松本たかし句集(春日井建抄出) 松本たかし ------------------------------------------------------- 【テキスト中に現れる記号について】 《》:ルビ (例)火《ほ》むら |:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号 (例)爐|框《かまち》 [#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定    (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数) (例)[#ここから2字下げ] -------------------------------------------------------    春 葉牡丹の火《ほ》むら冷《さ》めたる二月かな 早春の牡丹畑を廻りけり 春寒や貝の中なる櫻貝 蝌蚪生れて未だ覚めざる彼岸かな 裏山に登れば遅日尚在りぬ 麗や皆働ける池の鴨 草堤に坐しくづをれて春惜む 桃の小屋梨の小屋あり春暮るる 騒がしき風吹く春を惜みけり 野蒜掘れば強きにほひや暮の春 ゆく春の牡丹櫻の一木かな 腰かけしまま寝ころびぬ縁の春 春草や光りふくるる鳩の胸 春雨に降り込められぬそれもよし すこし待てばこの春雨はあがるべし 鎌倉に春の雪積む一夜かな 大佛の俯向き在す春日かな 目つむりて春日に面さらしをり 日曜の人にかぎろひそめにけり [#ここから2字下げ] 葉山・水竹居別業 [#ここで字下げ終わり] 山荘に終る句会や夕霞 春雷やぽたりぽたりと落椿 屋根屋根の雪消し日和の煙出し 塵捨てに来て跼みけり水温む 古蘆の動くともなし水温む 嫁ぐなる別れの雛にかしづきぬ 仕る手に笛もなし古雛 水茎の古りにし反古や雛をさめ 父の室《ま》の父が描きし絵雛かな 杓の下《もと》小さくかなしや甘茶佛 うかがひて杓さし入れる花御堂 西行忌我に出家の意《こころ》なし 句に入りて歌は忘れつ西行忌 我が椿いたむる雪や実朝忌 山椿撰び折り来て実朝忌 [#ここから2字下げ] 妙本寺 [#ここで字下げ終わり] 屋根替の萱吊上ぐる大伽藍 踏青や野守の鏡これかとよ 毎日の朝寝とがむる人もなし 物の芽のほぐれほぐるる朝寝かな 春の灯のつらなる廊下人も来ず [#ここから2字下げ] 鴻乙居 [#ここで字下げ終わり] 麦踏も庵の眺の一つかな 恋猫やからくれなゐの紐をひき 目白の巣我一人知る他に告げず 前山や初音する時はろかなり 空蒼し放たざらめや吾が雲雀 行交や蛙月夜の廓道 つく杖の銀あたたかに蝶蝶かな 初蝶を見し束の間のかなしさよ 大空に唸れる虻を探しけり ころがりて又ころがりて田螺かな 一つづつ田螺の影の延びてあり 沸沸と田螺の國の静まらず ひく波の跡美しや櫻貝 [#ここから2字下げ] 青梅吉野梅林にて [#ここで字下げ終わり] 酒庫の紋それぞれや梅の村 流れ来し椿に添ひて歩きけり いま一つ椿落ちなば立去らん 流れゆく椿を風の押しとどむ あまたたび雪にいたみし椿咲く 