ハルヤスミ句会 第九十二回

2008年6月

《 句会報 》

01 永き日の藻塩は水にもどりたがる どんぐり

02 ひしめいてこぼるるばかり巣の燕 つよし(ど・ま・春)

03 ほんのすこしためらひ蠅を打ちにけり つばな(鋼・あ)

04 始めてのグランドゴルフ七変化  あたみ

05 熊蜂と鬼が心底怖いとか     春休

06 夕焼や自転車の子の細き足    阿昼(ま・春)

07 梅雨川の朝つぱらから騒々し   春休(鋼・ど)

08 頬杖も疲れるものや桜桃忌    まどひ(◎阿・鋼・山・春)

09 一心に蟻に小便かけんとす    春休

10 野営場見取り図に百合咲くところ どんぐり

11 夏芝居死んだ後にも息吸うて   まどひ(山)

12 芝刈られ庭石菖のあらはかな   阿昼

13 かたばみの種が飛び出す日曜日  つばな(あ・阿)

14 水無月の誕生祝い能天鼓     あたみ(ど)

15 雷雨またたまにはよかり茄子の花 つよし

16 布団干す梅雨の晴れ間のうれしかり あたみ

17 緑中に盛りのさまを山法師    つよし

18 晩飯をつくる気のせぬ水馬    阿昼

19 厳重な小包解けばあっぱっぱ   どんぐり(あ)

20 晶子忌のほとほと多き髪洗ふ   まどひ(◎阿・山)

21 鳴き止みし蛙は恋の実りしか   春休

22 飛行機のランプ近づく梅雨の月  つばな

23 形見とて梅雨冷えの皿あるばかり 春休(ま)




【 鋼つよし 選 】
○03 ほんのすこし  蠅を打つにためらうというのは日ごろ俳句に親しんでいるからかも。
○07 梅雨川の  いつもと違った川音に気がついた。
○08 頬杖も  桜桃忌らしい感じが出ている。

【 渋川どんぐり 選 】
○02 ひしめいて  ほんとうにこぼれたら大変大変。でも、小さな燕たちのの生命力を感じました。
○07 梅雨川の  濁流を、きっと、何か、すごいものが流れてきたのかと想像しました。一体、何だったのでしょう?!
○14 水無月の  旧暦六月、夏たけなわ。そこで、能のプレゼントとは。贈り主にお会いしたくなりました。
他に、とりたかった句です。
 04 始めての  グランドゴルフデビューは、紫陽花の頃。いいなあ。きっと、素敵な日々の始まりかと。
 08 頬杖も  教科書でも見た作家の肖像ですね・・・。波瀾万丈の生涯を頬杖の一語で。
 22 飛行機の  月も飛行機もオールシーズン、空にあるのだけど、梅雨時となると、なんとも良き出会いのようで。
*ところで・・・、
どんぐり、また、間違いました〜!!
「01 永き日の」の永き日は、春の季語でした。藻塩が水にもどりたがるのは、夏。
季語を再考してみます。6月なのに、春の句を出すとは・・・って、皆さん、思われたかもなあ。もっと、勉強せねば!と、また、反省。

【 梅原あたみ 選 】
○03 ほんのすこし  本当は、うっとうしくてたまらないのが、何故かためらいがちと言う言葉が可笑しい**
○13 かたばみの  散歩の道すがら見つめている日曜、ここで一句出来上がり**
○19 厳重な  何かな!期待に胸弾み包みの紐を解く>後はあつぱつぱなり不思議な俳句、可笑しい、笑えますネ

【 中村阿昼 選 】
◎20 晶子忌の  晶子といえば、黒髪。その情熱的なイメージの裏には「乾きにくいしまとまらないし」との現実的な嘆きが。。
◎08 頬杖も  これも忌日を詠んで諧謔味のある句。うちの子は最近、「おかあちゃんの真似」と言って頬杖をつくんですが。。
○13 かたばみの  「飛び出す日曜日」と続けて読むと、「おでかけだー」とはしゃぐ子供みたいで可愛い。
他に好きな句。
11 夏芝居  息を吸うとき、夏の夕暮れの空気や草の匂いも。
10 野営場  翌朝早起きして、百合を見にいくのもいいなー。
09 一心に  こんなことに夢中になれるのも子供ならでは。

