ハルヤスミ句会 第八十七回

2008年1月

《 句会報 》

01 数へ日の猪口に箒の描かれあり  どんぐり

02 スーパーで訊く黒豆のありかなど 阿昼(ま・春)

03 大根の千切り山盛りゴマサラダ  あたみ

04 白菜を小脇に二等兵なりと    つばな(阿)

05 年の夜やバンザイで寝る小さき手 阿昼(鋼)

06 正月の池にさざ波立ちにけり   つばな

07 初夢を見てをるらしき寝言かな  春休(ど・山)

08 初春やうさぎのやうに跳ねる犬  つばな(ど)

09 干し物に淡き日差しや寒に入る  つよし

10 初冨士や回り道して正面に    あたみ(ど)

11 初凪や浜の煙の烽火めく     どんぐり

12 人の日のアナウンサーの片笑窪  阿昼(あ)

13 成人の日までに彼氏つくるてふ  まどひ

14 ひらひらととんどの灰よ川を越え 春休(あ・ま)

15 雪舟の軸は刷り物日脚のぶ    つよし(ま)

16 薬屋の若に言わるる風邪引くな  どんぐり

17 てのひらも顔もとんどの灰まみれ 春休(鋼・山)

18 一木へかたまり逃げて寒雀    つよし(山・春)

19 寺の鐘連打やとんど帰りの子   春休(あ)

20 母子手帳成人式に携えて     まどひ(鋼)

21 初釣りの鯛のタイてふ骨にあふ  あたみ(阿)

22 振袖はいらぬ成人の日の海    まどひ(阿・春)



【 鋼つよし 選 】
○05 年の夜や  年の夜 の季語がなかなか良い。
○17 てのひらも  子供とは限らず、世話をしている大人とも思わせる。
○20 母子手帳  成人式に母子手帳は意外性がある。

【 渋川どんぐり 選 】
○07 初夢を  どうぞ、吉夢でありますように!!
○08 初春や  実は、犬は苦手ですが、とってしまいました。うさぎのように跳ねるとは、とくかく、おめでたい感じがしまして。 
○10 初富士や  江戸っ子のお正月でしょうか。日頃は、回り道なんてしそうにない人も、回り道。そして、初富士、いいですねー。 
 05 年の夜や  年越が単純に嬉しかったのは、いつ頃までだったでしょう。これは、それより、もっと小さい人のバンザイかな。良いお年をと願います。
 14 ひらひらと  とんどの灰は、意外に高く高く上がって、遠くへ飛びますよねねー。思わず、空を見上げたくなる句。
 18 一木へ  我が家のまわりの雀のみなさんも今、まさに、こんな様子です。高い声とともに、すごく、スピーデイに移動されます。

【 梅原あたみ 選 】
○12 人の日の  可愛い笑窪が新年にふさわしいと思います。
○14 ひらひらと  早朝から冷たい風が頬を刺す中、とんどの様子が心地良く伺えました。
○19 寺の鐘  近頃は親子会の行事も様子が変わりつつあるのに、懐かしさがよみがえる。出来る事なら何時までも続けてあげたいですネ

【 中村阿昼 選 】
○04 白菜を  兼業農家の二等兵? 白菜を小脇に敬礼していたのなら可笑しい。
○22 振袖は  破調がどうかなと思ったけど、「海」がいいなあ。どどーんって感じで。それともきらきら光る凪の海かなあ。どちらにしても「振袖はいらぬ」という女の子の強がりではない強さが「海」に象徴されているようです。
○21 初釣りの  なんとなくめでたい。
他に好きだった句。
 03 大根の  そのまんまだけど、ヘルシーで美味しそう。
 13 成人の日までに  せっかくの振袖ですもんね。
 16 薬屋の若に  遊び人の若旦那って感じ。
 20 母子手帳  すでに大人の顔ですね。

【 山田つばな 選 】
○07 初夢を  可愛い。いい夢でありますように。
○17 てのひらも  賑やかな様子、一生懸命な感じが伝わります。
○18 一木へ  雀が見えます。
他に好きな句、
 01 数へ日の猪口に箒の描かれあり
 02 スーパーで訊く黒豆のありかなど
 05 年の夜やバンザイで寝る小さき手
 13 成人の日までに彼氏つくるてふ
 14 ひらひらととんどの灰よ川を越え
です。急に寒くなりました。

【 舟まどひ 選 】
○02 スーパーで  言い方が凄く面白い。年用意の忙しさ、庶民の生活感がよくでました。
○14 ひらひらと  灰に焦点を当てたことで、そのもととなっている大きな火が見えてきます。その熱い身を冷やそうと川へ向かっていくような。
○15 雪舟の  長い軸とのぶがひびき、刷り物でひっくり返った面白さがでています。

【 小川春休 選 】
○02 スーパーで  普段の生活の様子を、さりげなく言い流した感じが良いですね。
○18 一木へ  景ももちろん良いのですが、「いちぼく」という硬い響きが内容とよく合ってます。
○22 振袖は  成人のエネルギーがうまく句に表れています。破調もエネルギッシュな感じを演出するのに一役買っているような感じがします。
 01 数へ日の  「猪口に箒」をどのような景とみるか…、ちょっと手がかりが少ないように思いました。上五の季語をもっと工夫することで、作り手の詠みたい景に近づけることができるかもしれません。推敲を!
 04 白菜を  「二等兵なりと」という言い方より、敬礼したとか(阿昼さんの選評から引用)具体的な動作が見えた方が句が生き生きとするのではないでしょうか。
 05 年の夜や  かわいいですねー。一年間がんばって育てた親としては、「かわいい」だけでは語りつくせない感慨がありますよねぇ。
 06 正月の  良い雰囲気ですが、「正月の」ではちょっと漠然として弱いかと。他の正月の季語で、もっと合うものがあるのでは?
 08 初春や  何だか良く分からないけど、初春らしい、めでたい感じのする面白い句。
 11 初凪や  煙で烽火めくは意外性がなさ過ぎる気がします。季語も理が見える気がしますし(風がないから煙が烽火っぽく見える)。
 12 人の日の  面白くなりそうなんですが、季語が弱いかなぁ…。個人的にですが、新年の季語はけっこう難しいですね。
 16 薬屋の  いかにも「若」らしい人なんでしょうね。何だか時代劇っぽくもある。
 20 母子手帳  二つの読みが成り立ちます。(1)成人式に行く人が、自分が生まれたときの母子手帳を持っている(母から手渡されるなどで)。(2)成人式に行く人(妊婦?)が、これから生まれる子の母子手帳を持っている。最初読んだとき(1)かと思いましたが、(2)も話としては悪くない。作り手としてはどちらだったのでしょうか?

来月の投句は、2月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら

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