太陽光発電を活用したIT教育事業報告 |
昨年度実施したAur Kon Trom junior high-school(オーコントラム中学校)での太陽光発電設置事業の電気利用として、今年度本格的にコンピューター活用を柱としたIT教育を開始した。昨年度は、ラップトップ・コンピューター(ノート型コンピューター)2台の寄贈で、主に先生を対象にしたIT教育であったので、今年度はラップトップ・コンピューター10台を寄贈し、生徒を対象とした。なお、コンピューターは、現地において購入した。
今回の現地訪問時、先生と生徒の自覚を促し、この事業を継続事業として実施する動機付けとして、コンポンプスー州の教育省長官や地区教育長、また近隣の先生出席のもと、IT教育事業開始を記念する式典及び贈呈式を行った。その結果、本IT教育事業をコンポンプスー州の事業として、引き継ぐことが決定した。
IT教育の実施方法としては、専任講師を9ヶ月間雇用し、生徒を学年毎にグループ分けしながら行っている。なお、資料として添付している写真の生徒たちは、8年及び9年生(中学2年及び3年生)。
この度、本事業への評価をいただき、コンポンスプー州、地区教育事務所、オーコントラム中学校長及び生徒の連名による感謝状をいただいた。
○コンポンスプーの現状(PDF)
○2017年度事業(PDF)
○2018年 式典(PDF)
○2018年度 IT教育(PDF)
今年後実施時期:2018年1月15日~17日
実施箇所:首都プノンペン及びコンポンスプー州オーコントラム中学校
実施におけるカウンターパート:カンボジアNGOのWDA
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(2018年3月) |
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スドック・センチェイ小学校で太陽光発電完成
Solar/ITプロジェクトが本格稼働 |
工事写真 |
完成写真 |
完成写真 |
照明 |
コンピューターとプリンター |
コンピューターとプリンター |
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日本各地が冷え込んだ2月中旬、カンボジアから嬉しい便りが届いた。
コンポン・スプー州にあるスドック・センチェイ小学校での太陽光発電装置が完成した。無電化地域の小学校に明かりが灯り、コンピューターが動きだした。
NPO法人e&g研究所の寄付により太陽光発電を完成させ、ノート型コンピューターとプリンターを合わせ寄贈してのSolar/ITプロジェクトの本格スタートとなった。ただ、コンピューターに関しては、予算の関係上、希望台数の2台の購入が困難だったが、学校側の努力で2台目を合わせ購入することができた。
動き出したコンピューターとプリンターに先生も生徒も興奮気味。嬉しそうな表情を浮かべながら触ったり、その周りに集まっていた。
今後もこの小学校での動きをレポート予定だが、このプロジェウトを通じて貧困から少しでも脱出し、希望を抱いた子どもたちが育っていくことを願っている。
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(2016年2月) |
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カンボジア支援事業報告 |
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昨年視察したカンボジアのコンポン・スプー州スドック・チュレイ村にあるスドック・センチェイ小学校を再び訪れた。この地域は、首都プノンペンから西に車で3時間程行った所にある貧困地域。村には電気はなく、水確保もままならない。白黒テレビは地域にある「集会所」に一台あり、子どもたちの憩いの場となっている。
今回の目的は、すでに開始しているコンピューター学習の状況を把握し、コンピューター活用に必須となる電気を太陽光発電で確保するための準備だった。コンピューターを学ぶには、村から10Km離れたところまで行かなくてはならず、受講している先生3名と生徒2名にとっては苦労が多い。特に、雨季には道路がぬかるみ、通学には困難を極める。
さて、今回の事業の対象となる小学校には、全校生徒177名で、先生5名(女性3名、男性2名)在籍しているが、生徒の学年毎の内訳は次のとおり。1年生75名、2年生20名、3年生21名、4年生31名、5年生15名、6年生15名。この数字が物語っているように、多くの子ども達が中途で学校をあきらめる。その原因は、貧困である。小学生も貴重な働き手で、農業の手伝い等でしっかりと親を支える。今回出会ったコンピューター教室に通う男子生徒も、午前中の学校での授業を終えると、午後は牛の世話をすると言って帰っていった。さらに、中学校は10Km以上離れた所にあり、雨季には赤土の道路が冠水し、学校に通うことが困難となるため、ほぼ全員が進学をあきらめる。