凍りたる雪著いてあり花椿 蘂白く夕暮れにけり落椿 椿落ちて水にひろごる花粉かな 風吹けば流るる椿まはるなり 枯蔓をかぶらぬはなし山椿 目白来てゆする椿の玉雫 ゆき当り瀬石をまはりゆく椿 雪解や現れ並ぶ落椿 水垢と椿と吹かれ別れけり 我宿の桃も櫻もおくれがち 大空に莟を張りし辛夷かな 虚子庵に至り坐りぬ花疲 吹雪きくる花に諸手をさし伸べぬ 一筋の落花の風の長かりし 卒然と風湧き出でし柳かな たんぽぽの咲き据りたる芝生かな たんぽぽの大きな花や薄曇 たんぽぽや一天玉の如くなり たんぽぽの閉づれば天気変るなり 春蘭に支那めかしたる調度かな 下萌ゆと思ひそめたる一日かな 病床に上げし面や下萌ゆる ものの芽に踏まへひろげし両の足 もの芽出て長き風邪も忘れけり 秋草のもの芽ながらもおのがじし かずかずの物芽の貴賤おのづから 紫苑の芽暗く甘草の芽明るし 雪中に牡丹芽ぐめり谷の坊 芥子の芽や夕一時明らかに 釣竿のぴかりぴかりと水草生ふ 左右には芹の流れや化粧坂 せせらぎつつ揺れつつ芹の生ひにけり 海苔舟を松の木の間に海晏寺 海苔つけし粗朶一片や波のまま [#改ページ]    夏 夏めくや庭を貫く滑川 凭り馴れて句作柱や夜の秋 足袋をぬぎ袴をとりて涼しけれ 遠雷の波間波間の大凹み こと古りし招魂祭の曲馬団 幟の尾垂れたる見えて夕庇 荒れ荒れし人も神輿も息《やす》みをり 踊見る踊疲れを憩ひつつ 踊らまくさかさ頬冠したりけり 山山に木曽の踊も終りけり 唯うすき岐阜提灯の秋の草 花火見の彼の幇間も老いしかな 温泉の宿の昼寝時なる長廊下 二つづつ放り出しけり早苗束 早苗束放る響の谷間かな 早苗束膝に当ててはくくりけり [#ここから2字下げ] 病 [#ここで字下げ終わり] 夏まけとかくしがたなくやつれけり 汗かきて日日恙なくありにけり 汗じみし人のからだとさはりけり 羅《うすもの》をゆるやかに著て崩れざる 取出し著たる昔の透綾《すきや》かな 小鼓の稽古すませし端居かな 洗髪乾きて軽し月見草 すぐ前に塀がふさがる釣忍 柄を立てて吹飛んで来る団扇かな 縁側の団扇拾うて下り立ちし 日蔽舟扇使ひの人見ゆる 手巾の白白として男かな 金魚大鱗夕焼の空の如きあり 螢籠飛ぶ火落つる火にぎやかに 金粉をこぼして火蛾やすさまじき 余花の雨布団の上の鼓かな えごの花かかりて蜘蛛の糸見えず 下闇に遊べる蝶の久しさよ 牡丹の花に暈ある如くなり 夜の如き帷垂れたる牡丹かな 牡丹の葉を起しつつ開き行く 牡丹に垂れし帷の重さかな 花に葉に花粉ただよふ牡丹かな 牡丹の残りし花に法事かな 芥子咲けばまぬがれがたく病みにけり 向日葵の葉の真黒に焦げたるも 甘草や昨日の花の枯れ添へる くつがへる蓮の葉水を打すくひ 橋裏に吸ひ着いてゐる蓮広葉 ほのぼのと泡かと咲けり烏瓜 青蔦の這うて暗しや軒の裏 青蔦の蔓先の葉の小さきかな 萍《うきくさ》に亀乗りかけてやめにけり [#改ページ]    秋 蓮広葉芭蕉広葉も今朝の秋 瓢箪の出来の話も残暑かな 夜長なる呆け瞼の眉の影 俳席の次にはんべる夜長かな 秋晴や歩をゆるめつつ園に入る 秋晴や黄色き花の糸瓜垣 