【 山田つばな 選 】
○08 頬杖も  忌日俳句を作ったことが、ないので、こういう句をみるとすごいなあ‥、と思います。
○11 夏芝居  当たり前のことですが、こう言われると、どきっとしますね。
○20 晶子忌の  8番と一緒です。
他に好きな句、
 01 永き日の藻塩は水にもどりたがる
 02 ひしめいてこぼるるばかり巣の燕
 23 形見とて梅雨冷えの皿あるばかり  です。

【 舟まどひ 選 】
○02 ひしめいて  「こぼるるばかり」がとてもいいので、ひしめいてまで言ってしまうと効果が分散してしまうような気がします。ここを一工夫してさりげない言葉にするととてもよい句になるように思います。
○06 夕焼や  夕焼けがいいです。なんでもないような事柄が季語によって懐かしい風景になりました。
○23 形見とて  「梅雨冷の皿」とは存在感がありますね。しみじみとした思いを物に語らせた上手な句です。

【 小川春休 選 】
○02 ひしめいて  元気が良くていいですねー。巣立ちも近い頃の子燕たちでしょうか。
○06 夕焼や  「子ども俳句」には点を厳しくつける私でも、これは採ります。余計なことを言わず、「夕焼」に託した潔さが良いです。
○08 頬杖も  頬杖という些細な動作でさえも、全く疲れない訳にはいかない。桜桃忌に、そしてこの雨の多い鬱陶しい時期にどんぴしゃではまってます。
 01 永き日の  「藻塩が水にもどりたがる」という事実だけでびっくりだったのですが、残念ながら「永き日」が合ってないですね…(春季だということは差し引いても)。せっかく素材が良いので、イメージが広がるような良い季語を探してください。
 03 ほんのすこし  蠅はちょっとためらいますね。うるさいだけで、それほど害をなす虫ではないので…。蚊のときは全くためらいません。
 04 始めての  「七変化」がちょっと分かりにくいです。ゴルフ場が七変化したのでしょうか。それとも初めてグランドゴルフにチャレンジされた方が七変化(一喜一憂)されたのでしょうか。
 10 野営場  見取り図の中に百合の咲く所が描いてあったのでしょうか。厳密に言えば、絵の中の花などは、季語として認めない、という人もいるらしいです。個人的にはそこまで厳しく峻別するのもどうかと思いますが、やはり、本物の百合と比べると、見取り図の百合は弱いなぁ、という気がします。
 11 夏芝居  中々良く見ているようですが、残念ながらこういう句、結構よくあるんです(かくいう私も、神楽の句でこんな句を作ったことがあったような…)。
 12 芝刈られ  「庭石菖」ってかなり小さな花でしたよね。芝と一緒に刈られなくって良かった良かった、ですね。
 14 水無月の  「水無月」といい「天鼓」といい、中々雰囲気のある句です。
 15 雷雨また  これまた男らしい、気持ちの良い句です。
 18 晩飯を  気持ちはよく分かります…。アメンボでも見ていたいような…。今夜はそうめんか、それとも店屋物でも取るか。
 19 厳重な  面白いのですが、面白みの種類が、川柳っぽいというか、機知の面白みなんですよね。もっとじんわりと馬鹿馬鹿しい面白みの句を熱望します。
 20 晶子忌の  これも忌日の句として出来てはいますが、08 桜桃忌に比べると、ちょっと印象が弱いような気がします。
 22 飛行機の  一読シンプルな句だなと思いましたが、じっくり読むと、飛行機のランプと月のほかは真っ暗で何も見えない梅雨の夜空が見えてきました。

来月の投句は、7月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら

back
back.
top
top.