News LetterNo.3
ハイチ・プロジェクト報告
2002年8月01日発行

目次
IT、識字教育推進のためハイチでの視察を実施
ハイチ訪問地
ハイチIT教育人材難 ハイチIT教育推進へ
スタッフ ハイチ訪問記 マンゴの木とハイチの少年
ハイチのNGOと商取引
北海道のバイオガス・プラントを見学
福山市明治町に新事務所を開設


IT、識字教育推進のため
ハイチでの視察を実施
NGO・ジェアーとの信頼関係を築く
 4月4日、今年度のプロジェクトの内容を検討するため、11日間の旅行日程でハイチ共和国へ視察に出かけた。その内、ハイチに滞在した期間は5日から12日までだったが、往復にまる4日かかるハイチは遠い。
 今回の視察参加者は、ハイチ・プロジェクト担当の手島佳子、そして青山修也と村田民雄の3名。電子メールによる事前のやり取りで、日程の概略は了解していたが、視察先がびっしり。憧れのカリブ海でエンジョイする暇はなかった。
 ハイチの道路事情は極めて悪い。20km移動するのに1時間30分はかかる。今回の視察先が、首都圏でなく地方であるため、移動時間をたっぷりとみなければならない。国道1号線でも、途中真っ白な砂煙を上げながらの走行となる。
 今回のハイチ訪問の目的は、教育現場でのIT活用と識字教育を推進するための調査だったが、もう一つ重要なことは、ハイチでの事業展開で不可欠となるハイチ側NGO・ジェアーとの信頼関係を築くであった。パートナーとなるジェアー代表者のマークさんは、以前福山を訪れていて蔓識があったが、他のメンバーとは初の顔合わせ。誰がメンバーなのかも分からず少々戸惑ったが、一緒に行動する内にすっかりうち解け合い、所期の目的を達成できた。この信頼を基に、現在、IT教育プロジェクトの内容を検討している。
ハイチに届いたゴミ収集車
報告
ごみ収集車、バイク、無事ハイチに届く
 計画から1年以上経過しましたが、ハイチ・ペチョンビル市にごみ収集車2台とバイク24台を贈る事業が無事完了しました。7月25日、スタッフの手島佳子が参加し、引き渡し式が盛大に行われました。なお、詳細については、次号にて報告します。この紙上にて、改めて関係者のみなさまに、感謝申しあげます

 ハイチ側パートナー・ジェアーとの合意事項
@グロモーン地区でのIT教育推進のため、「草の根無償資金協力」を申請
AIT推進のため、太陽光発電装置を設置
Be&g研究所よりアデラムに教育支援のため学用品を贈る
C地方でのIT推進のための技術者を養成 

 
ハイチ訪問地


ハイチIT教育人材難
ハイチIT教育推進へ

スタッフ ハイチ訪問記
マンゴの木とハイチの少年
青山修也
Gros Morneでの3日間の視察を終え、Gonaivesというハイチ北部では大きな街へ帰っている途中だった。Gros Morneでは小学校、中学校、高校などを訪ね、車で何時間もでこぼこ道、穴ぼこ道を走り、時には川を渡り、遙々遠くへ来たもんだな?と窓からの風景を眺めながら考えていた。Gros Morneを出発するときちょうど、山の方に大きな虹が見え、それだけでなにかしら爽やかな明るさを感じた。この場所へは再び来ることになるかもしれない。

そのハイチ人のおじさんは炭をつくっていた。こんもり盛られた土の隙間からのぼる煙を鍬にもたれかかり眺めていた。ハイチに着いてから何度も荷台に溢れんばかりのたくさんの炭を積んだ車や、道端で小さなバケツに炭を入れて売る人々の姿を見ていた。が、実際に炭をつくっている現場を見たのははじめてだった。我々は車から降り、挨拶を交わし、写真を撮らせてもらい、少し話を聞いた。炭にしているのはマンゴの木で、炭は売るためではなく、自分の家で使うためだという。

ハイチでは料理に使う炭をつくるために木が切り尽くされ、木がなくなり土を抑えきれなくなった山からは雨が降ると土砂が流れ、そしてあの美しいはずのカリブ海が汚れるという、絵に描いたような悪循環が起こっているとは話には聞いていたものの、こんなにもひどい状況だとは想像以上、遙かに越えていた。山に木が生えていない風景というのは明らかに何かが失われた風景で、始めから木の生えない砂漠や岩山、草原などとは違う不自然なものだった。
そんな状況であっても、人々はまだ木を切らなければ生きていけない。炭をつくらなければ生きていけない。それ以外に方法が見あたらないのである。