そこで、貧困地域の子どもたちの将来を切り開く、すなわちチャンスを作るために太陽光発電で電気を確保し、その電気を活用することでコンピューター学習を進める条件整備を進める。なお、コンピューターは高価で購入が不可能であるため、ノートパソコン2台とプリンター1台を寄贈する。なお、独立系太陽子発電では、蓄電にバッテリーを使うが、その耐用年数は5年程度あり、さらにプリンターインク等の消耗品費用を捻出する必要があるため、自分たちで貯蓄をする仕組みを進めることとした。その方法として、携帯電話の充電サービスを安い価格で行い、その利益を貯蓄することにした。そのことで、住民にとっても利益は大きく、遠く離れた町までバイクを使い高い費用を払って充電に行かなく済み、出費が大幅に削減できる。
この仕組みを活用することで、住民の経済的負担を軽減され、一人でも多くの子どもが技術を習得し、就職の可能性を広げていくことができればと願っている。いまコンピューター学習を進めている生徒の一人は英語教師に、もう一人は教師になりたいと希望を持っている。そこで、町から遠く離れた所に住む貧困ゆえに学ぶことをあきらめる子どもたちが、学べるチャンスを整備していきたいと考えている。
事業概要
- 事業内容:太陽光発電措置の設置(3,000W/Day)、コンピューター2台及びプリンター1台の寄贈、コンピューター学習の推進、12LEDランプでの照明、携帯電話への充電
- 事業地:カンボジア、コンポン・スプー州スドック・チュレイ村のスドック・センチェイ小学校
- 契約事業者:Smart Training Center
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(2016年2月) |
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カンボジア自立支援事業報告:就学支援事業を実施 |
(写真1) |
(写真2) |
(写真3) |
(写真4) |
(写真5) |
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日本各地が雪に覆われた2014年2月、私は今年で10年目となるカンボジアでの事業実施のため、コンプンスプー州の貧しい農村部にいました。都市が繁栄するなかで、その繁栄から取り残され、住民の多くが「祖末」な家に住み(写真1)、また貧しさ故に子どもがタイやマレーシアに出稼ぎに行っている地域です。
一方、首都プノンペンでは、学生を含むかなりの人がスマートフォンを使い、アミューズメント・パークで楽しむ家族も少なくないのが現状です。年々消費生活が豊かになる都市部と、電気もなければ飲み水にも事欠く農村部の格差が目に見えて拡大してきています。
その農村の実態をもう少し詳しくご紹介します。私が訪れたSdock Chrey village(スドック・チュレイ村)で唯一の小学校の校舎には4つの部屋がありますが、その内教室として使えるのは3つで、残り1つは教員室として使っています。しかし、備品は数える程しかなく、しかも今ある備品は、私たちのカンボジアのカウンターパートであるローカルNGO・WDAからの寄贈によるものです(写真2)。生徒数226人、先生の数6人の学校ですが、先生に支払われる月給は8,000円にも満たないため、先生は半日学校で教え、残り半日はマンゴ農園等で働き生計を立てているとのこと。
先生へ支払われる国からの不十分な給料、数少ない先生と教室、電気のない生活、貧しさ故に買えない履物、ほとんどない娯楽、不足する飲料水(家によっては全く水が出なく、近所からもらっている)、学校や町まで遠いが中古の自転車さえ買えない家庭など、全てが不足しています。この厳しい生活環境の中で、子どもたちにとっての唯一の娯楽は、集会所でみんなと一緒に白黒テレビを観ることです(写真3)。しかし、電気のない地域でテレビを見るにはバッテリーを使うしか方法がなく、そのバッテリーも1週間しか使えないため、遠くの町まで充電に出かけて行かなくてはなりません。
ここでの深刻な問題の一つが子どもの小学校からのドロップアウトです。全校生徒数は226人ですが、学年が進むにつれて在籍数は少なくなり、6年生は僅か20人。約半数が中途で学業を諦めています。その理由は、貧しさです。今回出会った子どもの中には、貧しさ故に履物が買えず裸足の子もいました(写真4)。また、子どもは貴重な「労働力」で、家庭の仕事(多くは農業)を手伝うか、「出稼ぎ」に行っています。私が出会った家族の話ですが、借金を抱えているため、息子がやむなくタイで工場労働者として働いているそうです。この村には、タイやマレーシア等に出稼ぎに出ている子どもがかなりいるとのことです。また、中学校に進学したくても、10Km以上離れていて、自転車も買えないため通学ができず、諦めてしまうとのことでした。
このような貧困地域はこの地域に限らず、カンボジアには数多くあります。そこで、これまで現地NGOのWDAと一緒に取り組んできた地域、プレベン州とコンポンスプー州出身の貧しい家庭の、向学心に燃える学生への就学支援を実施していますが、その学生たちとプノンペンでなごやかな交流を図りました(写真5)。学生たちの生活・学習環境は厳しく、3人が狭い一部屋で暮らし、コンピュータも買えないため、学習(会計学)が思うように進んでいないとのことでした。その厳しい環境の中でも、日本語がかなり話せる学生は、日本語を使った仕事に就けるように頑張っていました。
また、今回の活動のもう一つの目的は、貧困地域での学校建設予定地視察でした。カンボジア最大の課題は、人材不足です。ポルポト時代多くの医師や教師が亡くなりましたが、学校が午前と午後の2部制となっているのは、教師が足りないとに加えて教室が足りないためです。カンボジアの復興はゼロからのスタートと言っても過言ではありません。