秋晴れてまろまりにける花糸瓜 雲去れば月の歩みのゆるみつつ 月光の走れる杖をはこびけり 鎌倉の夏も過ぎけり天の川 蟲時雨銀河いよいよ撓んだり 夜の芝生ありけば露や弾き飛ぶ 声高く読本よめり露の宿 十棹とはあらぬ渡しや水の秋 秋水のおのづからなる水輪かな 干網をくぐりくぐりて秋の浜 老の荷を背負ひて来る十夜かな 鉦《かね》講のあらかしましの十夜かな 蝋涙に肩打たれたる十夜かな ともすれば十夜の稚子の手を合せ 稚子が降らす花を拾ひし十夜かな 藁塚にはや家家のとざされし 道の端大藁塚の乗出せる 秋扇や生れながらに能役者 山の上の日に貼替へし障子かな 貼替へていよいよ古し障子骨 藪に立つ欅三本鵙の秋 庭山の手入はかどる鵙日和 明らかに鵯の嘴より落ちしもの 鯊釣や片手に蘆をとらへつつ 鈴蟲は鳴きやすむなり蟲時雨 雨音のかむさりにけり蟲の宿 窓の灯のありて句をとむ蟲の原 蜩や杉本寺のあさゆふべ 避暑町の少しさびれぬ花木槿 雨落つる空がまぶしき木槿かな 干柿の蠅またふえぬ上天気 柿吊つて相かはらざる主かな 柿干して日当りのよき家ばかり 村人に倣ひ暮しぬ吊し柿 大木にして南《みんなみ》に片紅葉 薄紅葉せる木立あり歩み入る 薄紅葉に日のかくれゐる美しさ [#ここから2字下げ] 箱根強羅 五句 [#ここで字下げ終わり] 雲霧の何時も遊べる紅葉かな 雨あとの石あらはなる坂紅葉 山日和すこし崩れぬ紅葉狩 温泉《でゆ》の香のただよひゐるや夕紅葉 温泉《ゆ》の流煙れる門の夕紅葉 誰よりも疲れし我や夕紅葉 這ひのぼり失せし日かげや谷紅葉 山の端に庵せりけり薄紅葉 山坂に爪立ち憩ふ紅葉かな 藤黄葉蔓明らかに見ゆるかな [#ここから2字下げ] 大塔の宮 [#ここで字下げ終わり] そこはかと禰宜の起居や軒紅葉 女郎花やや略したる床の間に 閉ぢがちとなりし障子やこぼれ萩 萩一枝石に乗りゐてすがれけり 前山に雲ゐてかげる庭芒 大いなる暗き帆のゆく蘆の上 蘆の穂の夕風かはるけしきあり コスモスや倒れぬはなき花盛り [#ここから2字下げ] あふひ夫人訪れたまふ [#ここで字下げ終わり] コスモスの夕やさしくものがたり 我去れば鶏頭も去りゆきにけり 鶏頭のほとほと暮れてまだ暮るる 鶏頭に飛び来る雨の迅さかな 鶏頭のおのづからなる立並び 鶏頭の影走りつつ伸びにけり 鶏頭の夕影並び走るなり [#ここから2字下げ] 虚子庵即景 [#ここで字下げ終わり] 刀豆の棚の中にも葉鶏頭 露草のをがめる如き蕾かな くきくきと折れ曲りけり螢草 二ひらの花びら立てて螢草 菊よろし紫ならず赤ならず 人形なき廊下の菊に憩ひけり 南縁の焦げんばかりの菊日和 菊日和浄明寺さま話好き 孜孜として皆いそしめる菊の虻 芭蕉葉の雨音の又かはりけり 肱のせて窓に人ある芭蕉かな 曼珠沙華つつがなかりし門を出づ 曼珠沙華に鞭うたれたり夢さむる 暮れてゐるおのれ一人か破蓮 末枯や一番遅れ歩きをり 稀といふ山日和なり濃龍胆 [#改ページ]    冬 玉の如き小春日和を授かりし 歳時記に聞きて冬至のはかりごと 葉牡丹の深紫の寒の内 かへりみる吾が俳諧や年の暮 