ハルヤスミ句会 第七十四回

2006年12月

《 句会報 》

01 蜜柑山どおんとフェリー着きにけり 春休(由・阿)

02 触れてみよとて店先に鮫干され   どんぐり(鋼・ま)

03 月曜のポイント二倍冬晴るる    つよし

04 置物となっておはすや日向ぼこ   まどひ(ど)

05 鯛焼を頬張れば来る鳩親子     春休

06 初雪のなか来る人を出むかえに   どんぐり(山)

07 饒舌も蟹食ふまにまに無口なり   由宇(ま)

08 冬の灯を薄暗くして二人きり    つばな

09 おつぱいを飲むや時雨を眺めつつ  阿昼

10 白湯吹いて冷たき顔のゆるびけり  まどひ(鋼・春)

11 マフラーに声をこもらせ中学生   春休

12 放課後の落葉掃きなりもの憂げな  つよし(山)

13 数え日の水琴窟に屈みけり     まどひ(由・ど)

14 ちやんちやんこ着せて爺さま似のうなじ 阿昼(ど・春)

15 お歳暮の礼状もはや御定まり    由宇

16 親二人子一人柚子湯ぎうぎうに   春休(あ・阿)

17 かあちやんと柚子とお風呂に入りけり 阿昼

18 胃カメラのするりと入る師走かな  つばな

19 さえざえと拍子木の音布団引く   由宇(あ)

20 頬二つ打ちて寒さに負くまじき   春休(由・あ・山・ま)

21 死に体の冬の金魚の泳ぎだす    つよし

22 糸となり玉となりけり年の塵    どんぐり(鋼・阿・春)

23 記すとは何であらうか日記果つ   つばな(鋼)

24 クリスマス仮装に時間のおしみなく あたみ

25 待ち合わせブーツでさっそう七十歳 あたみ

26 大掃除口元への字となりにけり   あたみ




【 鋼つよし 選 】
02 触れてみよとて店先に鮫干され   
10 白湯吹いて冷たき顔のゆるびけり    
22 糸となり玉となりけり年の塵 
23 記すとは何であらうか日記果つ
選句評
 四句選んだが、甲乙決めかねた。それぞれ景色が浮かび、日記の句もよく言えている。下記の三句も捨てがたい。
26 大掃除口元への字となりにけり
04 置物となっておはすや日向ぼこ 
08 冬の灯を薄暗くして二人きり 

【 金子由宇 選 】
○01 蜜柑山  明るくおおらかな句です。
○13 数え日の  数え日と水琴窟が不思議にマッチしています。暫し時を止めて耳を澄まし、静謐。
○20 頬二つ  気合を入れてさあ頑張ろう! お相撲さんの取り組み前にもこんな動作を見ます。
その他
16 親二人  ほほえましい光景。
22 糸となり  乾燥の冬の塵はやはりこうなるのです。

【 梅原あたみ 選 】
○16 親二人子一人柚子湯ぎゅうぎゅうに
○19 さえざえと拍子木の音布団引く
○20 頬二つ打ちて寒さに負くまじき
 今年も残りわずかと成りました、お体に気を付けて良いお年をお迎え下さいませ。御世話になりました。

【 山田つばな 選 】
○06 初雪の  わざわざ(なか)といったところに待つ楽しさを感じました。
○12 放課後の  中学生でしょうか、本当にそんな感じですよね。目に浮かびます。
○20 頬二つ  はい、寒いけど頑張ります。
他に好きな句、
01 蜜柑山  どおんがいいです。
03 月曜の  冬晴れの感じがします。
14 ちやんちやんこ  あったかい気持ちが伝わってきます。
22 糸となり  しみじみします。
26 大掃除  勢いよい空気を感じました。
以上。どうぞ良いお年をお迎えください。

