「足跡の」の巻 歌仙
二〇〇〇年十月五日〜十二月三十一日
於 ハルヤスミ連句会
01 秋 足跡の黒く湿るや芋畑 春 休 02 秋 鍋提げ来たる萩のしおり戸 庚 申 03 秋 蟋蟀を数へ立てたる出窓にて 九 鈴 04 秋 入江をわたる色のなき風 春 休 05 秋月 靴きしませて入り来し月の座に み や 06 雑 長き睫毛の祝はれるひと 庚 申 07 雑 空色のリボンにさげて金メダル 九 鈴 08 冬 スキーの板を突き立てしまま 春 休 09 冬 極月のタオル乾けばからみ合ふ 洋 子 10 雑 話し好きなる宿の主よ 庚 申 11 春 霜柱丸くとけるやパンジー咲く 九 鈴 12 春恋 君の抱へるレタスまぶしき 春 休 13 春恋 てふ飛んでアップダウンの激しさよ 九 鈴 14 春月 いつしか雨となるおぼろ月 春 休 15 春 蓬摘む人に手を振る渡し舟 庚 申 16 雑 晩御飯までにやあ帰るけえ 春 休 17 秋花 稜線の一瞬浮かび遠花火 九 鈴 18 秋 秋の灯しの紐吹かれをり 春 休 19 秋 彼岸花手折りて祖母に叱られる 庚 申 20 秋 列なほしつつ渡るかりがね 九 鈴 21 雑 汽車に乗る鞄の底に『津軽』あり 春 休 22 春 桃濃く咲きぬ先生の庭 九 鈴 23 春 大あくびすれば涙や卒業す 春 休 24 春 軒に燕の巣作りの朝 庚 申 25 春 お涅槃へゆくおしろいをうつすらと 春 休 26 雑恋 庭掃く人にそつと目くばせ 庚 申 27 夏恋 花茣蓙にしびれのきたる膝枕 九 鈴 28 夏恋 一人のためのゼリー冷やしぬ 春 休 29 夏月 夏の月映つてをりし潦 庚 申 30 雑 表戸を掻く猫の爪音 九 鈴 31 冬 着膨れて体温計をくはへをり 春 休 32 冬 清水焼に活けし山茶花 庚 申 33 冬 雪積もりたるあかるさは二階にも 春 休 34 雑 口笛吹いて犬を呼ぶ人 庚 申 35 春花 花筵日当たる方へ引き摺れる 春 休 36 春 あざやかなりし草餅の色 庚 申 庚 申 十一 九 鈴 九 み や 一 洋 子 一 春 休 十四 捌 春 休 執筆 春 休 |
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