神垣の内の別墅《べつしよ》や年の暮 追ひかけて届く鯛あり大晦日 朴の葉の高く残りて時雨れけり 手違ひの多くて暮るる冬の雨 行人や吹雪に消されそれつきり 雪沓をしつかと着けぬ吹雪きをり 大勢に一人別るる霜夜かな [#ここから2字下げ] ホトトギス発行所 [#ここで字下げ終わり] 三つ並ぶ大きな窓や牡丹雪 [#ここから2字下げ] 鶴ヶ丘八幡宮 [#ここで字下げ終わり] 広前や隣り舞ふ雪のおほどかに あの雲が飛ばす雪かや枯木原 灯に染みし雪垂れてをり深庇 橋の燈《ひ》の雪をまとひて灯りけり 窓開けし人咳きぬ畑の霜 水音に暫し沿ひゆく枯野かな 空色の水飛び飛びの枯野かな 多摩の水三条に断《き》れて涸れゐたり 冬浪の日かげりければ帰らばや 青笹に冰れる水の岐れけり 門川の冰りたるより音もなし 狐火の減る火ばかりとなりにけり 狐火の火を飛び越ゆる火を見たり 草の戸の開いて洩る灯や鬼やらひ かい抱く大三宝や年男 顔見世で逢ふまじき妓と出逢ひけり 煤掃に用なき身なる外出かな 響き来る音まちまちや餅日和 杵肩に餅つきにゆく畦伝ひ [#ここから2字下げ] 第一回俳能会にて七八年ぶりにて葛城の仕舞をまふ [#ここで字下げ終わり] 舞まうて面なや我も年忘れ 暦売古き言の葉まをしけり 水洟を貧乏神に見られけり 胼の手に何物も触るる事なかれ 百姓の足袋の白さや野辺送り 代代の船場住居や敷松葉 屏風立てて結界せばき起居かな 屏風絵の蘆より鴨を追ふところ 炭おこすとぼしき火種ねもごろに 炭ひいて稍まぎれたる愁かな 炭ひけば寒さに向ふ思かな 枯菊にさし向ひ居り炭をひく 鶏頭を目がけ飛びつく焚火かな 山深く這ひし焚火や一あたり とつぷりと後ろ暮れゐし焚火かな 夜遊びや爐辺から爐辺にたちまはり 客を待つ爐火のかげんをいたしけり [#ここから2字下げ] 鴻乙居にて [#ここで字下げ終わり] 爐|框《かまち》の早や傷つきし新居かな 飲食《おんじき》に汚れし爐辺や草の宿 老の手のわななきかざす火桶かな 父酔うてしきりに叩く火桶かな 鶲鳥はなやかならず赤きかな 揚舟のかげにまはれば千鳥たつ 水鳥の争ひ搏ちし羽音かな 鴨向きをかへてかはしぬ蘆の風 三度来て水仙咲きぬ瑞泉寺 水仙や古鏡の如く花をかかぐ 水仙を活けて鼓をかざりけり いただきのふつと途切れし冬木かな 赤く見え青くも見ゆる枯木かな 静かなる雲二つ三つ枯木中 枯木中居りたる雲のなくなりし 大佛の後ろ見て住む枯木宿 打仰ぎ落葉する木にもたれけり うす青き銀杏落葉も置きそめし 杉寒し枯葉しきりに吹き落ちて 葉牡丹に鉢の木をこそ謡ひけれ 桑枯れてあからさまなる住居かな 枯桑の向うに光る茶の木かな 添へ竹をはなれ傾き菊枯るる いつくしみ育てし老の菊枯れぬ 枯菊を焚きて遣りたる想ひかな 白菊の枯るるがままに掃き清む 枯菊の幽にそよぎはじめけり 枯菊に虹が走りぬ蜘蛛の絲 残菊の黄もほとほとに古びたる 吹き当ててこぼるる砂や枯芒 枯蘆の水に濯げる男かな 青天にただほふ蔓の枯れにけり 枯れつつもそれとしるしや吾亦紅 蒲の穂の飛ぶを眺めて憩はばや 