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「町並みづくりのガイドライン 

-- 歩いて暮らせるまちづくり --

 

対象地区 : 庄原市東城町 新町・下本町・大正町・新丁

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■ ガイドライン作成の目的

 

 東城町内で夢街道ルネサンスの「街道東城路」に指定された、この地区内の「町並み・家並み」は、歴史と風情の残る、地域の「財産」であるといえます。これからご案内する「町並みづくりガイドライン」は、この地域の町並み・家並み風景を守り、残していくために有効な手段の一つになると考えています。また、他の地区の町並み形成誘導の「モデル」となればとも考えています。

 

 この「町並みづくりのガイドライン」は、皆さまのご協力によるアンケート調査、建物調査(110件程度)を行い・集計し、それを基に、専門家等のご意見も参考に作成しました。

 このガイドラインは、法的な拘束力もなく、皆さんに強制するものではありません

自分達の「まち」は、皆で協力し、自分達で守り、つくるものという意識が芽生え、共有できれば幸いに思います。少しでも多くの方に、この取り組みの趣旨を理解いただき、一緒にまちづくりを進めていただくことを期待してやみません。

 

 

残したい町並み・家並み

 

1章 町並み全体を整える上で、皆さんに共通してお願いしたいこと

1 歴史を感じる統一感を醸し出す建具たちに包まれた城下町にふさわしい建物に

  スポット的にまとまった町家などの家並み(例:竹中邸・生熊酒造・古河印刷・後藤商店など)を大切に守る

  とともに、城下町の「街道東城路」としての雰囲気を感じ取れるように修景していきましょう。

 

    まとまった町家の家並みがあるところでは、改修時に積極的に修景しましょう。

 

 

 ○ 路地角付近や路地からの出口部など目に留まりやすい場所では、より一層の修景に取り組むとともに、公共

   的な空間(敷地内に設けた休憩所など)を配置するなど工夫を凝らしましょう

 

 

 ○ 道路境界線から壁面までの軒先の空間がある場合は、一般の人に公共的な空間として公開し、ゆとりある歩行

   者空間や安らぎ空間になるようにしつらえましょう。

 (街道の圧迫感をやわらげ、店先に賑わいをもたらすとともに、通風や採光等の環境面にも貢献できます。)

 

 ○ 建物や工作物など町並みを構成するモノたちが、城下町にふさわしいデザインになるように形状・素材・

   色に気をつけましょう。

  ○ 地域の生活に潤いを与える小物・装置・仕掛けを設けましょう。(例:行燈・木製ポストなど)

 

木製郵便ポスト 
メーター器隠し

木製常夜灯(町名入り)
 
木製行灯

小路の板塀にある一輪ざし 

 

2 町並み全体を良くするために、皆さんに共通して実施していただきたいこと

  きれいな町は、地域住民の誇りです。町並みをみんなで守り、まちをきれいにし、落ち着いた雰囲気のある

  感じの良い町にしましょう。

 

 

3 古い町並みを活かしたまちづくり

  来訪者がまた来たくなるような、住民のもてなしの気持ちや暮らし方、活力が感じられるような楽しい町に

  しましょう。

店のしつらえ 

   

町屋オープンミュージアムの開催など

 

4 バイパスなどの立ち退きの跡地や残る建物などの修景

  修復時には歴史を感じることができる町並みの形成に配慮しましょう。

 

立ち退き跡地

 

立ち退き跡地の配慮行為

 

 

 

2章 町並みづくりのために、各家にご配慮いただきたいこと

 

1 建具(出入り口・窓・扉)

 

道路境界から敷地側への水平距離7mまでに

位置する開口部に建具を設ける場合は、格子窓

や、引き違い型の格子戸・木格子・ガラス戸を

基本としましょう。

アルミサッシにする場合は、濃い茶色にするか、

木製格子建具などで覆いましょう。既にアルミ

サッシとしている場合は、木製格子建具などで

覆うか、濃い茶色のものに取り換えましょう。

 

シャッターを設けている場合は、板暖簾等の木製素材でシャッターボックスを覆い、濃い茶色や落ち着いた

和風のデザインで塗装するなど(格子模様の絵を描く、和風木目シートを貼るなど)しましょう。

 

 

2 看板・表札・案内版など

  町並みに沿う、和風の雰囲気のものを使用し色彩・デザインに配慮しましょう。

  看板などを掲げる場合は、木製・筆書き看板を1階の屋根に設置するなどとしましょう。

  また、前面道路に面して建物の全幅に渡り覆うような看板としないようにして、素材等に配慮しましょう。

  

