ハルヤスミ句会 第七十一回

2006年9月

《 句会報 》

01 八月が過ぎて昭和を忘れけり   阿昼(鋼)

02 宿題の朝顔二つ咲いたきり    つばな

03 存分に来の宮神社の法師蝉    あたみ

04 大いなる山で二手に鰯雲     春休(あ・山)

05 葛の花咲いてをるらし向かう岸  どんぐり(由)

06 思ひ切り西瓜にかぶりつく赤子  阿昼(山)

07 秋茄子の棘の先までつややかに  あたみ(阿)

08 法師蝉掴みて犬に食わせけり   つよし

09 梨食へば胃の腑ごろごろ障りけり 由宇(春)

10 さはやかな木屑噴出しチェーンソー 春休(由・ど)

11 天の川牧舎の屋根にかかりけり  どんぐり(山・春)

12 夢二忌や恋人ならず黒猫を    あたみ

13 銀漢の向きに寝袋並べけり    どんぐり(鋼・阿・春)

14 朝顔の種つぎつぎこぼれつぐ   つよし

15 ゑのころに声かけてゆくベビーカー 阿昼(あ)

16 そぼ降るや大蟷螂のぽつねんと  由宇(ど)

17 振り返る道しらじらと秋の雨   つばな(由)

18 敬老日バス貸切の演歌かな    あたみ

19 曼珠沙華もろとも築地崩れけり  春休(あ・鋼)

20 秋霖や濡るるままなり下校の子  つよし(ど)

21 秋ともし消えしは避難したる家ぞ 春休

22 きれいごと言ふてみるだけ秋灯下 つばな

23 虫の秋長湯の父に声かける    由宇

24 スーパーの袋いっぱい文化の日  あたみ(阿)



【 金子由宇 選 】
今回の選句は迷いに迷い、遅くなりました。
○05 葛の花  向こう岸のきれいな光景が見えます。
○10 さはやかな  爽やかな木の香りが漂ってきます。
○17 振り返る  秋の雨の中、ふと振り返りたくなることってあります。

【 梅原あたみ 選 】
9月選句です。
○04 大いなる山で二手に鰯雲
○15 ゑのころに声かけてゆくべビーカー
○19 曼珠沙華もろとも築地崩れけり

【 山田つばな 選 】
○04 大いなる山  おおらかで気持ちよい句。
○06 思ひ切り  すいかと赤ちゃんが目に浮かびます。
○11 天の川  降るような星、秋の夜の風を感じます。
他に気になった句
08 法師蝉  怖いくらいの臨場感!
15 ゑのころに  好きな句です。
以上。春休さん台風、大変だったようですね…。どうぞお大事に。

【 鋼つよし 選 】
○19 曼珠沙華もろとも築地崩れけり
○13 銀漢の向きに寝袋並べけり    
○01 八月が過ぎて昭和を忘れけり 
選句評 選句に迷いましたが、01の八月の句は類想を抜けたよい句と思う。13,19、景色がはっきりわかって良い。
そのほか選びたい句。07 秋茄子の、11 天の川

【 渋川どんぐり 選 】
〇10 さはやかな  さわやかなもの、あれこれ、考えてみる。しかし、「木屑」は、思い浮かばなんだ。降参、でございます。
〇16 そぼ降るや  あらためて・・・、大蟷螂って、すごい字面だったのね〜。そぼ降る、ぽつねん、と不思議にマッチ。
〇20 秋霖や  雨に濡れて帰るのは、わけもなく好きでした。が、秋霖・・。この子には、何かわけがありそう。どうしたのかなあ。
このほかに面白かった句
06 思ひ切り  大きいもの食べるんだから、口は思いっ切り、開けるんですね。基本!でした。
18 敬老日  これが、また、みんな、なかなかの美声なんです。
23 虫の秋  こちらも毎晩虫時雨。やはり、お風呂は一番よく聞こえる場所です。長湯、わかります。お父上に宜しく。

【 中村阿昼 選 】
○24 スーパーの  「袋がいっぱい」なのか「袋にいっぱい」なのかよくわからないですが、文化の日と、ごくごく日常的なスーパーの袋との取り合わせが面白い。買い物籠に詰まっているのは野菜だけど、スーパーの袋に詰まっているのは文化なのかも。
○07 秋茄子の  とれたてそのもの。うちもオシュートメさんからたくさんもらうんだけど、料理しきれなくて萎びさせてしまうことも。
○13 銀漢の  みんなが銀漢を見れるようにということでしょうか。みんなで見たってことが忘れがたい思い出になるんでしょうね。
他に好きだった句。
02 宿題の  朝顔の観察日記?その後書くことがなくて困っただろうな。
04 大いなる  雄大な景。「で」が説明っぽいのが残念。
09 梨食へば  「胃の腑ごろごろ」が面白い。「障る」まで言わなくていいかも。
11 天の川  なんとものどか。降るような星空。

【 小川春休 選 】
○09 梨食へば  大げさな言い方の句ですが、共感できます。「食へば」より「食うて」の方が理(○○したから〜〜になった、のような)が薄らぐような気もします。
○11 天の川  こういう大らかな句も良いですね。きれいな空、きれいな空気。それだけで良いんです。それだけで。
○13 銀漢の  言外にキャンプの楽しさが伝わってくる、素直な良い句ですね。
01 八月が  思いオンリーの句になっているので、そこがちょっと弱いですね。「八月が過ぎて」の部分を、もう少し具体的な景物にできれば、しっかりした句になりそうです。
07 秋茄子の  とてもおいしそうです。
08 法師蝉  うーん、何だか共感できない句です。作者の思いがうまく句に出ていないのかもしれませんが、今の形では「法師蝉が可哀想」としか…。
14 朝顔の  「種つぎつぎ」だとやはり中六なのでしょうか?
17 振り返る  そこはかとなくせつない句ですね。きっと誰かとお別れした後に違いない。
20 秋霖や  「や」「なり」で二段切れになっています。中七下五「下校の子らの濡るるまま」とすれば切れが一つに。
22 きれいごと  「だけ」がさみしいですね。ちなみに「言ふて」は正しくは「言うて」。
23 虫の秋  下五、「声かけて」と流した方が収まりが良いようです。
24 スーパーの  何だかとても気になる句なのですが、今ひとつ「スーパーの袋いっぱい」がどういうことなのか、読み切れません。スーパーの袋がたくさんあるのか、スーパーの袋の中身がいっぱいなのか。後者なら、「スーパーの袋ふくらむ文化の日」とした方が読みやすいかも。


来月の投句は、10月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら

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