ハルヤスミ句会 第八十三回

2007年9月

《 句会報 》

01 板塀に道ゆずりあふ秋日傘     まどひ(山・春)

02 秋桜用水路へとせり出して     つばな(あ)

03 露天湯へ露に湿りし砂利の道    春休

04 二学期の窓に横顔見つけたり    まどひ(あ・と・春)

05 顔に墨ついてをるなり鰯雲     つばな(春)

06 台風におれはへーきといふメール  つばな

07 竹伐るや太鼓の音が林より     春休(と・ま)

08 料亭がマンションとなり燕去ぬ   まどひ(と)

09 大蛇八匹神楽舞台をはみ出せり   春休(あ・ま・山)

10 素戔嗚尊(すさのを)があはや喰はるる里神楽 春休(ま・山)

11 初秋の夜突然に蜩         とど



【 梅原あたみ 選 】
○02 秋桜  秋桜は所かまわずせりだし、少しでも土が有る所ならりっぱに成長しこの度の台風九号の強い風邪にもたえて、美しい花を咲かせています。私の人生もそうで有りたいものです。
○04 二学期の  横顔がお孫さんかしら*学校の傍を通りすがりに偶然にも見つけた喜びを詠われた様で、いとおしさを感じました。
○09 大蛇八匹  祭りの雄大さを物語る景でしょう、私も見てみたいです。

【 とど 選 】
○04 二学期の  新学期には気になる人の姿を探してしまうものですね。
○07 竹伐るや  竹を伐る音が太鼓のようにリズミカルに聴こえたのでしょうか 楽しい響きですね。
○08 料亭が  慣れ親しんだ町並みが変わり行くのは寂しいものですが、さらに燕も来なくなってさらに寂しいですね。

【 舟まどひ 選 】
○07 竹伐るや  少し理屈がみえてしまうかもしれませんが気持ちのいい句です。
○09 大蛇八匹  うねうねと大蛇がのたうってる感じがよくでています。神楽舞台は季語になるのでしょうか。
○10 素戔嗚尊(すさのを)が  すさのおと具体的にいったのが臨場感があります。あはや喰はるるもうまい。

【 山田つばな 選 】
○01 板塀に  人情味のある風景が見えます。また今年の暑さは格別でした。秋日傘を選ばれたセンスに敬服します。
○09 大蛇八匹、○10 素戔嗚尊(すさのを)が  共に里神楽への喜びと、心の張りを感じます。

【 小川春休 選 】
○01 板塀に  これは公共広告機構がCMしたことで最近有名になった「江戸しぐさ」ですね。「日傘(夏)」でなく「秋日傘」なのも、暑苦しくなくて好感を持ちました。
○04 二学期の  またクラスの皆と遊べて嬉しいのでしょう。夏休み前より、日焼けもしてるのでしょうね。
○05 顔に墨  私は子どもの頃、よく顔ではなく服に墨を付けてしまい、落ち込んだものですが…。顔だったら洗えば取れるし、微笑ましいですね。
02 秋桜  景としては分かるのですが、「せり出して」という表現だけだと弱いかなぁ、という気がしました。用水路の水にコスモスが映ったとか、花粉を落としたとか、もっと具体的なディテールが欲しいところです。
08 料亭が  心情はよく伝わるのですが、ちょっと散文的な気がします。さらに言えば、「なくなるもの・去ってゆくもの」という観点で見ると料亭と燕が共通しているので、季語が付き過ぎかもしれません。こういうとき、似た意味の季語より、対照的な意味の季語(この場合だと、明るい・喜ばしいもの)と合わせた方が、作り手の料亭を惜しむ心情が強調されることもあります。推敲してみてください。
11 初秋の  下五の字足らずが、何だか少し自由律俳句っぽい感じですが、語順・言い方を工夫して、きちっと五七五に仕立てた方が良い句になりそうです。

来月の投句は、10月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら

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