少し離れているところから我々を眺めている少年がいた。片手にはマンゴの実を一つ大事そうに持ち、僕を見つめていた。写真を撮らせてもらい、「このマンゴはきみが採ってきたの?」と尋ねてみた。が、日本語で尋ねたのがまずかったのか、彼は「・・・・・」。

大木であるマンゴの木から実を収穫するのにいったいどういう方法をとるのか分からない、まさか切り倒してしまうわけではないだろうが、そこには切り倒されたばかりのマンゴの大木が横たわっていた。畑にはまだ数本のマンゴの大木が残っているものの、まわりに広がる山に木はほとんど生えていない。

夕暮れ、ほぼ真横からの太陽に照らされ、ちょうど美しい光の時間だった。我々はその少年からいくつかのマンゴを買い、お礼を言って出発した。



 糞尿から電気を取り出す
自然エネルギーの活用に注目
北海道のバイオガス・プラントを見学
村田民雄
 3月初旬、日本で本格的にバイオガスを利用している札幌市郊外の農場を訪れた。バイオガス利用先進国・ドイツの会社とのジョイント・ベンチャー、「コーンズ・シュマック・バイオガス株式会社」の石原さんに案内していただいた。

 この会社では既に牛の糞尿を主体とした発電、熱利用、たい肥利用を進めているが、最近ではバイオガスに対する関心が高まり、遠くは沖縄からもプラント建設の相談が来ているとか。
 e&g研究所主催で、ドイツへの「エコ・スタディーツアー」を実施したのが昨年の7月。それから1年も経たない内に、バイオマス/バイオガスを巡る情勢に、国内外で大きな変化がある。


北海道のバイオガス・プラント
 今回の視察で、日本におけるメタンガス利用によるバイオガス・プラントも着実に広がりつつあることを実感した。バイオガスは循環型ごみ処理として注目を集めているが、今年1月25日「新エネルギー利用等の促進に関する特腹措置法」の政令改正が行われ、「バイオマス」がその中に位置づけられた。また、2003年から電力会社に新エネルギーの調達を義務づける計画もあるが、その新エネルギーの中にバイオマス(バイオガスも含まれる)が位置づけられる予定。さらに、2004年11月からの家畜排泄物法の全蔓施行により、本格的な糞尿対策が求められる。
 以上のことを考えると、今後バイオガス方式による生ごみや家畜糞尿処理が有利になると考えられる。

 ちなみに北海道で稼働中の施設規模の一例は次のとおり。
 飼育頭数:成牛220頭、生育牛140頭、ガスホルダー:300m3、発電規模:65kwh、建設費:1億3千万円
 参考のために、ドイツの最新プラントの規模を紹介をすると、発酵槽400m3、発電規模320kwh。ドイツは日本と違い、国の法律で売電すればするほど収入が増える仕組みになっているため発電規模が大きくなる(日本では安く買いたたかれる)。建設費は1億7000万円ほど。このプラントは、牛の糞尿を主体とする施設としては昨年段階では最大規模のものという。
 昨年ドイツで見学したもう一つのプラントは、生ごみ(家庭、レストラン、ホテルなどから出る)のみのバイオガスプラントで、処理・運転は全自動。処理槽は3槽あり合わせて3,500m3、発電規模は1,000kwh、年間ゴミ処理裏は2万トンとなっている。建設費は5億6000万円程度(為替レートで変化するが)。出てくる肥料は良質とのこと。
 なお、日本での課題のひとつは、家畜の飼い方が集約的であり、大裏の飼料を輸入しているため、バイオガス化処理によって発生する堆肥(液肥)が過大となること。真の循環型資源活用を実現しようとすると避けて通れない問題。
 また、農家や市民が安心して自然エネルギーに投資できるように、バイオガスなどから発電された電気に対しては、高値買い取りの制度を確立することが緊要だ。

 今後日本においてもバイオマス・バイオガスの利用はますます活発になるものと考えられる。事実、研究者や企業の関心は急速に高まっている。私たちは、市民事業としてその普及を計りたい。関心をお持ちの方、ぜひご連絡を!


福山市明治町に新事務所を開設
 NPO法人e&g研究所は、福山市霞町4丁目1−25の事務所に加えて、福山市明治町(南小学校の南側)に新事務所を開設しました。霞町の事務所よりかなり広く、「すっきりと清潔感がある」と好評です、ゆったりと広いスペースでのです、ミーティングにもバッチリ。ハイチの高級コーヒーも用意していますので、お気軽にお立ち寄りください。なお、当面駐車場が確保できませんので、健康にいい自転車の活用など、工夫をしてお起しください。なお、隣接の有料駐車場はあります。

ヨシコさん、新事務所に常駐
月曜日から土曜日、午前9時から午後5時までの間、
手島佳子が勤務しています。


 
e&g研究所ニュースレター03号 2001/08/01発行 
発行・編集責任者:村田民雄

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