私たちの活動がその一助になればと思い、活動を継続しています。 |
(2014年2月) |
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カンボジア洪水被災者への食料支援事業報告その2 |
道路が寸断されトラック輸送が困難でしたが、住民が協力し合って道路を補修し、トラック輸送が可能となりました。
救援物資を現地に届けた後、WDAと現地住民が協力して、荷下ろし、仕分け、配給を行い、無事被災者の元に届きました。
なお、現地の村の名前は、Sdock Chrey village(スドック・チュレイ村)です。
<以下 写真解説>
1、道路補修を終え、いざ目的地へ
2、住民が協力して、荷下ろし
3、届いた物資を仕分け
4、笑顔で救援物資を受け取る被災者 5、お菓子を受け取る子どもたち
※当初の計画にはなかったのですが、私たちの現地でのパートナーのWDAの努力で、お菓子も購入できました。
6、おいしそうにお菓子を食べる子どもたち |
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(2013年11月) |
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カンボジア洪水被災者への食料支援事業報告 |
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今年9月下旬から、カンボジアを襲った豪雨によって、カンボジア各地で洪水被害が続出して、2011年の被害を上回る規模で被害が拡大しています。JICA(国際協力機構)によると、死者168人、被災者総数約38万世帯、避難住民約3万世帯で、別の情報によると約1割の水田が冠水しているとのことです。また、私たちのカウンター・パートでカンボジアNGOのWDAによると、被災地はSiem
Reap(シェムリアップ), Battambang(バッタンバン), Pursat(プルサット), Kampong Chnang(コンポンチュナン),
Prey Veng(プレヴェン), Kapong Speu(コンポンスプー)等広範囲にわたり、特に Tonle Sap(トンレサップ)湖周辺の地域に大きな被害をもたらしているとのことです。
この洪水により孤立した地域では、住民は仕事を失い、農業もできない状態が続き、食料不足が深刻になっています。
そこで、NPO法人e&g研究所は、WDAと協力しながら、Kapong Speu(コンポンスプー)のPhnom Srouch(プノンスロウチ)地域の住民を対象に緊急食料支援を実施することにしました。
対象世帯数は117家族で、米10Kg,魚缶詰5個、食用油1本、魚醤1本、醤油1本を各世帯に支給します。ただ、洪水によって道路が寸断されているため(写真を参照してください)、来週住民総出で道路補修をしながら、トラック輸送する予定です。 |
(2013年10月) |
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カンボジアでの太陽光発電とIT教育推進事業報告
目的:カンボジア農村部での教育条件を改善し、若者への就職のチャンスをつくる。
背景:カンボジアは近年経済成長をとげ、都市部での市民生活はかなり便利になり、若者の学ぶチャンスも広がってきた。しかし、都市と農村の経済格差は広がり、多くの農村部では若者の学ぶ機会や就職のチャンスが少ない。その原因の一つが、無電化地域であること。日本の独立行政法人の調査によると、カンボジア全土の電化率は29%に留まり、地方の家庭では12.3%と極めて低い。したがって、暗い教室の中での勉強を強いられ(写真1)、都市部で急速に広がりつつあるIT活用とはほど遠い条件下にある。その結果、若者の就職のチャンスを限定させ、児童労働や人身売買に至る場合も少なくない。
事業内容:先生4名のコンピューター・トレーニング(あと1ヶ月間で終了予定)、太陽光発電、ノート型コンピューター2台とインクジェット・プリンターの寄贈。
事業規模:140×2=280W規模の太陽光発電装置(写真2)を設置し、2台のノート型コンピューターと1台のインクジェット・プリンターの利用を可能とし、LEDランプで照明する。
事業地:カンボジア、プレ・ヴェン州、ダムレイ・ポウン中学校(首都プノンペンからメコン川を挟んだ東側)
実施期間:2012年2月14日〜17日
実施主体:NPO法人e&g研究所(村田 民雄)およびカウンター・パートとしてのカンボジアNGOのWDA(Women Development Association)
実施状況
真冬の福山から1日かけて行き着いたカンボジアの首都は既に30℃を超えている。まず、太陽光発電設置業者の”SMART TRAINING CENTER”に行き、契約および事業内容とスケジュールの確認を行った。その後、コンピューター2台とプリンター1台を購入し、準備OK。翌日、車で3時間かけて現地へと向かう。急速に進むインフラ整備ではあるが、最後の5KM程は時速10KM以下の速度を強いられた。
