ハルヤスミ句会 第九十五回

2008年9月

《 句会報 》

01 秋晴や畳交換二階より       あたみ(春)

02 はじけ落つ朝顔種の黒さかな    つよし(あ)

03 プールバッグ両手で持つて引き摺つて 阿昼(ど)

04 海鳴りや開きしままの扇措く    まどひ(阿)

05 うちの畑見てゆけ南瓜持ってゆけ  どんぐり(阿・ま)

06 やはらかな夕日となりぬ芋を掘る  つよし(春)

07 山脈を越ゆるや花火破裂音     春休(ど・あ)

08 いつまでも眠れぬ夜のちちろかな  あたみ(鋼)

09 大花火山の空気を震はせし     春休

10 三毛猫をあぐらに乗せて月の客   つばな(あ・阿・ま・春)

11 亀の首月の水面をよぎりけり    春休(山)

12 猫じやらし振ってオーライオーライと 阿昼(山)

13 くつきりと秋富士山を見つめつつ  あたみ

14 路地曲がり深山茜に出つくわす   春休

15 秋桜や郵便配達夫が二人      つばな

16 天高く逝き小樽よく見えるよと   まどひ(鋼)

17 秋灯に広げ炭焼ビスケット     どんぐり

18 そそくさと巣に戻りたる秋の蜘蛛  つばな

19 まだひとつリュックの底に松ぼくり 阿昼

20 迷い猫嫁が飼います秋刀魚買う   あたみ(鋼)

21 秋刀魚焼く近海ものにあらねども  つよし

22 埋められぬパズルの文字や宵の秋  どんぐり

23 もはや汝の来ぬ積丹や海猫帰る   まどひ

24 猪垣や神楽舞台のすぐうしろ    春休(ど・あ・山・ま)



【 鋼つよし 選 】
○08 いつまでも  残暑厳しいが秋がきたことを感じる。
○16 天高く  冬華さんへの追悼の句でしょうか。
○20 迷い猫  いまでも迷い猫というのはあるんでしょうか。我輩は猫であるを想像させました。

【 渋川どんぐり 選 】
○03 プールバッグ  そうそう、自分のものは自分で持てるようになりました。プールは、楽しいし。
○07 山脈を  山脈を越える音・・・なんとも、スケールの大きな花火のお話。
○24 猪垣や  ぜひ、そのような場所で、神楽を拝見したいと思いました。いい神楽でしょうね。
 この他に面白かった句です。
 01 秋晴や  二階を見上げて、秋空を見上げて、畳交換日和です!新しい畳の匂いもしてきそうです。
 10 三毛猫を  まったく、猫好きという病は、大変。月見ても猫。何より猫。
 11 亀の首  月を映す静かな水面。それをゆらゆら揺らしたのは、亀でありましたか。

【 梅原あたみ 選 】
○02 はじけ落つ  朝顔の種を黒く強調しつつはじける瞬間のあいらしさをも感じられ好きな句でした。
○07 山脈を  熱海も花火は有名な場所ですが、山に響く破裂の音を「や」のきれじ*と山脈*とでいかにもすごいと言う意味が良く解りました。
○10 三毛猫を  動物好きなお方に良く見かける姿、いかにも安らぎの一時、さぞかし月も喜ぶでしょうネ*
もうひとつ
○24 猪垣や  なんとも強烈な感じの催しもの、舞台の近くに猪が出るなんて**

【 中村阿昼 選 】
○10 三毛猫を  くつろいだ雰囲気の月見の宴。猫と一緒に来たのか、そこのうちの馴染みの猫か。三毛猫が人懐こそうでいい。
○04 海鳴りや  海鳴りといいながら静かな雰囲気。上五、秋の季語でもいいかも。
○05 うちの畑  自慢の畑なんでしょうね。かといってこんな大きな南瓜もらっても。
 他に好きだった句
 06 やはらかな  途中の切れが必要かなと思いつつ、穏やかな夕暮れの畑に大きな芋の葉のシルエットが見えてきて好きでした。
 20 迷い猫  猫を飼うのは嫁で、秋刀魚を買うのはダンナ? もすこし内容をわかりやすく言えたら面白い句になりそう。
 24 猪垣や  猪が出るような山の神社の舞台なんでしょうね。位置関係だけの描写ではちょっと弱いかな。

【 山田つばな 選 】
○11 亀の首  不思議な感じ。
○12 猫じやらし  昔のバスガイドさんを、ふっと思い出しました。
○24 猪垣や  深い句ですね〜。
 他に好きな句。
 03 プールバッグ両手で持つて引き摺つて
 19 まだひとつリュックの底に松ぼくり
 22 埋められぬパズルの文字や宵の秋
以上です

【 舟まどひ 選 】
○05 うちの畑  この勢いが好きです。そして南瓜が動かないです。
○10 三毛猫を  主とお客の親密さ加減が分かるような句。ほわほわ暖かい三毛猫と冷たく清らかな月との対比。
○24 猪垣や  猪が出るようなところの里神楽。土の匂い草の匂い、舞台の明るさと回りの闇、見ている人たちはみな仲がいいのでしょうね。

【 小川春休 選 】
○01 秋晴や  気持ちの良い句。シンプルな表現が潔くて良いです。
○06 やはらかな  少し散文的な点が気になりますが、芋掘りのころの夕日を「やはらか」とは共感できる表現だと思います。
○10 三毛猫を  客と主の打ち解けた感じが出ていて、良い雰囲気ですね。欲を言えば、「あぐらに乗せている」という状態を詠むのも良いですが、「三毛猫があぐらに乗ってくる」という動きの句でも良い句になりそうです。
 04 海鳴りや  ちょっと雰囲気に流れてるかな、というのが正直な感想です。
 05 うちの畑  良い句ですが、すでにある句という気も…。
 16 天高く  三上冬華さんの追悼句ですね。詠まんとする気持ちはよく分かるのですが、下五の「見えるよと」の呼びかけが、書き手からの呼びかけなのか、書き手への呼びかけなのか、判然としません。もっとすっきりとストレートに書き手の気持ちが伝わる書きようがありそうな気がします。
 18 そそくさと  「そそくさと」では、この書き手にしか書けない句ではなく、すでにある句という気がします。
 20 迷い猫  嫁…、この句の主体が嫁とどういう関係の人なのか、読み切れません。「夫」とも「舅・姑」とも読める。ちょっとこの辺りが曖昧で、句を弱くしていると思います。「嫁」が入らなくても、一句になると思うのですが、いかがでしょうか?

来月の投句は、10月15日までに、3句お送り下さい・・・・・・投句はこちら

back
back.
top
top.