【 渋川どんぐり 選 】
○04 置物と  「婆ちゃん、息してる?」と、声かけたくなるような、見事な置物っぷり。おだやかで、うららかで、いいですねー。
○13 数え日の  慌ただしい年末ですが、妙なる音に耳を傾けましょう。カ行の音の連なりが、水琴窟の響きのようです。
○14 ちやんちやんこ  よかった、よかった。爺さまに似たところがあって。それも、うなじとは、素敵じゃありませんか。
この他に、面白かった句です。
08 冬の灯を  消すのか、点けるのか、はっきりしなはれ。寒いのに風邪ひくで。などといらぬ世話ですな。なんとも気になる句です。
09 おつぱいを  小さいのに、哲学者の目ですな。これは。
25 待ち合わせ  ブーツなど履いたのは、いつのことでしょう。よく、こけました。また、挑戦すっかなー。

【 舟まどひ 選 】
○02 触れてみよ  「触れてみよとて」が鮫の存在感をリアルに表現しています。店先もいい。
○07 饒舌も  どんな御喋りも蟹を与えればね。あれは喋りながらは無理。集中、熱中しますよね。
○20 頬二つ  よくやることではありますが、言い方のリズムがよく「負くまじき」と止めたところもよかったです。

【 中村阿昼 選 】
○01 蜜柑山  瀬戸内の蜜柑の島かな。のんびりした感じの「どおん」がいい。
○16 親二人  楽しい柚子湯ですね。親子一緒が一番。
○22 糸となり  何年分の年の塵? うちは去年私が臨月で大掃除しなかったので、2年分でした。
他に好きだった句。今回はたくさんありました。
02 触れてみよ
10 白湯吹いて
11 マフラーに
18 胃カメラの
20 頬二つ打ちて
25 待ち合わせ

【 小川春休 選 】
○10 白湯吹いて  「冷たき」の使い方の巧みさ。見習いたいものです。
○14 ちやんちやんこ  じいちゃん良かったね、じいちゃんに似てるとこがあって。みんなに大切にされている赤ちゃんの姿も見えてきますね。
○22 糸となり  まるで、小学生の理科の観察日記のような、素朴で本質的な把握。身近なところにも、いくらでも句にするべき景があるのです。
02 触れてみよ  面白いのですが、「とて」でちょっと傍観者っぽい感じになっています。句の中では、思い切ってその店の店主になったって良いのです。たとえば「触れてみよこの店先の干し鮫を」などなど。
03 月曜の  快晴の冬の日のお買い物。措辞の意外性もあり、面白い句なのですが、何だか少し「浅い」句のような気も…。もっと広がりのある季語を持ってくれば、あるいは…?
04 置物と  落ち着いたユーモアのある句ですが、他に良い句が多かったので3句選には入らず。
06 初雪の  穏やかな句で好感を持ちました。細かいテクニックですが「人」を「ひと」とひらがな表記にすると、句の表情がちょっと変わりますよ。お試しあれ。
09 おつぱいを  赤ちゃんの表情って不思議ですよね。何も無いところをじーっと見てたり、大人みたいな表情をしたり。そんなことを思い出しました。
12 放課後の  良い雰囲気なのですが、「もの憂げな」は言い過ぎという気がします。
18 胃カメラの  面白い句ですが、「師走かな」がベストかというと少し疑問。
19 さえざえと  生活感が出ていて良い句。
23 記すとは  こういう句もあって良いと思いますが、句としてはちょっと消化不良気味という気がします。
25 待ち合わせ  「待ち合わせ」から始まると、句に動きが出ません。「ブーツであらはるる」とか「ブーツできたりけり」とか「ブーツを鳴らし来る」とか、動き・音が感じられるように!
26 大掃除  「口元への字」は面白いのですが、「となりにけり」というあまり具体的な意味のない言い方で良いかどうか、推敲してみてください。たとえば「口元をへの字にむすび大掃除」とするなど。あと、不用意に中八になっている感じがします。よくよく考えた上で、他に言い様のないときにだけ、字余りにするようにした方が良いでしょう。

来月の投句は、1月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら

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