ハルヤスミ句会 第七十八回

2007年4月

《 句会報 》

01 黄水仙ならびし道を曲がりけり   つばな

02 近づき来仔馬は顔をそむけつつ   まどひ(ど・山)

03 ひとかけら畳の上の春の泥     つばな(あ・春)

04 春川へ渡御のお走り若衆組     由宇

05 桜狩り社内メールが幹事より    あたみ

06 春凪の輿の旅所(たびしょ)は魚市場 どんぐり

07 耕せし土落ち着かせにはか雨    春休(ま)

08 満開も過ぎて五日の花の冷え    まどひ(あ)

09 ぼんぼりや幹事気使ふ新社員    あたみ

10 ファルセットのしみ入る夜の桜かな 由宇(ど)

11 笛一人太鼓一人や春祭       どんぐり(あ・ま・山)

12 花冷えやとろりと濃ゆき茶を淹れて 春休(由・山)

13 ほろ酔いでただのおじさん桜狩   あたみ(ど)

14 店先に菜の花が生え種苗店     春休

15 鳥声のおぼつかなきが辛夷より   まどひ(由・春)

16 草萌えを叩くが如し今朝の雨    由宇

17 スコップを貸してくれろと防風摘み どんぐり

18 初蝶の羽をぴたりと閉ぢてをり   つばな(由・ま・春)

19 太幹のそこここからや葉の桜    春休




【 金子由宇 選 】
○12 花冷えや  花の下で野点、花冷えには濃茶が合います。
○15 鳥声の  この鳴き声は 鶯のような違うような・・・。
○18 初蝶の  春まだ浅い。暖かい陽射しを待っている蝶。

【 梅原あたみ 選 】
○03 ひとかけら  春の泥を見て、早速一句ですネ*何処から来た泥か?どんな色か?どの様な情景からきた泥か?いろいろと思いをめぐらし楽しい句でした。
○08 満開も過ぎ  花冷えとは、良く言ったものです。ことに今年は何時までも寒さが続きますので実感が湧きます。
○11 笛一人太鼓一人  おやおや本当にこのような祭りが有るのでしょうか?賑やかな祭り事ばかりを当たり前の様に思い込んでいましたがこの様な土地がらの良さも詠う事に意味がありますネ。

【 渋川どんぐり 選 】
年度始め、忙しいですね。皆様の句で、しばし、ホッといたしました。
〇02 近づき来  いますねー。こういう子。可愛いけどねー。はよう、こんかい。なんていうと、逃げそうだし。
〇10 ファルセット  私の句友には、歌好きが多い。何を見ても歌い出す人たちだが、夜桜となれば、やはり、ファルセットで。
〇13 ほろ酔いで  桜狩、好きな季語です。花見とは、またひとつ違って。木に登るのもいいかな??枝を折るのは我慢しましょう!!この他にとりたかった句です。
03 ひとかけら  どこから来たのか、春の泥。田んぼか、公園か、野原か、いろいろ、想像しました。
04 春川へ  あとついて行きたいなあ。まあ、無理だけど・・・。
15 鳥声の  おぼつかない鳴き声、辛夷の花。いかにも、早春。

【 舟まどひ 選 】
○07 耕せし  土の質感がよく見えてきます。ただ声に出して読んだ時「耕せし」がどうかな・・と
○11 笛一人  淋しいのではなく、ゆったりとして長閑な感じがするのは春祭の働きでしようね。
○18 初蝶の  だれでも見ているけれどこんな句あったかしら。シンプルで静謐でそしてとても単純で・・・

【 山田つばな 選 】
○02 近づき来  すがすがしい牧場の母馬と子馬が見えます。
○11 笛一人  山の村でしょうか、人のぬくもりを感じます。
○12 花冷えや  桜の頃、本当に寒かったです。濃いお茶がおいしそうです。
他に好きな句、
07 耕せし土落ち着かせにはか雨
14 店先に菜の花が生え種苗店
19 太幹のそこここからや葉の桜
ちょっとわからなかった句、
04 春川へ渡御のお走り若衆組
06 春凪の輿の旅所(たびしょ)は魚市場
以上です。

【 小川春休 選 】
○03 ひとかけら  余計なことを何も言わない。あくまでも簡潔に事実を叙述することによって、読み手の想像を広げさせる。名詞(ひとかけら)を上手く使い、動詞を使わないことで、句の構成がより確かなものとなっている。
○15 鳥声の  端正な句。これも動詞(「聞こえる」など)を使わずにまとめ、句に奥行きが出ている。鳥の声のする方を見上げると、辛夷が見事に咲いていた、という情景がすんなり入ってくる。
○18 初蝶の  単純な句だが、ひたむきさが感じられる。まだ初々しい蝶を「もう飛ぶか、いつ飛ぶか」と息をひそめて見守っている詠み手の心情が、ひたむきさとして句に表れている。
 01 黄水仙  「曲がりけり」が今ひとつピンとこない。それよりも、角を曲がったら黄水仙の並ぶ道だった、という方が印象が鮮明な気もするし。よく練ったら、良い句になりそうな気もします。
 02 近づき来  詠もうとしている情景は理解できるのですが、何だかすんなり入ってきません(倒置法っぽくなっているのが原因か?)。語順・言い方、もっと推敲すれば良い句になりそう。
 08 満開も  「満開」と「花の冷え」ではちょっと単調です。「も」も少しくどいような気がします。下五で読み手を良い意味で裏切ってほしい。
 09 ぼんぼりや  人事句としてちょっと面白いし、「ぼんぼり」もなかなか気が利いているのですが、気になった点が一つ。私の知る限りでは、幹事や場所取りといった役目は新入社員がやらされることが多いような…。そうなると中七下五がよく分からなくなってしまう…?
 10 ファルセット  ストレートに表現されていて好感を持った句なのですが、「ファルセットの」の「の」を取って、ちゃんと五七五にした方が良いです。
 11 笛一人  規模の小さい春祭りということがうかがわれて、地味ながら良い句だと思います。
 16 草萌えを  もったいない! 「が如し」はない方が良いです(「ごとし俳句」は平凡な句になりやすい)。雨が草萌えを叩いているのだ、と言い切ってしまって良いのです。詠み手がそう感じたのであれば。

来月の投句は、5月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら

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