ハルヤスミ句会 第七十六回
2007年2月
《 句会報 》
01 初東風や七味屋の旗めいつぱい まどひ 02 コルク栓抜けばきゆぽんと萌えはじむ 春休(あ・ど・ま) 03 雪原に日の差しくるやきらきらす どんぐり 04 うららとも寒とも歩き神の鶏 まどひ 05 羽ばたきぬ紅い椿の木の中を つばな(ど) 06 洗はれし椀濡れてゐる春の闇 春休(由) 07 春の波引くや次なる波のなか どんぐり(ま・山・春) 08 春うれひなどまだ無くて電車好き 春休(由・ど・ま) 09 春雲の広がる夜半の星五つ どんぐり 10 眠られぬ夜をあきらめ朝霞 由宇(山) 11 早春のイエスタデイのオルゴール つばな 12 春ともし肉噛みながら眠りをり 春休 13 大鍋に踊る若布のまつさをに あたみ(由) 14 かるがると別れを口にしやぼん玉 由宇(山) 15 吾が息の運ばれてゆくしやばん玉 まどひ(あ・春) 16 もてなしの若布祭りの若布汁 あたみ 17 仏の座猫のごろんと横になり つばな(あ) 18 道の辺のやはりこの場所ふきのたう 由宇(春) 19 湯の町や花の兄をば献上す あたみ |
【 金子由宇 選 】 ○06 洗はれし まったりとした春の厨房。そしてこの闇は薄闇、どこか艶めいた雰囲気も漂います。 ○08 春うれひ 今は無邪気で屈託がなくて可愛いさかりですね。未来が平和でありますように! ○13 大鍋に 沸いたお湯の中で見る見る若布が青々として、臨場感あふれています。 その他 05 羽ばたきぬ ばたばたと音がする、振り向けば小鳥が椿の中に、赤い椿もくっきりと絵のように。 03 雪原に 白銀の輝き、今年は見ることが出来ませんでした。 【 梅原あたみ 選 】 とり急ぎ選句だけさせて下さい。 ○02 コルク栓抜けばきゆぽんと萌えはじむ ○15 吾が息の運ばれてゆくしゃぼん玉 ○17 仏の座猫のごろんと横になり 【 渋川どんぐり 選 】 皆様の俳句を読んで思いました。 やっぱり、春は、いいなあ。 〇02 コルク栓 「きゅぽん」が、なんとも、いいですねー。「よーい、どん。」って、とこですかねえ。 〇05 羽ばたきぬ 冬の野山や森は静かだが、早春、少しずつ物音が聞こえ始める。花なら椿、鳥は、なんだろう。 〇08 春うれひ いいえ、パパ、ママ。僕にもあるのだ、春うれひ。でも、今は、電車、電車。 他にも、取りたかった句がたくさんありました。 01 初東風 七味屋の旗。うーむ、どんな旗かなあ。 11 早春の イエスタディ♪ 恋しい昨日♪ でも、春は、めぐって来るからねー。 13 大鍋に 春先、若い、新鮮・・・。鍋で、鮮やかな色になるワカメの条件なり。 14 かるがると 「さようなら。」「また、明日。」なら、いいんだけど。 【 舟まどひ 選 】 東京は雨が降れば真冬の寒さ、日が差せばぽかぽか陽気で変な感じです。 2月選句いたします。よろしくお願いします。 ○02 コルク栓 リズムがいいし、春がやって来る弾みを感じます。こんな所、こんな瞬間からも春がくるのだなー。 ○07 春の波 波の繰り返しを表現した句はよくありますが、視点が新しいように思います。春の波じゃなくても、と言われそうですが、「波のなか」というのがゆったり包まれる感じで、やはり春ならではの句と思います。 ○08 春うれひ 「電車好き」できまりました。無心に遊んでる様子。気に入らない時は大泣きして、ホントうれひなど先の先。 【 山田つばな 選 】 ○07 春の波 いいなぁ〜まさに春の波! ○10 眠られぬ あきらめに心の深さを感じます。 ○14 かるがると 信じられないという思いが、しみじみ伝わってきます。 他に好きな句。 12 春ともし 子供が小さい時を思い出しました。あたたかな気持ちになりました。 13 大鍋に 若布が美しくおいしそうです。。 【 小川春休 選 】 ○07 春の波 確かに自分も見ているはずなのに、こういう把握をしたことはなかったです。当たり前の景色を、自分なりの表現で成り立たせている。これはとても大変なことです。 ○15 吾が息の こちらも、当たり前の事象を、自分なりの把握・表現で句にしようという気概を感じる句。 ○18 道の辺の 最初「やはりこの場所」がどういうことかピンと来なかったのですが、後から分かりました。毎年同じところに同じように生えてくるフキノトウが、今年も生えてきてくれた、ということですね。「道の辺の」のさりげない生活感も良い。 01 初東風や 勢いの良さは感じるのですが、「めいつぱい」がちょっとはっきりしません。「たくさんある」ということか、風をいっぱい受けているということなのか。説明っぽくなってもつまらないので、匙加減が難しいですが、もうちょっと分かりやすく詠んでほしいところです。 03 雪原に 御本人もお気づきだと思いますが「きらきらす」の句はけっこうたくさんあります。句の中でその言葉を活かすには、「きらきら」しているのが、日頃あんまりきらきらしないものだったり、あまり綺麗なイメージのないもの、さらに言えば、一般的にはどうでも良いようなものやどちらかと言えば汚いものがだったりすると、「きらきら」に意外性が出てきます。そうなったときに初めて、「きらきら」という言葉が輝き始めるのです。 04 うららとも 「うららとも寒とも」という季節感の把握、良いと思います。「神の鶏」も決まってます。だからこそ気になるのが「歩き」。あまり必然性を感じられない、余計な動きのような気がします。歩かなくても「神の鶏」の存在感と、季節感さえあれば一句は成ると思う。 05 羽ばたきぬ 主語を省略しても、「羽ばたき」から鳥の姿が読み取れる。身につけるべき技術だと思います。しかし「木の中」が少し曖昧。何本ぐらい木が生えているのか、どのような景色か、分かりにくい。「木の中」を「木の間(あい)」にすれば、二本の木の間を、というように景色がより具体的になるのではないでしょうか? 13 大鍋に 私もたまについつい使ってしまうのですが、比喩的な「踊る」はなるべく使わない方が良いです。句が陳腐になってしまう場合が多い。もっと具体的で、よく見える表現を探してみてください。 16 もてなしの 素直な句で好感を持ったのですが、「もてなしの」という句もたくさんあります。上五を替えて、自分なりの句にしてみてください。たとえば、「もう一杯」「おかはりす」とか。 |
来月の投句は、3月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら |
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