町並みに沿う、和風の雰囲気のも

のを使用し色彩・デザインに配慮

しましょう。

看板などを掲げる場合は、木製・

筆書き看板を1階の屋根に設置す

るなどとしましょう。

また、前面道路に面して建物の全

幅に渡り覆うような看板としない

ようにして、素材等に配慮しま

しょう。

 

 

3 門・塀・垣など

  門は、格子戸や板戸などとし、材質は木製など、色は濃い茶色を基調としましょう。

塀は、仕上げを漆喰又は木などとし、色は、漆喰は白色、木などは濃い茶色を基調としましょう。

垣は、生け垣を活用し、和風な樹木などを植えましょう。

門・塀のある町家

木塀のある町家

 

4 ゴミ置き場・エアコン室外機・屋外自動販売機など

  ごみ置き場などは、通りから直接目に触れない位置など置き場所に配慮しましょう。やむなく通りに面して

  設ける場合は、周囲を木格子などで覆うなどして修景し、色は濃い茶色を基調としましょう。

 

室外機を格子で目隠し(後)




 


 

軒先の公開・暖簾・すだれ 

  軒先(道路から建物までの部分)を公開できる家では、一般の方が通ったり利用したりしやすいように、町

  並みと調和した歩ける仕上げ(例えば、瓦風タイル、石、石調タイル等)にしましょう。(植栽部分を除く)

  また、この空間にベンチやストリートファニチャーを置くなどくつろげる場づくりをしましょう。草木染め・

  藍染等、和風のデザインの暖簾を玄関に下げましょう。夏にはすだれ、壁などには一輪ざしを下げましょう。 

 

 

 

商家の軒先 のれん

 

 

6 樹木・草花・植栽

 

 





通りに面したところには四季折々の

植栽をしましょう。その場合、道路

・隣地との境界に植えるなど、植え

方に配慮しましょう。 

 


住民が花づくり

道端への植栽緑化
   

 

 

 

3章 歴史を感じる魅力的な建物にするにはどうすればよいのか?

 

1 歴史を感じる魅力的な建物を守り、活かしましょう。

江戸、大正、昭和初期の町家・洋風建物など、城下町の雰囲気を残す建物を維持しましょう。

「木格子」「なまこ壁」のような風情のある町家の特徴を残しましょう。また、伝統的な仕上げ(こて絵)

などは、遊び心ある文化として大事に保存しましょう。

木格子・板暖簾

なまこ壁

こて絵

 

町並みの中にある洋館建築

木造3階建て建物

 

 

 

4章 町家ではない既存の建物はどうすればよいのか?

 

1 今ある建物は、城下町に相応しい建物に近くなるよう努力しましょう。

  まずは、たちまち出来そうな付属物や周辺物から取り組みましょう。

木格子取り付けて修景

色彩と軒下を有効利用した修景

 

2 増改築・改修など

  既存建物を増改築・改修する場合は、町並みの景観に違和感の無いよう、形状や色彩等に配慮して計画し、

  施工しましょう。また、施工者にも考え方を理解してもらいましょう。

 

 

 

   *今ある町家以外の建物は町並みに沿うよう少しずつ修繕する。

        新しく建てる時は町家風の設計にするなど・・・・

 

 

 

3 歴史を感じる建物などは、

  外観などは出来る限り建築当時の状態に近づけるよう、復元・修復しましょう。

・平入り形式町家

・屋根 日本瓦 黒色

・外壁 しっくり塗り

・木製建具

・木格子

 

 

 

5章 新しく建物を建てる場合はどうすればよいのか?

 

1 建築の用途

  落ち着いた町並みを乱すような建物は、建築しないようにしましょう。例えば、@風俗店、A洋風飲食店、

  B麻雀荘・パチンコ店、その他これらに類するものなどです。

        

 

2 建築の形式

できる限り、外観が現在の町並みに沿うような、町屋風建物にしまよう。

通りに面する家を建築する場合はできるだけ歴史のある町並みに配慮した建築形式、建築材料、デザインを

継承していきましょう。(屋根・壁・サッシ・塀など人目に触れる部分は、色を揃える、形に配慮する、設

備の目隠しをするなど)

 

 

 

 

3 建物の外形や構造・材料など

 

 

 

(1) 軒の出・軒の高さ

道路境界から敷地側への水平距離7mまでに位置する部分は、一階の軒の出の長さを0.9m程度とし、

軒の先端の高さを2.5m前後としましょう。二階の軒の出の長さも0.9m程度とし、軒の先端の高

さを6m前後としましょう。

(2) 各部の高さ

 道路境界から敷地側への水平距離7mまでに位置する部分は、高さは10mまでとしましょう。現在の

 町並みの建物の9割近くが、概ね5mから9mの高さなので、その範囲内としましょう。

(3) 壁面後退

壁面を既存の建物に揃えましょう。(現在の町並みの多くの建物が道路境界より1m前後です。)