設置工事は順調に進む。同時に充電済みのコンピューターに先生たちがチャレンジ。当初は、日頃使っているコンピューター・スクールでのデスクトップと違うことなどで戸惑いが感じられたが、慣れるに従ってワードやエクセルを問題なく使い始めた。同時に、職員室内外に子どもたちが大勢集まってきた。おそらく初めて見るコンピューターやプリンターであろう(写真3)。
先生たちが奮闘している間に設置工事が完了。LEDランプも無事灯った(写真4および5)。この照明を利用して、更に先生たちは夜遅くまでコンピューターにチャレンジした。
なお、前年度事業に寄贈した浄水器(写真6)が順調に働き、451名の生徒への「安全な水」供給が問題なく進んでいることが確認できた。 |
(2012年2月) |
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写真1
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カンボジア プレイ・ヴェン州での「太陽光発電・IT教育」事業を開始(写真1)
今年度の国際協力事業は、カンボジアのプレイ・ヴェン州ダムレイ・ポウン中学校での太陽光発電設置と、それを活用しての IT(コンピュータ)活用です。この事業の目的は、就職の機会をつくることで、子どもたちが希望を持っていきることのできる環境を創っていくことです、カンボジアのほとんどの農村地域は無電化状態で、教育環境が劣悪であるとともに、都市部で急速に進むコンピュータ教育を受ける機会は皆無です。その結果、就職の機会が極めて限定され、児童労働や出稼ぎ(海外への出稼ぎも含め)等が横行していますし、最も悲惨なのは人身売買です。
そこで、この事業を進める前提として、ダムレイ・ポウン中学校の先生4名が近隣のコンピュータ・スクールで学んでいます。そこで、まずコンピュータ学習支援から始めています。
洪水被害が深刻なカンボジア(写真2~4)
今季インドシナ半島の多くの地域を襲った大洪水により、カンボジア25州の内20州が被害を受けています。特に、今年度の事業地であるプレイ・ヴェン州の被害は深刻で、未だ水が引いていない状態が続いています。その結果、農作物は全滅状態で、皮膚病や下痢等の感染症が広がりつつあります。そこで、水が引いた後の生活が心配されています。
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(2011年11月) |
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写真1 |
写真2
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写真3
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カンボジア・プレヴェン州の中学校に新たな浄水器を寄贈
2009年度、e&g研究所としてカンボジアでの井戸掘りを完了し、簡易の浄水器を寄贈しましたが、対象となる学校(プレヴェン州ダムレイ・ポウン中学校)の生徒数が1,000人と多く、うまく機能しないため、シンガポールで開発された浄水器(写真1)を寄贈しました。浄水後の水質が以前のものより改良され、当該中学校の安全な飲料水が十分確保され、生徒の喜ぶ写真(写真2、3)が届きました。
なお、この度の東日本大震災で被害を受けた方々へのお見舞い、また広島に住む私たちを気遣う何通ものメールがカンボジアから届きました。支援とは途上国への一方通行でなく、双方向であることを改めて認識しました。国際協力事業を通して築かれてきた人の絆に感謝!! |
(2011年3月) |
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安全な水確保:乾期後期もきれいな水が確保
今年度のe&g研究所のカンボジアでの事業として、首都プノンペンからメコン川を挟んで西側に位置するプレイヴェン州のDamrey Poun中学校で井戸掘りを実施し、浄水器を寄贈したが、今回はそれがうまく機能しているかのモニタリングをした。この地域は水に恵まれず、乾期の後半はもっとも水事情の厳しい時期で、井戸かちゃんと水が確保できているのかどうか心配だった。しかし、この水事情の厳しい時期にも関わらず、しっかりと水が出ていた!また、浄水器もちゃんと管理できている。放置される井戸が多いだけに嬉しい!
この地域に限らず、カンボジアの多くの地域で安全な水が不足している。特に、水が不足する乾期後半には、汚染した水ですら貴重な水。汚い池の水を多くの人が汲みにきている。未だ乳児死亡率が高く、水が原因の病気が蔓延している現状を改善することが急務ゆえ、これからも安全な水確保の事業を進めていきたい。
県立向原高校書道部からのすてきな贈り物を届ける
この度のカンボジア訪問のもう一つの目的は、井戸掘りを実施した中学校にTシャツを届けること。このTシャツは、広島県立向原高校書道部の生徒が校内の発表会で使ったTシャツをきれいに洗濯した後、1枚1枚丁寧に漢字を書き加えメッセージを伝えようというもの。これをカンボジアの子どもたちに届けてほしいとの依頼を受け、託された。そこで、それぞれの漢字の意味を英訳し、それをまたクメール語に翻訳した。写真のとおり生徒たちは大喜び。向原高校書道部の生徒のメッセージがちゃんと届いたことを願っている。 |
(2010年5月) |
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