋼・ど)

07 小さき手が鍵盤叩き夏きざす    春休

08 その口によくぞ丸ごと柏餅     春休(あ)

09 ゴールデンウイークスリッパ山積に あたみ(阿・春)

10 石楠花を描いてをれば島の雨    どんぐり

11 夏兆す車椅子の子あるくなり    あたみ

12 寝る前に筍飯を四杯も       つばな(ま)

13 新緑の欅林のゆうらゆら      つよし(あ)

14 葉桜や洗うて白き子のおしり    春休(山・ど)

15 薬効のほのかな匂ひ朴の花     つよし

16 赤ちやんに藤房揺れやまざりしかな 阿昼

17 あけび咲く紅の雨など降るやうに  どんぐり

18 母の日と机の上に娘より      あたみ

19 父訪へど母とはに留守すみれ草   由宇

20 牡丹の赤白黄をガラス越し     つよし

21 袖を引く野いばら森の女神かな   由宇(鋼)

22 子の風邪をもらひ卯の花くたしかな 春休(由・山)

23 五月雨や寝れば眼つむるお人形   つばな

24 若衆が包丁砥ぎす祭りかな     あたみ

25 かつこうの空音を渡る交差点    由宇

26 真鯵をば刺身とおぼろに海の幸   あたみ

27 なめくぢがゐるはずといふレタスかな 阿昼(由・ま)




【 金子由宇 選 】
皆さん、身近な事を軽々と俳句にされていて感心しています。
○04 蛙の夜  最近は減反や農家の労働力不足で田んぼが少なくなりました。でも満々に水をはったただ一枚の田んぼ。盛んな蛙の合唱が聞こえるとまさに「蛙の夜」です。
○22 子の風邪を  どんより憂鬱な風邪の雰囲気に季語がぴたりとマッチです。
○27 なめくぢが  一枚一枚葉を開いて探す様子が目に浮かびます。
その他好きな句
07 小さき手が  読んで歯切れがよく可愛らしい。
09 ゴールデン  合宿を想像します。
13 新緑の  仙台の定禅寺通りの欅もきれいでした。

【 山田つばな 選 】
こんにちは。久しぶりの句会、浦島太郎のようです。
○02 お母さんは忙しい。今、目の前にいるような感じです。
○14 爽やかな風、木漏れ日、子供の匂いを感じます。
○22 子供と二人、困ったな…仕方ないよね。と言っている声が聞こえるようです。
他に好きな句
09 旅館かな?学校でしょうか?
18 優しい娘さんですね。
27 レタスって、いるのがあるんですよね。

【 中村阿昼 選 】
○09 ゴールデン  子供向けのイベントが児童館や公民館とかであったのかも。スリッパという物を詠むことでゴールデンウイークのひとコマを的確にとらえている。
○04 蛙の夜  住宅街にわずかに残った田んぼなのでしょうか。それなのに驚くほどの蛙の声。蛙の生命力に圧倒されます。
○01 山里の  あけっぱなしというのがいかにも山里。庭や納屋があるのであけっぱなしでもそんなに人の目は気にならないのでしょうか。「山里や」と切れを入れたほうがいいかも。
他に好きだった句
14 葉桜や  葉桜の頃だとまだ行水には早いから、おもらししちゃったのかな。小さな白いおしりがかわいい。
19 父訪へど  せつない句。すみれ草のようなひかえめでやさしいお母さんだったのでしょう。
08 その口に  赤ちゃんの口って見た目は小さいのに、意外と大きく開くんですよね。「よくぞ」に驚きが出ている。

【 梅原あたみ 選 】
○06 初夏の  まったく同感です。気持ちが良くわかります。
○08 その口に  可愛いらしさ、と驚きの状況が良く出ていると思います。
○13 新緑の  大樹の新緑は目にあざやかなもの、ゆうらゆらは柔らかく、爽やかさを感じられました。

【 舟まどひ 選 】
ここのところやっと3日位は五月晴れとなっています。5月の選句いたします。
○04 蛙の夜  一枚の田んぼという風景が俳句として新鮮です。そしてあたり一体が蛙の声で一杯になる。面積の差というかひろがりというか面白いと思います。
○12 寝る前に  不思議です。つやつやした、いい匂いの筍飯がうかぶだけでなくとても食べたくなるのだけれど自分も二杯位は食べたような気になるという・・寝る前の効果でしょうか。
○27 なめくぢが  さがしてもさがしてもどこかへ潜り込んでしまったなめくじのせいでレタスの存在感をすごく感じます。レタスをめくってる感じ、少しふちがいたんだようなぺらっとした質感。

【 鋼つよし 選 】
良い句が多く、選句迷いの月である。
○02 おむつ換へ  おむつと、22、子の風邪迷ったが02に軍配をあげた。
○04 蛙の夜  住宅に囲まれた田圃からも蛙の鳴声が聞こえるから不思議。
○06 初夏の  捨てかねるが良い。
○21 袖を引く  下五の措辞が、擬人的でないよさを感じる。
その他の佳句
17 あけび咲く
24 若衆が  若衆が・・若衆の包丁砥ぎのとか工夫されたらと思う。

【 渋川どんぐり 選 】
パソコンは故障中。ついに本人も故障。此度は、選だけで、お許しください。
◎01 山里の
○06 初夏の
○14 葉桜や
この他に面白かった句
07 小さき手が
09 ゴールデン
27 なめくじが

【 小川春休 選 】
○01 山里の  余計な言葉は一つもありません。これぞ山里、これぞ春燈、という感じですね。
○02 おむつ換へ  「おむつ換へ」と一口に言っても、赤ちゃんの成長につれて、ちょっとずつ変化があるんですよね。そういう変化を感じながら、春を惜しむ。その心情、共感できます。
○09 ゴールデン  山積みのスリッパから、いろいろとイメージが広がります。物を描いた句は強いですね。
04 蛙の夜  うちの前にも、そんなに多くはありませんが田んぼがあります。そのにぎやかなことったら…。
05 百もある  「…もある…抜けるや」という叙述は少し散文的な印象です。「躑躅山百の鳥居を抜けたれば」などとする案も。
06 初夏の  ユーモラスな句ですが、「初夏の」がちょっと説明的では? そろそろ夏服に着替える時期だから、という理が出すぎている感じです。もっと理を消した、イメージの広がる季語が付くとぐーんと良くなりそうです。
10 石楠花を  あっさりとした句で、良い印象を持ちました。
12 寝る前に  何とも健康的。食べ盛りのお子さんでしょうか?
15 薬効の  良い雰囲気ですが、「薬効の」というより、何の薬か(ぬり薬、とか)を書いた方がリアリティが出そうです。
19 父訪へど  せつない句ですね…。「すみれ草」が、せつないです。
24 若衆が  語順というか言い回しというか、もっと推敲の余地がありそうです。例えば、「若衆の砥ぐが祭の包丁ぞ」など。
26 真鯵をば  上五中七は良いと思うのですが(中八は気になりますが)、「海の幸」でまとめると面白味がなくなってしまいます。
27 なめくぢが  生活感のある句。土の匂いがしてきます。
今月も3句選はたいへんでした。04 蛙の夜、10 石楠花を、19 父訪へど、27 なめくぢが も採りたかったです。

来月の投句は、6月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら

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