城下町では伝統的な町家形式を引き継ぎ、通りに面する一階は、道路境界より1m程度壁面を後退させ、

町並みの壁面を揃えましょう。二階はこれよりもさらに1.8m(一間)程度後退させ、母屋と下屋で

構成する歴史的町並みの表情をつくりましょう。

(4) 屋根・屋根勾配

既存建物の約8割が切妻であり、残りは入母屋と寄棟です。このため屋根は切妻とし原則平入屋根にし

ましょう。屋根勾配は、5寸前後とし、隣家と違和感の無いようにしましょう。難しい場合は、それに

類する勾配・デザインを取り入れましょう。

(5) 屋根の仕上げ材

できるだけ和瓦を使用しましょう。色は黒色または銀黒色・いぶし色を基調としましょう。

屋根上、庇・下屋上設置物などは、道路から目立たない所につけましょう。

(6) 外壁

 

町並みに沿うよう修景された建物

道路境界から敷地側に位置する部分は、正面、妻側と

も板張り、漆喰等(モルタル、吹き付け材を含む)に

見える仕上げとし、木材は濃い茶色、漆喰は白・黄色、

なまこ壁は白・グレーを基調としましょう。サイディ

ング・トタン仕上げにする場合は、和風の仕上げにな

るような、デザイン・色彩にしましょう。

 

(7) ベランダ・物干し場

通りに面してベランダを設けない配置計画とし、洗濯物が通りから見えないようにしましょう。

(8) 鉄骨造・コンクリート造の建物

木造以外の建物は、建物の連続性を保つために、町家と同じ位置に瓦屋根や軒を設けることや、木や

漆喰を使ったデザインを使いましょう。また、格子戸で前面を目隠しするなど城下町の町並みに馴染

む伝統的なデザインをモチーフとする工夫を心掛けましょう。

(9) 建築材料

建築材料は、地域材料(木材、土、竹、わら、石)や、古くからある瓦・漆喰・紙・布などを使用し

ましょう。

地元木材などを、積極的に看板、装飾等積極的に活用しましょう。

 

 

 

 

 

第6章 空き家・空き地を持っている場合はどうすればよいのか?

 

1 地域のために

  可能であれば、地域内のバイパス整備による立ち退き者のために、進んで空き地・空き家を売買または

  賃貸借などにより提供しましょう。

 

空き家

 

立ち退き者のために有効利用

 


空き家


イベント時に活用

 

2 相談

  持ち主は、空き家や空き地をどうするかについて、地域の皆さんに積極的に相談しましょう。

  (売買、解体、利活用、維持管理など)

    

 

3 手入れ・維持管理

空き家や空き地の状態が続いている間も手入れをして整然さを保ち、さらに、空き地は柵などで

目隠しをしましょう。      

 

 

 

 

4 公開・提供

  可能であれば、誰もが楽しめる場として公開しましょう。(イベント時の一時使用、老人サロン等)

  今ある町家・未活用建物等を、売る、若しくは貸す場合は、店舗や体験宿、まちづくりの拠点施設など、

  賑わいをもたらしてくれそうな建物の用途になるようにしましょう。

  改築する場合も、賑わいをもたらしてくれそうな建物の用途になるようにしましょう。

  植物を植えたりベンチを置いたりしましょう。

  

  

 

ヤマモトロックマシン葛圏セ建物群
・地域拠点施設として学習体験・体験工房など
 

  

第7章 地域の住環境を知る取り組みについて

 

1 安全・安心なまちづくり 

  地域内の危険個所などの把握をして対策を考えましょう。

 

↑ ↑

クリック




  地域内で住民が安全・安心に快適に暮らせるよう、気づきのある危険個所を住民の案内と説明により
  場所を確認し危険個所の位置写真と説明文を入れてマップを作成。

クールスポットの創出(夏場に屋外で涼を求める)

クリック

↓ ↓



地域内クールスポットマップ


秋葉神社下公園


桜並木通り


川西下お大師さん

川東川辺


第8章 ガイドライン協力依頼地区図

広島県庄原市東城町 新町・大正町・下本町・新丁地図

 

 

 用語の説明

 

  ガイドライン:組織・団体における個人または全体の行動に関して守るのが好ましいとされる

         規範・ルール・マナーや目指すべきことを明文化し、その行動に具体的な方向

         性を与えたり、時には何かの「縛り」を与えるための、指標・指針・誘導目標

         ・指導目標などである。

 

     町 家:町人の家・商人の家で、主に都市部の中心部の高い密度で人が住み商業・手工

         業などの商業活動が営まれた地域に多く残る建物で町の中や街道筋に見られた

         店付きの民家である。

 

 

 

 

ガイドライン ダウンロード

 

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