蒲の穂の飛ぶを仰げば昼の月 蒲の穂の飛び赴いて行方かな 遠き家のまた掛け足しし大根かな ひそかなる枯菊に年改る 正月や炬燵の上の朱短冊 [#ここから2字下げ] 虚子庵にて [#ここで字下げ終わり] 返り咲く小米花あり門の春 虚子庵のいつもの部屋やお元日 正しくも時の歩みやお元日 水仙にかかる埃も五日かな 初富士に往来の人や富士見町 受けて来し七福神や置き並べ すぐに寝る草の庵の宝舟 風寒し破魔矢を胸に抱へくる 餅花やもつれしままに静まれる 餅花や捨てんとしつつ美しき 餅花の凍てて落つるや少なからず [#ここから2字下げ] 虚子庵にて [#ここで字下げ終わり] 輪飾を掛けて使はず外厠 鬚はねて太《はなはだ》長し飾海老 初暦翁格子の襖かな [#ここから2字下げ] 年頭虚子庵にて荒木紅々氏の佐世保より来るに会して [#ここで字下げ終わり] はるばると慕ひ来りし賀客かな 虚子庵に不参申して寝正月 白洲ある古き舞台の能始 裃の古びし老や能始 能始|着《き》たる面《おもて》は彌勒|打《うち》 [#ここから2字下げ] 註 彌勒は能面作者の名 [#ここで字下げ終わり] 小人数の親しき仲の初句会 凧の影走り現る雪の上 福寿草一鉢置けば座右の春 取散らす几辺なれども福寿草 日の障子太鼓の如し福寿草 正月も古りつつ福寿草たもつ [#改ページ]    恵那十日句録(抄) 八方に山のしかかる枯野かな 山かこむ枯野の中の山一つ 山間の打傾ける枯野かな 大石の馬をもかくす枯野かな どん底を木曽川の行く枯野かな 大霧の霽れかかるより小鳥狩 それぞれの座布団もつて鳥屋を見に 刈込みし山美しや小鳥網 磐石に乗つかけてあり小鳥小屋 杉葉もてもさと葺いたり小鳥小屋 蓆戸を上げて顔出す鳥屋の主 小鳥小屋飛騨街道も一目なり 四段張にして十間の小鳥網 網の面にかかり輝く小鳥かな 酒沸いて小鳥焼けたり山は晴 小鳥狩したるその夜の小句会 囲爐裏火に照り輝くや板屏風 板屏風立てし板間の大爐かな 鶸焼くや爐|縁《ぷち》にならぶ皿小鉢 借覧す甲子夜話あり榾の宿 榾の宿群書類聚そなへあり 後の月庭の山より上りけり 庭山の朴の木立や後の月 爐框に置く盃や十三夜 静かなる自在の揺れや十三夜 柿取の棹をあつかふ梢かな 庭山の小谷もありて栗茸《くりもたし》 茸多く朴の落葉の夥し 起出でて木曽の朝寒ひとしほに この庭の霧すさまじき紅葉かな 日もすがら落葉を焚きて自愛かな 三つ落つる筧の音の夜長かな 時雨るると著せたまはりし真綿かな 旅先の軽き恙のそば湯かな 八方に稲架出来てゆく盆地かな 拱《こまね》きて稲を負ひくる少女かな 恵那の雪ひとまづ消えし小春かな [#ここから2字下げ] 苗木塚本哄堂邸滞在 [#ここで字下げ終わり] 干茸に時雨れぬ日とてなかりけり 底本:「川端茅舎 松本たかし集 現代俳句の世界 3」朝日新聞社    1985(昭和60)年2月20日第1刷発行 底本の親本:「松本たかし句集」    1935(昭和10)年欅発行所発行 ※献辞、序文及び跋文は底本において省略されている。 入力:小川春休 校正:(未了) 2008年4月2日公開